急に顎が痛む!放置したむし歯(虫歯)が原因となる理由

急に顎が痛む!放置したむし歯(虫歯)が原因となる理由

(2024年2月27日公開)
むし歯を放置すると、急に顎の痛くなることがあります。なぜむし歯になると、ほかの部位が痛くなるのか疑問に思う方もいるでしょう。本記事では顎の痛みとむし歯の関係について解説します。むし歯で顎が痛い原因や対処法をはじめ、むし歯以外で顎が痛くなるケースについても言及していますので、ぜひ参考にしてみてください。

               

顎が痛い原因は、進行したむし歯のせいかも

結論から言うと、むし歯の進行は顎が痛い原因となり得ます。

むし歯は、進行度合いによってC0からC4までの5つの段階で表されます。数が大きくなるにつれてむし歯が進んでいることを意味します。むし歯の状態と具体的な歯や顎の痛みについては以下の通りです

<むし歯の進行度と具体的な症状>
C0:むし歯の前兆あり・歯や顎に痛みは感じない
C1:むし歯の初期段階で歯のエナメル質が溶け始めている・歯や顎に痛みは感じない
C2:むし歯が象牙質(ぞうげしつ)まで進行・歯がしみたり痛みがあったりする
C3:むし歯が歯髄(しずい)まで進行・歯に痛みを感じ顎が痛む場合もある
C4:むし歯菌に蝕まれて根のみが残っている状態・歯と顎に痛みを感じる

顎が痛い場合は、むし歯の状態がC3以上にまで進行している可能性が考えられます。歯は外側から、歯を物理的な損傷や酸による浸食から守る「エナメル質」と、歯髄から栄養供給を受けて歯の構造と強度を維持する役割を担う「象牙質」、血液と神経が集まっていて、熱い、痛いなどの感覚情報の伝達を行う「歯髄」の3層構造となっていますが、一番内部の歯髄までむし歯が到達すると炎症が起こり、痛みが顎まで広がる可能性があります。

歯髄には前述の通り神経が集まっており、この敏感な組織に細菌が侵入し感染が進行すると、歯髄内で炎症が起こり空間内の圧力が増加します。歯髄は硬い歯の組織の中にあるため膨張する余地がなく、炎症が進み歯髄内の圧力が増加すると、神経に圧迫感を与えます。それが顎の痛みにつながることがあるのです。

むし歯で顎が痛くなることがあるのはなぜ?

むし歯が原因で顎が痛くなることがあるのは、どうしてなのでしょうか。むし歯によって顎が痛む際に口内で起こっているメカニズムを解説します。

歯根(しこん)の先が炎症を起こすから

むし歯が歯髄まで進行すると、歯髄は歯根の先端まで血管でつながっているため、侵入した細菌が歯根まで到達して炎症を起こす場合があります。

人間の身体には、体内に侵入した細菌と戦った白血球の死骸である膿を袋に閉じ込めようとする防衛本能があります。この膿が溜まった袋状のものを「嚢胞(のうほう)」と言います。むし歯が進行すると歯槽骨(歯を支える骨)や歯ぐきに「歯根嚢胞」が形成されます。歯根嚢胞の主な原因は細菌感染ですが、同じ歯による慢性的な炎症が続いている場合や、歯への強い衝撃が原因で歯髄が損傷を受け、適切な治療が行われなかった場合などによって細菌感染する場合もあります。

歯根嚢胞は、初期段階では自覚症状がないことが多いですが、嚢胞が大きくなると周囲の骨組織を圧迫し始め、腫れを引き起こし、顎の痛みが生じることがあります。

顎の骨の中で炎症を起こすから

歯根は顎の骨に埋まっています。むし歯が進行し、細菌が歯根に到達すると顎の骨にも細菌が感染して炎症を起こすことがあります。これを「顎骨骨髄炎(がっこつこつずいえん)」と言います。自覚症状がないまま、ある日、突然顎の痛みを感じた場合は顎骨骨髄炎が原因である可能性が高いです。

顎骨骨髄炎と歯根嚢胞の関連性

顎骨骨髄炎と先述した歯根嚢胞は、むし歯による細菌が原因であるという共通点があります。また、歯根嚢胞が発症した場合に顎骨骨髄炎も発症するリスクがあり、早めに治療する必要があります。

症状を比べてみると、歯根嚢胞は、嚢胞が徐々に成長するため初期段階では痛みを感じないケースが多く、顎骨骨髄炎は、細菌が骨髄に侵入して引き起こされるため、前触れもなく突然痛くなるのが特徴です。

一方で、歯根嚢胞は歯の周辺に痛みを感じたり、歯ぐきにニキビのようなものができたりします。進行すると三叉神経を圧迫して頭痛を引き起こす場合もあります。それに対して顎骨骨髄炎は、歯の周辺の痛みや腫れに加え、発熱や倦怠感、食欲不振を引き起こす場合もあります。

むし歯で顎が痛む時の応急処置

「おそらくむし歯が原因で顎が痛いが、すぐに歯科医院を受診できない」、「ひとまず痛みを抑えたい」という場合も多いはずです。そこで、ここからは歯科医院に行くまでに自分でできる応急処置をいくつかご紹介します。

保冷剤などで患部を冷やす

痛みを和らげる方法として有効なのが冷却です。むし歯による顎の痛みは患部の血流が増加し、それに伴って神経が圧迫されることによって引き起こされます。そこで、痛みを感じる部分を冷やすことで血流を一時的に減少させるため、痛みを緩和する効果が期待できます。

方法

応急処置の方法は、保冷材や氷をタオルにくるんで頬にあてたり、冷却シートを貼ったりしましょう。

ポイントは、口外から冷やすことです。口内に直接氷を含んで冷やすと、むし歯に刺激を与えて痛みが強くなる場合もあるので注意しましょう。また、あまり長時間冷却し続けると凍傷になるおそれがあります。患部の様子を見ながら、短時間の冷却を何回かに分けるなど調節しながら行いましょう。

口内をキレイにする

口内を清潔に保つことも、むし歯による顎の痛みを緩和する応急処置として効果的です。食べカスなどが蓄積すると、歯や歯の周りの炎症を増長させます。歯磨きやうがいをした後つまようじやデンタルフロスを使用したりして、痛みの原因となる口内の汚れを取り除きましょう。

歯ブラシやデンタルフロス、つまようじを使う際は、患部を直接刺激しないように気をつけてください。痛みの緩和に加えて、口内を清潔にすることで、細菌の繁殖を抑える効果も期待できます。

痛み止めの薬を飲む

市販の痛み止めを服用するのも、一時的な応急処置として有効です。むし歯による顎の痛みを緩和したい時は「ロキソプロフェン」「イブプロフェン」「アセトアミノフェン」といった成分が含まれている痛み止めが効果的です。

ただし、痛み止めはあくまでも一時的な緩和効果があるだけで、顎の痛みを根本的に解決する方法ではありません。一時的に痛みが無くなってもむし歯が完治したわけではないので、その点に注意しましょう。また、痛みが消えなかったり再発したりしても、服用間隔を守って正しく服用しましょう。

顎が痛むほどのむし歯ならすぐに歯科医院を受診するのが大切

冒頭でもお伝えした通り、顎の痛みを伴うむし歯は歯の根元や骨に到達しており、かなり進行した状態です。応急処置で痛みが緩和されても、むし歯を治療しなければ症状は改善されません。

それだけでなく、長く放置することでむし歯が進行し、最悪の場合には大切な歯を失うことになるかもしれません。応急処置で痛みが緩和されても、必ず歯科医院を受診して治療を受けましょう。

むし歯以外が原因で顎が痛むケースも

これまではむし歯が原因となっている顎の痛みについてお伝えしました。ここからは、むし歯以外が原因で生じる顎の痛みについて、痛みの症状やタイミングの違いと合わせて解説します。

筋肉痛・筋膜痛

歯科医院を受診してもむし歯が確認されなかった場合は、「筋肉痛」や「筋膜痛」が顎の痛みの原因かもしれません。
これらは、筋肉の凝りによって起こる症状で、食べる動作に使う咀嚼筋やデスクワークで酷使する首や肩の筋肉など、顎の近くにある筋肉や筋繊維が収縮したまま固まってしまうのが原因です。また、歯ぎしりや歯の食いしばりによっても筋肉に影響が表れる場合もあります。

筋肉痛・筋膜痛による症状としてはさまざまな痛みが出ますが、日常生活には支障がない程度の鈍い痛みが続きます。主に奥歯に痛みが出やすく、それに伴って顎の痛みを感じますが、直接歯や顎を叩いてみても特に痛みを感じないのが特徴です。

筋肉痛や筋膜痛は、セルフケアで痛みを緩和できます。血流を促すために、凝り固まった顎や頬の筋肉を手でやさしくほぐし、筋肉の緊張を和らげるマッサージをしてみてください。

顎関節症

顎関節症は、歯ぎしりや食いしばり、頬杖、偏咀嚼(へんそしゃく)など、日常生活における癖によって顎周りの筋肉が疲労して凝り固まるのが原因の場合もあれば、耳の前にある顎関節の異常が原因となる場合もあります。

むし歯が原因となる場合と違い、顎関節症が痛みの原因となる場合は、口を大きく開けた際に痛みを感じます。顎以外にも頬・こめかみ・耳の前などに痛みがある場合がありますが、口内に特に違和感はありません。また、口が開かなかったり、下顎を上下に動かすとカクカクと音がしたりするのも特徴です。

顎関節症の予防には、口を開ける際に使う筋肉を鍛えたり、頬杖などの癖を見直したりする方法があります。顎関節症による顎の痛みがつらい場合は、痛み止めや塗り薬、マウスピースでの治療法もあるので、歯科医院に相談してみましょう。

三叉神経痛(さんさしんけい)

顔の下半分に痛みが出る「三叉神経痛」も、むし歯による顎の痛みと勘違いしやすい症状を伴う場合があります。

三叉神経痛は、顔全体に3つに枝分かれして分布している三叉神経が血管に圧迫されるのが主な原因です。また、直接的な接触ではなく周囲の組織との異常な反応により三叉神経の正常な経路がゆがめられることも原因となります。

三叉神経痛の痛みはむし歯による顎の痛みと違い、短時間(数秒から数十秒間)にとても強い痛みを繰り返すのが特徴です。また、顔の片側のみに発症することも、むし歯による顎の痛みとは異なる点です。

三叉神経痛の治療法としては、薬物療法、外科手術(血管減圧術)、神経ブロック療法、ガンマナイフ治療などが挙げられます。

まとめ:むし歯による顎の痛みを感じたら早めに歯科医院の受診を

症状が軽い時もあれば重い時もありますが、顎の痛みはむし歯が重症化している状態であることも考えられます。これまではなかった顎の痛みを感じたら、放置せずなるべく早めに歯科医院を受診しましょう。

近隣のクリニックを検索

関連記事

ピックアップ

医療機関の方へ

シルハは口腔環境6項目を簡単操作で5分でスクリーニングできる唾液検査です。
製品情報・お問い合わせはコチラ