奥歯が痛い原因で多いのはむし歯
奥歯の痛みの原因で多いものとしてむし歯が考えられます。人の歯は親知らずの4本をふくめ32本あるとされています。その中でも、とくにむし歯になりやすいと言われているのが「奥歯(大臼歯)」です。奥歯は口の中で奥の方にあり、舌の付け根が近く、頰の肉が歯のすぐそばにあります。そのため、歯ブラシが届きにくく、むし歯の原因となる食べかすなどの汚れを落としにくい環境です。
もし「奥歯が痛い」と感じられているなら、多くの場合はむし歯が原因です。
むし歯が痛む原因は、歯の表面にあるエナメル質を細菌が溶かし、歯に穴を開けるためです。穴がエナメル層のさらに下にある象牙質まで到達すると、直接神経に刺激が与えられ、痛みを生じます。放置をしていると抜歯をしなければならないケースも考えられるため、早めに歯科医院を受診しましょう。
もし「奥歯が痛い」と感じられているなら、多くの場合はむし歯が原因です。
むし歯が痛む原因は、歯の表面にあるエナメル質を細菌が溶かし、歯に穴を開けるためです。穴がエナメル層のさらに下にある象牙質まで到達すると、直接神経に刺激が与えられ、痛みを生じます。放置をしていると抜歯をしなければならないケースも考えられるため、早めに歯科医院を受診しましょう。
むし歯じゃないのに奥歯が痛いときの原因と対処法
奥歯が痛む時の多くは、むし歯が原因と考えられると先述しました。ただ、むし歯だけが奥歯の痛みの原因ではありません。ここでは、奥歯が痛む原因としてむし歯以外に考えられる疾患について解説します。
奥歯が痛い原因①【歯周病】
むし歯以外で奥歯が痛む場合、むし歯の次に考えられる原因として「歯周病」があります。歯周病は、むし歯と並んで歯の二大疾患ともいわれるほど身近で、件数の多い疾患です。歯周病はその名のとおり、歯の周りに炎症が起きる疾患であり、進行すると歯ぐきだけでなく歯の痛みにもつながります。歯周病は大きく分けて以下のような2つの段階があります。
歯肉炎
歯と歯ぐき(歯肉)のすき間にある歯周ポケットへ歯周病菌が侵入・繁殖し、歯ぐきに炎症を引き起こす。
歯周炎
歯ぐきだけでなく、歯を支える骨(歯槽骨)にまで炎症が進行しており、歯槽骨を溶かして歯がグラグラした状態になる。歯の根元が露出して痛みを感じる。重度な場合は歯槽膿漏とも呼ばれる。
また、歯周病は歯の噛み合わせが悪い場合や噛む力のバランスが悪い場合にも進行が早まることがあります。歯に過剰な力が加わると歯ぐきが傷つきやすくなり、歯を支えている組織もダメージを受けます。
とくに奥歯は噛む力が強くなりやすいため、ほかの歯と比べて歯周病も進行しやすいです。奥歯に痛みがあったり奥歯の歯ぐきが腫れていたりする場合は歯周病が疑われるため、歯科医院での検査を受けましょう。歯周病の予防には、日々のオーラルケアによる歯垢の除去と、歯科医院での歯石の除去が大切です。汚れがない状態を保つことを心がけましょう。
とくに奥歯は噛む力が強くなりやすいため、ほかの歯と比べて歯周病も進行しやすいです。奥歯に痛みがあったり奥歯の歯ぐきが腫れていたりする場合は歯周病が疑われるため、歯科医院での検査を受けましょう。歯周病の予防には、日々のオーラルケアによる歯垢の除去と、歯科医院での歯石の除去が大切です。汚れがない状態を保つことを心がけましょう。
奥歯が痛い原因②【歯ぎしりや食いしばり】
過度なストレスや噛み合わせの悪さが原因で、無意識に歯ぎしりや食いしばりをしていることがあります。それにより、歯のエナメル質が削れたり、歯がひび割れたりして、傷みの原因となることがあります。また、歯ぐきが下がって歯の根元が露出する原因にもなります。もし、ストレスや噛み合わせの悪さに自覚がある場合は、歯の痛みの原因が歯ぎしりなどによることも考え、マウスピースを装着する、ストレスを発散する、矯正を検討するといった工夫をしてみましょう。
奥歯が痛い原因③【親知らずによる圧迫】
親知らずが正常に生えず、歯ぐきに埋もれた状態の場合、隣の歯である奥歯を圧迫してしまうことがあります。この結果、奥歯が痛むことがしばしばあります。「親知らず」とは、奥歯のさらに奥に生えてくる歯を指し、生える人、生えない人がいます。親知らずが生えるだけの十分なスペースがなければ斜めや横向きに生えることもあります。その場合、親知らずと奥歯の間に隙間ができるため、食べかすなどが残りがちです。また、奥歯と同様に親知らずのそばには頬があります。そのため、歯ブラシが届きにくくて磨き残しが増えてしまい、むし歯になりやすい傾向があります。
奥歯が痛い原因④【歯髄炎】
歯をきちんと磨かなかったり磨き残しがあったりすると、むし歯菌が歯の内部に入り込み、痛みの原因となることがあります。最初は、冷たい食べ物や飲み物がしみる程度で、とくに症状はありません。しかし、そのまま放置をすると徐々に病状が悪化し、細菌が歯の内部にある神経(歯髄)に到達して軽い鈍痛を感じるようになります。さらに歯の根までいくと、強い痛みになることもあり、日常生活に支障をきたすおそれもあります。これが「歯髄炎」と呼ばれる歯の疾患です。
奥歯が痛む場合、この歯髄炎が原因となっていることもあります。もし発症すれば治療の必要があります。そのまま放置し不可逆性歯髄炎に進行すると、歯髄を取り除く必要もあるため早期に治療を受ける必要があります。
奥歯が痛む場合、この歯髄炎が原因となっていることもあります。もし発症すれば治療の必要があります。そのまま放置し不可逆性歯髄炎に進行すると、歯髄を取り除く必要もあるため早期に治療を受ける必要があります。
奥歯が痛い原因⑤【神経痛】
5つめの原因は「神経痛」です。顔面の感覚をつかさどっている「三叉神経(さんさしんけい)」は、歯の神経ともつながっています。動脈硬化を起こした血管などにより三叉神経が圧迫されると、脳が勘違いして、歯が痛むことがあります。顔の動きに伴う、発作的でズキズキとした強い痛みが特徴です。偏頭痛や群発頭痛などが原因になることもあります。
歯科や口腔外科で異常が見つからない場合は、脳神経外科を受診することで神経痛と診断を受けるケースもあります。
歯科や口腔外科で異常が見つからない場合は、脳神経外科を受診することで神経痛と診断を受けるケースもあります。
奥歯が痛い原因⑥【放散痛】
奥歯が痛むまれなケースとして「放散痛(関連痛)」があります。本来痛みが発生している場所とは異なる場所に痛みが起きる特徴があり、狭心症など心臓の病気が原因で奥歯が痛むことがあります。
狭心症による放散痛は、奥歯のほかにも背中や肩、喉など上半身の左半分に現れやすいのが特徴です。心臓からの刺激が脊髄に伝わる際、奥歯などからつながっている感覚神経に、誤って刺激が伝わってしまうことが原因と考えられています。
奥歯の痛みで歯科を受診した結果、異常がなければ放散痛についても医師に相談してみましょう。
狭心症による放散痛は、奥歯のほかにも背中や肩、喉など上半身の左半分に現れやすいのが特徴です。心臓からの刺激が脊髄に伝わる際、奥歯などからつながっている感覚神経に、誤って刺激が伝わってしまうことが原因と考えられています。
奥歯の痛みで歯科を受診した結果、異常がなければ放散痛についても医師に相談してみましょう。
奥歯が痛い原因⑦【低気圧】
気圧の低下が原因で起きる頭痛などのように、歯が痛くなることがあります。このように低気圧による歯の痛みは、「気圧性歯痛」や「航空性歯痛」と呼ばれています。
気圧が低下すると痛みが発生するのは、歯の中心にある歯髄腔(しずいくう)と呼ばれる神経や血管などが通っている空間が関係しています。気圧が低くなると外からの圧力が弱くなると、歯髄腔内にある空気が膨張します。これによって血管や神経が圧迫されて、歯に痛みが生じるため、雨の日や季節の変わり目など気圧変動があると、急に歯が痛くなることがあります。
急に歯が痛くなった原因には、低気圧が影響しているかもしれません。低気圧による歯の痛みに関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。
気圧が低下すると痛みが発生するのは、歯の中心にある歯髄腔(しずいくう)と呼ばれる神経や血管などが通っている空間が関係しています。気圧が低くなると外からの圧力が弱くなると、歯髄腔内にある空気が膨張します。これによって血管や神経が圧迫されて、歯に痛みが生じるため、雨の日や季節の変わり目など気圧変動があると、急に歯が痛くなることがあります。
急に歯が痛くなった原因には、低気圧が影響しているかもしれません。低気圧による歯の痛みに関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。
低気圧で歯が痛くなるのはなぜか。については、こちらの記事を参考にしてみてください。
奥歯の歯ぐきが痛いときに考えられる原因と対処法
奥歯が痛くなった際に歯そのものではなく、歯ぐきが痛む場合には、何が原因となっているのか、それぞれの対処方法について解説します。
奥歯の歯ぐきが痛い原因①【智歯周囲炎】
「智歯周囲炎」とは、親知らず(智歯)が原因となって、その周辺の歯ぐきなどが痛む急性の炎症です。親知らずが正常な形で生えず、斜めや横向きに倒れている場合、前の歯との間に隙間ができます。この隙間は食べかすが溜まって細菌の温床になりやすく、繁殖した細菌により智歯周囲炎になるおそれがあります。
症状として、まず親知らずあたりの歯ぐきが腫れて痛みが出始めます。放置をしているとほかの歯ぐきにも痛みが広がり、飲食など生活にも支障をきたす場合があります。
もし智歯周囲炎と診断されれば炎症を抑える薬で治療するほか、症状の進行度合いによっては抜歯になるおそれがあります。
症状として、まず親知らずあたりの歯ぐきが腫れて痛みが出始めます。放置をしているとほかの歯ぐきにも痛みが広がり、飲食など生活にも支障をきたす場合があります。
もし智歯周囲炎と診断されれば炎症を抑える薬で治療するほか、症状の進行度合いによっては抜歯になるおそれがあります。
奥歯の歯ぐきが痛い原因②【中等度歯周炎】
もう1つの原因として考えられるのは「中等度歯周炎」です。これは奥歯周辺の歯周炎が進行し歯ぐきの状態が悪化したことで、歯ぐきから膿や血が出ている状態を指します。中等度歯周炎が進行し重度歯周炎になると、歯が抜け落ちたり抜歯が必要となったりするおそれがあります。早めに歯科医院へ受診しましょう。病状によっては抜歯を行う可能性もあります。
急に奥歯が痛くなり、すぐに歯医者に行けないときの応急処置
歯の痛みは突然起きるケースがあります。そのため、奥歯が痛み出しても、仕事などの事情ですぐに歯科医院を受診できない場合も多いでしょう。歯科医院を受診するまでの間にできる応急処置として4つの方法をご紹介します。
外側から冷やす
痛みのある歯やその周囲が炎症を起こしている場合は熱を持っているため、その歯のある側の頬を外側から冷やすのが効果的です。なお、直接歯に氷をあてると刺激が強すぎて逆効果になるおそれがあります。うがいをする際も、冷たい水は避けるようにしましょう。
市販の鎮痛剤を飲む
薬局などではさまざまなメーカーから「解熱消炎鎮痛剤」が販売されており、処方箋がなくても購入できます。痛みが我慢できない時の応急処置としておすすめです。ただし、むし歯がかなり進行していたり、強い炎症を起こしていたりする場合は、効果が出ないこともあります。
薬はあくまで一時的に痛みを止めるための応急処置です。症状にかかわらず、痛みがある場合は歯科を受診するようにしましょう。
薬はあくまで一時的に痛みを止めるための応急処置です。症状にかかわらず、痛みがある場合は歯科を受診するようにしましょう。
ツボを刺激する
身体に痛みがあるとき、「ツボ」を刺激することで和らぐことがあります。歯痛の場合、効果を期待できるツボは次の3つです。
承漿(しょうしょう)
歯ぐきが腫れたり、歯が痛んだりするときに効くとされています。下唇とあごの間のくぼみで、親指などを使って3秒間ほど5回強く押します。
合谷(ごうこく)
身体のあらゆる痛みに効くとされる万能のツボです。手の甲で親指と人差し指が交叉するところから若干人差し指寄りにあります。押してみると痛いと感じられるところを探してみましょう。
下関(げかん)
歯の中でも、とくに奥歯の痛みに効果的とされているのが「下関」です。耳から指2本分手前あたりで、口を大きく開けたときにできる頬骨あたりのくぼみを探してみると、比較的分かりやすいです。
先に述べた顔面の感覚をつかさどる「三叉神経」とも密接につながっており、神経痛や眼精疲労などにも効果があります。
先に述べた顔面の感覚をつかさどる「三叉神経」とも密接につながっており、神経痛や眼精疲労などにも効果があります。
口の中を清潔にする
歯の痛みには、細菌による炎症が原因になっているケースが多くあります。そのため、口の中を清潔に保つことで、炎症の原因を除去できます。結果的に歯の痛みを和らげることが期待できます。
こまめに歯磨きやうがいをして口の中にいる細菌を少しでも減らしつつ、食べかすを残さないようにしましょう。その際に、すでに痛んでいる歯を直接刺激しないように注意しましょう。逆に痛みが増してしまうこともあるため、痛みのある歯に対するケアというよりは、口の中全体をきれいに保つようなケアを意識して行うのがポイントです。
こまめに歯磨きやうがいをして口の中にいる細菌を少しでも減らしつつ、食べかすを残さないようにしましょう。その際に、すでに痛んでいる歯を直接刺激しないように注意しましょう。逆に痛みが増してしまうこともあるため、痛みのある歯に対するケアというよりは、口の中全体をきれいに保つようなケアを意識して行うのがポイントです。
奥歯が痛んだら放置せず早めに歯科医院を受診しましょう。
奥歯は細やかなケアがしにくく、噛む力が強いため炎症や痛みを起こしやすい歯です。痛みの原因はむし歯や歯周病だけでなく、歯や口以外にある場合もあります。歯科医院で診察を受けることで痛みの原因を突き止めやすくなります。原因ごとに対処方法も異なるため、すぐに受診できないからと放置をせず、痛みが気になりだしたら早めに歯科医院を受診しましょう。