歯にある黒い点は、むし歯以外の可能性も! 考えられる原因と治療法【歯科医師監修】

歯にある黒い点は、むし歯以外の可能性も! 考えられる原因と治療法【歯科医師監修】

歯にある黒い点と聞くと「むし歯では?」と疑う方が多いのではないでしょうか。しかし、むし歯の他にも考えられる原因があります。この記事では、歯にある黒い点の原因や治療法などを解説します。なかには歯に悪影響を及ぼすものもあるので、黒い点を発見したら放置せず、早めに歯科医院を受診しましょう。

               

歯に黒い点ができる原因は?

歯に黒い点ができる原因はいくつかあり、原因ごとに黒い点の見た目にも特徴があります。まずは、黒い点ができる原因を黒い点の特徴とともに解説します。

黒い点の原因①着色汚れ(ステイン)

歯の表面には細かい凹凸があるので、着色汚れ(ステイン)が付着しやすいです。着色汚れは黒い点に見える場合があります。歯の着色につながりやすい主な飲食物は、コーヒー、紅茶、ココア、赤ワイン、カレー、チョコレートなどです。これらを食べる機会が多いと、歯の着色汚れを招きやすいと言われています。
<特徴・見分け方>
  • 歯と歯の隙間部分が黒、もしくは茶色っぽい。
  • 歯に黒い点が表れるほかに、歯全体にも黄色い変色がみられる。
セルフチェックでは、黒い点の原因が着色汚れであると断定しづらい場合がほとんどです。黒い点の原因が他にある可能性も考えられるので、歯科医院を受診して確認しましょう。

黒い点の原因②むし歯

むし歯も黒い点に見えることがあります。
初期むし歯の場合、口内環境の改善などによりむし歯の進行は止まったものの、一度溶けてしまった部分が、黒くなって固まることがあります。
<特徴・見分け方>
  • 歯ブラシで磨いても黒い点が取れない。
  • 黒い点が歯の凹凸や歯と歯の隙間にできている。
また、進行中のむし歯でも黒い点のように見えます。むし歯菌の酸によって歯が溶けると、そこに食べ物などに含まれる着色性物質が沈着して、黒くなります。歯の表面上では小さな黒い点でも、歯の中でむし歯が大きく広がっている可能性があるので、注意が必要です。
<特徴・見分け方>
  • 歯にある黒い点が穴になっている。
  • 放置していると黒い点が大きくなっていく。
初期むし歯が固まったものか、進行中のむし歯かは判断が難しいため、歯科医院を受診しましょう。

黒い点の原因③失活歯

神経を抜いた歯や、神経が機能しなくなった歯は失活歯(しっかつし)と呼ばれます。失活歯はしばらくすると、黄ばんだり黒ずんだりするのが特徴です。神経が失われたり、機能しなくなったりすることで、象牙質内にある象牙細管の中のタンパク質が変性して、色が黒くなります。転倒や打撲などの強い衝撃により歯の神経が傷ついた場合にも、失活歯になることがあります。
<特徴・見分け方>
  • 歯全体が黒ずんでいる。

黒い点の原因④歯石

歯石も黒い点の原因の1つです。歯石は白いものだけではなく黒いものも存在し、歯の黒い線や点に見えることがあります。特に、歯ぐきの近くにできる歯石は黒くなることがあります。これは、歯ぐきなどから出血があった場合、血液と歯石が混ざって黒くなるためです。
<特徴・見分け方>
  • 黒い部分に盛り上がりがある。または、ザラザラしている。
  • 歯と歯ぐきの間にある溝によくみられる。

【原因別】歯に黒い点がある時の治療法

歯に黒い点ができた場合は、原因によって治療法が異なります。黒い点は、基本的にセルフケアでは取れません。まずは歯科医院を受診して、原因や治療法を確認するようにしましょう。

【着色汚れ】歯のクリーニングやホワイトニングを行う

黒い点の原因が着色汚れであった場合、すぐに悪影響が出るわけではありません。しかし、放置しておくとその部分に汚れが付きやすくなる可能性があります。また、見た目が気になる方もいるでしょう。
歯科医院では、専門の器具を使って着色汚れを除去するクリーニングや、薬剤などを歯に塗って漂白するホワイトニングなどの治療が行われます。
着色汚れが付着して黒い点にならないように、セルフケアするなら下記の方法を実践してみましょう。
<電動歯ブラシを使用する>
一般の歯ブラシよりも歯垢を除去しやすいです。着色汚れにフォーカスしたブラシが付属したタイプもあります。

<歯磨き粉の成分に着目する>
ステイン除去に向いている歯磨き粉や、ホワイトニング成分が入った歯磨き粉の使用がおすすめです。

【むし歯】進行具合に合った治療を受ける

黒い点がむし歯の場合、セルフケアでは除去できません。そのため、歯科医院などで治療を受けましょう。治療法は、むし歯の進行具合によって異なります。
黒い点が初期むし歯であった場合、フッ素を塗布したり、ブラッシング指導を受けたりといった治療が一般的です。口内環境を整えながら経過を観察していきます。
黒い点が進行中のむし歯であった場合、むし歯部分を削るなどの治療を早急に行う必要があります。むし歯が神経にまで達していれば、神経を抜く治療が行われることもあるでしょう。むし歯の治療が終わったら、詰め物をして塞ぎます。

【失活歯】ホワイトニングやかぶせ物をする

失活歯の場合は、変色を治療するのが一般的です。歯を漂白する、塗料を塗る、かぶせ物をするなど複数の治療法があります。自分の希望や、残りの歯の状態などを歯科医師に相談しながら、どの治療法が適しているのかを選びましょう。

【歯石】歯科医院で取り除く

歯石は基本的に、セルフケアでは取り除けません。そのため、歯科医院で歯石を除去してもらいましょう。

子どもの歯が黒く見えるのはなぜ?

子どもの歯が黒く見える場合は、着色汚れ、むし歯、歯石以外の可能性も考えられます。ここでは、子どもの歯が黒く見える時に考えられる原因を、治療法とあわせてご紹介します。

神経の傷

先述したように、転倒や打撲などで歯を強く打って神経が傷つくと、失活歯になり、黒く見えることがあります。神経が傷ついている歯は、1本全体が黒くなることが特徴です。症状によっては経過観察していく場合もありますが、神経が死んでしまっている場合は、神経を取り除く根管治療が行われることもあります。
ただし、根管治療をしても歯の色は元に戻りません。そのため、歯を漂白したり、塗料を塗ったりすることもあります。また、乳歯の場合は、永久歯への生え替わりを待つケースもあります。

むし歯の進行を予防する薬剤

むし歯の進行を防ぐための薬剤を歯に塗布するとその部分が変色し、黒く見えることがあります。乳歯の場合は、永久歯への生え替わりを待つのが一般的です。一方、既に永久歯に生え変わっている場合は、黒く変色した部分を削り、詰め物をして治療します。

歯に黒い点をつくらないための対策

歯に黒い点ができてしまったら、治療することでしか取り除けない場合がほとんどです。しかし、黒い点ができないように、着色汚れやむし歯を予防して対策することはできます。最後に、歯に黒い点をつくらないための対策をチェックしておきましょう。

定期的に歯科検診や歯のクリーニングを受ける

定期的に歯科検診を受けることで、むし歯を早期発見・早期治療できる可能性が高まり、むし歯が黒い点になることを防げます。また、定期的に歯のクリーニングを受けることで、歯の表面の汚れや着色を落として、着色汚れが黒い点になるのも防げるでしょう。

口内環境を整える

口内環境を整えて良い状態を保っておくことで、歯の黒い点の原因の1つであるむし歯を予防できます。口内環境を維持するために、定期的に唾液検査シルハで自分の口内環境を把握してみましょう。シルハでは、口内のケアに関する6つの項目を測定することができます。
歯科検診や歯のクリーニングの際に、あわせてシルハの検査を受けてみてはいかがでしょうか。結果をもとに、どういったケアをすべきか歯科医院で相談してみてください。
唾液検査シルハができる医療機関は、こちらから検索できます。

歯に黒い点を見つけたら歯科医院で相談を

歯にできる黒い点には、いくつかの原因があります。この原因は、セルフチェックでは判断しにくいものがほとんどなので、歯に黒い点を見つけたら早めに歯科医院を受診しましょう。また、黒い点の中には、歯の状態や口内環境を知って改善することで防げるものもあります。歯科検診や唾液検査などを受けて、黒い点のないキレイな歯を目指しましょう。

監修歯科医師:本荘真也 先生

本荘歯科クリニック院長。
日本大学歯学部卒業後、浅賀歯科医院(埼玉県越谷市)副院長を経て2020年10月本荘歯科クリニックを開院。
30年以上の歴史を持つ本荘歯科医院のあとを引き継ぐかたちで開院した同クリニックでは、赤ちゃんからお年寄りまで生涯にわたって通えるクリニックを目指す。全国でもまだ導入例の少ない歯科用機器や歯科技術も取り入れた診療を鳥取市内で行っている。

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