崩れやすいのは体調だけじゃない 春から夏の季節の変わり目に起きやすい「寒暖差疲労」とは?

崩れやすいのは体調だけじゃない 春から夏の季節の変わり目に起きやすい「寒暖差疲労」とは?

春から夏の季節の変わり目に起きやすい、体の様々な部分の体調不良の原因と、その対処法や予防法について解説します。

               
季節の変わり目は気候の変化が激しく、体調を崩しやすい時期です。春から夏にかけても同様で、特に気温が大きく変化します。
この気温の変化による「寒暖差疲労」は、自律神経のバランスを乱し、免疫力の低下や気象病の原因となります。さらに、口内の健康にも影響がおよび、歯ぐきの炎症や口内炎、むし歯が発生しやすくなるなど、さまざまな体調不良が起こります。

本記事では、春から夏への変わり目に体調を崩しやすい理由や起こりやすい口内トラブル、それぞれの対処法や予防法などについて詳しく解説します。

春から夏の変わり目に起こりやすい体調不良

春から夏の変わり目には、寒暖差疲労によって疲労感や倦怠感が起きる場合があります。詳しく見ていきましょう。

寒暖差疲労

寒暖差疲労は、朝晩や日中の気温差の影響で自律神経が乱れて、疲労感や倦怠感、肩こりやイライラ、不安感などのさまざまな症状が現れるものです。

自律神経は、呼吸や血流、体温や消化吸収など、体の基本的な機能を調節する神経です。主に機能を促進する方向に働く交感神経と、機能を抑制する方向に働く副交感神経に分けられ、それぞれがバランスをとって働くことで身体の機能が適切に調節されています。

気温差が激しいと、このバランスが崩れて身体の機能をうまく調整できなくなり、さまざまな症状が現れます。

また、自律神経が乱れることは、さまざまな不調だけではなく、免疫力の低下を引き起こす可能性もあります。

免疫系は、交感神経と副交感神経の両方が異物に対して適切に応答することで機能します。
交感神経と副交感神経のどちらかが過剰な状態では、免疫機能が正常に働きません。

免疫機能が正常に働かなくなると、風邪を引きやすくなったり、むし歯や歯周病などの原因菌が増えやすくなったりします。

寒暖差疲労の原因

寒暖差疲労は、7℃以上の気温差があると起こりやすいとされています。春から夏への変わり目は、最低気温と最高気温の差が10℃を超える日もあるため、寒暖差疲労が起こりやすくなります。
また、不規則な生活やストレス、運動不足なども自律神経の働きに悪影響を及ぼします。

そのため、気温差に生活習慣の乱れが重なると、寒暖差疲労のリスクが高まります。

寒暖差疲労の対処法

寒暖差疲労は体が気温差を感じて対応しようとすることが原因のため、温度調整のしやすい服装をすることが大切です。寒い時間帯には薄手のカーディガンやジャケットなどを着て、暖かい時間帯には脱ぐようにすることで、体が感じる気温差を小さくできます。

また、室温を適切な温度に保つことも重要です。部屋を冷やしすぎない範囲で、窓を開けて風を取り入れたり冷房を使用したりしましょう。

さらに、自律神経のバランスを整えやすくするために、栄養バランスに優れた食事と十分な睡眠を心がけましょう。

寒暖差疲労の予防法

寒暖差疲労を予防するためには、規則正しい生活リズムを維持することが重要です。毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝ることで、自律神経のバランスを保ちやすくなります。

また、適度な運動を行うことも大切です。運動中は交感神経が優位になることで心拍数が増加し、血管が収縮します。運動を終えると副交感神経が優位になることで血管が拡張し、血流が促されます。この収縮と拡張によって自律神経のバランスが整いやすくなります。
ウォーキングやジョギング、ヨガなどの軽い運動を日常生活に取り入れましょう。

さらに、交感神経が過剰に働くのを防ぐために、ストレスを溜めないことも大切です。ストレスを発散させるために、趣味を楽しむ時間を作りたいところですが、忙しくてなかなか時間を確保できない場合は、深呼吸や瞑想を数分行うようにしましょう。

春から夏への変わり目は口周りのトラブルも起こりやすい

春から夏への変わり目は、低気圧や強い紫外線など、さまざまな原因で口周りのトラブルが起こります。口周りのトラブルの種類とそれぞれの原因・対処法・予防法について、詳しく見ていきましょう。

歯痛・歯ぐきの腫れ

低気圧だと、歯痛や歯ぐきの腫れが起こることがあります。
低気圧では曇りや雨、高気圧では晴れになることが多いとされています。雨や曇りの日が長期間続く梅雨の時期も、低気圧になっています。梅雨の時期は地域によって異なり、例年は5~6月に始まり、6月末あたり~7月末まで続きます。

低気圧による歯痛や歯ぐきの腫れは、むし歯や歯周病がある方、過去に治療をしたことがある方、歯ぐきや歯の根の先に膿が溜まっている方などにみられやすいとされています。
低気圧の影響で歯痛や歯ぐきの腫れが現れたことがきっかけで歯科医院を受診したところ、むし歯や歯周病が見つかることもあるでしょう。

歯痛・歯ぐきの腫れの原因

気圧と歯痛との関係は以前から知られており「気圧性歯痛」と呼ばれています。
歯の内部には、「歯髄腔」と呼ばれる空間があり、ここに神経が通っています。気圧が短時間で低下すると、急激な気圧変動に対応できず、歯髄腔が膨張します。これにより神経に圧力がかかり、歯痛の原因になります。

歯ぐきの腫れについては、歯周病との関連が考えられます。気圧が低下すると、ストレスホルモンの分泌が進み、それと共に歯周病菌の増殖が促されます。その結果、1~3日後に炎症が起きて、痛みや腫れが起きるとの報告があります。

歯痛・歯ぐきの腫れの対処法

氷嚢や冷たいタオルを当てることで、痛みや腫れを緩和できる場合があります。
また、口内を清潔に保つことも重要です。食後にはしっかりと歯を磨き、口内を清潔に保つことで、炎症の悪化を防ぎましょう。

痛みが強い場合は、市販の痛み止めを使用することも検討してください。ただし、市販薬で様子を見るのではなく、早めに歯科医師の診察を受けることが大切です。

歯痛・歯ぐきの腫れの予防法

気圧変動による影響を未然に防ぐことは難しいですが、歯や歯ぐきが健康であれば痛みや腫れは起こりません。

そのため、定期的に歯科検診を受けて、むし歯や歯周病の早期発見と治療が大切です。また、歯磨きやデンタルフロスを使って口内を清潔に保ちましょう。

冷房や水分不足による口内の乾燥

春から夏にかけては気温が高くなることで、冷房を使用したり汗をかく量が増えたりします。その結果、口内が乾燥して唾液が減少し、口内の細菌を洗い流す作用が弱まります。

唾液による洗浄作用の低下は、むし歯や歯周病のリスクを高めます。また、口の中がネバついたりヒリヒリしたりするほか、口臭が強くなります。
重度になると、さらに口臭が強くなったり、舌の表面がひび割れたりするほか、痛みが強くなることで食事や会話に支障をきたします。

口内の乾燥の原因

冷房を使用すると湿度が低下して空気が乾燥し、口の中まで乾燥して唾液が不足します。また、暑い日に出かけたり運動したりすることで多量の汗をかいた場合も唾液の分泌が低下します。

口内の乾燥の対処法

口内の乾燥を感じたら水分を補給しましょう。
汗をかいた場合は、水やお茶ではなく熱中症対策の飲料を摂るのが望ましいです。対策飲料がなければ、500 mlのお水に小さじ1杯の食塩を溶かすことで代用しましょう。

汗をかくと水分だけではなく塩分も失われ、水やお茶を飲むと塩分濃度が薄まってしまいます。その結果、体液の濃度を一定に保とうとする機能が働き、過剰な水分が排出されます。
自発的脱水と呼ばれる状態になるリスクがあるため、汗をかく予定があるときは塩分を含む飲料を持参するとよいでしょう。

口内の乾燥の予防法

体型や運動量などでも異なりますが、食事から摂れる水分とは別に、1日あたり1,200~1,500 mlの水分を摂ることが望ましいとされています。これを1日6回ほど(コップ1杯200 mlの場合)に分けて摂ります。
睡眠中は水分を摂らない時間が長くなります。就寝前と起床時は必ず水分補給をしましょう。

また、汗をかいたときは、分量外として水分を補給することが大切です。

紫外線による口唇ヘルペス

口唇ヘルペスは、ヘルペスウイルスの感染によって、小さな水ぶくれや痛み、赤みなどが唇やその周りに現れる病気です。

ヘルペスウイルスは、一度感染すると神経節に潜み、ストレスや風邪などで免疫力が低下した際に再び活性化し、神経節に沿って皮膚症状を引き起こします。
この口唇ヘルペスは、紫外線を浴びすぎることが再発の誘因になるといわれています。

口唇ヘルペスの原因

紫外線の浴びすぎが口唇ヘルペスの再発につながるメカニズムは解明されていませんが、紫外線の浴びすぎが免疫力の低下につながることが関係しているといわれています。
紫外線を受けた皮膚は、免疫に関連するさまざまな細胞の機能が抑えられます。そのため、ヘルペスウイルスの再活性化につながると考えられています。

口唇ヘルペスの対処法

口唇ヘルペスは、水ぶくれが破れているかどうかに関係なく、患部に直接触れた手でなにか物に触ると、そこにヘルペスウイルスがうつります。その物に家族が触れることでも感染する可能性があります。
そのため、食器やタオルなどは共有しないことが大切です。

また、口唇ヘルペスに効果が期待できる抗ウイルス薬を使用することで、ウイルスの増殖を抑えて治癒を促すことができます。ただし、神経節に潜むヘルペスウイルスを取り除くことはできません。

口唇ヘルペスの予防法

口唇ヘルペスは免疫力が低下することで再発するため、紫外線の浴びすぎに注意するほか、規則正しい生活やストレスケア、適度な運動などで免疫力を正常に保つことが大切です。
紫外線対策としては、日焼け止めを塗ることに加え、日傘をさしたり、つばの広い帽子やマスクを着用したりすることが有効です。

まとめ:春から夏の季節の変わり目に備えて対策しよう

春から夏への変わり目は、気温の変動や低気圧、紫外線などの影響で体調を崩しやすい時期です。
規則正しい生活リズムや適度な運動、ストレス管理、適切な口内ケアを実践し、体調をなるべく崩さないように対策してください。
今回、解説した内容を参考に、春から夏の季節の変わり目でも良好な健康状態を保ちましょう。

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