ホワイトスポットとは? 歯に白い斑点ができる3つの原因と治療法

ホワイトスポットとは? 歯に白い斑点ができる3つの原因と治療法

歯にできる白い斑点「ホワイトスポット」についてできる原因や治療法のついて解説しています。

               
歯をよく見ると、表面に白い斑点のようなものはありませんか。これはホワイトスポットと呼ばれるもので、初期のむし歯やホワイトニングのムラなどが原因で起こる症状です。そして一度できたホワイトスポットは自然に消えるものではありません。この記事ではホワイトスポットができる原因や治療法、費用の目安などについて解説します。

歯にできる白い斑点は「ホワイトスポット」

ホワイトスポットとは、歯の表面にできる白い斑点やシミ、白濁のことで、大きさや色味などは人によってそれぞれ異なります。ホワイトスポットは基本的に痛みやしみるなどの症状はありませんが、前歯にあるホワイトスポットや大きいホワイトスポットは目立つため気にする方もいるでしょう。

ホワイトスポットができる3つの原因

ホワイトスポットの主な原因は、初期のむし歯、エナメル質形成不全、ホワイトニングによるものです。それぞれの原因について詳しく解説します。

1.初期のむし歯

ホワイトスポットの原因としてまず初期のむし歯が挙げられます。むし歯と言えば「黒い穴」というイメージを持たれている方も多いですが、むし歯は初期段階から黒いわけではありません。

そもそもむし歯とは、むし歯菌が作る酸によって歯の成分が溶け出してもろくなり、やがて歯に穴が開く病気です。このむし歯菌の酸によって歯のエナメル質であるリンやカルシウムが溶け出すことを「脱灰(だっかい)」と言います。脱灰は歯の表面ではなく歯の中で起こります。つまり、むし歯は歯の中から進行します。この歯の内側で脱灰が生じていることを「表層下脱灰」と呼びます。

表層下脱灰が生じている部分は歯の密度が低くなり、細かな空洞ができることで健全な部分よりも白く見えます。これがホワイトスポットです。最近ホワイトスポットが現れた場合は、初期のむし歯になっているおそれがあるため、早めに治療しましょう。

ブラウンスポット?

口内では脱灰だけでなく、だ液によって溶け出したリン酸やカルシウムが再び歯に戻る「再石灰化」という歯を修復する働きも起こっています。ところが再石灰化される際に、チョコレートやコーヒー、紅茶、ワイン、タバコといった食べ物や飲み物、嗜好品に含まれる色素が一緒に取り込まれると、歯の表面に茶色の斑点やシミができることがあります。これを「ブラウンスポット」と呼びます。

さらにホワイトスポットのむし歯が進行して歯の神経が死んでしまうと歯の表面が茶色く変化してブラウンスポットになることもあります。

2.エナメル質形成不全

先天的もしくは後天的な理由で歯のエナメル質がうまく形成されない「エナメル質形成不全」もホワイトスポットができる原因のひとつです。歯のエナメル質ができる時にカルシウムが不足し、石灰化しなかった部分がホワイトスポットになります。

エナメル質形成不全の原因はいまだにはっきりと解明されていません。しかし、生まれつきエナメル質形成不全の場合、遺伝や妊娠中の母体の栄養不足が影響していると考えられています。特に妊娠中にリンやカルシウムの吸収を助けるビタミンDが不足すると、子どもがエナメル質形成不全になることが多いと言われています。

一方、乳児期の病気や栄養障害のほか、乳歯への外傷、乳歯の長期的な化膿などが原因でエナメル質形成不全になるケースもあります。乳歯への外傷や長期的な化膿によって、後続の永久歯もエナメル質形成不全になるケースが多いため、注意が必要です。

なお、エナメル質形成不全でブラウンスポットが現れることもあります。エナメル質の形成がうまくいかないことが原因で歯が茶色っぽく変色する症例です。こうしたエナメル質形成不全によるホワイトスポットやブラウンスポットは、むし歯のリスクが高く、むし歯になると進行が早いので早期発見・早期治療など適切に対応することが大切です。

3.ホワイトニングのムラ

ホワイトニング剤を歯に塗り、歯の色素を分解・漂白するのがホワイトニングです。歯は部分ごとに変色が強く出ているところやエナメル質の厚みが違うところがあるため、ホワイトニングをすると効果が出やすい部分と出にくい部分に分かれます。一般的に赤やオレンジ、黄色などの暖色系の変色歯はホワイトニングの効果が出やすく、グレーや青みがかった寒色系の変色歯は効果が出にくいとされています。

そして、歯のホワイトニングをすると効果が出やすい部分のミネラルが一時的に溶け出し、表面が白く濁ることがあります。ただし、ホワイトニングによるホワイトスポットは2〜3日たてば再石灰化によって目立たなくなることがほとんどです。
また、もともとホワイトスポットがある人がホワイトニングをすることで、健康な歯の部分だけ透明感のある白さになり、ホワイトスポットが不自然に目立ってしまうケースもあります。

ホワイトスポットを放置することで起こる影響

ホワイトスポットを治療せずに放っておくと、歯の健康面や見た目において以下のような影響があります。

むし歯になりやすくなる

初期のむし歯やエナメル質形成不全が原因によるホワイトスポットでは、歯の表面のエナメル質がもろくなります。そのため、むし歯菌の酸が歯に浸透しやすく歯が破壊されやすい状態で、むし歯になるリスクが高まります。現在、むし歯がない状態でも適切な処置をしないでそのまま放置すると、将来的にむし歯に発展するおそれがあるので注意しましょう。

いつのまにか拡大し、目立つようになる

ホワイトスポット自体は深刻な症状ではないことが多いため、治療をしない歯科医院も多いです。しかし、歯並びや口もとの美しさに焦点を当てると審美的に問題だと感じる人もいます。特に笑うなど口を開いた時に前歯のホワイトスポットは目立つため、気になる場合は治療するのがおすすめです。

ホワイトスポットの改善方法

初期のむし歯やエナメル質形成不全が原因によるホワイトスポットは、歯の構造が変化しているので自然に治ることはありません。しかし、ホワイトスポットは日々の口内ケアや歯の表面を削る、薬剤を塗布するなどの方法で改善します。ここでは代表的なホワイトスポットの改善方法について解説します。

フッ素入り歯磨き粉やミネラル含有ペーストで再石灰化を促進する

初期のむし歯が原因のホワイトスポットならフッ素入り歯磨き粉や豊富なミネラルを含むMIペーストといったケア製品を使用することでホワイトスポットが目立たなくなる場合があります。

フッ素はむし歯菌の働きを弱め、歯の再石灰化を促進し、歯質(歯を構成する成分の質)の強化に役立ちます。MIペーストはミネラルのリンやカルシウムを豊富に含むため歯の再石灰化を促進し、さらに牛乳由来の成分「リカルデント(CCP-ACP)」によって脱灰抑制や耐酸性の向上が期待できます。

例えば、フッ素入りの製品では、ライオン株式会社のフッ素入り歯磨き粉「クリニカ」やゾンネボード製薬株式会社の乳幼児向けフッ素入りコート剤「レノビーゴ」、ウエルテック株式会社のフッ素コート歯みがきジェル「ジェルコートF」、ミネラルを多く含むものでは株式会社ジーシーの「MIペースト」、など、さまざまな製品が販売されています。

市販の口内ケア製品はどれも比較的安価で、すぐに始められるというメリットがあります。しかし、ホワイトスポットが改善されるのはまれで改善までに時間もかかります。また、MIペーストは牛乳アレルギーがある方が使用するとアナフィラキシーショックを起こすおそれがあるため、注意が必要です。

ホワイトスポットを削る

ホワイトスポットを削って除去し、多種類のプラスチックを重ね塗りして天然歯のように整える「ダイレクトボンディング」という治療法もあります。ダイレクトボンディングのメリットは、ホワイトスポットが完全になくなることです。最短1回の来院で治療が終わるため治療時間が短く、痛みもほとんどありません。

ただし、4~6年ほどで変色するなど経年劣化が起きます。脱落したり、自然な歯との間に隙間が生じてむし歯になりやすくなったりとリスクもあり、再治療が必要になることがあります。

歯をほとんど削らないICON(アイコン)を使用する

「ICON(アイコン)」とは、歯の表面に塗布する低粘度のプラスチック素材のことです。アイコンにはエナメル質を強化する機能があり、歯をほとんど削らずにホワイトスポットを改善できるため、近年注目されている治療法です。

また、ICONによる治療は痛みが少なく、歯の内部に浸透して歯を強化するのでむし歯予防やホワイトスポットの再発予防にもなります。ただし、ホワイトスポットが歯の深い部分にある、ホワイトスポットが広範囲におよぶなど、歯の状態によってはICONによる治療ができない場合があります。

歯の表面にベニアを貼り付ける

歯の表面を薄く削った後に薄いセラミック素材を貼り付ける「ラミネートベニア」と呼ばれる治療法もあります。付け爪のように歯の表面にセラミックを貼るので、歯全体にホワイトスポットがある場合にも適しています。

ラミネートベニアではセラミックを用いるため自然で美しい見た目を再現でき、ダイレクトボンディングよりも着色しにくいので寿命が10年程度と長持ちする点がメリットです。しかし、歯を削る量はダイレクトボンディングよりも少し多く、まれに歯の表面に貼り付けたセラミックが、割れたり取れたりすることがあります。

ホワイトスポットの治療に必要な費用目安

歯の治療には保険診療と保険外診療(自費診療)の2種類があります。保険診療は公的な医療保険制度が適用されるため、治療費の一部を負担するだけで治療が受けられます。ただし、保険診療は金銭的な負担が少ない反面、材料や治療法が限定されます。一方、自費診療は公的医療保険が適用されないため治療費は全額自己負担ですが、材料や治療法に制限がないため自分の希望に沿った治療法や材料が選択できます。

ホワイトスポットの治療では初期のむし歯と診断された場合のみ保険診療になりますが、むし歯予防としてフッ素塗布する場合には保険が適用されず、1回あたり数千円かかります。

そして、上記で紹介したダイレクトボンディング、アイコンを使用した治療法、ラミネートベニアは、審美性の高い見た目の治療となるため保険は適用されずすべて自費診療になります。

治療相場はダイレクトボンディングやアイコンを使用した治療法の場合、歯1本あたり2万円~5万円、ラミネートベニアの場合には歯1本あたり10万円〜30万円程度とされています。ただし自費診療の場合、医療機関によって料金が異なるため、治療法や料金に納得したうえで施術を受けるかどうかを判断しましょう。

まとめ:ホワイトスポットに悩んだら歯科医院で相談しましょう

ホワイトスポットが前歯など目立つ箇所にあると、気になることもあるでしょう。見た目だけではなく、ホワイトスポットは放置しているとむし歯に発展するリスクがあります。歯の表面の斑点が気になる方は、エナメル質形成不全やむし歯のおそれもあるため、まずは歯科医院に相談してみるとよいでしょう。

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