歯にヒビが入ったらすぐ歯科受診すべき? 原因や起こりうるリスクを解説【歯科医師監修】

歯にヒビが入ったらすぐ歯科受診すべき? 原因や起こりうるリスクを解説【歯科医師監修】

何らかの原因により、歯にヒビが入ってしまった経験はないでしょうか。歯にヒビが入ると、歯の痛みやむし歯、歯ぐきの腫れなど、さまざまなトラブルを招きかねません。最悪の場合、歯が欠けたり割れたりして、抜歯が必要になることもあります。本記事では、歯にヒビが入る原因や、ヒビが入ることで起こりうるリスク、治療方法などをご紹介していきます。

               

歯にヒビが入る原因

歯にヒビが入る主な原因は、大きく3つに分けられます。

衝撃などの外的要因によるもの

歯の表面を覆っているエナメル質は人体で最も硬いものですが、急な衝撃には弱いという性質を持っています。そのため、転倒や打撲などによる物理的な衝撃が急に歯に加わることで、ヒビが入る場合があります。

歯ぎしりや食いしばりなど強い力によるもの

眠っている間の歯ぎしりや、強く噛みしめる食いしばりの癖も、歯にヒビが入る原因として考えられます。非常に強い力や動きが継続的に加わることは、歯にとって大きな負担となり、結果的にヒビが入りやすくなってしまいます
歯ぎしりや食いしばりは無意識のうちに行っていることが多く、習慣化しやすい傾向にあるため、注意が必要です。また、歯ぎしりや食いしばりの癖だけではなく、噛み合わせが悪いことも歯にヒビが入りやすくなる原因として挙げられます。噛み合わせが悪いと噛む時の力の入り方に偏りが生じて、一部分に強い負担がかかってしまうためです。

歯の神経を抜いたことによるもの

歯の中心に通っている歯髄(しずい)と呼ばれる神経組織は、歯全体に水分や栄養を行き渡らせる役割を持っています。むし歯の治療などで神経を抜いた歯は、その神経が入っていた部分を大きく削ります。元々の歯が薄くなることで脆くなり、ヒビが入りやすくなります。    
脆くなった歯は、硬いものを噛んだり、少しの衝撃を受けたりしただけでも、ヒビが入る恐れがあります。

歯にヒビが入ることによるリスク

ヒビが入ってしまった歯を放置することはおすすめできません。歯のヒビが原因となり、むし歯になったり歯が欠けたりする恐れがあるためです。ここでは、歯にヒビが入ることで起こりうるトラブルをご紹介します。

痛みや腫れが生じる

ヒビが小さいと、痛みや腫れなどの症状が出ない場合があります。しかし、ヒビが徐々に大きく深いものになると痛みが生じます。また、冷たいものや熱いものなどがしみるようになるでしょう。
痛みの出方は、ヒビの入った歯に神経が残っているかどうかでも変わります。神経が残っている歯の場合は神経が傷つくため、歯が削れるような鋭い痛みを感じやすいです。一方、神経がない歯でも痛みを感じる場合があります。歯のヒビや割れが歯の根まで達していて、歯ぐきに腫れや膿などが生じることがあるためです。

むし歯になりやすくなる

歯のヒビを放置していると、噛むことでそこにさらに力が加わり、ヒビが深くなる可能性があります。ヒビが入った部分は、プラークが付着しやすくなったり、内部に細菌が侵入しやすくなったりします。そのため、ヒビの入った歯は通常の歯よりもむし歯になるリスクが高くなります

歯が欠ける・割れる

歯のヒビは、最初は小さなものであったとしても、何かの拍子に大きくなり、歯が欠ける・割れるなどのトラブルにつながる恐れがあります。歯が欠けたり割れたりすると、抜歯をしなければならない場合もあります。基本的に、どんなに小さなヒビでも放置は厳禁と考えるようにしましょう。

歯にヒビが入った時は

歯にヒビが入るとむし歯などのトラブルを起こすリスクが高まるため、決して放置してはいけません。ここからは、ヒビを見つけた時にどう行動するべきかをご紹介します。

放置せずに早めに歯科を受診する

歯は骨とは性質が異なるため、ヒビを放置していても自然治癒することはありません。放置していると、ヒビが大きくなったり、むし歯になったり、さまざまなトラブルの元なります。ヒビを見つけた時には、例え小さいものでも放置せずに、早めに歯科医院を受診するようにしましょう。

差し歯の場合も同様に歯科を受診する

治療して年月が経った差し歯も、ヒビが入ったり、欠けたりするケースがあります。差し歯や被せものをした歯はむし歯にはならないと勘違いされやすいですが、土台は自分の歯なので、根元がむし歯になる恐れがあります。歯のヒビから細菌が侵入しないように、差し歯でも放置せずに歯科医院を受診する必要があります。
また、差し歯のヒビを瞬間接着剤を使って補修することは避けてください。もしもヒビが進行して割れたり外れたりした時は、差し歯を捨てずに保管して、すぐに歯科医院を受診しましょう。すぐに受診できない場合は、外れた部分にはなるべく触れず、できるだけその部分で噛まないようにしましょう。

歯にヒビが入った時の治療例

歯にヒビが入った時に行われる治療は、ヒビの程度により異なります。ここでは、ヒビの進行度別の治療例をご紹介します。

歯の表面にだけヒビが入っている場合の治療

歯の表面部分、エナメル質のみにヒビが入っているケースは、比較的軽度です。エナメル質のヒビは多くの方に見られ、ほとんどの場合痛みなどの自覚症状がありません。そのため、痛みなどの症状がない場合は、経過観察になるでしょう。
熱いものや冷たいものがしみるといった知覚過敏のような症状が見られる時は、表面を削るか、薬剤やコーティング剤を塗るといった治療が行われます。

歯の内部にヒビが入っている場合の治療

歯の内部にまでヒビが入っていると、痛みを強く感じやすくなります。エナメル質の内側にある象牙質は歯髄とつながっているため、象牙質にまでヒビが達しているとまれに激痛を伴います
この場合、歯の内部にむし歯菌などが入り込まないように、被せものや詰め物などで補強する治療が行われます。また、ヒビが神経まで達している時は、同時に抜髄(ばつずい)と呼ばれる神経を抜く処置が必要になります。

歯の根までヒビが入っている場合の治療

ヒビが歯の根や歯ぐきの奥にまで達していると、痛みや腫れ、歯が動くなどさまざまな症状が現れるでしょう。ここまでヒビが深くなっていると、抜歯が必要です。また、抜歯をした後は、義歯を入れることになります。義歯は保険適用のものの他に、インプラントのような保険不適用のものなどいくつか種類があるため、どれを選ぶかによって治療費が変動します。

歯にヒビが入るのを予防する方法

歯にヒビが入るのを予防するには、常日頃から歯に負担をかけないことが大切です。次にご紹介する予防方法を実践して、歯にヒビが入っていない状態を維持しましょう。

硬いものを食べ過ぎない

食べるときによく噛むことは唾液分泌を促すので良いことですが、硬すぎる食べ物は歯の負担にもなってしまいます。硬く炒った豆や、噛みきれないほど硬いスルメ・煎餅など、極端に硬い食べ物頻繁に食べ過ぎるとヒビを作る恐れがあるため、たまに食べる程度にしましょう。

むし歯を抜髄が必要になるまで放置しない

抜髄を行うと、歯が薄くなりヒビが入るリスクが上がります。ヒビを予防するためにも、抜髄が必要になるまでむし歯を放置しないようにしましょう。歯に異変を感じたら、早めに歯科医院を受診するようにしてください。

マウスピースや矯正で歯ぎしりや噛み合わせを改善する

歯ぎしり食いしばりの癖は、マウスピースを使って治療することでヒビの予防にもつながります。また、噛み合わせに問題がある場合は、保険適用の治療や適用外の歯列矯正などで改善することができます。

定期的に口内チェックを行い、歯のすり減りなどを確認する

歯のすり減り具合などは、自分ではなかなか分からないものです。また、早期のむし歯なども自覚症状がないことが多いため、気づきにくいかもしれません。早めに口内トラブルを見つけて治療をすると、それだけ歯にヒビが入るリスクを減らすことができます。口内環境のチェックを定期的に行うことは、ヒビの予防にもつながるのです。
歯にヒビが入りやすい人は、それなりの口の中の特徴を持っているので、歯科医院でも指摘をされることがあると思います。「そんなはずはない」と思わないで生活習慣を見直してみてください。
唾液検査のシルハは、口をすすぐだけで簡単に口内環境のチェックができます。全国の歯科医院に導入されているので、定期的に現在の口内環境を検査してみてください。シルハでチェックできる項目は、以下の通りです。
<唾液検査シルハの測定項目>
シルハが導入されている歯科医院は、下記のリンクから検索可能です。

歯にヒビが入ったら早めの歯科受診を

歯にヒビが入った時は、たとえヒビが小さく自覚症状がなくても、一度歯科医院を受診するようにしましょう。自己判断での放置は、悪化を招きかねません。また、歯にヒビが入らないようにするためにも、定期的に検診を受けるなどして、口内環境を知っておくことが大切です。また、ヒビを予防するためにも、歯に負担をかけない習慣を心がけましょう。

監修歯科医師:村上弘 先生

昭和54年4月18日、“良い歯”の日に生を受け、福岡歯科大学・大学院・歯周病科を経て、この地に開業致しました。
これまで歯の保存とその長期的維持を第一に考え治療に携わってきました。
皆さんにとって「ベストな治療」と「適切なメインテナンス」を提供し、笑顔で過ごして頂けるように「削る」ではなく「守る」歯科医療の普及に奔走しています。

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