あなたの歯ぐきは何色? 歯ぐきの健康な色と悪い色について解説

あなたの歯ぐきは何色? 歯ぐきの健康な色と悪い色について解説

歯ぐきの色は、歯の色やむし歯と同じくらい気にかけることが重要です。歯ぐきの色や状態によっては、歯周病など口内環境に異常があるかもしれません。この記事では健康な歯ぐきの色や状態、異常がある場合の歯ぐきの色や状態、そして歯ぐきの色を健康な色に戻す方法について解説します。

               

健康な状態の歯ぐきの色は「淡いピンク色」

一般的に健康な状態の歯ぐきは、淡いピンク色をしています。これは歯ぐきの中の毛細血管がキレイに見えるからです。また、理想的な歯ぐきは歯と歯の間が丸みのないシャープな三角形をしています。歯磨きやデンタルフロスをしたとき、健康的な歯ぐきの場合は、過度に力をかけて傷付けない限り出血することはありません。

健康な歯ぐきは、全体が引き締まっており、指先で軽く押すと少し硬いくらいの弾力があります。さらに「スティップリング」と呼ばれる、細かいくぼみが現れます。これは歯ぐきのコラーゲン繊維と歯の根を支える歯槽骨がしっかり密着し、良好な状態である証しです。

健康な歯ぐきの状態についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

こんな歯ぐきは要注意! 色・状態で見る歯周病の進行度

健康な歯ぐきが淡いピンク色をしているのに対し、歯周病があると歯ぐきの色は赤らみます。さらに症状が悪化すると歯ぐきが腫れ上がって黒ずんだ赤色になります。ここでは歯周病の進行度別に歯ぐきの色や状態について解説します。

初期の歯周病は充血したような赤色

歯ぐきが充血したような赤色のときは、歯周病を疑いましょう。初期の歯周病では、歯周病菌を撃退するために血液が歯ぐき周辺に集まることで、歯ぐきが充血したような赤色になります。また、色だけでなく歯ぐきの状態も変化します。本来ならシャープな三角形をしている歯と歯の間の歯ぐきが、歯周病になるとぷっくりと腫れ、指の先で押すとぶよぶよとした弾力のないやわらかさが感じられます。

さらに歯磨きをすると出血するようになり、口臭を感じることもあります。しかし、歯周病の初期は痛みがほとんどないため、気づかないことが多いです。

中等度の歯周病は歯ぐきが赤紫色に腫れ上がる

中等度まで進行すると、歯ぐきの色は赤色から赤紫色へと変化します。これは歯周病によって歯ぐきの状態がさらに悪くなり、歯ぐきの血液循環が滞ってうっ血が生じるからです。

健康な歯ぐきの場合、歯と歯ぐきの隙間の深さ(歯周ポケット)は1~2 mm程度ですが、歯周病が進行すると歯周ポケットが深くなります。初期の歯周病では歯周ポケットの深さは3〜4 mm程度ですが、中等度の歯周病になると5〜6 mmまで進行します。

歯周ポケットが深くなると、歯ブラシでは届かないところにプラークや歯石が溜まることで歯周病菌が増殖しやすくなります。やがて歯を支える歯槽骨や歯周組織が溶け、歯自体がぐらつきだします。ほかにも中等度の歯周病になると、簡単に歯ぐきから出血する、歯ぐきから膿が出る、歯ぐきが下がって歯が長くなったと感じる、歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなる、冷たいものがしみる、口臭が顕著になる、といった症状が現れることがあります。

重度の歯周病は膿が出て黒ずんだ赤色になる

歯周ポケットが深さ6 mm以上になると、重度の歯周病と判断されます。中等度まで進行すると、歯ぐき内部で出血が起こり、歯ぐきから膿が出る排膿(はいのう)と呼ばれる症状が見られますが、重度の歯周病まで進行すると、それらの症状が悪化し、歯ぐきが赤黒く変色するようになります。

また、重度の歯周病になると、歯槽骨が半分以上破壊され、放置すると歯が抜け落ちるおそれがあります。また、口の中がネバネバする、歯ぐきからの出血がひどくなる、歯のぐらつきが激しく食事がしにくくなる、口臭が強くなる、など日常生活に支障をきたす症状も現れます。

歯ぐきが茶・黒・白っぽくなるのは、歯周病以外の原因も考えられる

歯ぐきの変色は歯周病だけが原因とは限りません。ほかにも以下のような原因で、歯ぐきが黒色や茶色、白色に変色することがあります。

【歯ぐきが黒い】金属イオンの沈着

金属を使用した差し歯や被せ物、土台、またはインプラントなどを使用していると、その周囲の歯ぐきが黒くなったり紫色になったりすることがあります。これは、差し歯や被せ物などに使われている金属が経年劣化して、金属イオンが溶け出し、歯ぐきに沈着するためです。この金属イオンが原因で引き起こされる歯ぐきの黒ずみを「メタルタトゥー」と言います。

メタルタトゥーは、歯の根元部分の歯ぐきが帯状または斑点状に黒く変色するのが特徴です。特に問題を起こしやすいのが、保険治療の一つである銀合金です。銀合金は、他の金属よりイオンが溶け出しやすいため、メタルタトゥーを起こす可能性が高いです。メタルタトゥーは一般的に健康に影響を与えるものではありません。

しかし、金属イオンが溶け出すと体内のタンパク質と結合し、アレルギーの原因物質に変化します。そうすることで金属アレルギーを引き起こすおそれもあります。そのため保険治療を行う場合は、銀合金以外のチタンを選択するのが望ましいです。

【歯ぐきが黒い】メラニン色素の沈着

歯ぐきには、皮膚と同様にメラニン色素を産生するメラニン産生細胞が存在しています。肌が紫外線の刺激で日焼けするように、歯ぐきも紫外線や口呼吸などの外的刺激によってメラニン色素が沈着し、歯ぐきが黒ずむことがあります。

ほかにも歯ぐきにメラニン色素が沈着する原因として、強いブラッシングや刺激の強い食べ物、コーヒーやワインなど着色しやすい飲み物の摂取、喫煙などが挙げられます。

なお、メラニン色素の量は個人差があり、人によっては遺伝的な原因で歯ぐきが元々黒く見える場合もあります。また、メラニン色素そのものは健康に影響を及ぼすものではありません。

【歯ぐきが茶色い・黒い】喫煙

喫煙は歯ぐきに多大な悪影響を与えます。タバコを吸うと、タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素が歯ぐきの血行不良を起こし、歯ぐきを黒くさせる原因になります。場合によっては、歯ぐきが赤紫色に見えることもあります。喫煙による歯ぐきの黒ずみは、歯ぐき全体に現れるといった特徴があります。

また、喫煙をすると、有害物質から歯ぐきを守るためにメラニン色素を生成します。通常であればビタミンCによってメラニン色素の沈着は抑えられます。しかし、タバコを吸うとビタミンCが大量に消費されるため、メラニン色素の沈着が起こりやすくなります。喫煙歴が長くなるほど歯ぐき全体が黒く変色します。

【歯ぐきが白い】白板症

歯ぐきが白くなる原因として、注意すべきなのが白板症です。白板症とは、頬の内側や歯ぐき、舌などの粘膜に現れる白っぽい病変です。痛みやかゆみといった自覚症状はほとんどありません。

白板症の原因はまだ解明されていませんが、喫煙やアルコール、加齢、合っていない被せ物などが関連していると考えられています。白板症は前がん病変の代表的な疾患であり、がん化する確率は約3~10%と言われているので、白板症の疑いがある場合には直ちに医療機関を受診しましょう。

歯ぐきを健康な色に戻す方法

歯ぐきの変色については、その原因を解消・治療することで、再び淡いピンク色の歯ぐきを手に入れられるかもしれません。ここでは歯ぐきの色を健康な色に戻す方法について解説します。

歯周病治療を行う

歯周病が原因で歯ぐきの色が変わってしまっているなら、歯周病治療を行いましょう。初期の歯周病なら、歯周病治療を行うことでキレイな淡いピンク色の歯ぐきを取り戻せる見込みがあります。初期の歯周病の場合は、歯科医院で「超音波スケーラー」などの器具を使い、歯にこびりついた歯垢や歯石を除去します。これらの処置に加えて、歯科医院で指導を受けた正しいブラッシング法で歯を磨くことにより、歯ぐきの赤みや腫れが徐々におさまっていきます。

ただし、歯周病がかなり進行していて、歯周ポケットが深く、歯が抜けそうなほど重度の歯周病の場合は、歯垢や歯石の除去だけでは正常な歯ぐきを取り戻すことは難しいです。症状によっては、歯周ポケットを浅くするために歯ぐきを移植する手術が検討されることもあります。

差し歯や支台を交換する

メタルタトゥーにより歯ぐきが黒くなっている場合には、原因となっている金属の除去で歯ぐきの色の改善が図れます。具体的には、差し歯やその支台、詰め物を外し、金属を使わない素材に交換します。保険治療で使われている差し歯や歯の土台の多くには、銀やパラジウムなどを含有する歯科用合金が使われています。これらをセラミックや樹脂製のものに交換することで、金属イオンの沈着がなくなり、メタルタトゥーの再発を防げます。さらに金属アレルギーを引き起こす心配もなくなります。

また、形の悪くなった差し歯の交換や、土台の交換をすることで歯並びや歯の色がキレイになるので、見た目が格段に良くなるというメリットがあります。ただし、セラミックなどの素材は自由診療となるので注意しましょう。

差し歯や土台を交換しメタルタトゥーの原因である金属を除去した後は、歯ぐきの新陳代謝によって歯周組織が新しくなっていき、黒ずみが自然治癒する場合があります。しかし、自然治癒による黒ずみの解消には時間がかかり、確実性も劣るため、確実な改善を希望する場合には、次章で解説する「ガムピーリング」を行うのが一般的です。

ガムピーリングを行う

メラニン色素の沈着により歯ぐきが黒くなっている場合や、喫煙により歯ぐきが茶色や黒に変色している場合、もしくはメタルタトゥーにより歯ぐきが黒くなっているなら「ガムピーリング」が有効です。ガムピーリングとは、歯ぐきの表面を一層剥がして新しい健康な歯ぐきへ生まれ変わらせる治療法のことです。ただし、ガムピーリングを行う際は必ず差し歯や支台を交換した後に行うことが重要です。なぜなら金属が除去されていないと、せっかくガムピーリングで歯ぐきを元の色に戻してもいずれ金属イオンが沈着し、再び歯ぐきの色が黒く変色するおそれがあるからです。

ガムピーリングには、歯ぐきに薬剤を塗布する「ケミカルガムピーリング」とレーザーを用いて治療する「レーザーガムピーリング」の2種類があります。ケミカルガムピーリングでは、まず歯ぐきの洗浄・消毒を行い表面麻酔をし、フェノール剤を塗布してアルコール剤で中和します。フェノール剤の塗布とアルコール剤での中和を数回繰り返したらガムピーリングは完了です。そして術後1〜2週間で歯ぐきが本来の色に戻ります。ただし、フェノールやアルコールにアレルギーがある方、歯周病などで歯ぐきに炎症がある場合には、ケミカルガムピーリングはできません。

一方のレーザーガムピーリングは、変色した歯ぐきにレーザーを照射して歯ぐきの黒ずみを除去します。多少のひりひり感はありますが、治療時や治療後の痛みが少なく、歯ぐきを焼いた痕も、2~3日でなくなっていくほど治りが早いのが特徴です。治療は1回で終わる方もいますが、メラニン色素の層が厚い方は3回ほどかけて通院することで、本来の色に戻ります。ただし、喫煙者の場合は、メラニンが再着色する可能性があるため注意しましょう。

どちらのガムピーリングも効果には個人差があるため、色素沈着が濃い場合には複数回の施術が必要であり、完全に改善できない場合もあります。

まとめ:健康な歯ぐきの色を目指しましょう

歯ぐきの着色は見た目が悪いだけでなく、口内環境になんらかの異常がある可能性があります。重度の歯周病のような手遅れにならないよう定期的に鏡で自分の歯ぐきをチェックし、淡いピンク色でない場合には速やかに適切な対策を講じることが大切です。

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