まさに春の魚 鰆(サワラ)
サバ科のサワラ(鰆)は「魚編に春」と書くように、春に旬を迎える魚介の代表格です。3〜6月にかけて旬を迎え、体長1m以上になるものがほとんどです。ただし、関東では12〜2月が旬とされ、「寒鰆」と呼ばれる脂がのったものを好む傾向にあります。サワラはその見た目から白身魚と思われがちですが、実は赤身魚です。肉質は柔らかく、刺身から煮付け、塩焼きなど、どんな調理法にも適しています。
オメガ3脂肪酸のDHAやEPAが豊富
サワラは、オメガ3脂肪酸の仲間であるDHAやEPAを豊富に含んでいます。これらは抗がん作用や血栓予防の効果が期待される成分です。DHAは脳神経系に作用して頭が良くなる成分としても有名です。EPAは中性脂肪を減らして動脈硬化を抑制する作用があり、医薬品にも応用されている成分です。
他にも、良質なタンパク質や鉄分、ビタミンD、ビタミン12なども豊富です。ビタミンDは骨を強くする栄養素で、カルシウムの吸収を促進してくれます。ビタミン12はDNAを合成するのに欠かせない栄養素です。
他にも、良質なタンパク質や鉄分、ビタミンD、ビタミン12なども豊富です。ビタミンDは骨を強くする栄養素で、カルシウムの吸収を促進してくれます。ビタミン12はDNAを合成するのに欠かせない栄養素です。
加熱調理をするなら汁物で
DHAやEPAは、加熱調理により流出しやすいので、効果的に摂取するためには生で食べるのがおすすめです。加熱調理する場合には、煮汁ごと食べる煮物や汁物などにするとよいでしょう。
サワラはとても柔らかく身崩れしやすいため、丁寧に調理する必要があります。成魚になる前のサワラは脂が少ないですが、バターや胡麻油などの油分をうまく使うことで美味しく調理できます。
サワラはとても柔らかく身崩れしやすいため、丁寧に調理する必要があります。成魚になる前のサワラは脂が少ないですが、バターや胡麻油などの油分をうまく使うことで美味しく調理できます。
お祝い事に欠かせない 真鯛(マダイ)
豪華な姿焼きとしてお祝い料理に欠かせないマダイ(真鯛)は、春に旬を迎える魚の一つです。マダイの産卵期は2〜6月にかけてで、産卵期の直前となる1〜4月頃に旬を迎えます。桜の時期に収獲されるものは「桜鯛」と呼ばれます。大きいものだと体長1m以上に成長しますが、お店に出回っているのは30〜70cm程度のものがほとんどです。長崎県や福岡県、愛媛県など、西日本で高い漁獲高を誇ります。
マダイは良質なタンパク源
マダイは魚のなかでもタンパク質の量が多く、脂質が比較的少ないのが特徴です。タンパク質は筋肉や皮膚を構成したり、体の中でさまざまな代謝を行なうのに欠かせない酵素を作ったりする原料となる、大切な栄養素です。
食品から摂ったタンパク質はアミノ酸の形で体内に吸収されますが、体の中でタンパク質を作るためには、食品からバランスよくアミノ酸を摂る必要があります。魚はこのバランスに優れた食品であり、マダイもその一つです。グルタミン酸やアスパラギン酸、ロイシン、リジンなどの必須アミノ酸を多く含んでいます。アスパラギン酸は新陳代謝の促進や疲労回復、ロイシンは筋肉の成長や修復を助ける機能、リジンは成長促進や疲労回復、集中力アップに効果があるとされています。
食品から摂ったタンパク質はアミノ酸の形で体内に吸収されますが、体の中でタンパク質を作るためには、食品からバランスよくアミノ酸を摂る必要があります。魚はこのバランスに優れた食品であり、マダイもその一つです。グルタミン酸やアスパラギン酸、ロイシン、リジンなどの必須アミノ酸を多く含んでいます。アスパラギン酸は新陳代謝の促進や疲労回復、ロイシンは筋肉の成長や修復を助ける機能、リジンは成長促進や疲労回復、集中力アップに効果があるとされています。
ぬか漬けにして効率的に栄養素を吸収
マダイは刺身や昆布じめをはじめ、焼き物、煮物、鍋物など、さまざまな調理法で楽しめます。刺身の場合はしめたあと、1〜3日ほど熟成させるとさらに旨味が増します。
豊富なタンパク質・アミノ酸を効率よく吸収するためには、ビタミンB6も合わせて摂るようにしましょう。ビタミンB6の含有量が多い米ぬかを利用して、マダイをぬか漬け風にするのもおすすめです。
豊富なタンパク質・アミノ酸を効率よく吸収するためには、ビタミンB6も合わせて摂るようにしましょう。ビタミンB6の含有量が多い米ぬかを利用して、マダイをぬか漬け風にするのもおすすめです。
小さい体に豊富な栄養 真鯵(マアジ)
マアジ(真鯵)は年間を通して獲れる魚ですが、4〜7月にかけてが旬といわれています。マアジは回遊魚なので、9月頃に三陸沖に到着する頃には脂がのり、さらに美味しくなるとの声もあります。全国の海域で獲れる馴染みのある魚ですが、特に漁獲量が多いのが長崎県、島根県、福岡県などです。漁獲量の多い長崎県では、「ゴンアジ」や「旬あじ(トキアジ)」「野母んあじ」などのブランドアジも獲れます。また、3つの海流が流れ込む豊予海峡の「関あじ」は、高級魚として有名です。
タンパク質や脂質にミネラルも豊富
マアジは、良質なタンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルをバランス良く含んでいます。ロイシンやリジン、イソロイシンなどの必須アミノ酸や、うまみ成分として知られるアミノ酸のグルタミン酸も含みます。また、青魚に多いとされるオメガ3脂肪酸のDHA・EPAも豊富に含んでいます。骨まで食べれる小魚の場合は、カルシウムやカリウムなどのミネラルも多く摂れるのが特徴です。
骨まで調理してミネラルも摂取
マアジは臭みが少なく、寿司ネタや刺身、干物、塩焼き、フライ、唐揚げ、南蛮漬けなど幅広い調理法で楽しめる魚介類です。まるごと唐揚げにして骨まで食べると、カルシウムやカリウムも多く摂取できるのでおすすめです。
仲良しの象徴 蛤(ハマグリ)
ハマグリ(蛤)は、2枚の殻がぴったりと合わさることから「夫婦和合」の象徴として、昔から縁起物とされています。結婚式やひな祭りには、お吸い物にして食べられます。ハマグリの産卵期は5〜10月にかけてで、その直前の2〜4月に旬の時期を迎えます。
貧血予防によい成分をダブルで含有
ハマグリの特徴的な栄養素の一つは「ヘム鉄」です。貧血予防に大事な鉄分には、動物性の「ヘム鉄」と植物由来の「非ヘム鉄」の2種類があり、ヘム鉄の方が体に吸収されやすい鉄分です。ハマグリはこのヘム鉄を多く含んでいます。また、造血に関わる成分であるビタミンB12も豊富に含んでいます。
アミノ酸の一種であるタウリンもハマグリに含まれる特徴的な成分です。タウリンにはコレステロールや中性脂肪を減らす作用が期待されています。
アミノ酸の一種であるタウリンもハマグリに含まれる特徴的な成分です。タウリンにはコレステロールや中性脂肪を減らす作用が期待されています。
汁物でタウリンやビタミンB12を逃さず摂取
ハマグリは、焼きハマグリや酒蒸しをはじめ、汁物、煮物、アクアパッツア、パエリアなど、幅広く使える食材です。タウリンやビタミンB12は水溶性なので、特に汁ごと摂取できる汁物や鍋などに使うのがおすすめです。調理するときはアサリと同様に、しっかりと砂抜きをしましょう。
春の魚介を取り入れたおすすめレシピ
ここでは、サワラやマダイなどを使った華やかなアクアパッツアのレシピをご紹介します。季節を感じられる料理は、春のおもてなしにもぴったりです。
春魚介のアクアパッツァ
<材料>(2~3人分)
- お好みの魚(サワラ、マダイなど):300 g程度
- ハマグリ:300 g
- ミニトマト:12個
- ニンニク:2かけ
- 白ワイン(もしくは酒):100 ml
- 水:100 ml
- イタリアンパセリ:適量
- 塩:適量
- オリーブオイル:適量
<作り方>
- ハマグリは砂抜きをしておく。
- 魚は3枚におろして食べやすい大きさにカットし、塩を振っておく。
- ミニトマトは半分にカットして、ニンニクはみじん切りにする。
- 深めのフライパンにオリーブオイルを入れて加熱し、香りが出てきたら魚を加えて両面をさっと焼き付ける。
- ハマグリ、ミニトマト、白ワイン、水を加えて中火にして、沸騰したら弱火にして蓋をして煮込む。
- ハマグリの殻が開き、魚に火が通ったら、器に盛り付けてイタリアンパセリを散らす。
季節の魚介で食卓が華やぐおもてなし料理を作ろう
旬の魚介は、新鮮なものを生や塩焼きなどでシンプルに食べるのもおすすめですが、時間がある休日にはちょっと手をかけて料理するのもよいでしょう。春に旬を迎える魚にはクセがないものが多いので、洋風料理にするのもおすすめです。記事でご紹介したレシピも参考に、魚介料理を楽しんでください。