口呼吸はなぜいけないの? 原因や体にもたらす弊害、対策方法を解説

口呼吸はなぜいけないの? 原因や体にもたらす弊害、対策方法を解説

この記事では、呼吸を口呼吸で行うべき理由について解説します。

               
私たち人間にとって本来、鼻呼吸が望ましいのですが、普段から無意識に口呼吸をしている方が増えています。口呼吸が癖になると、さまざまな弊害がもたらされるため、早めの対策が重要です。ここでは鼻呼吸と口呼吸の違い、口呼吸のデメリット、口呼吸から鼻呼吸へ移行する方法などを解説します。

口呼吸と鼻呼吸

呼吸には、鼻から肺に空気を吸って吐く鼻呼吸と、口から空気を吸って吐く口呼吸の2種類があります。人間本来の呼吸法は鼻呼吸です。実は人間以外の哺乳動物は口で呼吸することはありません。哺乳類にとって、鼻は息をする器官、口は食べるための器官なのですが、人間は進化の過程で言語を習得し言葉を発するようになったことから、口でも呼吸ができるようになったといわれています。それくらい口呼吸は不自然なことなのです。

ところが最近は、無意識に口呼吸をして習慣化している方が増えています 。鼻呼吸の場合、鼻毛や粘液が空気中に漂うホコリや雑菌などの異物を取り除くフィルターの役割を果たしてくれます。しかし、口には鼻のような機能がないため、異物が侵入しやすく、感染症やアレルギーといった健康上のリスクを高めてしまうのです。また、口呼吸をしていると健康面での問題を引き起こすだけでなく、歯並びや顔つきにも影響を与える要因にもなります。

口呼吸のデメリット

口呼吸を無意識のうちに行っている方も多いでしょう。しかし、この呼吸法によっておきる様々な健康上の問題は、意外と知られていません。ここでは、なぜ口呼吸が問題なのかについて解説していきます。

口内の乾燥による不快感

口呼吸を続けていると、唾液が蒸発して口の中が乾燥し、喉の痛みや口の中のねばつきなどの不快感が生じます。唾液には、外から侵入するウイルスや細菌から身を守る抗菌作用があり、いわば門番のような存在です。しかし、口が乾燥して唾液が少なくなれば本来の自浄作用がうまく機能しません。口内の雑菌が増えて不衛生になり、口臭などのトラブルにつながります。

むし歯や歯周病、口臭のリスクが高まる

口呼吸が癖になっていると、唾液が減少して細菌の繁殖が活発になるため、むし歯や歯周病のリスクが高まります。唾液には、むし歯菌が放出する酸により歯の表面が溶かされるのを修復する「再石灰化」の働きがありますが、唾液の量が少なければその力を十分に発揮できません。むし歯菌や歯周病菌が増殖する過程で不快な悪臭を放つガスが発生し、それがまた口臭の原因になります。

歯並びが悪くなるおそれがある

歯並びは「舌が内側から押す圧力」と「唇や頬の筋肉が外側から押す圧力」のバランスがとれた真ん中の位置に安定する仕組みになっています。ところが、口呼吸で常に口を開けている状態だと、唇や頬の筋肉が発達しにくく、外側からの圧力が十分にかかりません。舌による内側からの力のほうが強くなり、歯が前のほうへ押し出されるため、出っ歯や受け口などになるおそれがあります。

感染症やアレルギー疾患にかかりやすくなる

鼻呼吸の場合、外気を取り込む際に一緒に入ってきた細菌やウイルス、ホコリ、花粉などを除去する働きがあるため、風邪などの感染症予防に役立ちます。一方、口には鼻のようなフィルター機能が備わっていません。異物を直接体に取り込むことになり、感染症やアレルギー性疾患にかかりやすくなります。

ほうれい線やたるみの原因になる

口呼吸を続けていると、空気を取り込むため常に口が半開きになるため、口周りの筋肉が十分に使われず、表情筋が衰えてしまいます。表情筋とは、顔の皮膚や脂肪を支える筋肉です。表情筋が衰えると、顔全体の皮膚にハリがなくなり、ほうれい線やたるみができやすくなります。

いびきや無呼吸を起こしやすい

口呼吸で口を開けている癖がある場合、寝ている時も自然に口が開くため、仰向けで寝ると下顎や舌が重力で気道へと落ち込みやすくなります。もともと寝ている時は喉の筋肉が緩んで気道を圧迫しやすいのですが、下顎や舌が下がることでさらに気道が狭くなり、いびきや無呼吸などの睡眠障害を起こしやすくなります。

顔立ちに悪影響を及ぼすことがある

口呼吸が習慣化すると、口で呼吸しやすいように顎の骨の形が形成され、顔立ちに悪影響を及ぼすことがあります。その代表が「アデノイド顔貌」です。アデノイド顔貌とは、唇が突出し、下顎が後退して首との境目がわかりにくい顔を指します。成長期に口呼吸が継続して行われると、アデノイド顔貌に見られるようなしまりのない顔つきになることがあるため、早期に鼻呼吸へ切り替えることが望ましいでしょう。

口呼吸になる原因

口呼吸になってしまう原因として、以下のようなことが考えられます。

鼻詰まり

副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などが原因で鼻詰まりが起こると、鼻からの空気の通り道が狭くなって息をしにくい状態になり、一時的に口呼吸になることがあります。とくにアレルギー性鼻炎が慢性化すると、それが癖になって口呼吸が常態化しやすいため注意が必要です。鼻詰まりの症状がある場合は放置せず、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

口周りの筋力低下

口の周囲には、口輪筋(口を開閉する時に使う筋肉)や舌筋などの筋肉があります。 これらの筋肉がしっかりと使われず、筋力が低下すると口呼吸に陥りやすくなります。口輪筋の筋力が低下すると、口を閉じたままの状態にするのが難しくなり、いわゆる「ポカン口」を引き起こしやすくなります。

舌に力が入っていない「低位舌」

低位舌とは、舌が正常な位置よりも低い位置にある状態のことをいいます。口を閉じた時に、舌は上顎の内側にくっついているのが正しい位置です。しかし、舌の筋肉が衰えていると舌の重みを支え切れなくなり、喉の奥に舌が垂れ下がってしまいます。低位舌の場合、舌の奥の部分が気道をふさいで息苦しさを感じやすくなるため、口呼吸をして気道を確保しようとするのです。

猫背などの悪い姿勢

猫背や前かがみの姿勢は肺を圧迫し、深い呼吸を妨げます。その結果、無意識に酸素を多く取り込もうとして口呼吸になりがちです。さらに口呼吸を続けることで、前かがみの姿勢や顎を前に出すような形になり、姿勢が悪くなるという悪循環が起こってしまいます。

口呼吸から鼻呼吸に切り替える方法

口呼吸は体へさまざまな悪影響を及ぼすため、本来の呼吸法である鼻呼吸に戻すよう努めることが大切です。ここでは、口呼吸から鼻呼吸に切り替えるためのトレーニング法をご紹介します。

鼻呼吸を意識する

習慣として口呼吸になっている場合、普段から意識して鼻呼吸を心がけましょう。そうすれば口が閉じる時間が少しずつ長くなり、口周りの筋肉を鍛えられます。鼻呼吸を習慣として定着させるには、トリガー(行動を起こすきっかけになる引き金)を設定するのがおすすめです。例えば、鼻の下にさわやかな香りがするクリームを塗り、香りがするたびに鼻呼吸を意識づけるのもいいでしょう。

姿勢を正す

姿勢を正すことも有効な方法です。背筋を伸ばすと気道が開いて呼吸が深まり、自然と鼻呼吸がしやすくなります。とくにデスクワークが多い方は猫背の姿勢が続くため、注意が必要です。30分を目安に立ち上がって意識的に背筋を伸ばし、軽く歩いたり、ストレッチしたりして、こまめに体を動かすようにしましょう。

「あいうべ体操」で口周りの筋肉を鍛える

あいうべ体操とは、口の周りにある口輪筋という筋肉を鍛える体操です。「あー・いー・うー・べー」と大きく口と舌を動かして行います。口周りや舌の筋肉を鍛えることで、舌が正しい位置に導かれ、自然と鼻呼吸ができるようになります。フェイスラインの引き締めにも効果的です。

あいうべ体操のやり方

  1. 「あー」大きく口を開ける
  2. 「いー」首に筋が張るくらい、口を大きく横に広げる
  3. 「うー」タコのように唇をすぼめて、前に強く突き出す
  4. 「ベー」顎の先を目指して、舌をしっかり下に伸ばす

やり方
1から4までを1セットとして、毎食後10セット、1日30セットを目安に行う

医療機関を受診する

鼻や口内に問題があって鼻呼吸がしにくくなっている場合、その問題を解決することが先決です。口呼吸はさまざまな原因がからみ合っていることもあるため、自分でできる対処法を試しても改善が難しい場合は、医療機関に相談し適切な治療を受ける必要があります。鼻詰まりがあって鼻で呼吸しにくいのであれば耳鼻咽喉科を、歯並びが原因で口が開いてしまうようなら歯科医院を受診しましょう。

鼻呼吸がうまくできない場合は早めに受診を

口呼吸を続けていると、健康上や見た目の面でさまざまなデメリットがあります。口呼吸が習慣化しているのであれば、鼻呼吸に切り替えることが重要です。意識しても鼻でうまく呼吸できない時は、なるべく早めに耳鼻咽喉科や歯科医院を受診しましょう。

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