インフルエンザと口内炎の関係とは? 口内環境を整えて両方予防しよう

インフルエンザと口内炎の関係とは? 口内環境を整えて両方予防しよう

この記事では、インフルエンザと口内環境の関係、口内炎との関係について解説します。

               
インフルエンザに感染すると、高熱や関節の痛み、咳などさまざまな症状が出てきます。それらには口内環境が大きく関係しており、口内炎もインフルエンザとかかわりがあります。今回は、口内環境とインフルエンザや口内炎がどのような影響関係にあるのかを解説します。

インフルエンザの概要

インフルエンザは、風邪と同じく上気道の感染によって起こる病気です。しかし、インフルエンザを起こすウイルスは風邪を起こすウイルスとは異なり、症状が重くなりやすい疾患であるため、一般的な風邪とは分けて考えるべきとされています。

症状

インフルエンザは、鼻水や喉の痛み、咳など風邪と同じような症状が見られることもありますが、風邪に比べて症状が重くなる傾向があります。普通の風邪と異なる主な症状は、突然に起こる38度以上の発熱、頭痛、結膜の充血のほかにも、筋肉痛や関節痛、倦怠感などの全身症状まで起きることがある点です。

抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は重症化しやすく、肺炎や気管支炎、乳幼児では中耳炎や熱性けいれんなどの合併症のリスクもあります。もともと呼吸器や心臓の病気、糖尿病、腎臓病、免疫不全などの病気をもつ方も、合併症を起こしやすいとされています。

感染経路

インフルエンザの主な感染経路には、飛沫感染と接触感染があります。
飛沫感染は、インフルエンザに感染した方がくしゃみや咳などをしたときに飛び散ったウイルスを含む粒子(飛沫)を、別の方が鼻や口から吸い込むことによる感染のことです。空気中にインフルエンザウイルスが蔓延してしまうと、それを吸い込んで空気感染を起こしてしまうおそれもあります。

ウイルスのついた手指やものに触れて、手にウイルスがついた状態で目や口などの粘膜を触ってしまい、粘膜からウイルスが体内に侵入してしまうことで感染するのが接触感染です。

流行時期

インフルエンザが流行するのは、毎年12月から翌年の3月ごろまでとされています。ただし季節外れのインフルエンザに罹患する方も多く、注意が必要とされています。

インフルエンザと口内環境の関係性

インフルエンザの感染と口内環境は深く関係しているといわれます。口内細菌が出す「ノイラミニダーゼ(NA)」という酵素が関係しており、この酵素を介してインフルエンザウイルスを増殖させています。ウイルスの増殖を防ぐためには、口内の細菌を減らし、口内環境を清潔に保つことが重要です。そのため、インフルエンザの感染予防として、口内ケアが重要視されています。

インフルエンザによって口内環境が悪化する

インフルエンザになると、蓄膿症や副鼻腔炎が併発するケースが多く見られます。風邪菌やインフルエンザウイルスが上顎洞の粘膜まで細菌感染すると、上の奥歯に炎症が発生して痛みが出たり、その周囲にも痛みを感じたりすることがあります。原因は、上の奥歯の根っこの部分と上顎洞の粘膜が非常に近い位置関係にあるためです。このように、インフルエンザによる口内環境の悪化が、口内の各種炎症につながっていくことがあるのです。

口内環境が不衛生だとインフルエンザの発症率を高めることがある

インフルエンザの予防策としては、ワクチン接種の他に、主に手洗い・うがい、マスクの着用などがあります。加えて、インフルエンザの感染予防として口内ケアが非常に重要視されています。理由として、口の中の細菌は、インフルエンザウイルスを粘膜に侵入しやすくする酵素であるプロテアーゼやノイラミニダーゼを出すため、口内が清潔でないとインフルエンザに感染しやすくなるからです。

ある介護施設での実験結果によると、歯科衛生士が口内清掃を中心とする口内ケアと週1回の集団口腔衛生指導を実施したグル-プは、していないグル-プに比べて、インフルエンザ発症率が10分の1という結果が示されました。
参照)
1)奥田克爾ほか:平成15年度厚生労働省老人保健健康増進等事業,口内ケアによる気道感染予防教室の実施方法と有効性の評価に関する研究事業報告書,地域保健研究会,東京,2004.
2)Abe S,Ishihara K,Adachi M,Sasaki H,Tanaka K,Okuda K. Professional oral care reduces influenza infection in elderly. Arch Gerontol Geriatr.2006 .43:157-64.
3)阿部修,奥田克爾ほか:日本歯科医学学会誌:25,27-33,2006.

インフルエンザが関係して口内炎ができる理由

口内炎は口の中のさまざまな部分に起こります。歯ぐきにできる「歯肉炎」、舌にできる「舌炎」、唇の裏などにできる「口唇炎」、口角にできる「口角炎」などがあります。口の中は、食事をしたり、呼吸をしたり、しゃべったりするときに外部と接する機会が多く、細菌・ウイルス・ほこりなどが付着・侵入するおそれの高い部分です。インフルエンザが直接口内炎を引き起こすわけではありませんが、インフルエンザによって起きる身体への悪影響が、口内炎を引き起こす要因になるおそれがあります。

炎症が起きやすい

口内炎は、口内の炎症が原因で発生することがあります。粘膜を正常に保つためのビタミンの不足や、疲労、ストレス、ウイルス感染、外的刺激などが起きると、タンパク質分解酵素の一種プラスミンが発生します。プラスミンが増え続けると、炎症のもとであるヒスタミンが発生し、炎症を起こすと血管からこれらの物質が漏れ出やすくなります。炎症が続くと円形または楕円形の白っぽい潰瘍が現れて、粘膜の表面がただれてえぐられ口内炎ができてしまうのです。
このように、炎症を起こすことで口内炎になるおそれが高まります。

薬の副作用 タミフル・リレンザ

口内炎には、特定の薬物が刺激となってアレルギー反応が起きる「アレルギー性口内炎」があります。インフルエンザの治療薬であるタミフル・リレンザの副作用にも口内炎が含まれており、厚生労働省のHPにも使用上の注意として記載があります。症状が出たら、医師に相談するようにしましょう。

口呼吸

唾液には殺菌・洗浄作用があります。しかし口呼吸をしたり、無意識に口を開いたりしている方は、口の中が乾燥しやすく唾液が減少し、雑菌が繁殖しやすくなってしまうため、口内炎になりやすくなります。また、口内が乾燥して唾液が減少すると、ウイルスが侵入しやすくなりインフルエンザの感染リスクも高まります。

口内が乾燥すると、粘膜の免疫力も低下するため、意識して水分を取ったり、あめやガムで唾液の分泌を促したりするとよいでしょう。ただし、あめやガムは砂糖の含まれるものを頻繁に口にするとむし歯や歯周病のリスクになるので、無糖を選んだり、口にしたあとの歯磨きをしたりしましょう。

脱水などによる口内の乾燥

インフルエンザの症状の1つに嘔吐があります。嘔吐が続いて水分が大量に排出されると脱水症状を起こしやすくなります。脱水症状には、喉や口の中が渇く、多量に汗が出る、めまいがする、尿の量が減るなどの症状があります。口呼吸と同様に、脱水症状によって口内が乾燥することで、口内炎を引き起こす原因となります。脱水症状のときの水分補給には、経口補水液がおすすめです。

病気による体力低下やストレス

インフルエンザに感染すると、倦怠感が続く場合があります。原因は、免疫細胞がウイルスと戦って体力が奪われるからです。そのため、熱が下がって関節痛などの症状が治まっても、体力の回復には時間がかかることがあります。体力が低下すると代謝が滞り、粘膜の再生力が弱くなってしまうのです。

また、インフルエンザ感染中に過度なストレスをうけると、自律神経が乱れて免疫力が低下してしまいます。体力や免疫力が低下すると、ウイルス性口内炎にかかりやすくなります。

口内ケアを見直してインフルエンザを予防しよう!

口内環境とインフルエンザ、口内炎は深くかかわりがあることがわかりました。また、インフルエンザ感染は、口内炎になりやすい要因を引き起こします。口内ケアをしっかり行うことで、インフルエンザ予防になり、それが口内炎予防にもなります。日頃正しく口内ケアができているか、見直してみてはいかがでしょうか。

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