歯の詰め物の値段は?種類別の料金相場と選ぶポイントを解説

歯の詰め物の値段は?種類別の料金相場と選ぶポイントを解説

歯の詰め物とは、むし歯を削った後に歯を元の形に戻すため、削った穴を補うもののことで、「インレー」と呼ばれます。インレーには、色味や強度などの異なる様々な材質のものがあり、それぞれ費用も異なります。自分に合う詰め物を選ぶためには、それぞれの素材の特徴や選ぶポイントを把握することが大切です。本記事では、詰め物の種類や特徴、それぞれのメリット・デメリット、料金相場、選ぶポイントを解説します。さらに、詰め物が取れた場合の対処法も紹介。どの詰め物を使って治療を行なうかお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

               

歯の詰め物(インレー)とは

歯の詰め物とは、むし歯を削った後の穴を補うためのものです。むし歯になった箇所を削って治療する場合、歯の形に戻すために詰め物をする必要があります。

歯の詰め物をする治療では、まずむし歯の状態を確認し、むし歯を削ります。むし歯がキレイに取れたら、次は歯を元通りの形にするための処置です。削った部分が小さい場合、その場で合成樹脂素材(コンポジットレジン)を充填し、形が整えばその歯の治療が完了します。一方、隣の歯との隣接面までむし歯があった場合は、削る部分も大きくなり、型を取ってはめ込むタイプの詰め物をしなければなりません。詰め物は患者にあったものを作るため、詰め物が完成するまでは、仮の詰め物をしておきます。

なお、神経を取った歯や天然の歯の形が変わるほど大きく削った場合、クラウンという人工の被せ物を歯にかぶせる治療を行います。

歯の詰め物の種類と料金相場

詰め物の素材は、主に5種類あります。むし歯の進行度や治療箇所、治療する歯の部位によって使える素材も異なります。また、素材によって保険適用になるものと自由診療になるものがあるため、治療前に把握しておくことが大切です。ここでは、主に使われる5種類の素材を紹介します。

コンポジットレジン

コンポジットレジンとは、微細なセラミック粒子と樹脂を複合した白い素材です。レジンもしくは、CRと呼ばれることもあります。同じ白でも色調の異なる多くの色を取りそろえているため、天然の歯に近い色で詰めることができます。

コンポジットレジンで治療するメリットは、治療した穴を隙間なく埋めることができるため、詰め物の隙間からのむし歯の再発を防止できることです。硬い素材の詰め物の場合、しっかりと型取りをして詰め物を作成するのに対し、コンボジットレジンは柔らかい状態で治療後の隙間に充填後、紫外線をあてることで固めるようになっているため、隙間をしっかり埋めることができます。他に、自分の歯と違和感のない仕上がりにできること、保険適用であるため安価に治療できることもメリットです。一方、金属およびセラミックなどと比較すると強度が劣る点や、長期的にみると変色しやすい点がデメリットです。

治療費用の料金相場は、3割負担の場合1,500円程です。この中には初診料や再診料、レントゲンを撮った場合などの費用は含みません。また、削った大きさにより、コンポジットレジンでは対応できない場合もあります。

パラジウム合金(銀歯)

パラジウム合金は、一般的に「銀歯」と呼ばれるものです。詰め物だけでなく被せ物にも使われる素材です。メリットは、強度の高さや保険適用であることが挙げられます。噛む機能にも優れていることから範囲の広いむし歯や深いむし歯などにも適しています。

一方、材質の硬さから、たわみができずに歯と隙間ができやすい特徴があり、その隙間からむし歯が発生しやすいというデメリットがあります。また、金属アレルギーを起こすおそれがあることや、審美的にも目立つということもデメリットとなります。

料金相場は、保険の3割負担で3,000円前後です。中には初診料や再診料、レントゲンなどは含まれず、治療部位などによっても金額は変動します。

金合金(金歯)

金合金は、「金歯」と呼ばれるもので、錆びることはほとんどありません。強度が強い反面、硬さが天然の歯に近いことから、噛み合わせる歯への負担も少なく、よく噛むことができます。噛み合わせに重要な奥歯に適した材料です。また、周囲の歯との間に隙間ができにくく、むし歯も再発しにくいです。また、金属アレルギーが起こりにくいのも特長です。一方、保険の適用外であり治療費が高額になることや、金色なため目立ちやすいことがデメリットです。

料金相場は自由診療で、50,000円~80,000円程です。なお、金の相場により変動する可能性があります。

セラミック

セラミックは、天然歯に近い見た目を実現できる審美性の高い素材です。一口にセラミックと言ってもさまざまな種類がありますが、ここでは、最もスタンダードな素材である「ポーセレン」および「イーマックス」というセラミック素材について解説します。

ポーセレンやイーマックスは、透明感を出せるため天然の歯の白さを再現しやすく、治療をしてからの変色もほとんどありません。コーヒーなどの着色汚れも付きにくいです。また、むし歯の再発も起こりにくいというメリットがあります。一方で、ポーセレンは金属よりも強度が落ちるといったデメリットがあります。イーマックスは従来のセラミックに比べ耐久性も高いのが特徴です。しかし、食いしばりが強い方や奥歯に使用する場合などは、強い力がかかるため不向きな場合があります。

料金相場は、自由診療で50,000円~80,000円程です。部位によって異なることや、自由診療のため歯科医院ごとに料金設定ができることから、価格はあくまで目安になります。

奥歯に使われることが多い詰め物

それぞれの材料の特徴から、審美性や汚れの付きにくさ、むし歯の再発リスク、強度などを踏まえて、奥歯の材料としてよく使われるのは、自由診療を選択するなら「ジルコニア」と「セラミック」です。具体的には、小さな奥歯(小臼歯)にはセラミック、大きな奥歯(大臼歯)にはジルコニアになります。

奥歯は、前歯と比べて磨きにくいという特徴があることから、汚れの付きにくい素材が良いです。また、噛む力が一番強い奥歯には、強度も兼ね備えた素材が求められます。そのため、汚れが付きにくく強度のあるセラミックや、より強度のあるジルコニアを奥歯の詰め物に使用することが多いです。
他の素材を奥歯に使用できないわけではありませんが、治療内容や歯の状態、噛む力などから医師の判断で使えない素材があることも把握しておきましょう。

歯の詰め物を選ぶ際のポイント

歯の詰め物は、それぞれの素材にメリット・デメリットが存在します。ここでは、自分に合った詰め物を選ぶためのポイントを、見た目・耐久性・費用・アレルギーの有無という4つの観点から解説します。

見た目(審美性)

たとえ奥歯の詰め物でも、口を開けた時に見えやすい位置であれば気になることもあります。また、できるだけ長く使い続けるものであるため、見た目が変化しにくいことも大切です。なるべく違和感なく、天然の歯に近い、セラミックなど白い素材の詰め物であれば、むし歯治療を行ったことがわかりにくくなります。そういったことから、審美性を重要視するという選択肢もあります。

耐久性

耐久性は、再治療の手間にも影響するため、できるだけ壊れずに長持ちすることも重要な条件です。金合金などは丈夫で長持ちする反面、金ゆえに目立ちやすいのがデメリットです。ジルコニアは、セラミック素材の中でも耐久性の面でとくに優れているため、耐久性と見た目を両立させたい場合の選択肢として挙げられます。また、素材自体に耐久性があっても、隙間が発生しやすい素材は、むし歯の再発リスクが高まります。ただし、素材の耐久性だけを見るのではなく、総合的に見てその歯が長持ちするための素材を選択しましょう。

費用

歯の詰め物は、保険適用のものと自由診療のものから選択することになります。費用をできるだけ抑えたい場合、保険適用のパラジウム合金やレジンなどから選択できます。金属アレルギーや審美性を考えると、自由診療の詰め物を検討することも大切です。また、耐久性や再治療の可能性を踏まえた場合、長期的に見て必ずしも素材の安さが治療費を抑えることに直結しないことも考えられます。そのため、長い目で見た場合のことを踏まえることも重要です。

アレルギーの有無

金属アレルギーを持っている場合は、金属製の素材の使用の可否について医師と事前に相談をして決めましょう。また、金属アレルギーを持っていない方でも、将来的に発症するおそれがあります。歯の詰め物は、たまに身に付けるものではなく、常に口の中に入っているものです。将来的な金属アレルギーへのリスクを考慮して、金属を使用していない材料を選ぶこともひとつの選択肢になります。

歯の詰め物が取れた場合の対処法

もしも歯の詰め物が取れてしまった場合、注意すべき点がいくつかあります。ここでは、詰め物が突然取れてしまった場合の対処法を解説します。

取れたまま放置しない

詰め物が外れている状態の歯は、歯の弱い部分が露出している状態です。痛くないからと言って放置していると、そこからむし歯の発生するおそれがあります。他にも、嚙み合わせや歯周組織に悪い影響を与えることもあります。放置をせずにすぐ歯科医院を受診しましょう。

詰め物を元に戻そうとしない

歯の詰め物は、接着時に唾液や細菌が入らないよう注意しながら、専用の特殊な接着剤で接着しています。そのため、自分で元通りに治すことはできません。一度取れた詰め物を自分ではめ込んでみて、見た目が元通りに見えても、接着されているわけではありません。そのため、わずかな隙間から汚れが入り込むほか、何らかのタイミングで外れて誤飲をしてしまうおそれもあります。
また、市販の接着剤を用いて接着してしまうと細菌などが入り込んでしまいます。詰め物が外れた場合は自分で戻さず、受診しましょう。

詰め物が取れた歯を使わない

詰め物が外れた状態の歯は弱く、そのまま硬いものを噛むと欠けてしまったり、ヒビが入ったりするおそれがあります。そうなると、治療が余計に必要になることや、状態が悪いと抜歯に至ることも考えられます。詰め物が取れたら、受診まで硬いものを噛まず、詰め物が取れた歯は使わないようにしましょう。

口の中を清潔に保つ

詰め物が取れた部分は、食べ物が詰まりやすく、菌が繁殖しやすい状態になっています。また、歯の弱い部分が露出しているため、蓄積した菌によりむし歯の発生率が高まります。普段通りの歯磨きでは、その部分の汚れは取り切れません。取れた部分は普段よりも丁寧な歯磨きを心がけ、歯科医院へ受診するまでは、いつも以上に口の中全体を清潔に保つことが大切です。

Q&A:歯の詰め物に関するよくある質問

Q:歯の詰め物と被せ物の違いは何ですか?

歯の詰め物は、むし歯を削った範囲が小さい場合に、その部分を補うものです。対して被せ物は、むし歯の進行が大きくて神経を取る処置を行った際など、歯を大きく削って大部分を覆う必要があるときに使うものです。

Q:歯の詰め物をしてもまたむし歯になる可能性はありますか?

治療後の歯が再びむし歯になることもあり、二次むし歯などと呼ばれます。治療から時間が経つにつれて、詰め物と歯の間の隙間が広がり、その隙間から菌が侵入してむし歯になります。定期検診や劣化しにくい素材を選ぶことで対策できます。

Q:歯の詰め物はいつまでもちますか?

あくまで目安ですが、プラスチックの詰め物は約2~5年、金属素材のものは約3~5年、セラミック素材は約10年と言われています。

Q:歯の詰め物の違和感はいつまで続きますか?

歯の詰め物の違和感が取れるまでの期間は、個人差もありますが、一般的に数日から一週間程度と言われています。

詰め物は歯の状態や自分に合ったものを選びましょう

パラジウム合金やセラミックなど、詰め物には保険適用や自由診療のものなど、種類はさまざまです。保険適用に限らず、自由診療のものも検討することで、自分に最適なものを見つけることができます。それぞれの素材の特徴を把握しつつ、歯科医院で相談してみましょう。

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