魚の骨が喉に刺さったときのおすすめ/NG対処法や刺さりやすい魚の種類を紹介。
(2023年12月30日更新)
【歯科医師監修】
のどに刺さった魚の骨がなかなか取れないと、心配になりますよね。刺さった骨は自然に抜けるケースが多いですが、 放置したり、誤った対処をしたりすると、症状によってはかえって悪化することがあるので、注意が必要です。この記事では、魚の骨がのどに刺さった時の症状や、正しい対処法を解説します。あわせて、間違った対処法や食事における注意点などもご紹介します。
魚の骨がのどに刺さった時の対処法
魚の骨がのどに刺さっても、自浄作用により、のどの粘膜から押し出されて自然に抜けることが多いです。そのため、まずはのどに負担を掛けずに、次のようなことを試してみて様子を見ましょう。
つばを飲み込んで流す
魚を食べた後に骨が刺さったような感覚があったら、骨を流すつもりでつばを飲み込んでみてください。意識して何度かつばを飲み込んだら、自然に流れることがあります。
水でうがいをする
のどに刺さった骨を洗い流すように、水でうがいをしてみましょう。小さい骨なら、この方法で取れる可能性があります。うがいをする際は、水だけで十分です。
実はNG!「ご飯の丸呑み」と「自分でピンセットで抜く」
魚の骨がのどに刺さった時は「ご飯を丸呑みすると良い」と聞いたことがあるかもしれません。しかし、ご飯を丸呑みすることで骨が強く押されて、さらに深く刺さってしまうことがあるため、おすすめしません。また、丸呑みしたご飯がのどに詰まって窒息するリスクもあるので、要注意です。
ピンセットを使って自分で引き抜く方法も、おすすめできません。骨の一部分だけが取れて、残りの骨が刺さったままになってしまったり、逆に骨を奥へと押し込んでしまったりして、医療機関で処置がしづらくなります。また、誤って粘膜を傷つけてしまうケースもあり、とても危険です。
このように、対処法によっては、かえって症状が悪化する可能性もあるのでやめましょう。
のどに刺さった魚の骨を放置するのは危険
魚の骨がのどに刺さった後、しばらく痛みが続いている場合は、そのまま放置することは危険です。唾液には消化酵素が含まれていますが、魚の骨が溶けるほど強くはないため、自然に溶けることはありません。骨が刺さったまま放置していると、傷口が炎症して腫れたり、化膿したりする恐れがあります。
また、食道付近に骨が刺さっている場合は、食道の粘膜だけではなく、他の臓器へ炎症が拡大して、命にかかわることもあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
受診するまではやわらかいものを食べる
痛みが強い時には、歯科医院を受診するまでの間は何も食べないことが望ましいです。しかし、何らかの事情ですぐに医療機関へ行くことができない場合は、刺さった骨が粘膜の奥に入っていかないように、硬い食べ物を避けて、やわらかい物を食べるようにしましょう。
具体的には、ヨーグルトやおかゆ、豆腐、ゼリーやスムージーなどがおすすめです。あわせて、栄養バランスの取れた食事を意識しましょう。また、水分補給も忘れないようにしましょう
骨が刺さりやすい場所と魚の種類
実は、魚の骨が刺さりやすい場所や、骨が刺さりやすい魚の種類があります。それぞれを知り、予防に役立てましょう。
魚の骨が刺さりやすい場所
魚の骨は、舌のつけ根の両サイドのこぶのような口蓋扁桃腺(こうがいへんとうせん)に刺さることが最も多いですが、舌の根っこ辺りにある舌扁桃(ぜつへんとう)に刺さる場合もあります。また、声帯の裏側にある下咽頭(かいんとう)や、食道の粘膜にも刺さることがあります。
骨が刺さりやすい魚の種類
骨が大きいタイやサバは、のどに刺さりやすいです。また、骨が小さいイワシやサンマ、ウナギなどでも刺さることがあります。アジフライなどの骨が付いたまま食べる料理も、注意が必要です。
これらの魚を食べる際には、口に入れる前にできるだけ骨を取り除くことが重要です。自分で骨を取り除くことが難しい小さい子どもや高齢者が食べる場合には、食卓に並べる前にあらかじめ骨を取り除いてあげましょう。また、圧力鍋で骨までやわらかく煮て調理するのも良いでしょう。
骨の刺さりやすい旬の魚
※この内容は編集部の調査により追記したものです。歯科医師による監修は受けていません。
季節ごとに美味しい旬の魚を食べられるのが日本の魅力の1つです。特に夏が旬のアジやウナギ、秋が旬のサケやサバは、骨が刺さりやすい魚です。実は、他にもカレイやヒラメに注意が必要です。東北大学の調査によると、カレイやヒラメの骨は、喉に刺さった場合に手術など特別な方法を要する頻度が患者の約50%ととても高いことがわかっています。
旬の季節別に、骨が刺さりやすい魚を一覧にしました。これらの魚を食べるときや骨ごと食べるような料理のときは、喉に骨が刺らないように気をつけましょう。
- 春が旬の魚:マダイ、マコガレイ
- 夏が旬の魚:スズキ、アナゴ、アジ、ウナギ
- 秋が旬の魚:サンマ、サバ、アマダイ、サケ
- 冬が旬の魚:マダラ、ヒラメ、ブリ、キンメダイ
のどに刺さった魚の骨は放置せず医療機関へ
のどに魚の骨が刺さった時、症状が続いているのに放置したり、誤った対処をしたりすると、かえって悪化することがあります。痛みが強かったり、出血していたり、症状が続いている場合は、早めに医療機関を受診しましょう。また、魚の骨がのどに刺さらないように、食べる前に骨を取り除くなどの予防も忘れないようにしてくださいね。
1日以上抜けない場合は医療機関を受診する
一晩様子を見ても下記のような症状がある場合は、耳鼻咽喉科や歯科などの医療機関を早急に受診しましょう。
• 大きい・太い骨が取れない
• 痛みが強い
• 血が出ている
• 熱が出ている
• 息苦しい
目に見える骨は、ピンセットなどの器具を用いて抜いてもらうことが一般的です。
見えない場所にある骨は、内視鏡で見ながら取ることもあります。また、食道に刺さっている場合は、消化器内科で処置してもらうこともあります。
監修歯科医師:吉竹 啓介 先生
東京都中央区京橋駅直結の「京橋 銀座みらい歯科」院長。
2010年神奈川歯科大学 卒業。2014年に医療法人社団港成会 理事に就任し、同年にせたがや歯科室を開設。2020年に京橋 銀座みらい歯科を開設し、翌年移転・名称変更。現在は京橋 銀座みらい歯科として東京スクエアガーデン2Fで診療を行っている。
京橋 銀座みらい歯科さんのホームページはこちら
https://www.miraishika-ginzain.tokyo/