冷え性とは?
冷え性とは、検診や診断の際は特別な異常が見つからないのに、人が寒さを感じない温度でも体が冷たく感じる症状のことです。実際に体温が低いわけではなく、手足以外は触っても冷たさを感じないことがあります。
冷え性の原因
冷え性の主な原因として、血液循環の不良、自律神経の乱れ、ホルモンバランスの乱れがあげられます。
筋肉量が少ないことによる血液循環の不良
筋肉は、人の体の中で熱を産生する最大の器官です。この筋肉が収縮することで温められた血液が身体の中を循環し、全身を温めます。筋肉が少ない方や加齢などにより筋肉量が衰えた方は、血液の循環不良が起こり冷えを感じやすくなります。
生活習慣による自律神経の乱れ
不規則な生活をすることで自律神経のバランスが乱れると、体温調節機能がうまく働きません。
自律神経は、血流や消化、呼吸や体温など、人が生きるために欠かせない機能をコントロールしている神経です。自律神経には交感神経と副交感神経があり、これらがバランスを取ることでさまざまな調整をしています。このバランスを乱す要因の一つが不規則な生活です。生活リズムがバラバラだったり、睡眠時間が不足していたりすると、自律神経も乱れやすくなります。
自律神経が乱れて交感神経が優位な状態が続くと、代謝が活発化して体温も上昇しますが、末梢血管は収縮します。そのため、手足の血行不良を引き起こし、冷え性の症状が生じます。
自律神経は、血流や消化、呼吸や体温など、人が生きるために欠かせない機能をコントロールしている神経です。自律神経には交感神経と副交感神経があり、これらがバランスを取ることでさまざまな調整をしています。このバランスを乱す要因の一つが不規則な生活です。生活リズムがバラバラだったり、睡眠時間が不足していたりすると、自律神経も乱れやすくなります。
自律神経が乱れて交感神経が優位な状態が続くと、代謝が活発化して体温も上昇しますが、末梢血管は収縮します。そのため、手足の血行不良を引き起こし、冷え性の症状が生じます。
空調による自律神経の乱れ
気温差が激しい環境では、自律神経による体温調節が追い付かず、自律神経の乱れの原因となります。夏はエアコンで涼しく、冬は暖房で温かく過ごしている昨今では、室内外の気温差が激しいため、とくに発生しやすくなります。
ストレスによる自律神経の乱れ
ストレスも自律神経を乱す要因です。交感神経は緊張状態のときに活発化する神経であり、ストレスにさらされると交感神経が優位となります。その結果、末梢血管の収縮による血行不良を引き起こします。
ホルモンバランスの乱れ
女性に多い冷え性ですが、原因のひとつにホルモンバランスの乱れがあげられます。女性ホルモンの一種であるエストロゲンは自律神経にも関わっており、更年期などでエストロゲンの分泌が減少してホルモンバランスが乱れることで、自律神経が影響を受けます。その結果、血液の循環が悪くなり、冷え性の症状が引き起こされます。
冷え性が引き起こす身体への影響は?

冷え性の原因はわかりましたが、体質だから、忙しいから我慢しよう、そう考え放置される方もいます。
しかし、冷えは万病の元ともいわれており、放っておくと体に多くの影響が現れます。
しかし、冷えは万病の元ともいわれており、放っておくと体に多くの影響が現れます。
免疫力が低下し病気にかかりやすくなる
体が冷えると、腸など内臓の働きが悪くなることが知られています。全身の免疫を担う免疫細胞の約7割は腸に存在すると言われており、腸が冷えることでその働きが低下すると、免疫細胞の活性も低下してしまうため、病気にかかりやすくなります。
下痢・頭痛・肩こりなどの不調につながる
冷え性といえば一般的に、手先や足先の冷えを思いつくかもしれません。しかし、冷えが影響する部分はそれだけではありません。
たとえばお腹が冷えることで胃腸の活動が低下すれば、下痢や腹痛を引き起こします。
冷えによる血管収縮は頭痛や肩こりの原因にもなります。具体的には、血行不良により首周りの筋肉が緊張して起こる緊張型頭痛や、低酸素状態による頭痛、肩こりなどが挙げられます。
ほかにも、冷えは不眠につながるともいわれています。
たとえばお腹が冷えることで胃腸の活動が低下すれば、下痢や腹痛を引き起こします。
冷えによる血管収縮は頭痛や肩こりの原因にもなります。具体的には、血行不良により首周りの筋肉が緊張して起こる緊張型頭痛や、低酸素状態による頭痛、肩こりなどが挙げられます。
ほかにも、冷えは不眠につながるともいわれています。
月経不順につながる
冷えの症状がひどくなると、血流が悪くなり、卵巣の機能が低下します。その結果、卵巣から分泌される女性ホルモンのバランスが乱れます。女性ホルモンの乱れは前述した自律神経の乱れにつながるだけでなく、月経不順にもつながります。
代謝が悪くなり肌のくすみや抜け毛につながる
体が冷えると血液やリンパの流れが悪くなり、全身へ必要な栄養素を届ける機能や、全身から老廃物を回収する機能が落ちて、代謝が悪化します。その結果、肌や頭皮に栄養素が届かなくなり、老廃物が蓄積して、肌のくすみや抜け毛につながります。
冷え性は口内環境にも影響する?
一見関係なさそうな冷え性と口内環境ですが、実は深い関係があります。冷え性による口内環境への影響を解説します。
血液循環の悪化により口が乾く
冷え性の症状があると、身体を温めようとする交感神経の働きで、血管が収縮し血行不良が起こります。また、緊張状態となり水分の少ない唾液が分泌されるため、口が渇きます。口が渇いた状態では、唾液による自浄・抗菌作用が働きづらくなるため、細菌が繁殖しやすい環境になり、むし歯や歯周病のリスクも高まります。
歯ぐきの血行不良により免疫が低下する
末梢血管は歯ぐきにも伸びています。そのため、冷え性による血行不良は歯ぐきにも起きます。その結果、歯ぐきの栄養状態や免疫力の低下を引き起こします。免疫力の低下は、前述の口の渇きと合わせて口内環境が悪化する原因となります。
冷え性にならないための基本的な対策

冷え性になると、体に多くの影響があることがわかりました。では、冷え性にならないための対策には何をすればよいでしょうか。
身体を動かす習慣をつける
熱産生器官である筋肉を増やすと冷え性の改善につながります。一日30分以上歩くなど、運動習慣をつけましょう。下半身には全身の7割にあたる筋肉が集中しているので、下半身を鍛えるエクササイズやストレッチ、筋力トレーニングなども効果的です。
湯船につかり身体を温める
入浴はシャワーで済ますのではなく、湯船につかるようにして、しっかり体を温めましょう。温度は38~40 ℃くらいのぬるめにして、じっくり温まる入浴の仕方をおすすめします。
身体を温める食材をバランスよく食べる
食材には体を温める物と冷やす物がありますが、基本的には冬や寒い地方で取れる食材に体を温める効果があります。たとえば、根菜類や芋、魚の赤身、卵、発酵食品です。
ほかにも、末梢血管を拡張させて血行をよくするビタミンE、血液に欠かせない鉄の吸収を促進するビタミンC、代謝を促進するビタミンB1、代謝の促進や自律神経の活性化に役立つパントテン酸を含む食材も取り入れるようにしましょう。
ほかにも、末梢血管を拡張させて血行をよくするビタミンE、血液に欠かせない鉄の吸収を促進するビタミンC、代謝を促進するビタミンB1、代謝の促進や自律神経の活性化に役立つパントテン酸を含む食材も取り入れるようにしましょう。
ビタミンEを含む食材の例
ウナギ、アーモンド
ビタミンCを含む食材の例
柑橘類、緑黄色野菜
ビタミンB1を含む食材の例
豚肉、大豆
パントテン酸を含む食材の例
レバー
これらの食材に合わせて、良質なタンパク質を含む白身魚などをバランス良く取るようにしましょう。
冷たい飲み物は控えて温かい飲み物を摂る
冷たい飲み物を摂ることで内臓が冷え、さまざまな不調につながります。内臓を温めるには温かい飲み物や常温の飲み物を取ることが大切です。
「4つの首」を温める
冷え対策として昔からいわれている、「首」、「手首」、「足首」の3つに加えお腹の「くびれ」を温めるとよいでしょう。これらの「首」は、皮膚が薄く、太い血管が皮膚の近くを通っているため、外気の影響を受けやすくなっています。同時に、血液を温めやすい部分でもあり、温められた血液が体中に流れることで冷え対策となることが知られています。
温めるのに決まったルールなどはないため、自分が気持ちいいと感じることを好きなときに好きなだけ行います。
首ならマフラーやネックウォーマーの使用したり、タオルでマッサージをしたりするのもおすすめです。
手首を温めるには、手袋やアームウォーマーを使用したり、適度な距離でドライヤーの風をあてるのも 効果があります。
足首を温めるには靴下を履くことが効果的です。
お腹は、カイロや薄手の腹巻、湯たんぽ、ひざ掛けの使用がよいでしょう。
身体を温めてリラックスすれば副交感神経を優位にする効果も期待できるため、自律神経の調節による冷え対策にもつながります。
温めるのに決まったルールなどはないため、自分が気持ちいいと感じることを好きなときに好きなだけ行います。
首ならマフラーやネックウォーマーの使用したり、タオルでマッサージをしたりするのもおすすめです。
手首を温めるには、手袋やアームウォーマーを使用したり、適度な距離でドライヤーの風をあてるのも 効果があります。
足首を温めるには靴下を履くことが効果的です。
お腹は、カイロや薄手の腹巻、湯たんぽ、ひざ掛けの使用がよいでしょう。
身体を温めてリラックスすれば副交感神経を優位にする効果も期待できるため、自律神経の調節による冷え対策にもつながります。
あなたの冷え性のタイプは?チェック項目で確認
冷え性にもタイプがあります。
チェックリストに当てはまる項目が多いタイプがあなたの冷え性です。
チェックリストに当てはまる項目が多いタイプがあなたの冷え性です。
四肢末端型冷え性
チェックリスト
- 手足が常に氷のように冷える
- 汗をあまりかかない
- 食事量は少なめ
- 手足の指に冷えをもっとも感じる
- 冷えと同時に頭痛や不眠の症状がある
改善ポイント
首元、肩やお腹などの体幹を温め、食事をしっかり取り、適度な運動を心がけましょう。「八風(はっぷう)」と呼ばれる足先のツボをマッサージして血流を改善することも効果的です。八風の位置は、足指の各つけ根同士の間の部分で、左右合計で8か所あります。
下半身型冷え性
腰から下が冷える方は下半身型冷え性です。上半身は血流が多いため、のぼせたように感じることが特徴です。
チェックリスト
- 足は冷えているが手は温かい
- 顔や頭など上半身に汗をかく
- 食事量は普通
- 足やふくらはぎに最も冷えを感じる
- 足の冷えと同時に顔がほてる
改善ポイント
お尻やふくらはぎの筋肉が凝っていることによる血行不良が原因のため、「臀中(でんちゅう)」と呼ばれるツボを押して血行を改善します。ふくらはぎの筋肉をほぐしたり、座りっぱなしを避けたりすることもおすすめです。臀中は、左右のおしりそれぞれの中心部あたりにあります。
内臓型冷え性
体の表面は温かいが、腹部が冷えている状態の方は内臓型冷え性です。副交感神経が優位で、交感神経の働きが弱いため、体温が下がります。
チェックリスト
- 手足は温かいが、お腹が冷たい
- 汗を全身にかく
- 食事量は多め
- お腹や二の腕に冷えを感じる
- 冷えと同時にお腹にガスがたまる
改善ポイント
自律神経の乱れによるため、運動して自律神経のバランスを整えましょう。お腹のツボである「中条流子孕み(ちゅうじょうりゅうこばらみ)の灸」を温めて自律神経と血流を整えます。このツボは、へそを頂点に、一辺の長さが自身の口の横幅ほどの長さの正三角形をつくったとき、底辺の角にあたる2か所の位置になります。また、「八髎穴(はちりょうけつ」のあたりをカイロで温めるのも効果的です。八髎穴は仙骨の8か所のくぼみのことで、骨盤の間、かつ尾骨の上あたりが目安の位置です。
全身型冷え性
体全体が冷えており、体温が低い方は全身型冷え性です。体質やストレスが原因ですが、甲状腺機能低下症などの病気が潜んでいる場合もあります。
チェックリスト
- 人から手足が冷たいといわれる
- 汗はほとんどかかない
- 食事量は少なめ
- 背中や全身にもっとも冷えを感じる
- 体温が常に低く寒気を感じている
改善ポイント
体全体が冷えているため、体の中から温めることが必要です。食事の改善、運動の実施、生活習慣の見直しをしても症状が治まらない場合は、医療機関に相談しましょう。
まとめ
冷え性は手足の冷えが代表的な症状ですが、免疫力の低下や下痢、頭痛や肩こり、代謝の悪化、月経不順、口内環境の悪化などさまざまな影響を引き起こします。対策をしても症状が治まらない場合は重大な病気が隠れていることもありますので、医療機関に相談してみましょう。