舌に歯形やギザギザ跡がつくのは”むくみ”が原因かも

舌に歯形やギザギザ跡がつくのは”むくみ”が原因かも

舌がむくむというのはどういった状態を指すのでしょうか。ここでは、舌のむくみの症状や原因、対処法を解説します。

               
むくみと聞くと、足のむくみや手のむくみを想像する方が多いのではないでしょうか。実は舌もむくみを起こします。舌には、体のさまざまな不調がサインとなって現れるため、変化に気づいたら早めの対処が必要です。ここでは、舌がむくむ原因、舌がむくむことによるデメリット、むくみを予防・解消する方法をご紹介します。

舌がむくむってどんな状態?

舌のむくみとは、舌に余分な水分が溜まった状態です。舌のむくみの多くは、体全体に余分な水分が溜まっていることに伴って起こると考えられています。
人間の体のおよそ60%は水分で、そのうち約40%が細胞内に含まれる水分(細胞内液)です。残りの約20%は「細胞外液」といい、血液に含まれる水分や細胞と細胞の間にある水分で、むくみに関係しています。通常、体内の水分はほぼ一定に保たれていますが、何らかの原因で水分量のバランスが崩れると、血管から水分が多く染み出すことで細胞間の水分が増えて、全身がむくみやすくなります。もちろん舌も例外ではありません。
舌がむくむと、舌に違和感を覚えて、動かしにくさやしゃべりにくさを感じます。舌が大きくなり、可動域が制限されるため、食事や会話の際に舌を噛みやすくなることもあるでしょう。また、舌が膨らんでいると、歯と舌が接触しやすくなるため、舌のふちに歯形やギザギザの跡が残ることもあります。

健康な舌の状態とは

健康な舌の状態を知っておくと、自分の舌がむくんでいるかどうかを確認しやすくなります。健康な舌はピンク色で、舌のふちにギザギザとした歯形やむくみがなく、ごく薄く舌苔(ぜったい)がついた状態です。舌が全体的に膨らんでいる場合や、舌に歯形がついている場合は、むくみが生じていることが疑われます。

舌のむくみは水分バランスが崩れているサイン

舌は毛細血管が多く集まる粘膜組織なので、血流や体液の変化が現れやすい場所です。舌のむくみが生じている場合、体の水分代謝が滞り、過剰な水分が体内にとどまっているサインと考えられるでしょう。体内に余分な水分が蓄積されていると、胃液などの消化液が薄まって胃腸の働きが低下し、食欲不振や胃もたれといった症状を引き起こすことがあります。また、唾液も薄まることで、唾液による口内の自浄作用が低下すると、むし歯や歯周病にかかりやすくなるリスクも高まります。
東洋医学でも舌のむくみを、水の巡りが停滞したり偏ったりした状態である「水毒」と解釈します。一時的に起こるむくみは、舌を含め全身のどの部分でも起こり得るものです。しかし、その根本的な原因には血液の循環やリンパの流れの滞りがあり、放っておくと全身の健康に影響を及ぼすおそれがあるため、たかがむくみと侮らず、適切な対策をとることが大切です。

舌がむくむ原因

塩分をとりすぎている

塩分(ナトリウム)には水分を取り込む性質があり、塩分をとりすぎると、余分な水分が体内にとどまりやすくなります。また、人体には体内の塩分濃度を一定に保とうとする働きがあるため、塩辛いものばかり食べていると、血液中の塩分濃度を薄めようとして体内に水分を溜め込み、むくみを引き起こします。

基礎代謝が低下している

冷えや運動不足などで基礎代謝が落ちると、体内の水分代謝が低下して、体外に排出されなくなり、舌がむくみやすくなります。加齢に伴う筋肉量の減少も、基礎代謝を下げる原因の1つです。

食いしばりなどの癖がある

食いしばったり、唇を噛んだり歯でしごいたり、舌を歯に押し当てたり吸い付けたりといった口内の悪習慣も舌のむくみの一因です。食いしばりや舌を吸い付けるような癖があると、舌に過度の力が加わることで、その周辺の筋肉が緊張状態になり、血流やリンパの流れが滞るため、舌のむくみにつながります。
食いしばりなどの癖は、無意識のうちに行っていることが多く、本人は気づきにくいものですが、常に歯を食いしばっている状況が続いていると、舌や頬の内側に噛み跡が残りやすくなります。気がついたら力を緩めてリラックスするよう心がけましょう。

甲状腺の病気が隠れていることも

舌のむくみだけでなく、動悸・手の震え・疲れやすい・手足のむくみといった症状がある場合、甲状腺疾患が隠れているケースも少なくありません。甲状腺が不調だと、体中の水分をうまく代謝できず、あちこちに溜まってむくみが生じるようになります。症状に心当たりがあれば、まずかかりつけの医師に相談するか、内分泌科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。

舌のむくみによる影響

舌がむくみとギザギザした跡がついてしまう以外にもさまざまな影響があります。ここでは、その影響について解説します。

滑舌が悪くなる

舌がむくむと動かしにくくなり、滑舌が悪くなってきた、発音しづらい、しゃべりにくいと感じることがあります。

口内炎ができやすくなる

舌がむくむことにより、舌を誤って噛んでしまうことが多くなります。舌を噛んでできた傷口から細菌が感染すると、口内炎ができることがあります。口内炎は、口内の粘膜に起こる炎症の総称で、多くが痛みを伴います。

舌に痛みが生じる

舌がむくんで大きくなると、舌に歯が当たりやすくなり、痛みを感じることがあります。

舌のむくみの予防・解消法

舌がむくむことで歯に触れてしまい時には痛みが出ることもあります。そうならないように、舌のむくみを解消する方法と予防する方法について解説します。

塩分を多く含む食品を控える

塩分をとりすぎると、体内に水を溜め込みやすくなるため、舌のむくみを招きます。塩分の過剰摂取は、むくみだけではなく、高血圧などの生活習慣病を引き起こすリスクを高めるため注意が必要です。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、日本人成人の1日あたりの塩分摂取量(食塩摂取量)の基準を、男性7.5g未満、女性では6.5g未満と設定しています。インスタント食品やスナック菓子、麺類、味の濃いおつまみなど塩分の多い食べ物は、それだけで基準を超えることもあるので、できるだけ控えましょう。野菜や果物に多く含まれるカリウムは、体内のナトリウム(塩分)を排泄する働きがあるため、舌のむくみ予防におすすめです。

運動や入浴する習慣を身につける

運動をして筋肉量が増えると、血流が良くなって基礎代謝が上がり、各臓器へ必要な栄養や酸素が届けられて胃や腸などが活発に働くようになるため、余計な水分を体外に排出しやすくなります。激しい運動でなくてもいいので、軽いランニングやウォーキングなど、全身を動かして軽く汗をかく程度の運動を習慣化しましょう。
運動後は、シャワーで済ませるのではなく、湯船に浸かって全身を温めるのがおすすめです。血流が良くなって舌のむくみ解消に役立ちます。むくみ防止のためには、38~40℃程度のぬるめのお湯にみぞおち程度まで浸かり、20分程度半身浴をするのが効果的とされています。

体を冷やさないよう心がける

体が冷えると血行が悪くなり、代謝が落ちて舌のむくみの原因となります。気温の高い夏でも、冷房の効きすぎた部屋で長時間過ごしたり、冷たい飲み物をとりすぎたりすると体が冷えてしまいます。部屋や飲み物の温度を調整し、体を冷やしすぎない工夫をしましょう。

舌のトレーニングをする

舌を伸ばしたり動かしたりすると、舌だけでなく顔周りのむくみ解消にも効果的です。
  • 下顎を突き出し、天井に向けて伸ばす
  • 舌を鼻に向かって伸ばす
  • そのまま舌をゆっくりと左右に5往復動かす
  • 舌をゆっくりと上下に5往復動かす
  • 1~4を1セットとして、3セットを1日3回行う

セルフケアで改善しないなら医療機関の受診を

舌のむくみの多くは、セルフケアで解消します。ケアをしても改善が見られない場合は医療機関を受診しましょう。例えば、舌のむくみの原因が内臓疾患によるものであれば、内科や消化器内科を、甲状腺疾患によるものであれば内分泌科や耳鼻咽喉科を受診して、適切な治療を受ける必要があります。思わぬ病気が潜んでいる可能性も否定できないため、早めに相談しましょう。

舌のむくみに気づいたら、放っておかずに早めの対策を

舌は健康のバロメーターです。体のさまざまな不調がサインとなって現れるため、毎日の歯磨きの際にチェックする習慣をつけましょう。健康管理のためにも、舌のむくみに早めに気づいて、対処することが大切です。

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