ストレスとは?
日常生活の中にあるさまざまな要因がストレスになり、心と体に影響を及ぼします。まずは、ストレスとは何か、その要因や過度なストレスを受けた場合に起こる反応について見てみましょう。
外的刺激によって体に生じる反応
ストレスとは、外部から受けた刺激によって体に生じる反応のことです。ストレスの原因となる外的刺激をストレッサー、体内に生じる反応をストレス反応と言います。ストレッサーには、次のような要因があげられます。
- 環境的要因:天候・有害物質・騒音
- 生理的要因:病気・睡眠不足・飢え
- 心理的要因:不安・恐怖
- 社会的要因:家庭や職場での不安・人間関係
このように、日常のさまざまな物事がストレスの原因につながります。特に、心理的、社会的要因によるストレスが大きいとされています。
心や体にさまざまな症状を生じさせる
体内で起きるストレス反応は、ストレッサーから身体を守る防御反応です。このストレッサーをうまく制御することができず、長い間過度なストレスを受けた場合、心や体にさまざまな症状が現れます。ストレスに耐えられる力(ストレス耐性)には個人差があり、同じストレスを受けても、それをストレスと感じる人もいれば、感じない人もいます。また、症状の現れ方も人によってそれぞれ異なります。
過度なストレスにより心や体に現れる症状を、ストレスサインと言います。 体に現れるストレスサインには、頭痛、めまい、胃痛、食欲不振などの症状があります。心に現れるストレスサインには、イライラしやすくなる、気分が落ち込むなどの症状が見られるようです。また、ストレスを受けることで、歯の食いしばりや顎関節症が起こったり、食欲不振や暴飲暴食により栄養バランスが乱れて口内炎ができたりなど、さまざまな口内トラブルを引き起こすこともあります。
ストレスが原因で起きる心や体の症状
継続的に過度なストレスを受けると、心や体にさまざまな症状が現れます。次に、ストレスが原因で心や体に現れる代表的な症状を見ていきましょう。
うつ病・不安障害
ストレスを受けると、気分の落ち込みや焦り、イライラなどの精神面に影響を及ぼし、うつ病や不安障害を招きます。寝つきが悪くなり、睡眠障害を起こすこともあります。また、疲れやすく気力がわかないなどの症状も見られるようです。
肩こり・頭痛
ストレスは神経・筋肉系にも影響し、肩こりや頭痛を招くこともあります。強い痛みが急に起きる片頭痛や、肩・首の重い痛みを伴う緊張型頭痛は、ストレスの影響でも見られる症状です。
目の疲れ・めまい
感覚器官に影響が出ると、目の疲れやめまいなどの症状を引き起こすことがあります。体がふわふわとするように感じるめまいは、ストレスが原因である場合が多いようです。一方、目が回るようなめまいは、メニエール病などの病気の可能性もあります。その他にも感覚器官への影響として、たくさん汗をかいたり、音に敏感になったりすることもあるようです。
高血圧・動悸・息切れ
ストレスによって、循環器系の症状が現れることもあります。ストレスがかかると交感神経が活発になり、血管収縮が起きて血圧が上昇します。そのため、動悸や息切れの症状を訴える人もいるようです。
食欲不振・胃痛・下痢・便秘
強い緊張状態がつづくと、消化器系の働きにも異常をきたします。胃もたれや食欲不振、胃痛、下痢、便秘の症状が現れます。
ぜんそく・アトピー性皮膚炎
過度なストレスが免疫の異常を招き、アレルギー症状を引き起こすこともわかっています。気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎を発症したり、それらをさらに悪化させたりすることがあります。
ストレスが原因で起きる口周りの症状
口周りのさまざまなトラブルも、ストレスによって引き起こされることがあります。次に、ストレスが原因で起きる口周りの症状について見ていきましょう。
歯ぎしり・食いしばり(クレンチング)
歯ぎしりや食いしばりは、ストレスが原因で起こるとされています。歯は、体の中で大きな力が加わる部位です。歯ぎしりをすると、体重以上の負荷がかかると言われており、歯に大きなダメージを与えてしまいます。無意識に歯を食いしばる癖を「クレンチング症候群」と言います。眠っている間に食いしばってしまい、朝起きたときに歯痛や頭痛を生じることもあるようです。常習化してしまうと、歯の破折や歯周病、肩こり、エラ周辺の筋肉の痛み、顎関節症を引き起こすこともあります。
顎関節症
口を開ける際にカクカクと音がしたり、顎の痛みを伴ったりする症状です。ひどいときには、口を開けられなくなる場合もあります。また、症状が悪化すると頭痛や肩こり、めまいを引き起こすこともあるようです。以前は噛み合わせが大きな原因とされていましたが、現在ではその他に関節の形状やストレスによる歯ぎしり・食いしばり、生活習慣などの要因が関係していると言われています。自律神経の乱れや情緒不安定の症状がある人にも、顎関節症は多く見られています。
唾液分泌の低下
唾液腺は自律神経によってコントロールされており、ストレスがかかると交感神経が働き、唾液の分泌量が少なくなります。唾液には抗菌作用や自浄作用、保護作用などの働きがあるため、分泌量が減少すると口内のさまざまなトラブルを引き起こしてしまいます。また、ストレスは、口の中が乾いた状態になるドライマウスの原因の1つです。
むし歯
ストレスの影響で唾液の分泌量が減ると、抗菌作用や自浄作用、口内を中和する緩衝作用、初期のむし歯を修復する再石灰化作用の働きが抑制されます。そのため、口内環境がむし歯になりやすい状態になります。
歯周病
歯周病は、歯垢の中の細菌が温床となり、歯周病菌が増えて、歯ぐきや歯を支える組織が壊れていく病気です。歯周病の初期段階では、歯周病菌へ抵抗するために免疫力が働き、歯ぐきに腫れを生じることがあります。ストレスは免疫力の低下を招くため、歯周病を発症したり、歯周病がさらに進行やすくなったりします。歯ぎしりや食いしばりも、歯を支える組織に負担をかけてしまうため、歯周病が重症化しやすいと言われています。
口内炎
口内炎の原因の1つに、口内粘膜の修復に必要なビタミンB群の不足があげられます。ストレスによる暴飲暴食や食欲不振で食生活が乱れて、ビタミンB群が不足すると口内炎ができやすくなります。また、ストレスや疲れによる免疫力の低下も、口内炎ができやすくなる要因の1つです。
ストレスから来る症状を和らげるには
ストレスから来る体や心の不調を和らげるには、ストレスを上手く対処することが大切です。次にストレスによる症状を和らげる方法を見ていきましょう。
ストレスのサインを見逃さず体を休める
体や心の不調がストレスのサインであると気づかずにそのままストレスを受け続けると、さらに体調の悪化を招いてしまう可能性があります。自分の体調を観察し、サインが出ている場合は、休憩したり、気分転換をしたりしてストレスをためないようにすることが大切です。
体をゆっくりと休ませるために、軽めの夕食を摂り、就寝前にはなるべくPCやスマホを見ないようにして、睡眠の質を高めましょう。また、日中や1日の終わりにストレッチを取り入れて、筋肉の疲労を解消することもおすすめです。
医療機関を受診する
ストレスにより体に症状が現れる場合、その症状に合わせて対処する治療法と、精神的なケアをする方法があります。例えば、胃痛は消化器内科、高血圧は循環器内科などの専門科を受診すると同時に、心や精神的な問題もある場合は、心療内科や精神科を受診して治療を受けることが良いでしょう。
また、ストレスが原因でむし歯や歯周病を招くこともあるため、日頃から歯科医院で定期検診を受け、治療をすることが大切です。夜間の食いしばり(クレンチング)や歯ぎしりがある場合は、マウスピースを装着して、歯や顎への圧力を分散する方法があります。
唾液検査シルハで口内の定期検診をしよう
口内の健康を保つためには、自分の口内環境を知っておくことも大切です。唾液検査シルハでは、水で口をすすぐだけで口内環境に関わる項目をチェックできます。歯の健康(むし歯菌の活性度・緩衝能・酸性度)、歯ぐきの健康(タンパク質・白血球)、口内の清潔度(アンモニア)の項目がグラフ化されるため、自分の口内環境がわかりやすいです。定期的に検査をして、口内の健康維持につなげましょう。
シルハが検査できる全国の医療機関は、こちらで検索してください。
ストレスから来る症状の改善は医療機関に相談を
ストレスから来る症状を和らげるためにも、日常生活の中にストレスを発散する方法を取り入れることが大切です。心と体に症状が現れた場合はストレスのサインと受け止めて、専門の医療機関に相談することをおすすめします。