雨が降ったときや飛行機に乗ったときなどに、急に歯が痛くなったことはありませんか?気圧の変化による歯の痛みは「気圧性歯痛」と呼ばれ、身体の不調を知らせるサインです。あるいは、むし歯や歯周病などの口内の不調を表しているのかもしれません。この記事では、低気圧で歯が痛む原因や対処法、歯の痛みを防ぐ方法などをご紹介します。
低気圧によって歯が痛む原因
雨の日や飛行機に乗っているとき、登山をしているときなどに歯が痛むことがありますよね。これは、気圧の低下が原因です。気圧の低下による歯の痛みは、「気圧性歯痛」や「航空性歯痛」と呼ばれています。
歯の中心には、歯髄腔(しずいくう)と呼ばれる神経や血管などが通っている空間があります。雨などの悪天候によって気圧が低くなると外からの圧力が弱くなり、歯髄腔内にある空気が膨張します。これによって血管や神経が圧迫されて、歯に痛みが生じるのです。
季節の変わり目は気象病に注意!
歯痛以外にも、気圧などの変動によって起こる頭痛、吐き気やめまいといった身体的・精神的な不調のことを気象病と言います。 気候変化の激しい、季節の変わり目や台風などが多い時期、梅雨の時期などに特に起こりやすいと言われています。
梅雨(6月ごろ)
梅雨の時期は、梅雨前線や低気圧が頻繁に通過するため、天気が不安定になる時期です。その影響によって、気温・気圧・湿度が変化しやすく、生活への影響から心身にストレスがかかります。また、不安定な天気に対応するため、体の調子を整える自律神経にも負荷がかかります。さらに、気圧の変化によって人間に直接かかる圧力が変化するため、頭痛や歯痛、めまいなどの症状を引き起こします。
春(3月~5月)
これらの症状は、梅雨の時期に訴える方が多い印象ですが、実は3月~5月も気圧の変化が大きいため、体調を崩す人が急増します。この時期は、西から東に低気圧と高気圧が頻繁に通過し、天気も数日で変化することが原因です。
夏~秋(7月~12月)
これらの症状は、梅雨の時期に訴える方が多い印象ですが、実は3月~5月も気圧の変化が大きいため、体調を崩す人が急増します。この時期は、西から東に低気圧と高気圧が頻繁に通過し、天気も数日で変化することが原因です。
冬(1月~2月)は症状が出にくい
1月~2月は、大気の状態が安定しているため、症状が出にくい時期と言えます。しかし、気象状況は年々変化していますので、テレビやネットニュース、アプリなどを活用して事前にチェックしておくと対策しやすいでしょう。
<参考>
気象庁「日本の天候の概説」
気象庁「日本の天候の概説」
冬に、低気圧ではないのに頭痛がするのは暖房が原因かもしれません。暖房による頭痛などを「暖房病」と言います。暖房病についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
低気圧で歯が痛みやすい方の特徴
むし歯や歯周病がある方、歯ぐきや歯の根に膿が溜まっている方は、気圧が低くなると歯が痛みやすい傾向にあります。これらの方が低気圧によって歯が痛む原因を解説します。
むし歯や歯周病がある
むし歯によって歯のエナメル質に穴が空いている場合、日頃は痛みがなくても、気圧が低くなることで痛みが生じるケースがあります。また、歯周病やむし歯が悪化して膿が溜まっていると、膿の入った袋が低気圧によって膨張することで痛みが生じる場合もあるようです。
雨や台風などの気圧の低下により歯周病が悪化してしまうこともあります。歯周病とは、細菌感染によって発症する病気です。気象の変化で免疫力が低下することで、歯周病が悪化するのです。歯周病になっている方は、悪化を防ぐためにも気象情報を気にかけて、雨や台風により気圧の変化が起こる前に歯垢(プラーク)の除去に努めましょう。
このように、気圧の変化で歯が痛むときにはむし歯や歯周病が潜んでいるサインの可能性もあるため、歯科医院で相談することをおすすめします。むし歯や歯周病の予防にも力を入れている歯科医院はこちらから検索できます。
歯の神経を治療している
歯の神経を治療中の方も、低気圧により歯の根の部分の空気が膨張するため、痛みが生じやすくなります。そのため歯の神経の治療中は、なるべく飛行機に乗ることを避けましょう。歯の神経の治療は何回かに分けて行われます。むし歯治療のために歯に開けられた穴や、歯の神経組織の根元の部分を次の診療まで綺麗な状態を保つために仮封(かりふう)をする必要があります。
どうしても飛行機に乗らなければならない場合は、歯科医師に相談しましょう。
低気圧で歯が痛いときの対処法
低気圧により歯が痛くなった場合は、痛み止めを服用する、冷やす、ツボを押すといった対処法があります。自分にはどれが合っているのかをチェックしていきましょう。
1.痛み止めを服用する
痛み止めを服用して、一時的に歯の痛みを和らげます。痛みが落ち着いたらなるべく早めに歯科医院でむし歯や歯周病になっていないかどうかを診察してもらいましょう。
飛行機に乗っている際に歯が痛みやすい方は、飛行機に乗る前に痛み止めを服用しておくことで痛みを防ぐことができます。むし歯や歯周病の治療中に飛行機に乗る可能性がある方は、歯科医師に相談すると予防の痛み止めを処方してもらえるでしょう。
2.痛みがある部分を冷やす
歯が痛むときは、冷やすことも効果的です。水で濡らしたタオルで氷を包み、頬の上から患部を冷やしましょう。また、冷却シートは患部を冷やしながら両手が使えるため、おすすめです。
3.歯の痛みを止めるツボを押す
歯の痛みを和らげる主なツボには、歯痛点、承漿(しょうしょう)、合谷(ごうこく)があります。
歯痛点は、手のひらの中指と薬指の間の付け根にあります。少し痛いと感じるくらいの強さで刺激しましょう。
承漿は、下唇と顎の間のくぼんだところにあります。歯を軽く噛みしめた状態で、上記イラストの部分を親指もしくは中指で3~5秒間、ギューッと強めに5回ほど押します。
合谷(ごうこく)は、親指と人差し指の骨が合流するところから少し人差し指寄りで、押すと刺激がある部分です。合谷はさまざまな症状を癒すことから、万能ツボとも呼ばれています。上記のイラストで示している部分を2~3分間、やや強めに押します。
なお、この記事でご紹介したのはあくまでも一時的に痛みを和らげる方法です。気圧が低くなることで痛みが生じる場合は、むし歯や歯周病、歯の根などに膿が溜まっている可能性があるため、必ず歯科医院を受診してください。
低気圧による歯の痛みを防ぐ方法
むし歯や歯周病の予防は、低気圧による歯の痛みを防ぐことにもつながります。ここでは、歯科医院でのケアについてや、今日から実践できる予防法をご紹介します。この機会にぜひ見直してみてはいかがでしょうか。
歯科医院を定期的に受診する
気圧が低くなることで歯が痛む方は、先述したようにむし歯や歯周病の可能性があるため、必ず歯科医院を受診しましょう。歯の痛みを防ぐには、日頃から定期検診を受けて、むし歯や歯周病のない健康な口内を保つことが最も効果的です。歯科医院では、日頃の歯磨きでは落としきれない歯垢や歯石の除去をしてもらったり、より良いオーラルケアの仕方をアドバイスしてもらうこともできます。
また、飛行機に乗る前や登山をする前にはもちろん、梅雨入り前などの気候の変化が著しい時期にも、むし歯や歯周病がないかどうかを診察してもらうと良いでしょう。
唾液検査で口内環境を把握する
唾液検査をすると、むし歯になりやすい状態かどうかなど、自分の口内環境が分かります。唾液検査は、水で10秒ほど口をすすぐだけで行えるシルハがおすすめです。シルハでは、下記6項目を検査・測定します。
シルハの検査結果は、むし歯や歯周病予防にも役立つでしょう。シルハを導入している医療機関はこちらから検索できます。
食生活を見直す
むし歯や歯周病を防ぐためには、食生活の見直しが大切です。まずは甘いものを摂取する回数を抑えてみましょう。食事を摂る回数が多いほど、歯に歯垢(プラーク)が溜まり、むし歯や歯周病になりやすい傾向にあります。また、ダラダラと食べ続けないことや、間食を減らすなど、食事の仕方を見直すことも重要です。
また、唾液には歯の再石灰化を促進させたり、細菌が作り出した酸を中和させたりする働きがあります。良く噛んで食事を摂るようにすることで、唾液の分泌を促します。就寝中は唾液の分泌量が減少し、唾液による自浄作用が落ちてしまうため、就寝前はできるだけ食事を控えることも大切です。
歯磨きのやり方を見直す
日頃の習慣により、むし歯になりやすい口内環境になっている可能性もあります。食生活だけではなく、歯磨きのやり方も見直しましょう。
特に、就寝前の歯磨きが重要です。先述した通り、就寝中は唾液の分泌量が減少するため、むし歯や歯周病の原因菌が繁殖しやすい状態になります。就寝中にむし歯や歯周病が進行しないようにするためにも、正しい歯磨きで食べかすや歯垢を取り除いて、口内を清潔に保ちましょう。
低気圧で歯が痛いときは歯科医院で相談しよう
気圧の変化で歯が痛むのは、むし歯や歯周病が潜んでいるサインかもしれません。痛みの原因となるむし歯や歯周病を防ぐために、日頃の食生活や歯磨きのやり方を見直しましょう。また、既にむし歯や歯周病になっている可能性があるため、必ず歯科医院を受診しましょう。