秋に感じる眠気、その秘密とスッキリ過ごすためのヒント

秋に感じる眠気、その秘密とスッキリ過ごすためのヒント

この記事では、寝ても眠い、寝つきが悪いなど秋に起こりがちな「眠い」状態の原因や睡眠不足による影響について解説します。

               
秋になりなんだか眠気を感じるようになったという方も多いのではないでしょうか。しっかり寝ても眠くなる、寝つきが悪い、熟睡できないなど睡眠に悩む方もいるかもしれません。今回は、秋に起こりがちな「眠い」状態の原因や睡眠不足による影響について解説します。

秋に睡眠不足になる理由

気温差が激しい季節の変わり目は、睡眠に悪影響を及ぼす原因がいくつかあります。ここでは秋になりやすい睡眠不足、眠いと感じる原因を解説します。

気温の変化による自律神経の乱れ

自律神経は、身体活動を活発にする交感神経と、身体活動を抑えてリラックスさせる副交感神経に分かれます。睡眠時には副交感神経が優位となることで、リラックスした状態になります。副交感神経がうまく働かないと、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりする場合があり、睡眠トラブルの要因となります。
また、自律神経は変化やストレスに弱いといわれます。秋のように気温の変化が大きい季節は、体温調節するために自律神経が過剰に働きます。すると、エネルギーを消耗しやすくなり、疲労が蓄積する原因になります。気温の変化で引き起こされる身体的な疲労感は、寒暖差疲労と呼ばれ、倦怠感や眠気が強くなり、慢性的疲労に悪化して症状が長引くこともあるため注意が必要です。

日照時間の減少によるセロトニンとメラトニンの減少

秋は日照時間が徐々に短くなる時期です。セロトニンは精神を安定させる脳内物質で、強い光によって分泌が促進されます。秋のように日照時間が減少する季節は、セロトニンが減少しやすくなる時期でもあります。セロトニンの減少によって脳の活動が低下し、気分が落ち込みやすくなるといわれ、「秋うつ」とも呼ばれます。
また、体内時計を整えて眠気を引き起こすホルモンであるメラトニンは、セロトニンを原料としています。セロトニン不足によりメラトニンまでも分泌されにくくなるのです。メラトニンが減少すると眠気が強くなり、睡眠を取っていても眠い状態に陥ってしまいます。

口内環境も睡眠の質に影響する

口内環境の悪化は睡眠に大きく影響し、さらに健康にも悪影響を及ぼすことがあるとされています。どのような影響があるのかを解説します。

炎症や細菌の増殖が睡眠障害につながることがある

口内環境の状態は、全身の健康にも大きく影響を与えるとされています。口内の細菌が増えると、口臭の原因となるだけでなく、歯や歯ぐきの健康を悪化させるおそれがあります。これがさらに進行すると、体全体の健康に影響を与え、慢性的な疲労感や、睡眠時無呼吸症候群のような睡眠障害を引き起こすおそれもあるのです。つまり、口内環境の悪化が、最終的には睡眠の質にも悪影響を及ぼすこともあります。全身の健康を守るためにも、口内ケアを行って睡眠障害を防ぐことは大切です。

口呼吸による乾燥が夜間の目覚めを引き起こすことがある

秋は空気が乾燥するため、口内も乾燥しやすくなります。口呼吸によって口内が乾燥すると、喉が渇いたり口の中がネバネバしたりして、不快に感じるかもしれません。これが原因で夜間に目が覚めたり、睡眠が浅くなったりすると、睡眠の質が低下するおそれがあります。

歯周病が生活習慣病につながることもある

歯周病は糖尿病との関係が深く、糖尿病になると歯周病の進行が早くなり、歯周病になると糖尿病の血糖コントロールが悪化するといわれています。

また糖尿病と睡眠には深いかかわりがあり、睡眠が短い場合、インスリンの働きを妨げるホルモンなどが分泌されやすくなるため、インスリンの効果が弱まり、血糖値が上昇します。したがって、睡眠不足になると血糖のコントロールが悪くなり、糖尿病のリスクが高まるといわれています。その影響で、糖尿病と密接にかかわる歯周病も悪化してしまうおそれがあります。

睡眠の質の低下は歯周病の原因にもなります。歯周病が進行するリスクの1つにストレスによる自律神経の乱れがありますが、睡眠不足も同様といえるのです。睡眠時無呼吸症候群などの睡眠呼吸障害があると睡眠の質が低下して睡眠不足に陥り、歯周病にかかりやすくなったり状態が悪化したりするおそれがあります。

睡眠の質も口内環境に影響する

ここまで口内環境が睡眠に与える影響を解説しましたが、睡眠の質が口内環境に影響を及ぼすこともあります。

セロトニンの減少は唾液分泌に影響する

唾液の分泌は交感神経と副交感神経からなる自律神経によって調節されています。副交感神経は、睡眠中に働きリラックス効果をもたらします。一方、セロトニンは心のバランスを整える作用のある神経伝達物質であり、自律神経を調節する働きを活性化させることにより、心のバランスを整える役割があります。そのため、セロトニンが減少すると自律神経がうまく働かなくなり、唾液の分泌にも影響します。
セロトニンが唾液分泌のための副交感神経の中枢に影響することを示した研究結果もあります。

睡眠不足によって歯周病になりやすくなる

睡眠不足はさまざまな病気の原因になり得るといわれていますが、その1つに歯周病があります。
自律神経のバランスの乱れが睡眠障害につながることはすでに説明しました。自律神経の乱れによって病原体を排除する細胞の活性が低下し、免疫力の低下につながることで、口内の歯周病菌が増殖しやすい環境が作られてしまいます。

睡眠不足の解消法

秋の眠気を引き起こす原因は、さまざまな要因から引き起こされる睡眠不足であることを説明してきました。ここでは、秋の眠気の原因である睡眠不足の解消法についてご紹介します。

朝の日光を浴びる

朝に日光が目から入ると、脳の視床下部に信号が送られ、体内時計がリセットされます。これによって、不規則な生活などで生じた生体リズムのズレが整い、質の良い睡眠が取りやすくなるといわれています。

また、光を浴びるとセロトニンの分泌が促されますが、セロトニンは睡眠を引き起こすホルモンであるメラトニンの原料にもなります。一般的にセロトニン分泌の14~15時間後にはメラトニン分泌が始まるといわれており、朝日を浴びる行動が起点となって自然と眠くなりやすくなり、質の良い睡眠を得られるようになるのです。

短時間の昼寝をする

短時間の昼寝には、睡眠リズムがずれるのを防止し、規則正しい睡眠習慣を手助けする効果があるといわれています。効果的な仮眠時間には個人差があり、疲れの程度や前日の睡眠時間も影響するため10分~20分ほどが目安とされます。
良質な昼寝かどうかは、
・眠気が軽減しているか
・起きたときに頭がすっきりしており、作業効率が上がるか
で判断しましょう。

トリプトファンを摂取する

セロトニンを生成するために必要な栄養素は、必須アミノ酸の1つであるトリプトファンと、トリプトファンからセロトニンを作る過程で重要なビタミンB6です。
トリプトファンは、体内では合成できず、タンパク質を構成するアミノ酸の1つとして食品に含まれています。トリプトファンとビタミンB6を摂取するのにおすすめの食べ物をご紹介します。
バナナ、まぐろ、かつお、チーズ、豆腐、納豆、赤身肉(ヒレなどの脂身が少ない部分)やレバー、鶏肉、卵、ナッツ類、そばなど
また、セロトニンの分泌には腸内環境も影響しており、腸内環境を整える食べ物もおすすめです。例えば、食物繊維が豊富な海藻類、穀類、野菜、豆類、キノコ類、果実、甲殻類の殻などがあります。

毎日正しい歯磨きをする

口内の細菌が増えると、歯や歯ぐきの健康を脅かすおそれもあります。これがさらに進行すると、口内環境の悪化が体全体の健康に影響を及ぼし、最終的には睡眠の質にも悪影響が出るかもしれません。毎日の適切なブラッシングとフロッシング、定期的な歯科検診を心がけましょう。

秋の眠気対策には生活習慣の見直しを! 

秋の眠気の原因と解消法を解説してきました。
「眠い」と感じる原因には睡眠不足を引き起こす自律神経の乱れやセロトニン・メラトニンの減少、口呼吸があります。これらの原因を防ぐには普段の生活習慣を見直すことが大切です。

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