仕上げ磨きはいつまでするべき? 正しいやり方・嫌がる子どもへの対処法【歯科医師監修】

仕上げ磨きはいつまでするべき? 正しいやり方・嫌がる子どもへの対処法【歯科医師監修】

(2022年11月30日公開)
【歯科医師監修】
子どもが歯磨きの大切さを認識できるようになるのは、ある程度年齢を重ねてからです。幼少期はうまく子ども自身で歯磨きができないため、保護者の方が仕上げ磨きをして子どもの歯の健康を守ってあげる必要が出てきます。
では、一体何歳まで仕上げ磨きをしてあげたらいいのでしょうか?今回は子どもの仕上げ磨きをいつまでしたらいいのか、嫌がる子どもへの対処方法について解説します。

               

子どもの仕上げ磨きはいつまで必要? 

子どもの仕上げ磨きは、永久歯が生えそろって自分でしっかりと磨けるようになる12歳ごろまで必要です。
幼少期の頃は自分で磨くことは困難なうえに、乳歯はむし歯になりやすいという特性を持っています。さらに乳歯から永久歯へ生え変わる数年間は、歯が段差などで均一に生えておらず磨き残しが多くなるので保護者のチェックは欠かせないのです。

子どもの仕上げ磨きのメリット

子どもの仕上げ磨きの最大のメリットはむし歯予防です。
歯磨きを子ども自身だけに任せておくと、面倒くさがって適当に磨いてしまったり、磨き残しをしてしまったりしやすく、むし歯ができやすくなります。
特に歯の生え変わる時期は磨き残しも起きやすいため、しっかりと保護者が仕上げ磨きを行いつつ、歯磨きの重要性を教えていくことが大切です。子どものときに歯磨きに関する意識と習慣をしっかり身に付けることで、大人になってからも丁寧な歯磨きを心掛けるようになり、生涯自分の歯で健康に暮らせることにもつながってきます。

年齢別・子どもの仕上げ磨きのポイント

ここでは、具体的に子どもの年齢別に仕上げ磨きのポイントについて解説します。

赤ちゃん(0歳~2歳くらいまで)

まだ歯が生え揃っていない時期です。乳歯が生える前は、ミルクの後にガーゼを小指に巻いて、やさしく口の中をぬぐってあげましょう。

生後7か月頃から1歳3か月頃になると上下の前歯が生えてきます。上の前歯は汚れがつきやすい場所なので、ガーゼなどで歯の表面をこするように汚れを落とします。また、赤ちゃんが眠っている間は唾液の量が少なくなり、むし歯菌が活動的になります。夜眠る前はもちろん、お昼寝前も忘れずケアをしてあげましょう。

1歳3か月頃からは奥歯も生えてきます。この頃から、赤ちゃんにベビー用のトレーニング歯ブラシを持たせて、噛んで遊ばせるようにすると歯磨きにも自然に慣れていきます。口に歯ブラシやガーゼを入れると、嫌がることがあります。まずは口元に触れさせたり、短い時間だけ口に入れたりするなど、少しずつ慣れさせていくことを目標にしましょう。

最初は、柔らかくて清潔なガーゼから始めて、徐々に歯ブラシを口に入れるようにしていくとスムーズに慣れてくれるでしょう。

幼児(3歳~5歳くらいまで)

徐々に奥歯も生えてきて歯が一通り生えそろう時期です。
乳歯はむし歯になりやすいですが、特に下の乳臼歯の舌側・噛み合わせの凹部分は磨き残しが多い場所のため気を付けて磨くようにしましょう。まだ歯磨きの大切さを理解できていないので、歯磨きの重要性を理解してもらうことも目標にしましょう。
子どもが好きな曲やアニメをかけながら磨いたり、味付きの歯磨き粉を使うなど楽しんでやるようにすると習慣化しやすくなります。

小学生低学年(6歳~9歳くらいまで)

徐々に、乳歯から永久歯に生え変わってくる時期です。
乳歯と永久歯が混在するので、子ども自身にとっても歯が磨きにくくなります。磨き残しが出やすいので、生え変わった歯の周辺に食べかすが残っていないかしっかりとチェックするようにしましょう。

小学生中学年・高学年(9歳~12歳くらいまで)

この年になると、歯磨きの重要性を理解できる年齢となりますので、基本的には子ども自身で歯磨きを行い、必要な場合だけ仕上げ磨きを行う補助的な役割となります。また個人差はありますが、永久歯が生えそろう時期ですのでフロスの使用も必須となってきます。
保護者の方は、子どもが正しい方法で歯磨きやフロスの使用を出来ているか、また歯がしっかり磨けているかを、生え変わった直後の歯を中心にチェックするようにしましょう。時には染出し剤を使って、確認するのがおすすめです。

仕上げ磨きの正しいやり方

続いて、仕上げ磨きの正しいやり方について解説します。

仕上げ磨きの歯ブラシ選び

基本的には子ども用の毛先が柔らかいものを選びます。仕上げ磨き用のものも多く販売されているので、子どもの年齢に合わせて選ぶといいでしょう。
くれぐれも、大人用のものは使わないようにしてください。大人用を無理に使うと、子どもの口内を傷つけたり、喉を突いてしまう恐れがあります。
年齢に合わせた子ども用歯ブラシの選び方はこちらの記事も参考にしてください。

仕上げ磨きの基本的なやり方

子ども自身で磨けない年齢の間は、保護者の膝の上で口を開けて行います。自分でも磨ける年齢になったら、背が低いうちは鏡が見えるように台の上に立たせて一緒に鏡を見る習慣をつけるようにしましょう。大きくなって中学年以降になったら一緒に鏡の前で磨いていきます。仕上げ磨きの目安時間は年齢によっても異なりますが、5歳までは10~15分、6歳~12際くらいまでは3~5分となります。
基本的に自分で磨けない間は保護者が全体を磨き、最後に歯の間といった隙間を丁寧に磨いて仕上げるイメージです。
赤ちゃんの頃は、まずは歯磨き用シートに慣らしていくのも手です。丁寧に磨きつつも、子どもが「歯磨きは嫌なこと」と思わないようにしていきましょう。
自分で磨けるようになったらサポートに徹し、磨き残しが出やすい歯の隙間や奥歯・歯の裏を中心にチェックして子ども自身にも磨き残しが出やすい場所を教えていきます。

仕上げ磨きの回数・タイミング

毎食後と夜の就寝前の歯磨き後に仕上げ磨きが必須となります。子どものご機嫌も見つつ、タイミングを計りながら仕上げ磨きを行うといいでしょう。
毎食後の仕上げ磨きは大変ですが、同時に子ども自身に対して「食後に歯磨きをする」という意識を持ってもらうことができますのでぜひしっかり習慣づけてくださいね。ただし、通称ギャングエイジと呼ばれる9〜10歳の年齢で、仕上げ磨きを毎日行うのは非常に難しいです。ルールを作り、1日置きや月水金など曜日決めて仕上げ磨きをするなどの方が、長期で続けられることもありますので、検討してみてください。

仕上げ磨きをラクに楽しくする方法

仕上げ磨きをラクに楽しくする方法はないのでしょうか。機嫌などで嫌がることもありますので、楽しくする方法は知っておきたいところです。

普段から子どもの口に触れ、慣れさせる

大切なのは、普段から子どもの口に触れて慣れさせておくことです。特に0~2歳の頃に保護者の方の膝で仰向けになって口を触られる体験をしっかりさせておくことが慣れにつながります。口への接触に慣れておくと、歯科医院に行くようにになったときにも効果を発揮します。
スキンシップの一環として、歯を磨くタイミングに限らず子どもの口に触れる回数をできるだけ増やして、触れられることに少しずつ慣らしていくことをおすすめします。

仕上げ磨き中は子どもに話しかけコミュニケーションをとる

仕上げ磨き中は、子どもとコミュニケーションを取れる時間でもあります。仕上げ磨き中なので子どもは返事ができませんが、「ここは食べかすがたまりやすいところだよ」「もう少しで終わるからね」といった声掛けをしてあげることもコミュニケーションとして大切です。仕上げ磨き中も積極的に話しかけてみてください。

子どものお気に入りのキャラクターの歯ブラシを使う

主に小学校低学年くらいまでのお子さんには、子ども用にキャラクターをあしらった歯ブラシが多く販売されているので、お子さん自身に歯ブラシを選んでもらって仕上げ磨きに使うのもおすすめです。また、中学年になったら、好きな色の歯ブラシを選んでもらうのもおすすめです。
お気に入りの歯ブラシを使うことで、歯磨きが楽しい時間だと思ってもらえたら一石二鳥です。

子ども好みの歯磨き粉を使う

大人が使う歯磨き粉は、ミント系か何もフレーバーのないものが多く、子どもにとっては使いにくいものです。
子ども用にイチゴ・ぶどう・桃・バナナなどのフルーツ味のフレーバー歯磨き粉が多く販売されていますので、子どもが好きなものを一緒に選び、歯磨きに利用するといいでしょう。

歯磨き後にご褒美をあげる

歯磨き後におやつをあげることはできませんが、ご褒美として、好きな遊びを決められた時間だけやっていい、お気に入りの絵本を読める、などのご褒美をあげることもおすすめです。
歯磨き後にご褒美がもらえることで、協力的になってくれる可能性があります。

歌を歌いながら仕上げ磨きする

子どもが好きなアニメの歌や、幼稚園などでお遊戯に使用している歌を使って楽しい時間にすると、喜んでくれます。
子どもが好きな歌を歌ってあげることでコミュニケーションにもなりますし、子ども自身も楽しんでくれますよ。

家族みんなで歯磨きする

家族みんなで歯磨きをするのもおすすめです。
一緒に歯磨きをすることで習慣化もできますし、何より「食後は歯を磨くもの」という意識を持ってもらうことができます。お手本を見せるつもりで、丁寧にしっかりと一緒に磨いてみてはいかがでしょうか。

成長したら「立たせ磨き」に変えるのも効果的

子どもは大きくなると、仰向けで口を開くのを嫌がるようになります。そこでおすすめしたいのが立った状態で歯を磨く「立たせ磨き」です。最初は鏡の高さに背が届きませんので踏み台を準備し、鏡を見ながら歯を磨く習慣をつけていきましょう。
慣れたら、踏み台はなくても大丈夫です。基本的な歯磨きは子ども自身が行い、保護者の方は磨き具合をチェックしたり、足りない部分をフォローして磨く程度で構いません。
ポイントは、自分で鏡でチェックしながら磨くことを身につけることです。この習慣を立たせ磨きの際にしっかり身につけることが、生涯自分の歯を維持することにもつながりますので、最初は家族で一緒に鏡の前で立って磨くのもいいかもしれません。

まとめ

以上、仕上げ磨きのポイントや正しいやり方、子どもが嫌がるときの対処方法などを解説してきました。仕上げ磨きは、子どもの生涯の健康を守り、子どもに歯磨きの大切さを認識してもらうだけでなく、親子のコミュニケーションの機会にもなる、貴重な時間です。
毎日のことで大変ですが、しっかり子どもの歯と向き合って、もし少しでも問題があると思った時はすぐに歯科医院へ行くようにしましょう。

監修歯科医師:飯田智代先生

さくら歯科医院、飯田歯科医院勤務。2002年3月 東京歯科大学卒業。大平歯科医院、ひろ歯科医院、カテリーナデンタルオフィス分院長を経て、2011年4月にさくら歯科医院の院長に就任。2022年8月からは飯田歯科医院の理事長に就任し、現在はさくら歯科医院、飯田歯科医院へ非常勤で勤務している。

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