歯科医院で行う予防処置「シーラント」 そのメリットと他の予防処置との違い【歯科医師監修】

歯科医院で行う予防処置「シーラント」 そのメリットと他の予防処置との違い【歯科医師監修】

(2024年3月30日更新)
シーラントは、主に子どもの奥歯に行われる、むし歯予防のための処置です。生えたばかりの永久歯やむし歯になった乳歯であれば、保険診療で施術を受けられます。この記事ではシーラントのメリットやデメリット、施術の流れについて解説します。シーラントを受けるタイミングについても説明するので、あわせて読んでみてください。

               

歯科医院でよく聞く「シーラント」とは

シーラントとは、奥歯や前歯の溝をプラスチック樹脂で埋めて、むし歯を予防する方法です。生えたばかりの臼歯や乳歯は大人の歯に比べるとむし歯になりやすいため、子どもに対してこの処置を施します。
とくに奥歯は歯ブラシが届きにくく、むし歯菌が溜まりやすい部分です。シーラントで深い溝を埋めることでむし歯菌の侵入を防ぎ、むし歯を効果的に予防します。

シーラントのメリット

シーラントを受けると、むし歯を予防してくれるため歯を削らなくて済むようになります。シーラントのメリットについて解説します。

むし歯になる可能性を低減できる

シーラントのメリットは、子どもがむし歯になるリスクを抑えられる点です。生えたばかりの奥歯は未成熟であり溝が深いため、汚れが溜まりやすく、むし歯にもなりやすい特徴があります。
また、エナメル質が柔らかいのでむし歯の進行が早く、適切な手入れをしないと悪化しやすい傾向があります。シーラントには、奥歯の溝を埋めて汚れが溜まりにくい状態にし、むし歯のリスクを減らす役割があります。

歯を削らなくてすむ

シーラントはむし歯を予防できる効果があるため、歯を削らなくてすむ可能性が高くなります。子どもにとって歯を削る際のキーンとする音は、恐怖を感じる場合も多いのではないでしょうか。シーラントは、小さな子どもでも痛みを感じることなく安心して受けられるむし歯予防法です。
また、歯は一度削ってしまうと脆くなり、むし歯が再発しやすくなります。永久歯は生え変わることがないため、将来に亘って自分の歯を維持するためにも歯を削らないことが大切です。

シーラントをするタイミング

シーラントをするタイミングは次のとおりです。
  • 3~4歳ごろ:診察台に1人で座れる年齢
  • 6歳ごろ:大人の奥歯が生える年齢
  • 8歳ごろ:大人の前歯が生える年齢
  • 12歳ごろ:12歳臼歯が生える年齢
12歳臼歯は、親知らずの一つ前に生える第二大臼歯のことです。歯ブラシが届きにくく、むし歯になりやすいといわれています。3~12歳にかけて歯が生え変わる時期にシーラントを受けるとよいでしょう。
ただし、シーラントを保険診療範囲で受ける場合は、年齢制限がある点に注意が必要です。

シーラントの保険適用範囲

シーラントを保険診療で受けられるタイミングは、初期むし歯と診断された乳歯が見つかったときや、永久歯が生えてきたばかりのときです。奥歯の溝にできた初期むし歯は、シーラントで埋めることで悪化を予防することができます。初期むし歯ではない歯や、永久歯は保険適用外であるため、自費で治療を受ける必要があります。
一般的には6~12歳くらいの年齢であれば、保険診療でシーラントを受けられます。また、自治体によって無料で実施している場合もあります。むし歯の状況や歯の生え変わりには個人差もあるため、保険が適応されるかどうかを歯科医院で確認したほうがよいでしょう。

大人でもシーラントをする意味はある? 

シーラントが行なわれるのは中学生未満の子どもが多いですが、中学生以上の子どもや成人であっても、シーラントを行った方が良い場合があります。奥歯の溝が深い場合は小さな子どもでなくても予防効果が認められるためです。ただし、保険適応外の治療になります。

シーラント治療の流れ

シーラント治療の流れは次のとおりです。
  1. 歯の表面に付着した汚れを取る
  2. 歯を乾燥させる
  3. シーラントを歯に接着させるために必要な薬剤を塗る
  4. 薬剤を塗った状態で数十秒おく
  5. 薬剤を水で洗い流し、乾燥させる
  6. 歯の溝にシーラント材を塗る
  7. シーラントを固めるために光をあてる
シーラント治療では、エッチングと呼ばれる薬剤が使用されます。これは、歯の表面を粗くしてシーラントを歯に引っかかりやすくする薬剤です。

シーラントにはデメリットもある

シーラントには、定期検診を受ける必要があったり、場合によっては取れてしまったりするデメリットもあります。各デメリットについて詳しく解説します。

定期的に歯科検診を受ける必要がある

シーラントが部分的に欠けてしまったり、シーラントの周りのブラッシングが不十分だったりすると、むし歯が進行してしまうことがあります。しかも、シーラントで覆われた部分は歯の表面が見えにくいため、むし歯になっても発見が遅れるおそれがあります。シーラントの状態を確認するためにも、定期的に歯科検診を受けましょう。

シーラントが取れてしまうこともある

詰め物を歯に装着する場合は、歯の形に合わせて詰め物を整えて取れにくくします。それに対して、シーラントはプラスチック樹脂を流し込んで固めるだけなので、通常の詰め物よりも外れやすい点がデメリットです。シーラントが取れた場合は、歯科医院で再び付けてもらえます。

予防歯科の主な内容と費用を比較

歯科医院で行われる主な予防歯科治療として、シーラント以外にもフッ素塗布や定期検診がありますよね。続いて、これらの予防処置とシーラントについて、内容や費用を比較してみましょう。

治療内容

  • シーラント
  • 奥歯の溝を塞いでむし歯を予防する
  • フッ素塗布
  • 歯質を強化してむし歯を予防する
  • 定期検診
  • むし歯や歯並びのチェックをする

費用

  • シーラント
  • 500~3,000円前後(1本あたり)
  • フッ素塗布
  • 500~3,000円
  • 定期検診
  • 3,000~10,000円

保険適用

  • シーラント
  • 条件付きで保険適用
  • フッ素塗布
  • 条件付きで保険適用
  • 定期検診
  • 保険適用外

所要時間

  • シーラント
  • 5~10分(1本あたり)
  • フッ素塗布
  • 約10分
  • 定期検診
  • 30~60分
シーラントについては、生えたばかりの永久歯や乳歯の初期むし歯に対してのみ保険が適用されます。永久歯の場合は、6~12歳であれば保険が適用される可能性があります。
フッ素塗布はシーラントと異なり歯の溝以外にも処置が行えます。こちらも初期むし歯などの条件によって保険適用の対象となる場合があります。
フッ素塗布についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
定期検診は基本的に保険適用外になります。
保険適用の可否については口内の状態によって異なります。また自治体によって、子どもの予防歯科を無料で受けられる場合があります。詳しくは受診した歯科医院に確認するようにしましょう。

まとめ シーラント治療でむし歯予防

生えたばかりの永久歯にシーラントを施すと、むし歯を予防できます。シーラントは保険診療で施術を受けられますが、制限があるため注意しましょう。一般的には6~12歳であれば、生えたばかりの永久歯に対してシーラントを受けられます。

子どもの歯をむし歯から守るためにも、生えたばかりの歯には歯科医師にシーラントで処置を施してもらってはいかがでしょうか。
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監修歯科医師:重永基樹先生

東京都新宿区西落合の哲学堂デンタルクリニック院長。1999年に愛知大学院大学卒業。2002年に現在のクリニックを開業。「なるべく削らない・抜かない・神経をとらない」方針で治療を行っている。

哲学堂デンタルクリニックのホームページはこちら
http://tetsugakudo.com/

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