ラミネートベニアとは? メリット・デメリット、費用、削らない治療も紹介【歯科医師監修】

ラミネートベニアとは? メリット・デメリット、費用、削らない治療も紹介【歯科医師監修】

(2023年1月31日公開)
ラミネートベニアを受けると、前歯を白くしたり、キレイな歯並びに整えたりすることができます。しかし、自分にあった治療であるかどうかわからない人も多いのではないでしょうか。この記事ではラミネートベニアのメリットとデメリット、治療に掛かる費用についてご紹介します。ラミネートべニアの注意点も解説するので、あわせてご覧ください。

               

ラミネートベニアとは

まずはラミネートべニアとはどのようなものかを解説します。

ラミネートベニア治療とは

ラミネートベニアは、歯の表面をわずかだけ削って代替物を貼り付けることにより、見た目を改善する治療法です。歯の色に合わせた薄い板状のセラミック(シェル)を樹脂製の接着剤を使って削った部分に貼り付けます。
歯に対する侵襲性が低く、リスクも少ないため、歯の白さや歯並びなどの審美性の回復や改善におすすめの治療法です。

クラウンとの違い

クラウン(被せ物)は歯を削り、削った歯全体を覆うように被せる人口の歯のことで、虫歯や事故などが原因で天然の歯が大きく損なわれた場合や見た目を改善したい歯に行う治療法です。ラミネートベニアと違い、天然の歯を大きく削る必要があるため、審美性のために天然歯を削る場合は歯科医師とよく相談した上で行いましょう。

ラミネートベニアのメリット

ラミネートべニアには歯の審美面において、さまざまなメリットがあります。ここでは、そのメリットを5つご紹介します。

前歯を好みの色・形に調整できる

ラミネートべニアは、専門の歯科技工士が材料となるパウダーを混ぜて焼き、希望どおりの「色」と「形」に仕上げます。前歯の色を変えるだけではなく、歯と歯の隙間を埋めたり、歯並びを整えたりすることができます。

ホワイトニングで白くできなかった歯も白くなる

歯の色を明るくしたい場合は、一般的にホワイトニングが選択されます。しかしホワイトニングでは、神経がないことが原因で変色した歯は白くならない場合もあります。また稀に、ホワイトニングでは全く白くできない歯や、色がまだらになることもあります。
そのような場合、ラミネートベニアを使った治療法を試してみるのも1つの方法です。

すきっ歯も改善できる

ラミネートベニアは、正中離開などの前歯のすきっ歯に対する治療法としても利用可能です。正中離開とは、上の歯の中央にある歯と歯の間に隙間がある状態です。しかし、すきっ歯の間隔が広く、1.5~3mm以上ある場合は治療できません。

金属アレルギーの人も可能

歯科治療では歯の詰め物に金属が使われることも多いです。ラミネートべニアは金属ではなくセラミックで作られているため、金属アレルギーが気になる場合も、安心して治療を受けられます。セラミックは、生体に対して有害な作用を及ぼさずに、馴染みやすい点が特徴です。

治療期間が短い

ラミネートべニアは、治療期間が短い点も魅力です。一般的に歯科矯正を受ける場合は、歯を少しずつ動かして、噛み合わせや歯並びを改善します。そのため、1~2年の治療期間を要します。
一方でラミネートべニアで歯並びを整える治療を受けると、むし歯や歯周病などに対する処置が不要であれば1~2回の通院で完了します。

ラミネートベニアのデメリット

ラミネートべニアには、費用がかかるというデメリットがあります。他にも、歯を削る必要があったり、装着後に欠けたり剥がれたりする場合もあります。各デメリットについて詳しく解説するので、参考にしてください。

保険適用外なので費用がかかる

ラミネートベニアは保険適用外であるため、多くのクリニックで9~15万円程度の治療費がかかります。一方、歯の白さを改善できるホワイトニングの料金相場は、3~5万円程度です。つまり歯を白くすることを目的に治療を受ける場合、ラミネートベニアの方が高額になります。

歯を削る必要がある

出っ歯などを整えるためにラミネートベニア治療を受けると、健康な歯を削ったり、神経を抜いたりする施術が必要な場合があります。ときには治療した歯の寿命が短くなることもあるため、治療を受ける前に、歯を削る程度やリスクについて聞いておくことをおすすめします。

欠けることもある

歯に強い負担や衝撃が加わると、ラミネートがダメージを受けて欠けたり割れる可能性があります。たとえば睡眠中の食いしばりによる強いストレスや、硬いものを食べたときの衝撃などが歯に加わると、ラミネートべニアが欠けるおそれがあるため注意しましょう。また噛み合わせの状態によっては、強い衝撃が加わらない場合でも、欠けることがあります。

ラミネートべニアの材質と種類

ラミネートべニアの材質

ラミネートべニアの治療には、2種類のセラミックが採用されています。それぞれ、強度や光の透過度に特徴があります。
材料 詳細や適応
e-maxラミネートベニア 天然歯より劣るが、ある程度の強度と耐久性があります。ジルコニアラミネートに比べると透過性も高いため、より元の歯の色に近い色調を再現することが可能です。また、食いしばりや歯ぎしりといった習癖がない方に最適です。
ジルコニアラミネートベニア e-maxと比較して強度と耐久性に優れていますが、e-maxより透過性が劣ります。その反面、土台となる歯の色による影響を受けにくいため、変色歯などの治療には最適です。

ラミネートべニアの種類

ラミネートべニアは、3種類の用途や歯を削る量などに違いがあります。
種類 詳細や適応
フルラミネートベニア 最も主流なラミネートベニアです。歯の表面をわずかに削り、型をとって製作したセラミックのシェルを接着します。色調や形態を整えることに優れており、歯の形や色を整える場合に使用します。
パーシャルラミネートベニア 部分的なラミネートベニアです。空隙(すきっ歯)や外傷による歯の欠けを修復することに優れています。天然歯との境目が自然な仕上がりになるように色を合わせることが必要です。
ノンプレップベニア 歯を削らないラミネートベニアです。天然歯を削らないメリットがありますが、シェルの厚み分、歯が大きく見えたり、口元にボリュームがでたりするため違和感が多少出ることもあります。

ラミネートべニアはこんな方におすすめ

  1. 歯の変色が気になる方(変色歯)
  2. テトラサイクリン歯(薬剤性の歯の変色)
  3. 歯の隙間が気になる方(正中離開、すきっ歯)
  4. 矮小歯を治したい方(小さい歯)
  5. 外傷など歯の先端が欠けている方
  6. 前歯の歯列不正(わずかに位置がずれていたり捻転している歯)
  7. 表面に凹凸のある歯
  8. 形の不良な歯
  9. ホワイトニングで効果のない方

ラミネートベニアと他の治療法を比較

歯を白くしたり、歯並びを整えたりしたい場合は、ラミネートべニア以外の方法も考えられます。ここでは、ラミネートべニア以外の代替方法をご紹介します。

歯を白くしたいなら

歯を白くしたい場合は、ホワイトニング治療を受けるのも1つの方法です。歯科医院でホワイトニングを受ける場合は、保険適用外となるため3~5万円かかりますが、ラミネートべニアよりは安価です。
またホワイトニングには、歯科医院で受けるオフィスホワイトニング以外にも、自宅で行うホームホワイトニングもあります。ホームホワイトニングであれば、さらに安く済ませられる点が魅力です。詳しくは次の記事で解説していますので、ご覧ください。
ただし、ホワイトニングは歯の変色が強いと効果が得にくい場合もあります。この場合は、ラミネートベニアにより短期間で歯を白くすることができるメリットがあります。また、ラミネートベニアはセラミックでできているため、将来的な変色の心配もありません。

歯並びを整えたいなら

噛み合わせや歯並びの治療を行いたい場合は、ラミネートべニアではなく歯科矯正が向いているケースがあります。ラミネートベニアは前歯が凸凹している、すきっ歯がある場合に適している治療法です。歯並びが美しくなることに加えて、歯の形や色までもキレイになるメリットがあるため、審美性を求めている人におすすめです。中には、両者を併用して治療を行ってくれる歯科医院もあるようです。

歯科矯正にはワイヤーを利用したり、マウスピースを利用したりする方法があり、さまざまなタイプが存在します。以下の記事では歯科矯正について詳しく解説していますので、参考にしてください。

ラミネートベニアの治療の流れ

ラミネートべニア治療の流れは次のとおりです。

STEP1:カウンセリング
現在の歯の色調や形態、治療を受けられる方の悩みや理想の状態を伺い、適切な治療方法の提案や治療の流れを説明します。

STEP2:歯の状態をチェック
ラミネートべニアは、軽度の欠けた歯や変色、すきっ歯などの歯の色調や形態の改善に効果的な治療方法です。噛み合わせたときにラミネートべニアが反対側の歯と直接触れる下の歯や、噛み合わせの強い臼歯は適応されません。

STEP3:歯の表面をわずかに削る
歯の最表面にあるエナメル質を薄く削ります。

STEP4:歯型をとる
削った歯の状態と対合歯(向かい合う歯)の噛み合わせの記録をとります。

STEP5:歯の色を決める
ラミネートべニアの完成形の色を選択します。

STEP6:ラミネートベニアの製作
ラミネートべニアは審美歯科専門の歯科技工士が製作します。
※歯科医院にもよりますが、製作には1~2週間ほどを要します。

STEP7:ラミネートベニアの装着
製作したセラミックシェルを専用の接着剤を用いて、歯に貼り付けます。

STEP8:術後の状態
術後2時間程度は飲食を控えましょう。ラミネートべニアが外れたり、歯との境目に着色が起こったりすることがあります。

STEP9:定期検診
食いしばりや歯ぎしり、外傷などの衝撃によって破折や外れることがあります。治療後も快適な状態を維持できるように、定期検診を受診しましょう。

ラミネートベニアの費用

ラミネートべニアは保険適用外であるため、歯科医院によって費用が異なります。ここでは、ラミネートべニア1本あたりの費用相場と、安い施術を受ける場合の注意点について解説します。

ラミネートべニア1本の値段の相場

ラミネートべニアの平均的な費用は、10~15万円です。ただし歯科医院によっては、さらに安い費用で施術が完了することもあります。

安いラミネートべニアは注意

低価格のラミネートベニアを検討する際は、品質や耐久性について歯科医師に確認することが大切です。ラミネートべニアの素材を薄くすると、費用を抑えることができます。しかし薄くなると、割れたり壊れたりする可能性も高くなるため注意したほうがいいでしょう。リスクを認識した上で、治療を受けることをおすすめします。

ラミネートベニアの寿命・持ち

ラミネートべニアは扱い方によって寿命が変化します。ここでは、ラミネートべニアがどれくらい長持ちするのかを解説します。破損しやすいケースや長持ちさせるためのポイントについても説明するので、参考にしてください。

ラミネートべニアは何年持つのか

ラミネートベニアの寿命は、平均して10~15年と言われています。歯の表面に貼るセラミック製の板(シェル)の素材は、自然歯に近い強度と耐久性がありますが、まれに、歯に強い負担や衝撃が加わることで欠ける場合があります。また、劣化の一番の原因は接着剤の粘着力の低下によるものです。近年のラミネートベニアで使われる接着剤の強度は向上していますが、接着剤自体の劣化は施術後から4~5年ほどで始まるため、定期的なメインテナンスが必要になります。

ラミネートべニアが破損しやすいケース

ラミネートべニアが破損しやすいケースは次のとおりです。

●  治療部位で硬いものを噛みちぎろうとした場合
●  もともと噛み合わせに問題がある場合
●  歯ぎしり、食いしばりの癖がある場合
●  治療した歯が小さく、歯とラミネートべニアの接着面が狭くなる場合

治療直後は接着剤が安定せず、外れやすくなっています。外れないように、とくに注意した方がよいでしょう。

ラミネートべニアを長持ちさせるためには

ラミネートべニアを長持ちさせるため、治療部位ではできるだけ硬いものを噛まないようにしましょう。たとえば肉やするめなどは、ラミネートべニアが外れる可能性が高い食べ物です。
また治療後も定期的にメインテナンスを受け、安定性の確認やひびや欠けなどの有無についてチェックを受けることをおすすめします。

ラミネートベニアのよくある疑問

ここではラミネートべニアに関するよくある疑問について回答します。

歯を削るのは必須? 削らないラミネートべニアもある? 

歯科医師によっては、高い強度を持つラミネートべニアを使用することで、削らずに治療できる場合もあります。歯科医師の治療方針にもよるため、削らずに施術を受けることについて相談してみるとよいでしょう。

ラミネートべニアは変色する? 

ラミネートベニアはセラミックであるため、時間が経っても変色することはありません。しかし歯に貼り付けるための接着剤は、長年使用すると変色することがあります。
また、ラミネートベニアは透明なので、接着剤の変色が表から分かる場合もあります。しかし通常は変色の程度は軽度であり、周囲からは気づかれません。

ラミネートべニア治療は痛い? 

歯を削るために麻酔を打つ際に、多少の痛みを感じる可能性があります。しかし注入前に表面麻酔を塗ったり、極細の針で麻酔薬を注入したりして、痛みを軽減して施術を受けることもできます。
また歯科医院によっては、麻酔薬を体温くらいに温めるなどの工夫をして、歯への刺激を軽減してくれる場合もあります。

ラミネートべニアが向かないケースは? 

ラミネートベニアに強い力が加わると、割れてしまうことがあります。そのため、歯ぎしりや食いしばりが強かったり、噛み合わせが悪かったりする方では、ラミネートべニアが向かない場合もあります。
ラミネートべニアの向き不向きは、歯科医師が口内を確認するとわかりますので、相談してみるといいでしょう。

まとめ 歯を小さく削って見た目改善

ラミネートべニアで前歯を整えると、すきっ歯を目立ちにくくしたり、ホワイトニングでは難しい歯の変色を改善できたりします。
歯科矯正よりも短期間で治療が済むメリットがある反面、9万円から15万円程度の高額な治療費がかかるデメリットもあります。しかし歯科医院によっては、費用を抑えられるケースもあるようです。
費用を抑える場合は、ラミネートべニアが薄くなって破損しやすくなるリスクもあるため、事前に歯科医師に相談することをおすすめします。

監修歯科医師:吉竹啓介先生

東京都中央区京橋駅直結の「京橋 銀座みらい歯科」院長。
2010年神奈川歯科大学 卒業。2014年に医療法人社団港成会 理事に就任し、同年にせたがや歯科室を開設。2020年に京橋 銀座みらい歯科を開設し、翌年移転・名称変更。現在は京橋 銀座みらい歯科として東京スクエアガーデン2Fで診療を行っている。

京橋 銀座みらい歯科のホームページはこちら
https://www.miraishika-ginzain.tokyo/

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