笑ったときに歯ぐきが大きく見える「ガミースマイル」は、見た目の印象に影響を与えることもあります。今は目立っていなくても、「ガミースマイルになりそう?」と不安になる方もいるのではないでしょうか。
ガミースマイルとは?
ガミースマイルとは、笑うと歯ぐきが3 mm以上見える状態のことをいいます。
ガミースマイルの場合、笑ったときに歯ぐきが見える範囲が広いため、人目が気になってしまい、口を開けて笑ったり話したりできない方もいます。
ガミースマイルの場合、笑ったときに歯ぐきが見える範囲が広いため、人目が気になってしまい、口を開けて笑ったり話したりできない方もいます。
ガミースマイルのなりやすさのセルフチェック
ガミースマイルは骨格や筋肉のバランスによって起こることもありますが、日常生活の癖や表情の使い方によって、なりやすくなる場合があります。以下のチェックリストで、自分がガミースマイルになりやすい傾向にないかを確認してみましょう。
- 食事のときに舌を前に突き出すクセがある
- 普段から唇をしっかり閉じず口が開き気味になっている
- 鼻呼吸ではなく口呼吸が多い
- 唇や口まわりの筋肉に力が入りにくく無意識に口がポカンと開きがち
- 上の前歯が前に出ている/歯並びが悪い
ガミースマイルを引き起こす身体的特徴
ガミースマイルの原因は歯ぐき自体ではなく、骨格や歯、口まわりの筋肉によることが多いです。また、複数の要因が重なっている場合もあります。ここでは主な特徴を挙げます。
上顎の位置が低い(過蓋咬合)
上顎の位置や歯の生える位置が低い場合、ガミースマイルの原因となります。上顎の位置が低い場合には、過蓋咬合(かがいこうごう)となるケースもあります。過蓋咬合とは、噛み合わせが深いことで上の前歯が下の前歯に覆いかぶさっている状態です。前歯の噛み合わせが合っていないため、ガミースマイルになりやすくなる上に、奥歯の噛み合わせもあっていないことが多く、顎関節症などの他のトラブルの原因にもなります。
上顎が前に出ている(出っ歯)
上顎が前に出ている場合には、口元が閉じにくくなるため、歯ぐきが見えやすくガミースマイルの原因となるケースがあります。
上顎の骨が長い
上顎の骨が長いと上唇よりも歯ぐきが下がった位置になるため、ガミースマイルの原因になります。
歯ぐきが歯に被りすぎている
前歯を覆うほど歯ぐきが発達しているケースがあります。この場合、歯ぐきが多く見えてしまうため、ガミースマイルの原因となることがあります。
歯が小さい/短い
歯のサイズが小さかったり短かったりする場合には、歯ぐきの見える面積が多くなります。その結果、ガミースマイルになりやすくなります。
上唇挙筋の働きが強い
上唇挙筋(じょうしんきょきん) とは、口周りにある筋肉の一種で、上唇を上げる筋肉です。上唇挙筋が過剰に発達していると、笑ったときに上唇がめくれあがり、歯ぐきが露出してガミースマイルとなります。
上唇が薄い
上唇が薄く縦幅が短い場合、口を少しだけ開いた状態でも歯ぐきが露出しやすいため、ガミースマイルになりやすくなります。
上唇が薄い・柔らかい
上唇が薄く縦幅も短い場合、少し開いただけで歯ぐきが見えやすくなります。また、女性は皮膚が柔らかく唇が持ち上がりやすいため、歯ぐきが目立ちやすい傾向にあります。
表情筋が発達している
笑顔を作る際に使う表情筋(大頬骨筋や上唇挙筋など)は、女性のほうが繊細に動かすことが多く、発達しやすいといわれています。表情筋が発達すると、笑ったときに上唇が大きく持ち上がって歯ぐきが露出することがあります。
ホルモンバランスの関係で歯ぐきが腫れることが多い
妊娠中や月経期間中には、ホルモンバランスの変化によって歯ぐきの血流が増えたり、炎症反応が高まりやすくなったりするため、歯ぐきが腫れやすくなることがあります。
歯ぐきが腫れて盛り上がると、通常よりも歯茎の見える範囲が増えるため、見た目にも影響が出やすくなります。
これらの症状は多くの場合、ホルモンバランスが落ち着けば自然に改善し、歯ぐきの腫れもおさまってくるとされています。
歯ぐきが腫れて盛り上がると、通常よりも歯茎の見える範囲が増えるため、見た目にも影響が出やすくなります。
これらの症状は多くの場合、ホルモンバランスが落ち着けば自然に改善し、歯ぐきの腫れもおさまってくるとされています。
ガミースマイルになりやすい習慣
セルフチェックで当てはまる項目が多い場合、知らず知らずのうちに「ガミースマイルを引き起こす習慣」が身についている可能性があります。以下では、それぞれの癖や生活習慣がどのようにガミースマイルにつながるかを解説します。
舌を前に突き出すクセがある
食事中や会話の際に舌を前に突き出すクセがあると、舌の圧力によって上の前歯が前方に押され、出っ歯(上顎前突)になりやすくなります。前歯が前に出ると、笑ったときに歯ぐきも同時に露出しやすくなり、ガミースマイルの原因になります。
口が開きがちになっている
普段から口を閉じずに開けたままの状態が多いと、唇や口まわりの筋肉が衰えて、上唇の引き締めが効きにくくなります。その結果、笑ったときに上唇が過剰にめくれ上がり、歯ぐきが見えやすくなることがあります。
口呼吸の習慣がある
口呼吸が常態化すると、口が常に開いた状態になりやすくなり、上顎の発達や歯並びに悪影響を及ぼします。上顎が前方に成長すると前歯が突出し、歯ぐきも目立ちやすくなってしまいます。
ガミースマイルの予防や改善に役立つ方法
ガミースマイルを予防・改善するには、生活習慣の見直しや口元の筋肉トレーニングが効果的です。特に表情筋や口腔周囲筋、舌の動きを意識的にトレーニングすることで、歯ぐきの露出を抑えるサポートになります。ここではおすすめのセルフケア方法をご紹介します。
口呼吸を鼻呼吸に改善する
口呼吸が習慣になると口元の筋肉が衰えやすく、ガミースマイルになりやすくなります。普段から鼻呼吸を意識し、無意識に口が開いてしまわないよう気をつけましょう。
舌の正しい位置をキープする
舌で前歯を押すクセは、歯並びや上顎の発達に悪影響を与えます。舌は上顎の「スポット」(上前歯のすぐ後ろの膨らみ部分)につける癖を身につけましょう。
表情筋・口周りの筋肉を鍛える
あいうべ体操
あいうべ体操は、「あ・い・う・べ」と大きく口や舌を動かします。口腔周囲筋を総合的に鍛え、口呼吸の改善にも役立ちます。
<あいうべ体操のやり方>
- 「あ」と大きく口を開く
- 「い」で口を横に大きく広げる
- 「う」で唇を尖らせて前に突き出す
- 「べ」で舌を下あごの方へ思いきり伸ばす
それぞれ1秒ずつキープし、10回を1セットとして1日3セット行うとより効果的です。
顎に痛みがある場合は「い」「う」だけでもOKです。
顎に痛みがある場合は「い」「う」だけでもOKです。
割り箸トレーニング
割り箸を歯でくわえた状態で、口角をしっかり上げて頬の筋肉を鍛えます。
<割り箸トレーニングのやり方>
- 割り箸を歯で軽くくわえる
- 鏡を見ながら割り箸より口角が高くなるまで上げて10秒キープ
- 表情を戻して1~2を繰り返す
口角よりも上の筋肉を意識して動かすと、リフトアップ効果も期待できます。
舌回しエクササイズ
舌で唇の内側をゆっくり一周させる筋トレです。口輪筋が鍛えられ、口呼吸や舌癖の改善にもつながります。
<舌回しエクササイズのやり方>
- 口を閉じて唇の内側を舌でゆっくり円を描くように回す
- 10秒ほどかけて一周する
指しゃぶり・舌癖をやめる
指しゃぶりや、舌で歯を押す癖はガミースマイルや歯並び悪化の原因になるため、意識してやめるようにしましょう。
定期的な歯科検診
早期発見・早期対処のためにも、歯並びや骨格、口腔内の健康状態は歯科医院で定期的にチェックすることも大切です。
ガミースマイルの改善方法は?
ガミースマイルは、原因に応じてさまざまな治療法が選択できます。たとえば、上唇の筋肉の働きが原因の場合はボトックス注射、歯ぐきのラインに問題がある場合は歯肉切除術や歯冠長延長術、骨格的な問題がある場合には矯正や外科手術を検討することになります。
軽度であれば、筋肉のトレーニングなどセルフケアでの改善が期待できるケースもあります。
詳しい治療法やそれぞれのメリット・費用については、以下の記事で解説しています。
軽度であれば、筋肉のトレーニングなどセルフケアでの改善が期待できるケースもあります。
詳しい治療法やそれぞれのメリット・費用については、以下の記事で解説しています。
ガミースマイルを防ぐために、今できることを見直そう
ガミースマイルは、生まれつきの骨格だけでなく、舌の使い方や呼吸法、口まわりの筋力低下など、生活習慣の積み重ねが原因になるケースもあります。
まずはセルフチェックで自分の傾向を知り、できることから予防につなげることが大切です。もし「すでに少し気になる」「将来的に不安」という方は、早めに歯科医師に相談しましょう。
まずはセルフチェックで自分の傾向を知り、できることから予防につなげることが大切です。もし「すでに少し気になる」「将来的に不安」という方は、早めに歯科医師に相談しましょう。