熱いものが歯にしみるときは要注意。痛くなる原因は知覚過敏だけじゃない

熱いものが歯にしみるときは要注意。痛くなる原因は知覚過敏だけじゃない

この記事では、歯に熱いものがしみる原因と状態、対処法について解説いたします。

               
熱いものを食べたり飲んだりした際に「歯がしみる」「歯が痛い」と感じる場合、さまざまな原因が考えられます。熱いものが歯にしみる主な原因とその対処法について解説します。熱いものが歯にしみて原因が気になっている方は、ぜひご覧ください。

熱いものが歯にしみるときは注意が必要!

熱いものを飲食したときに歯がしみる原因としてまず考えられるのが、歯に何らかの炎症があるおそれです。歯の炎症には、熱いものを食べたり飲んだりして血行が促進されると痛みが増す場合があり、その刺激が「歯がしみる」という感覚として感じられることがあります。

この「熱いもので歯がしみる」という症状は、さまざま疾患で生じるため、注意が必要です。しかも、熱いもので歯がしみる場合、冷たいものでしみるときよりも症状が進行しているおそれが高く、自己判断が難しいため、早めに歯科医院を受診しましょう。

熱いものが歯にしみる原因と対処法

冷たい飲食物や空気によって歯がしみる場合、原因は知覚過敏が多く、温度や気温の変化による「刺激」に対し、「しみる」という症状が現れます。一方、熱いものがしみる場合、神経が露出して炎症を起こしているケースが大部分です。熱いものが歯にしみる代表的な原因と対処法は、以下のとおりです。

むし歯

むし歯がかなり進行すると、熱いもので歯がしみることがあります。これは神経に近いところまでむし歯が進行しているからです。つまり、むし歯によって歯の表面のエナメル質に穴があき、象牙質が露出していて、刺激に対し敏感になっている状態です。

むし歯の初期症状や知覚過敏でも、冷たいものや甘いものを飲食したときに歯がしみることはあります。しかし、熱いもので歯がしみると感じる場合には、むし歯が重症化しているおそれがあり、歯髄近くまで進んでいることが考えられます。さらに歯髄までむし歯が達してしまうと、神経が炎症を起こし、熱いものでしみるだけでなく、ズキズキとした痛みや顔面の腫れなどの症状が現れることがあります。

むし歯が原因で熱いものがしみるときの対処法

熱いものがしみる場合には、むし歯が重症化しているおそれが高いため、歯科医院での治療が必要です。

熱いものを避ける、患部を冷やしたタオルなどで冷やす、市販の痛み止め薬を服用する、といった対処法もありますが、どれも一時的なもので、根本的な改善は見込めません。むし歯は放置しておくとさらに激しい痛みや顔面の腫れなどを引き起こし、最悪の場合、脳梗塞や心筋梗塞など、重篤な疾患へとつながることもあります。そのため、早めに歯科医院を受診しましょう。

すぐに歯科医院に行けない場合は、血行をよくする行為を極力避けることが大切です。血行がよくなると、歯髄の圧力が高くなり、痛みが悪化するおそれがあります。長時間湯船につかって温まる、飲酒や喫煙をする、患部を触る、激しい運動をする、といったことはむし歯の痛みを悪化させるおそれがあるため行わないようにしましょう。

歯周病

「むし歯じゃないのに熱いものがしみる」といった場合には、歯周病が原因かもしれません。歯周病になると歯ぐきが下がり、象牙質がむき出しになって熱いものがしみやすくなります。

歯周病が原因で熱いものがしみる場合、むし歯と異なり、通常しみるのは一過性で持続しません。また、歯ぐきが腫れる、歯を磨くと出血するなどの症状が現れていることも多くあります。

なお、歯周病は気づかないうちに症状が進行する疾患であり、症状が現れたときには歯周病がかなり進行しているおそれがあるので、注意しましょう。

歯周病についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

歯周病が原因で熱いものがしみるときの対処法

歯ぐきが下がりが気になる箇所や歯周病の診断を受けた歯ぐきの周辺に熱いものがしみるときは、すぐに歯科医院へ行きましょう。歯周病は自然治癒が見込めない疾患のため、なるべく早い段階で治療を受けることが大切です。また、歯周病は自覚症状がほとんどなく、初期段階ではわかりにくいため、定期的に歯科検診を受け、病気の予防や早期発見・治療に努めましょう。

知覚過敏

むし歯や歯の神経の炎症といった原因がないのに熱いもので歯がしみる場合には、知覚過敏のおそれがあります。知覚過敏とは、酸っぱいものや冷たいもの、歯ブラシが歯に触れたときなどに生じる刺激で、一時的に「歯がしみる」、「歯が痛む」といった症状が現れる状態のことです。知覚過敏は、症状が悪化すると熱いものでも症状が現れ、慢性化します。

知覚過敏の主な原因は、加齢や歯周病、過度な力による歯磨き、歯ぎしり、食いしばりなどにより、歯の表面のエナメル質が薄くなることです。これにより、象牙質の下の神経に刺激が伝わりやすくなり、ツーンとした痛みを感じます。また、熱いものがしみるのは、ストレスが原因の場合もあります。

なお、冬場にだけ歯がしみる場合、知覚過敏ではなく、冷たさや寒さによる筋肉の緊張、風邪による副鼻腔炎の痛みなどが原因かもしれません。適切な治療を受けるためにも、まずは歯科医院を受診して原因を特定しましょう。

知覚過敏についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

知覚過敏が原因で熱いものがしみるときの対処法

知覚過敏によって熱いものがしみるときは、知覚過敏の原因となっているものが重症化しているおそれが高いので、歯科医院を受診しましょう。

たとえば、歯周病が原因で知覚過敏が起こっているようなら、歯周基本治療や歯周外科治療が必要です。また、象牙質が露出している場合には、コーティング剤の塗布や神経を除去する治療を施します。歯ぎしりや食いしばりが原因であれば、噛み合わせの調整やナイトガードの使用を促すこともあります。

歯髄炎

歯髄炎とは、歯の内部にある神経組織や血管を含む歯髄が炎症を起こすことで、熱いものがしみるのは歯髄炎の典型的な初期症状です。歯髄炎は、むし歯や歯周病が進行して発症するほか、歯のひび割れや破折がきっかけで引き起こされます。

知覚過敏との違いは、知覚過敏が「熱さ」という刺激によって一時的に歯がしみるという症状が現れるのに対し、歯髄炎はその刺激がなくなっても症状が現れ、持続することです。また、知覚過敏の場合、歯を軽くたたいても痛みを感じませんが、歯髄炎になると、歯を軽くたたくと痛みを感じ、悪化すると歯ぐきが腫れ上がるなどの症状が現れます。症状の進行によって激痛が生じることもあるため、注意が必要です。

歯髄炎が原因で熱いものがしみるときの対処法

ごくまれに熱いもので歯がしみるようなら様子をみましょう。しかし、冷たいものから熱いものまで歯がしみるようになったら、むし歯や歯周病が原因で、歯髄炎が進行しているおそれが高いため、歯科医院を受診してください。

放置して歯髄炎が重症化すると神経を抜いたり、抜歯したりしなければならず、治療期間も延びて心身の負担も大きくなります。気になる症状がある場合には、今より症状がひどくなる前に治療したほうが安心です。

銀歯

銀歯が原因で熱いものが歯にしみるケースも珍しくありません。銀歯の材料である合金は熱を伝えやすい性質があり、熱いものが銀歯に触れることで神経に温度が伝わって、しみることがあります。特に治療して間もない銀歯は、神経が一時的に敏感になっているため、しみたり痛みを感じたりしやすい状態です。また、銀歯を詰めた直後は噛み合わせがしっくりこず、歯に過度な負担がかかり、しみてしまうことがあります。

さらに、昔のむし歯治療で銀歯にしたところがしみるケースも少なくありません。過去の歯科治療で銀歯にしたところがしみる場合、銀歯の劣化もしくはむし歯の再発という可能性があります。これは、歯科治療で使われる銀歯には寿命があり、経年劣化によってすき間ができることで、熱いものが神経に触れたり、むし歯が再発したりするからです。

銀歯が原因で熱いものがしみるときの対処法

歯科治療で銀歯を入れた後に熱いものがしみる場合は、一時的な神経の反応か、噛み合わせに慣れていないことが原因のため、数日間様子をみてください。このとき、できるだけ飲食物の温度は常温に近いほうがよいです。また、辛いものや酸っぱいものは避けましょう。

数日たっても歯がしみる、もしくは痛い場合は、歯髄炎や噛み合わせの調整不足の可能性があるため、必ず歯科医院を受診してください。歯科医院では、噛み合わせの調整を行ったり、痛みが長引く場合には神経を取る治療を施したりします。

また、古い銀歯が原因でしみる場合には、新しい詰め物に交換するのが一般的な対処法です。ただし、むし歯が再発している場合には新しい詰め物に交換する前にむし歯治療を行います。

失活歯

失活歯(しっかつし)とは、歯髄が死んでいる歯の総称です。むし歯などによって神経が死んでいる、または神経を抜いた歯を指します。この失活歯が原因で熱いものがしみることもあります。神経が働かないのにしみると感じるのは不思議な話ですが、これは歯そのものではなく、失活歯の周辺に炎症が起きているからかもしれません。

たとえば、根管治療で神経を抜いた数年後、根管部分がむし歯に感染すると、歯ぐきが腫れて周辺神経を圧迫することで、熱いもので「歯がしみる」、「歯が痛い」と感じることがあります。

失活歯が原因で熱いものがしみるときの対処法

失活歯によって熱いものがしみるときは、患部を冷やすことで一時的に落ち着きますが、症状が悪化するおそれもあります。そのため、早めに歯科医院を受診してレントゲンなどで患部を確認してもらいましょう。必要に応じて再治療を受けることで、症状の改善が期待できます。

失活歯による症状は放置すると抜歯するリスクが高まるので、早めの受診がおすすめです。また、歯の治療で神経を除去した後も定期検診を受けることで、熱いもので「歯がしみる」「歯が痛い」といった症状を回避でき、ほかの疾患も早期に発見や治療ができます。

熱いものが歯にしみるときは早めの受診が必要!

熱いもので「歯がしみる」と感じる原因は、むし歯や知覚過敏などさまざまです。特に冬場は温かいものを食べたり飲んだりすることが多く、寒さによる筋肉の緊張でも歯がしみることがあります。むし歯などが原因で熱いものがしみるのは重症な状態であるおそれもあります。そのため、痛みなど気になる症状がある場合には、早めに歯科医院を受診しましょう。

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