歯が浮くような違和感 その主な原因5つと対処法

歯が浮くような違和感 その主な原因5つと対処法

歯が浮くような違和感を覚えたら、口内トラブルや体調不良などのサインかもしれません。違和感の原因と対処法を紹介します。

               
「痛いわけではないけど、歯が浮いたような違和感があり落ち着かない…。」
その違和感はもしかすると、気のせいではないかもしれません。実際に、歯や歯ぐき、体調などが関係して、歯が浮いたような感覚を覚えることがあるからです。
この記事では、歯が浮いたような違和感を引き起こす5つの原因と、その原因別の対処法を解説します。
痛みを伴う場合の一時的な応急処置についても紹介しているので、参考にしてみてください。

歯が浮くように感じる原因

強い痛みはないのに歯が浮くような違和感を覚える方は少なくありません。歯が浮くように感じる主な原因は、歯周病、疲労やストレス、歯ぎしりや食いしばり、歯の治療、マウスピースによるものが挙げられます。

歯周病に感染している

歯周病は、歯と歯ぐきの間に歯垢(プラーク)がたまり、そこに含まれる細菌が原因で歯ぐきに炎症を引き起こす病気です。歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの境目の溝(歯周ポケット)が深くなり、歯を固定する力が弱まります。健康な方の歯周ポケットは1~3 mmほどですが、中等度の歯周病になると歯周ポケットが4~5 mmほどになり、歯が浮いたように感じることがあります。

そして重度の歯周病(歯槽膿漏)になると歯周ポケットは6 mm以上になり、歯を支える歯槽骨が壊れることで、歯のグラつきが大きくなり、結果的に歯が抜けてしまうことがあります。

疲労・ストレスを感じている

疲労やストレスがたまると、身体の免疫力が低下し、口内の健康にも悪影響を及ぼします。その結果、歯が浮いたように感じることがあります。

そもそも歯は顎の骨に埋まっているように見えますが、歯と顎の骨が直接くっついているわけではありません。歯根膜と呼ばれる神経繊維が歯の根元と歯を支える顎の骨(歯槽骨)を結び付け、歯を固定しています。この歯根膜には、ものを噛んだ時や歯を食いしばる際に、歯にかかる負荷をやわらげるクッションのような役割と、ものを噛んだ時に硬さや歯ざわりを脳に伝える機能があります。

しかし、疲労やストレスによって血液やリンパ液の流れが悪くなり、免疫力が低下すると歯根膜が炎症を起こします。炎症を起こした歯根膜はダメージを回復させようと血液やリンパ液の量を増やそうとしますが、それにより歯根膜が膨れることで、歯が浮いたように感じたり、歯が痛いと感じたりします。

また、疲労やストレスは、歯周病や歯ぎしり、食いしばりといった歯が浮くように感じるほかの原因を引き起こすきっかけにもなります。

歯ぎしり・食いしばりをしている

歯ぎしりや食いしばりは、無意識のうちに歯に過度な力を加える行為で、特に睡眠中に起こりやすいとされています。人間の噛む力はとても強く、歯ぎしりや食いしばりは歯や顎に大きな負担を与えます。例えば、歯ぎしりによって歯が揺さぶられると、歯根膜が引っ張られたり、負荷がかかりすぎてうっ血したりして歯根膜が炎症を起こし、歯が浮くように感じることがあります。一方の食いしばりも長期にわたって歯と歯が強い力で接触することで、歯根膜がダメージを受け、歯が浮く違和感を覚える方もいます。

歯ぎしりと食いしばりの原因はどちらもはっきりとわかっていませんが、過度なストレスや緊張、歯並びの乱れ、噛み合わせの悪さなどといわれています。

歯の治療をした後

歯の治療をした後に、歯が浮いたように感じる方もいます。特にむし歯が神経まで進行して根管治療を行った後に、この感覚が現れる方が多いです。

これは歯の治療によって歯の感覚を脳に伝える歯根膜が刺激を受けたからです。または、治療によって歯根膜が炎症を起こしたことで歯根膜が厚くなり、実際に歯が持ち上がることで、歯が浮くような感じがする場合もあります。

歯の治療後に歯が浮く感覚がある場合、数日から数週間で改善しますが、歯が浮く感じが長引くようであればほかに原因があるのかもしれません。その場合には早めに歯科医院を受診しましょう。

マウスピースを外して間もない

矯正などを目的にマウスピースを長時間装着している場合、マウスピースを取った際に歯が浮いたように感じることがあります。特に矯正用のマウスピースや歯ぎしり、食いしばりから歯や顎を守るマウスピース(ナイトガード)は、歯を締め付けるので、取り外した時に歯が浮いたような感覚が起こりやすいです。

ただし、マウスピースによる歯が浮いた感じがするのはあくまでも一過性のものであり、マウスピースを外してから数分から数時間ほどで改善します。

歯が浮く感覚への対処法

歯が浮くような感覚がある際は、原因ごとに対処することで症状が良くなる可能性があります。ただし、対処しても改善せず、歯が浮く感じが長引くようであれば、放置せずに早めに歯科医院を受診してください。

歯周病は歯科医院の治療が必須

歯が浮く違和感の原因が歯周病だった場合、すでに歯周病が進行していることが考えられるため歯科医院での専門的な治療が必要です。

歯周病の基本的な治療は、歯科医院で行うプロフェッショナル・ケアと、自分で行うセルフ・ケアの2本柱です。

プロフェッショナル・ケア

プロフェッショナル・ケアでは、歯ブラシでは落とせない歯に付着した歯垢や歯石を除去します。具体的には、スケーリングやルートプレーニングによる歯石除去や歯周ポケットの清掃などを行います。セルフケアだけで落としきれない歯垢を除去し、歯周病が改善されれば、歯周ポケットの深さも浅くなります。ただし、歯周病がかなり進行している場合には、歯周ポケットの内側にある歯石や病変部を除去する外科手術(フラップ手術)を行う必要があります。

セルフ・ケア

セルフ・ケアとしてできることは主に歯のブラッシングです。歯垢が歯に付着するのを予防するには、日頃のブラッシングが大切です。自己流で何となく磨いているという方は、一度歯科医院できちんと指導を受けましょう。歯科医院では、自分の歯並びに合わせて適切なブラッシング方法を指導してもらえます。

歯周病の初期は、痛みなどの自覚症状がほとんどありません。歯ぐきからの出血や歯と歯の間にものが挟まりやすくなったなど、気になる症状がある場合には、早めに歯科医院を受診しましょう。歯周病の初期段階であれば適切な治療とケアで、歯周病の進行を食い止めることができます。

疲労・ストレスが原因なら休息が重要

疲労やストレスが原因の場合は、ストレスを発散して疲労を取り除くのが有効です。徹夜や飲酒は避けて意識的に休息を取り、身体を休ませましょう。身体をリラックスさせることで全身の血行が良くなり、歯根膜の血行不良が改善すれば、歯が浮く感じが治まることが期待できます。また、ウォーキングやランニング、ストレッチなど、身体を動かしてリフレッシュすることも症状の緩和におすすめです。

忙しくてなかなか休んだり運動したりできないという時は、指で歯ぐきのマッサージをしましょう。歯ぐきをやさしく刺激することで血行が良くなり、症状の緩和や歯ぐきの健康促進に効果的が期待できます。

さらにブラッシングすることも口内の血流改善に有効です。この時、歯だけでなく歯と歯ぐきの間や歯ぐきそのものをやさしくブラッシングすることで、血行を促進する効果が期待できます。

歯ぎしり・食いしばりが原因ならマウスピースを装着

歯ぎしりや食いしばりが原因の場合は、マウスピース(ナイトガード)の装着がおすすめです。マウスピースを装着すれば歯にかかる負担を分散でき、歯根膜へのダメージを軽減できます。マウスピースは、歯科医院で診察・検査を行い、問題なければ自分の歯型を取ることで比較的簡単に作れます。

また、食いしばりは睡眠中だけでなく、集中している時に知らず知らずのうちに行っていることもあるため、意識的に気をつけることが大切です。さらに歯ぎしりや食いしばりの原因とされるストレスをうまく発散したり、歯並びの乱れや噛み合わせの悪さを矯正したりすることでも、改善が期待できます。歯ぎしりや食いしばりが改善できれば、歯が浮く感じだけでなく、歯ぎしりや食いしばりからくる肩こりや頭痛、めまいなどが緩和する効果も期待できます。

歯の治療をした後が原因ならケアをする

歯の治療で歯根膜が刺激を受けて炎症が発生し、歯が浮いた感覚になっている場合には、治療後のケアが重要です。歯の治療後に歯が浮く症状は数日から数週間で治まる一過性のケースがほとんどですが、心配であれば歯科医院を受診し、炎症がある場合には薬を処方してもらいましょう。抗生剤や鎮痛剤を処方してもらうことで、炎症を抑えられます。

ただし、この感覚が長引く場合には原因がほかにあるかもしれません。そのため、歯が浮いた感じが続くのであれば、早めに歯科医院を再受診し、原因を突き止めましょう。

痛みを伴う場合の応急処置法

歯根膜が炎症を起こして歯が浮いていると感じる時には、同時に痛みを伴うこともあります。歯が浮くような感じがして痛みがある場合には、以下の応急処置法で痛みをやわらげましょう。

市販の鎮痛剤を服用する

痛みをすぐに何とかしたい場合は、鎮痛薬を服用するのも良いでしょう。鎮痛剤は歯科医院から処方されたものでも、市販品でも構いません。鎮痛剤には、アセトアミノフェンやイブプロフェン、ロキソプロフェンなどの成分が含まれています。これらはどれも痛みをやわらげる効果があり、歯の痛みにも効果があります。薬を飲んでしばらくすれば、痛みは徐々にやわらぐでしょう。

ただし鎮痛剤を服用する際には、必ず用法・用量を守ることが大切です。痛みがひどいからといって多めに飲んだり、決められた時間を空けずに再び飲んだりすることは厳禁です。また、鎮痛剤は一時的な効果しか見込めないため、痛みが長引く場合には早めに歯科医院を受診してください。

患部を冷却する

歯の痛みには冷やすことが効果的です。患部はダメージによって血液が多くなって神経が圧迫されているので、冷やすことで血流を抑え、痛みが緩和します。患部を冷やす際は、水でぬらしたタオルに氷を包み、頬の上から患部に当てます。氷がない場合には冷却シートでも代用可能です。

ただし、氷を直接頬に当てたり、氷を口に入れたりして患部を急激に冷やすと温度変化から痛みが強まったり、低温やけどすることがあるので注意が必要です。また、歯の痛みを冷却して緩和するだけでは、根本的な解決にはなりません。応急処置をして痛みがやわらいだら、できるだけ早めに歯科医院を受診しましょう。

歯が浮くような違和感があれば歯科医院へ

歯が浮くように感じるのは、歯周病や疲労・ストレス、歯ぎしり・食いしばりなどの原因が考えられます。数日たっても歯の浮く感じが続く場合には、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。

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