歯ぐきから血を出すのはダメ? 血が出る原因と予防法

歯ぐきから血を出すのはダメ? 血が出る原因と予防法

自ら歯ぐきから血を出すのはダメですが、ではなぜ血を出して良いと言われるのかについて解説します。

               
歯ぐきを自ら傷つけて血を出す行為はNGですが、出血の原因によっては、血を出した方がよいとされるケースがあります。では、なぜ血を出しても良いといわれるのでしょうか。この記事では、歯ぐきから血を出した方が良いといわれる理由について解説します。

歯ぐきから血が出ても良い?

結論から言えば、出血の原因が歯周病である場合、歯ぐきからすぐに血が出るのはそこに炎症があるからで、血が出てしまうのは仕方がないことです。
むしろ、出血したからと歯磨きをやめないことが大切です。そこに細菌が潜んでおり、歯周病が進行してしまうおそれがあるため、きちんと磨いた方がよいです。
ただし、力を入れてゴシゴシと歯磨きしたり、わざと歯ぐきを傷つけたりして、出血を促すのはやめましょう。歯周病が原因で出血がある場合には、その箇所をやわらかい歯ブラシで、マッサージするようにゆっくり丁寧に磨くことが大切です。また、歯ブラシで磨いた後はフロスを使い、歯ブラシでは届かない歯と歯の隙間もケアしましょう。フロス中に再び出血があっても気にせずケアすることで、汚れをしっかり取り除くとともに余分な血も出し切れ、うっ血の早期改善が期待できます。なお、歯ぐきの出血が続く場合や痛みがあるときは、無理せずに早めに歯科医院を受診してください。

なぜ歯ぐきから血が出てしまうのか。

歯ぐきから血が出る原因は歯周病だけではありません。歯周病を含め、主な原因として以下の8つが挙げられます。ここでは歯ぐきから血が出る主な原因とその予防法について解説します。

歯周病

前述したように、歯ぐきから出血する主な原因が歯周病です。歯周病は、歯垢(プラーク)中の歯周病菌が歯と歯ぐきの間にたまり、毒素を出しながら繁殖することで生じる病気です。進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶け、歯がグラグラしたり抜け落ちたりします。

歯周病は自覚症状がほとんどなく進行すると言われていますが、人によっては、初期段階で「歯磨きすると血が出る」「口の中で血の味がする」といった症状が現れることがあります。また、歯ぐきが赤く腫れて、歯ブラシが触れると痛みを感じることもありますが、この段階で適切なケアを施せば、歯周病を改善することが可能です。具体的には、毎日の歯磨きやフロスの使用で歯垢を除去し、歯科医院で歯石取りや歯周ポケット内部のクリーニングといったメインテナンスを行うことで、早ければ2~3週間程度で完治します。

毎日の口内ケアと定期的な歯科検診で健康な歯を維持することで、歯周病による歯ぐきからの出血が防げます。

歯ブラシ・フロスの間違った使用

かたい歯ブラシを使ったり、汚れをしっかり落とそうとブラッシングのときに力を入れすぎたりすると、歯ぐきが傷ついて出血することがあります。また、フロスを使用する際にフロスを歯間に強く押し込んだり、フロスを歯ぐきに強く入れすぎたりしても歯ぐきがダメージを受け、出血を引き起こすことがあります。特にフロスをはじめて使ったときに歯ぐきを傷つけ、出血する方は珍しくありません。

このような歯ブラシやフロスの間違った使い方で出血する方は、まず歯ブラシをやわらかめのものにして、できるだけ軽い力で歯を磨くことをおすすめします。さらにフロスを歯間に入れる際はゆっくりと入れ、歯ぐきの中に挿入するときも歯ぐきを傷つけないように注意しましょう。

ブラッシングの力加減やフロスの使い方について詳しく知りたい方は、ぜひ歯科検診を受けてください。歯科検診では歯ぐきの状態や磨き残しをチェックしてもらえるだけでなく、自分の口内環境に合った歯ブラシの選び方や使い方などの歯磨き指導も受けられます。

<自分の歯磨きが正しくできているか気になる方はこちらの記事も参考にしてみてください>

歯ぎしり・くいしばり

歯ぎしりやくいしばりがきっかけで歯ぐきから出血するケースもあります。歯ぎしりやくいしばりの原因ははっきりとはわかっていませんが、身体的・精神的ストレスや噛み合わせによるものと言われています。歯ぎしりやくいしばりは無意識のうちに行われることが多く、そのほとんどが就寝中です。無意識で行われる歯ぎしりやくいしばりは、個人差はありますが、歯に非常に強い負荷がかかります。強い負荷が日々歯にかかり続けると、歯がぐらつき、歯ぐきに炎症ができやすくなり、軽い刺激でも出血しやすくなります。

歯ぎしりやくいしばり対策におすすめなのは、マウスピース(ナイトガード)の装着です。寝ているときに装着することで、歯ぎしりやくいしばりの力が分散して歯や歯ぐきへの負荷が軽減でき、炎症や出血を防ぐ効果が期待できます。また、歯ぎしりやくいしばりの原因とされるストレスのコントロールや噛み合わせを整える矯正治療も有効です。

ドライマウス

ドライマウス(口内乾燥症)とは、唾液の分泌が減少して口内が乾燥する状態のことです。ドライマウスになって唾液の分泌が減ると、口の中の食べかすを洗い流せなくなり、それが原因で口内環境が悪化し、歯ぐきが赤く腫れて出血を引き起こすことがあります。
また、自浄作用や洗浄作用がある唾液が少なくなると口内の細菌が増殖するため、歯周病のリスクが高まり、出血しやすくなります。

ドライマウスの主な原因は、加齢やストレス、薬の副作用、口呼吸、アルコールやカフェインの摂りすぎ、病気の影響です。

ドライマウスによる歯ぐきの出血を防ぐためには、こまめに水を飲む、ストレスをためすぎない、噛み応えのあるものをよく噛んで食べる、鼻呼吸を心がける、といった唾液量を増やす対策が有効です。
加えて、市販の口腔保湿ジェルやスプレーなどのドライマウス対策グッズを使ってみるのもよいでしょう。

ただし、改善が見られない場合には歯科医院に相談し、唾液分泌量の検査をしたり、薬物療法を受けたりするなど、適切な検査や治療を受けることが大切です。

薬の服用

薬の服用も歯ぐきから血が出る原因のひとつです。特に血栓の予防や治療に使用される抗凝固剤(血液をサラサラにする薬)を服用している場合、歯ぐきから出血しやすく、血が止まりにくくなることもあります。ほかにも抗てんかん薬や免疫抑制剤、降圧剤などの副作用で薬物性歯肉増殖になると、歯ぐきが赤く腫れ、出血しやすくなります。

薬に副作用がある場合には通常、服用者の注意すべき点が薬の添付文書に明示されています。医療用医薬品であれば、薬剤師から副作用についても説明を受けることができます。もし気なって調べてみたい方は、インターネットを利用して添付文書などを調べることもできます。

薬の服用が原因で歯ぐきからの出血が頻繁に起こる場合や、血が止まらないときは、医師に相談しましょう。主治医に相談することで、薬の量を調整したり、別の薬に変更したりなど、配慮してくれる可能性があります、また、薬物性歯肉増殖によって歯ぐきから出血がある場合には、歯科医院での治療が必要です。もし服用中の薬が医師に処方されているものの場合は、薬の服用を自己判断でやめてはいけません。。必ず医師の指示に従うようにしてください。

ホルモンバランスの変化

女性の場合、ホルモンバランスの変化が原因で歯ぐきから出血しやすくなることがあります。これはエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが歯ぐきの血流や代謝に影響を与えるからです。

中でもホルモンバランスが大きく変化する、生理前や妊娠期、更年期などの時期には注意が必要です。例えば、生理前は女性ホルモンが増え続けることで歯ぐきの血流量が増え、歯ぐきが腫れやすくなります。また、妊娠すると女性ホルモンが大量に分泌されることで、歯ぐきが腫れやすく、出血しやすくなります。特に妊娠中はつわりによって歯磨きが十分にできなかったり、唾液が減少したりするので歯周病リスクも高まります。そして更年期になると、今度は女性ホルモンの分泌量が低下することで歯ぐきの状態が悪くなり、出血しやすくなることがあります。

ホルモンバランスの変化による歯ぐきの出血を防ぐためには、日常的な口内ケアが重要です。歯ブラシやフロスを使って歯や歯と歯ぐきの間の汚れをしっかりと取り除き、定期的に歯科検診を受けましょう。

生活習慣

睡眠不足やストレスなどの生活習慣の乱れは、免疫力の低下を引き起こし、歯ぐきからの出血につながることがあります。例えば、睡眠不足になると体の回復力が低下し、免疫システムの機能を弱め、歯ぐきが炎症しやすい状態になって出血のリスクが高まります。ストレスも同様に免疫力が低下するため、歯ぐきの健康リスクを脅かします。

また、喫煙も歯ぐきからの出血の原因になり得ます。タバコに含まれる有害物質は口内環境に多くの悪影響を及ぼすことが知られています。喫煙によって口の中の血流が悪化すると、歯ぐきに酸素や栄養が十分に行き届かなくなり、その結果、歯ぐきが弱まり、出血しやすくなります。さらに喫煙は唾液の分泌量を低下させ、歯ぐきの炎症や出血につながるだけでなく、歯周病やむし歯のリスクも高めます。

生活習慣の乱れによる歯ぐきの出血を防ぐためには、まずは規則正しい生活を心がけることが大切です。十分な睡眠をとって適度な運動を取り入れ、ストレスをコントロールすることで免疫力がアップし、歯ぐきの健康を保てます。さらにタバコの量を減らしたり、禁煙したりするのも効果的です。禁煙することで血行が改善され、唾液の分泌が正常に戻り、歯ぐきの健康回復が期待できます。もちろん日常的な口内ケアも怠らないようにしましょう。

全身疾患

歯ぐきからの出血は、糖尿病や白血病、再生不良性貧血、血友病などの全身疾患が原因の場合もあります。全身疾患があると、口内環境が悪化しやすく、歯ぐきから出血するリスクが高まります。

例えば、高血糖が慢性的に続く糖尿病の場合、歯周病になりやすく、歯ぐきの炎症が治りにくいため、そこから出血することがあります。

また白血病は血液中の白血球が異常に増加する病気です。正常な血液細胞が減少することで歯ぐきからの出血や鼻血などの出血症状が出やすくなります。加えて白血病患者は免疫力が低下するため、口内の感染症にもかかりやすいです。

このような全身疾患による歯ぐきの出血を防ぐには、病気の早期治療が重要です。さらに定期的な歯科検診で、こまめに歯の状態を確認しましょう。

歯ぐきから血が出ても避けずに歯を磨こう

歯ぐきから血が出るのを避けるために歯を磨かないでいると歯肉炎が悪化し、歯周病が進行するおそれがあります。特に歯周病の初期段階で適切な口内ケアを行えば改善が期待できるため、やわらかい歯ブラシやフロスを使って丁寧に歯を磨きましょう。

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