マウスウォッシュは危険性が高い? 考えられるリスクとは?【歯科医師監修】

マウスウォッシュは危険性が高い? 考えられるリスクとは?【歯科医師監修】

(2024年1月24日更新)
マウスウォッシュは歯磨き後の仕上げとして使用されることが多く、口臭を抑えたり、むし歯や歯周病を予防する効果があります。しかし、使用上の注意点がいくつかあります。今回は、マウスウォッシュの安全な使用方法と効果的な使い方を紹介します。

               

マウスウォッシュは危険性が高いといわれる理由

マウスウォッシュは、口臭や虫歯、歯周病を予防するために用いられる液体のオーラルケア商品ですが、実は、使用上の注意点がいくつか存在します。ここでは、マウスウォッシュによる危険性を4つ解説していきます。

発がん性物質・アレルギー物質の懸念

製品によっては、過剰摂取により発がん性などの有害性を指摘される成分を含んでいる場合があります。用量を守って使用すれば基本的に問題はありませんので、使い過ぎに注意しましょう。
また、成分によってはアレルギーの原因にもなります。特に注意したいのが『エタノール』です。エタノールはアルコールの一種であり、お酒に含まれているアルコールとはエタノールのことです。エタノールは、アレルギーとがんの両方の原因になり得ます。

マウスウォッシュは用量を守って使用するようにして、「刺激が強い」と感じた場合はただちに使用を中止しましょう。

唾液量の減少でむし歯・歯周病を招くリスクがある

唾液には、粘膜の保護、抗菌、口内の洗浄、組織の修復など、数多くの働きがあります。しかし、エタノール入りのマウスウォッシュを使用することで、唾液の量が減ることがあります。唾液量が減少すると、口の中が乾燥して口臭がきつくなるだけでなく、むし歯菌や歯周病菌の増殖を促す可能性もあります。そうならないためにも、過剰にマウスウォッシュをしないように気を付けてください。

必要な菌まで排除される可能性がある

口の中には有益な菌が存在し、むし歯や歯周病などの原因菌が増えすぎないようにバランスを保っています。しかし、マウスウォッシュの使い過ぎで必要な菌までダメージを受けてしまうと、細菌の種類や数のバランスを保つことができなくなります。
すると、普段は悪影響を及ぼさない菌の働きが活発になりすぎてしまい、口腔カンジダ症などを起こすこともあります。発症した場合は治療が必要になるので、使用量は必ず守るようにしてください。

歯磨きがおろそかになってしまう可能性がある

マウスウォッシュを使用すると爽快感を感じ、それだけで満足してしまうことがあるので、歯磨きがおろそかになってしまう方は少なくありません。しかし、歯を磨かない場合、歯の表面や歯間に引っかかっている汚れを完全に除去することができません。

そのため、むし歯や歯周病になりやすくなります。マウスウォッシュの効果は、一時的に口臭を抑えたり、口内の細菌の活動を弱めるだけです。マウスウォッシュはあくまでも、“一時的なオーラルケアをするもの“と考えましょう。

マウスウォッシュは使わない方がいいの? 

マウスウォッシュは、商品に記載されている使用方法(容量・回数)を守って使用すれば問題ありません。日本で販売されている商品は、安全な成分を使っているためリスクや副作用はほとんどなく、ノンアルコールタイプのマウスウォッシュもあるので、アレルギーが心配な方にとっても抵抗なく使えるのではないでしょうか。

また、通常の歯磨きだけでは口内のケアは行き届きません。マウスウォッシュを使用することで、口のすみずみまで行き渡り、あらゆるトラブルの原因となる菌を減少させる効果があります。使用上の注意のもと、普段の歯磨きと併用することがおすすめです。
SillHa.com編集部コメント
実際に歯科衛生士さん107名に対して独自にアンケートを実施しました。マウスウォッシュはオーラルケアのために使った方がいいと思いますか?という質問に対して、63.6%の歯科衛生士さんが、「ぜったい使った方がいい」もしくは「(使わないよりは)使う方がいい」と回答しています。この結果から、オーラルケアに使った方がいいと言えます。
アンケート調査では、歯科衛生士さんがおすすめするマウスウォッシュなども紹介していますので、参考にしてみてください。
<アンケート調査に関する記事は下記のリンクから読むことができます。>

マウスウォッシュを効果的に使うためには

マウスウォッシュは、適切な量を正しい使用方法で使うことが大切です。マウスウォッシュを正しく使えば、大きな効果が期待できます。
マウスウォッシュを使用する上でのポイントや効果的なマウスウォッシュの使用方法を解説していきます。

用法・用量を守って使用する

マウスウォッシュは、使用方法を正しく守ることで、効果を最大限に発揮させることができます。過度な量や回数で使用した場合、かえって口内環境を悪くしてしまうかもしれません。
使うときは、口の中に含んだ液体を口全体に行き渡らせて、すすぐように使用することがポイントです。

成分を確認したうえで使用する

過去にアレルギーの指摘を受けたことがある場合は、マウスウォッシュの成分表を見て、該当する成分が含まれていないか確認をするようにしましょう。
お酒や消毒液に含まれるエタノールでもアレルギーを起こす場合があります。エタノール以外でも、薬や添加物などで皮膚が荒れた経験がある方は注意が必要です。重篤なケースではアナフィラキシーショックにより死に至ることもあります。

刺激が強いと感じたら使用を止める

使用中に刺激が強いと感じたら、ただちに使用を中止してください。特に外国製のマウスウォッシュにはエタノール濃度が高いものが多く、味が辛すぎたり、口の中がピリピリすることもあります。
また、口の中に傷や口内炎がある場合は、悪化してしまうおそれがあるのでノンアルコールのマウスウォッシュ、もしくは低刺激のものを使うようにしましょう。

このほか、口に含んだときに歯肉にいつもと違う痛みを感じた場合は、“歯肉炎“を起こしている可能性があります。我慢せずに吐き出し、うがいをするようにしましょう。そして歯肉炎が治るまでは、マウスウォッシュの使用を中止するようにしてください。

歯磨きとセットで使う

歯ブラシとマウスウォッシュをセットで使うと、口の中の環境をより清潔に保つことができます。マウスウォッシュだけでは、むし歯や歯周病を完全に防ぐことは不可能です。
マウスウォッシュの成分は、細菌のかたまりである歯垢の中や歯周ポケットには浸透しません。また、汚れが溜まっていて歯や歯ぐきが覆われていると、有効成分が届かなくなるので、充分な効果は期待できません。歯磨きを併用すれば、歯にこびりついている汚れや細かい箇所の汚れまで落とすことができます。これにより、マウスウォッシュの有効成分が行き渡りやすくなります。

子ども・高齢者が使用する際は大人が見守る

子どもや高齢者がマウスウォッシュを使用する場合、誤って飲み込んでしまうおそれがあります。また、歯や歯ぐきが成人の方よりも弱く、痛みや粘膜の異常が起きやすい傾向があります。
特に子どもは大人よりも口の中が敏感なので、子ども用のマウスウォッシュを使用するようにしてください。その際、対象年齢を必ずチェックするようにしましょう。

いずれにしても、子どもや高齢者がマウスウォッシュを使用する際は、安全のためにも家族の誰かが見守るようにすると安心です。

まとめ 使用方法を守って歯磨きをサポート

気軽に使えるのがマウスウォッシュの魅力ですが、成分によるリスクが潜んでたり、口内の菌のバランスを崩してしまう可能性もあります。
しかし、正しく使用し、また歯磨きと一緒に使用すれば、むし歯や歯周病などの予防に高い効果が期待できます。マウスウォッシュを適切に使用して口の中を清潔に保ち、健康な“口内”生活を送りましょう。

監修歯科医師:樋口 均也先生

ひぐち歯科クリニック院長。大阪大学歯学部を卒業。インターネット医科大学口腔内科教授。歯科治療に対する患者様の不安や恐怖心を緩和するため「痛みのコントロール」を徹底し、安全性を最重視した無痛治療を行っている。
ひぐち歯科クリニックさんのホームページはこちら
https://higuchidc.com/

近隣のクリニックを検索

関連記事

ピックアップ

医療機関の方へ

シルハは口腔環境6項目を簡単操作で5分でスクリーニングできる唾液検査です。
製品情報・お問い合わせはコチラ

SillHa.comでは全国の歯科医院の情報を掲載しています。
より詳細なご施設情報の掲載をご希望される場合はこちら