歯周病の初期に現れる自覚症状は?手遅れのときの症状も解説

歯周病の初期に現れる自覚症状は?手遅れのときの症状も解説

この記事では、自覚しにくい歯周病の初期症状と手遅れになったときの症状について解説します。

               
歯ぐきがブヨブヨしたり、出血が見られたりする場合は歯周病が疑われます。歯周病は、初期症状のうちに対処することが重要です。この記事では、初期治療のメリットをはじめ、症状が進行した場合のリスクや手遅れになる前に対処すべきことを解説します。歯周病の予防と治療の重要性を理解し、直ちに行動を起こすきっかけにしてみてください。

歯周病の初期に現れる自覚症状4つ

歯周病は進行するまで自覚しづらい病気ですが、手遅れになる前に早めに気付くことが非常に大切です。初期段階で対処することで重症化を防ぎ健康で強い歯を長く維持できます。

以下より、歯周病の初期に現れる自覚症状を4つご紹介します。これらの症状に気付いた際は、早めに歯科医院で診察を受け、適切なオーラルケアを始めることが治療の第一歩です。

1. 歯ぐきを押すとブヨブヨする

歯ぐきを押した際にブヨブヨとした感触がある場合、歯ぐきに炎症が起こっているおそれがあります。通常、健康な歯ぐきは薄いピンク色で引き締まっています。しかし、炎症を起こしている部分は歯ぐきが赤く腫れるため、触ってみるとブヨブヨと柔らかく感じることが多くなります。

このような変化は、頬の粘膜と比較すると一目瞭然です。また、炎症が進行するにつれて、歯ぐきがむずがゆく感じるほか、場合によっては痛みを伴うこともあります。歯ぐきがブヨブヨになる症状は、歯周病の代表的な初期症状のひとつです。歯科医院で適切な治療を行うことで、早期の改善が可能です。

<歯ぐきの健康状態は色にも注目しましょう。歯ぐきの色についてはこちらの記事で詳しく解説しています。>

2. 時々歯ブラシやフロスに血がついていることがある

健康な歯ぐきでは、軽いブラッシングやフロスで出血することはありませんが、歯周病の初期症状では出血が見られることがあります。歯周病によって炎症を起こしている歯ぐきは、軽くブラッシングするだけでも出血しやすいです。そのため、歯ブラシやフロスに血がついてしまいます。これらの出血は少量で、なおかつ痛みを伴わないことが多いため、気付きにくいことが特徴です。

歯周病が進行すると、最終的にはブラッシングをしなくても出血するようになります。多少の出血があっても諦めずに、丁寧なブラッシングを継続し、適切なオーラルケアを行うことが大切です。出血を理由にブラッシングを怠ると、歯垢や歯石がさらに溜まり、炎症が悪化するおそれがあるので注意しましょう。

3. 口の中がネバネバする

口の中がネバネバする不快感は、口内の細菌が増殖することが主な原因です。日頃のオーラルケアが不十分な場合、歯垢や歯石の蓄積によって細菌の繁殖が進行し、歯ぐきに炎症を起こします。細菌は、食べかすや歯垢を栄養にして増殖し、粘性のある物質を作り出して口の中にネバネバ感を引き起こします。また、このような状態が続くと、歯肉溝(歯と歯ぐきの間の溝)から「歯肉溝浸出液」という粘度の高い液体が分泌され、口の中のネバネバが広がっていきます。

唾液の分泌が減少することも、口の中がネバネバする原因のひとつです。歯周病が進行すると、唾液の量が減って口内が乾燥しやすくなるため、細菌のさらなる増殖により症状が悪化します。日頃のオーラルケアが不十分な場合、このような兆候が現れることがあるため、早期に気付いて対処することが大切です。

4. 口臭が強くなる

歯周病が進行すると、口臭が強くなる場合がありますが、これは口内の細菌が増殖し、その代謝産物として「揮発性硫黄化合物」が発生するためです。揮発性硫黄化合物は卵や玉ねぎが腐ったようなニオイに例えられ、歯周病が進行すると口臭が極端に強くなることがあります。特に、歯の周囲の深い部分で細菌が活発化すると、強いニオイを放つガスを生成し、口臭がひどくなります。

初期の歯周病では、本人が口臭の変化に気付かず、他人に指摘されて初めて気付くケースが少なくありません。歯周病による口臭を改善するためには、定期的な歯科検診と適切なオーラルケアが必要です。ブラッシングやフロスをしっかり行い、歯垢の除去を徹底することで、口臭と歯周病の進行を防止できます。

歯周病を初期の段階で治療するメリット

歯周病を初期段階で治療することには、いくつかメリットがあります。最も重要なのは、症状の進行を止めることができることです。歯周病は徐々に進行する病気のため、早期に治療を始めることで、軽い症状のうちに進行を抑制することができます。これにより、歯ぐきや歯周ポケットの状態が改善され、歯ぐきが引き締まり、健康な状態を維持できます。
歯周病が進行してしまい、一度下がった歯ぐきや失われた骨は元に戻りません。したがって、歯周病が重症化して手遅れになる前に治療を行うことで、口内の健康を維持する、つまり何の不自由もなく日常生活を送れることが最大のメリットです。

初期症状の段階で治療を開始することで治療費の負担を減らせるメリットもあります。例えば、軽度の歯周病では、初期の検査とクリーニング以外はセルフケアが中心となることも多いため治療費の負担が軽くなります。また、重症化してから治療を始める場合と比べて、トータルの歯科医院への通院回数も少なくなるので、通院にかかる費用や時間の負担も軽減されます。

歯周病が手遅れになるとはどういう状態? 症状4つ

「手遅れ」とは、歯科治療で改善が見込めない状態を指します。歯周病は歯肉炎から始まり、軽度の歯周病、中等度の歯周病を経て、重度の歯周病へと進行します。

歯肉炎は歯ぐきの軽い炎症であり、この段階ではまだ回復が可能です。軽度の歯周病では歯ぐきの炎症が進み、歯周ポケットが深くなり始めますが、適切な治療を受けることで治すことができます。

中等度の歯周病では歯ぐきがさらに下がって、歯を支える骨が溶かされていきます。ただ、歯周組織の再生手術などによって、歯を残せる可能性があります。

重度の歯周病では歯周組織の大部分が破壊され、歯がグラグラするなど抜歯が必要な状態になるため、手遅れとされています。

以下より、重度の歯周病で見られる症状を4つご紹介します。これらの症状が現れる前に、適切な治療を受けるよう心がけましょう。

1. 歯ぐきから膿が出る

歯周病が進行すると、歯ぐきが腫れて膿が出ることがあります。これは、歯と歯ぐきの間にある歯周ポケットに細菌が増殖し、炎症を起こすためです。膿は感染のサインであり、歯周病が深刻な段階に達していることを示します。膿が出ることで、口内の環境が悪化し、口臭も発生します。

膿の存在は、歯周病が手遅れの状態に近づいていると予想され、状態によっては歯をのこす治療が難しい段階です。このような状態になる前に、早めに適切な治療を受けましょう。

2. 噛むと痛む

噛むと痛みを感じるのは、歯周病が重症化しているサインのひとつです。この痛みは、顎の骨が溶けてしまい、歯を支える力が弱まっているために起こります。顎の骨が歯を十分に支えられなくなると、噛むたびに歯が不安定な状態になり、過度の力がかかることで痛みが生じます。

この症状は、歯周病がすでに深刻な段階に達している可能性が高いです。放置すれば歯の痛みはさらに悪化し、歯自体が抜け落ちるリスクが上がります。

3. 顎の骨が溶けて歯がグラグラする

歯周病が進行すると歯を支える顎の骨、すなわち「歯槽骨」が徐々に溶けていきます。これは、感染した部位を除去しようとする身体の防御反応によるものです。

歯周病の進行は、まず口内で細菌が増殖し、歯ぐきに炎症が生じることから始まります。炎症が広がるとやがて歯槽骨にまで達し、骨が溶けていくという仕組みです。歯槽骨が失われると歯を支える力弱まり、歯がグラグラと揺れるようになります。

このような状態では、食べ物を咀嚼することが難しくなり、日常生活に大きな支障をきたします。症状の進行度によりますが、骨や歯周組織の回復が困難になり、抜歯が必要になる場合があります。

4. 歯が抜け落ちる

歯周病が重度に達した場合、最終的には歯が抜け落ちることがあります。これは、歯を支える骨である歯槽骨が完全に溶けてしまい、歯を支えられなくなるためです。歯周病の進行速度は非常にゆっくりですが、最終段階に入ると歯が抜け落ちるリスクが上がります。抜けてしまった歯を元に戻すことはできません。

歯が抜け落ちたら、食事や会話に支障をきたすだけではなく、他の歯にも悪影響を及ぼすことも考えられます。これまで何度も述べたように、歯周病の進行を食い止めるためには早期の治療が大切です。

歯周病が合併症につながることもある

歯周病の放置は、単に歯や歯ぐきの問題にとどまらず、さまざまな合併症を起こすリスクがあります。

歯周病菌が増えると、免疫細胞が過剰に反応して炎症を起こし、同時に「アミロイドβ」という物質が生成される仕組みです。この物質が脳に浸透した場合、アルツハイマー病にかかるリスクが上がるとされています。さらに、咀嚼機能は認知機能の維持・改善にも関係しているといわれており、歯が抜けるなどして咀嚼機能が低下すると、脳機能の低下につながるため、認知症リスクも上がります。

また、歯周病菌が血管内に侵入してしまうと、心臓の部位に細菌感染を起こす心内膜炎になりかねません。誤嚥によって、歯周病菌や毒素が肺に到達することで、誤嚥性肺炎を起こすことも考えられます。

歯周病は糖尿病と密接に関連しており、歯周病の進行は糖尿病の症状を悪化させる原因のひとつであり、糖尿病によって歯周病が進行するため、双方の症状を悪化させる要因となります。
妊娠中の女性が歯周病にかかった場合には、血流を通じて歯周病菌が子宮筋に作用し、早産や低体重児出産のリスクが上がります。

歯周病は自分で治せない!歯科医院の専門的な治療が必要

歯周病の発生を予防する、また進行を遅らせるためには、毎日のブラッシングが非常に大切です。歯垢を取り除き、歯ぐきを清潔に保つことで、歯周病のリスクを減らせます。さらに、歯ブラシでは届かない歯と歯の間にあるプラークを取り除くためには、歯間ブラシやデンタルフロスの使用が効果的です。これらのオーラルケアは、歯周病の予防にとても役立ちます。

しかし、歯周病がすでに進行している場合、日常的なオーラルケアだけでは、歯周病を完治させることは困難です。歯と歯ぐきの間にある歯周ポケットの奥深くに、歯垢や歯石が溜まってしまうと、個人のケアでは完全に取り除けないので、歯科医院での専門的な治療が欠かせません。

歯科医院では、専用の器具を使って歯周ポケット内の歯垢や歯石を徹底的に除去する「スケーリング」や、歯根の表面を滑らかにする「ルートプレーニング」で治療を行います。これにより、歯周病の進行を食い止め、健康な歯ぐきを取り戻せるようになります。

したがって、日頃のオーラルケアに加え、深刻な症状が現れる前に、専門的な治療を早めに受けることが大切です。

「歯周病かも…」と思ったら早めに歯科医院へ

歯周病は重症化すると、歯や骨の損失につながる口内の病気です。初期症状を見逃すと、症状はどんどん悪化してしまいます。さらに、歯周病はさまざまな合併症を起こすリスクもあるため、日頃から予防を心がけることが重要です。もし歯ぐきの腫れや出血、口臭などの症状を感じたら、手遅れになる前に早めに歯科医院で治療を受けましょう。また、症状がなくても歯周病は自覚なく進行することが多いため、健康な方も定期的に歯科医院で検査を受けることをおすすめします。

近隣のクリニックを検索

関連記事

ピックアップ

医療機関の方へ

シルハは口腔環境6項目を簡単操作で5分でスクリーニングできる唾液検査です。
製品情報・お問い合わせはコチラ

SillHa.comでは全国の歯科医院の情報を掲載しています。
より詳細なご施設情報の掲載をご希望される場合はこちら