味覚とは?
食べ物や飲み物を口に入れると、「甘い」「すっぱい」などの味を感じることができます。味覚とは、このように口内に物を入れたときにさまざまな味を感じる感覚のことです。味覚を感じる仕組みは、食べ物に含まれる味物質が舌の表面にある乳頭という突起に届き、その表面にある味蕾というセンサーに触れることで成り立っています。味蕾に味物質が触れることで、味に関する信号が脳に送られ、味覚として特定の味を感じるのです。
味覚の役割
味覚は、食べるときに大切な感覚です。味覚があることで、美味しく食べられるからです。というのも、味覚を感じられないと食欲を刺激できずに食べることや飲むことが苦痛になってしまい、栄養失調に至るなどのおそれがあります。
味覚には、有害なものを検知して避ける役割もあります。腐ったものや毒を含むものを口にしたとき、味覚が正常に働いていれば異常を感じて吐き出すことができます。味覚が感じられないと、異常を感知できずにそのまま体の中に取り入れてしまい、命の危険にもつながるおそれがあります。
また、味覚には唾液や胃液などの消化液を分泌させる役割があります。これにより、食べたものの消化を促進する効果があります。
味覚には、有害なものを検知して避ける役割もあります。腐ったものや毒を含むものを口にしたとき、味覚が正常に働いていれば異常を感じて吐き出すことができます。味覚が感じられないと、異常を感知できずにそのまま体の中に取り入れてしまい、命の危険にもつながるおそれがあります。
また、味覚には唾液や胃液などの消化液を分泌させる役割があります。これにより、食べたものの消化を促進する効果があります。
味覚の種類は?
私たちが舌で感じる味覚は、基本の味として5つの種類があります。甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つです。
かつては「うま味」は味として認められていませんでした。しかし1908年に日本人の池田 菊苗 博士が、うま味の元であるグルタミン酸を昆布から取り出すことに成功します。また、現在ではうま味を感じる味蕾があることも実証されたため、うま味は5つめの基本の味として世界的に認知されており、英語表記も「Umami」となっています。
かつては「うま味」は味として認められていませんでした。しかし1908年に日本人の池田 菊苗 博士が、うま味の元であるグルタミン酸を昆布から取り出すことに成功します。また、現在ではうま味を感じる味蕾があることも実証されたため、うま味は5つめの基本の味として世界的に認知されており、英語表記も「Umami」となっています。
基本の五味
甘味、塩味、酸味、苦味、うま味からなる基本の五味ですが、かつては味覚ごとに感じる場所が違うといわれていました。甘味は舌先、塩味は舌の外側、酸味は舌の外側のやや奥で感じやすいなどのようなイメージです。
現在では、味覚を感じる部分が舌の部位ごとで違うというのは古い説です。近年では、味を感じているのは舌全体であり、味覚の感受性に違いはないといわれています。
五味を感じる元なる味物質にはどのような成分があるのでしょうか。ひとつずつご説明します。
現在では、味覚を感じる部分が舌の部位ごとで違うというのは古い説です。近年では、味を感じているのは舌全体であり、味覚の感受性に違いはないといわれています。
五味を感じる元なる味物質にはどのような成分があるのでしょうか。ひとつずつご説明します。
甘味
ショ糖、果糖、ぶどう糖などが該当します。身体を動かすエネルギーとなる成分です。これらの成分の元となるのが砂糖やでんぷんであり、ご飯やパン、麺類、甘いお菓子に含まれます。
塩味
塩味を感じる成分は塩化ナトリウムです。体内のミネラルバランスを整えるために必要で、摂取量が多くても少なくても健康に害があります。いわゆる食塩ですが、塩化ナトリウム以外にもわずかに塩味を感じる成分として塩化カリウムなどがあります。
酸味
酸味を感じる成分には酢酸、クエン酸、乳酸などがあります。食品が腐敗すると酸が作られるため、酸味は本来、危険な食べ物を検知するための味覚です。ヒトは体内でビタミンCが合成できないため、ビタミンCが豊富な柑橘類も食べられるよう、酸味を好むように進化したのではないかともいわれています。酸味の成分はレモンやお酢などに含まれています。
苦味
ゴーヤに含まれるモモルデシンや、お茶やコーヒーに含まれるカフェインなどが苦味としてあげられます。酸味と同様、苦味は危険な食べ物を検知するための味覚であり、毒物を避けるために発達した味覚といわれています。
うま味
昆布に含まれるグルタミン酸や、かつお節に含まれるイノシン酸、キノコ類に含まれるグアニル酸がうま味の成分です。このなかでもグルタミン酸はタンパク質の構成要素であり、イノシン酸やグアニル酸は遺伝子の元となる核酸の原料となる成分です。
その他の味覚
基本の五味以外にも、広い定義では辛味や渋味も味覚として挙げられます。
辛味
唐辛子に含まれるカプサイシンや、ワサビに含まれる成分が分解されて生じるアリルイソチオシアネートなどが辛味成分です。辛味を感じるメカニズムは味覚とは異なり、痛みや温度を感じる神経系が関与しています。そのため、正確には味覚ではありません。
渋味
渋味の成分には、お茶に含まれるタンニンや渋柿に含まれるシブオールなどがあります。渋味も、辛味と同様に味覚ではなく痛覚や温度覚によって感じるもののため、正確には味覚にはあたりません。
風味や香り・色どり・味わい
味覚は、舌から感じる味だけではなく、香りや色どり、歯応えや喉越しなど、嗅覚や視覚、触覚などの様々な影響を受けるといわれています。たとえば鼻づまりのときに食べたものは、味がわかりにくかった経験はないでしょうか。
また、過去に食べた時に得られた経験や周囲の環境なども味覚に影響します。もともと味は、味蕾からの信号を脳が受け取ることで感じています。そのため味覚は、その他の様々な感覚神経からの信号も含めて脳が総合的な感覚として判断しているものともいわれています。
また、過去に食べた時に得られた経験や周囲の環境なども味覚に影響します。もともと味は、味蕾からの信号を脳が受け取ることで感じています。そのため味覚は、その他の様々な感覚神経からの信号も含めて脳が総合的な感覚として判断しているものともいわれています。
第六の味覚【脂肪味】
2000年頃より脂肪の味を感じる受容体が存在すること相次いで報告されており、脂肪味が第六の味覚となる可能性が高まっています。脂肪味の受け取り方は個人差が大きく、敏感に感じ取れる方は太りにくい、脂肪味を感じにくい方は過食の恐れがあるなど、疾患につながるリスクがある味覚です。
味覚を感じる仕組みは?
味覚は、舌で感じることをご存知の方がほとんどでしょう。では、舌はどのようなメカニズムで味を感じているのでしょうか。
舌の表面には「乳頭」と呼ばれる小さな突起が無数にあります。乳頭には糸状乳頭、茸状乳頭、葉状乳頭、有郭乳頭などの種類があり、糸状乳頭以外の乳頭の中に、味を感じるセンサーである「味蕾」があります。味蕾にはさらに味を感じる「味細胞」がたくさん存在しています。飲食物を摂ると、飲食物に含まれていた味物質が唾液に溶けだしていきます。この唾液を介して、味物質が味細胞に触れると、それが刺激となって信号を発します。この信号が神経を通って脳に伝わることで味を感知しています。
舌の表面には「乳頭」と呼ばれる小さな突起が無数にあります。乳頭には糸状乳頭、茸状乳頭、葉状乳頭、有郭乳頭などの種類があり、糸状乳頭以外の乳頭の中に、味を感じるセンサーである「味蕾」があります。味蕾にはさらに味を感じる「味細胞」がたくさん存在しています。飲食物を摂ると、飲食物に含まれていた味物質が唾液に溶けだしていきます。この唾液を介して、味物質が味細胞に触れると、それが刺激となって信号を発します。この信号が神経を通って脳に伝わることで味を感知しています。
味覚が鈍くなるとどうなる?
人は食べ物の五味を感じることで、食事を楽しめます。味覚が鈍くなると、美味しいはずの食べ物を口にしても、味を薄く感じるようになります。そして、味をしっかり感じようと、濃い味付けの食べ物を好むようになります。食べ物が味付けの濃いものに偏ると、塩分や糖分を摂りすぎたり、必要な栄養が不足したりする恐れがあります。その結果、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病のリスクにつながります。
また、味覚は食欲にも影響します。味覚が鈍くなり食べ物を美味しく感じられなくなると、食欲も減退してしまいます。すると、十分な栄養を摂ることができず、免疫力が低下して感染症にかかりやすくなったり、筋肉量が低下して動くことが難しくなったりするなど、様々な影響が懸念されます。
また、味覚は食欲にも影響します。味覚が鈍くなり食べ物を美味しく感じられなくなると、食欲も減退してしまいます。すると、十分な栄養を摂ることができず、免疫力が低下して感染症にかかりやすくなったり、筋肉量が低下して動くことが難しくなったりするなど、様々な影響が懸念されます。
味覚が鈍くなる原因は?
このようにさまざまな影響を与える味覚の障害ですが、一体何が原因なのでしょうか。主な原因は、亜鉛不足です。これは、味を感じる細胞である味細胞の入れ替わりにたくさんの亜鉛が必要とされるためです。また、亜鉛だけでなく鉄やビタミン不足も味覚が鈍くなる原因とされています。
また、舌の怪我や感染症で味蕾がダメージを受けたり、舌が汚れて舌苔が蓄積したりしても味覚障害になることがあります。他にも、呼吸器系の疾患や薬剤の影響など、味覚に影響することは多くあります。味覚障害に関しましては以下の記事で詳しくまとめてあります。ご参考になれば幸いです。
また、舌の怪我や感染症で味蕾がダメージを受けたり、舌が汚れて舌苔が蓄積したりしても味覚障害になることがあります。他にも、呼吸器系の疾患や薬剤の影響など、味覚に影響することは多くあります。味覚障害に関しましては以下の記事で詳しくまとめてあります。ご参考になれば幸いです。
味覚をより感じるようにする方法
おいしいものをおいしいと感じることは、人生を豊かにするために必要です。ここでは味覚をより感じるようにするための方法を説明します。
1.五味を意識しながら食べる
どれか1種類の味覚に偏った食事をつづけると、単純なその味ばかり感じるようになり、ほかの味覚が衰えてしまいます。また、その味覚を受け取る感覚も鈍くなっていきます。回復するためには、食事の際に基本の五味を意識することです。結果、味覚のセンサーがより活発に働くようになります。この方法でのポイントは、五味のバランスです。いくつかの味を混ぜ合わせた食事をし、意識することにより、味覚がバランスよく鍛えられます。
2.食事は薄味にする
普段の食事は薄味でしょうか。外食やコンビニなどの食事が多い方は、濃い味になれてしまっています。濃い味に慣れることは味覚のセンサーが鈍くなることであり、食材本来の味を感じられません。食事を薄味にすることで、鈍くなってしまった味覚のセンサーを回復させることが大切です。急に薄味にすると食欲が失せてしまうという方は、風味の強い食材を利用するのも手です。しそやネギなどの香味野菜や、ゴマなどを使用すると薄味でも食事を楽しめます。
3.ゆっくりよく噛んで食べる
よく噛むと、唾液がたくさん出ます。味を感じるには味物質が唾液に溶けて味蕾に届けられる必要があるため、唾液がたくさん出るほど味覚を感じやすくなります。また、五味のひとつであるうま味は唾液によって感受性が高められるという報告もあります。ゆっくり噛むことは味覚をより感じるために重要です。
4.淡白な食材を多く摂取する
淡泊な食材は繊細な味であることから、これらの食材をとることで味覚が鍛えられます。食材の例として、豆腐や大根、白身の魚、白米などがあげられます。普段の食事に取り入れ、その際は味付けを濃くせずに素材そのものの味を楽しんでみてください。最初は物足りないと感じるかもしれませんが、しばらく続けると味覚をより感じられ、淡泊な味わいの中にも複雑な味を感じ取れるようになってきます。
5.うま味のある食材を取り入れる
うま味の代表は「だし」です。だしを使用することで、醤油や塩などの調味料の使用を減らせます。うま味のある食材を取り入れることで薄味の食事となり、味覚をより感じることができます。
まとめ
味覚の役割や種類、味覚が鈍くなってしまった際の原因とその回復方法についてまとめました。おいしい食事は人生の楽しみのひとつですが、それだけではありません。味覚が衰えるとリスク、塩分や糖分の取りすぎによる病気の発症や、食事がとれないことによる栄養不足、それに伴う免疫力や筋力の低下などに繋がるおそれもあります。
「最近味を感じにくいな」と感じたら、まず味覚をより感じるための方法をとってみるのはいかがでしょうか。
「最近味を感じにくいな」と感じたら、まず味覚をより感じるための方法をとってみるのはいかがでしょうか。