なぜ「食欲の秋」?健康トラブルを対策して秋を楽しもう

なぜ「食欲の秋」?健康トラブルを対策して秋を楽しもう

この記事では、「食欲の秋」と呼ばれる理由や食べ過ぎで起きやすい口内などの健康トラブルと対策などについて詳しく解説します。

               
秋は「食欲の秋」とも呼ばれ、美味しい食材が豊富に揃う季節です。しかし、食欲が増すことによって食べ過ぎてしまい、胃もたれや体重増加などが起こりやすい季節でもあります。さらに、間食が増えることで、口内トラブルが起きることもあります。
折角美味しいものが多い季節です。起きやすい健康トラブルを知って楽しい食欲の秋を過ごしましょう。

食欲の秋とは

「食欲の秋」に明確な定義があるわけではなく由来も諸説あります。一般的には、秋は1年の中でも特に多くの食材が旬を迎え、食欲が増す季節であることから、「食欲の秋」と呼ばれています。

また、「食欲の秋」と呼ばれる時期は、10月~11月です。9月も秋の一部ではありますが、残暑が去り、冬の寒さが始まる前の過ごしやすい時季を指すことが一般的です。

なぜ「食欲の秋」と言われるのか?

「食欲の秋」と呼ばれる背景には、季節的な要因や生理的な変化が関係しています。食欲の秋と呼ばれる理由について、詳しく見ていきましょう。

さまざまな食材が旬を迎える

秋は、さつまいも、栗、かぼちゃ、新米、さんまなど、栄養価の高い食材が豊富に出回ります。家庭でも旬の食材を使った料理を作る機会が増え、自然と食欲が刺激されるでしょう。

秋が旬の代表的な食材は下記のとおりです。
種類 食材
野菜 さつまいも、かぼちゃ、玉ねぎ、チンゲン菜、里いも、なす、ピーマン、じゃがいも、ごぼう、大根、かぶ、ほうれん草、セロリ、にんじん、れんこん、長芋、長ねぎ、春菊、オクラ、きゅうり
きのこ類 しいたけ、ぶなしめじ、まいたけ
果物 りんご、柿、梨、栗
魚介類 かつお、さけ、さんま、たこ、えび

セロトニンが減少して食欲が増す

精神を安定させることから「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンには、満腹になったことを感じさせる働きもあります。

セロトニンは日照時間に影響を受けやすく、夏に比べて秋は日照時間が短くなるため分泌量が減少します。そのため、秋になるとセロトニンの減少が原因で満腹感を覚えにくくなり、結果として食べ過ぎてしまう場合があります。

また、セロトニンの原料であるトリプトファンは、肉類や乳製品などの食べ物からしか摂取できません。セロトニンの減少に伴い、肉類やチーズといったトリプトファンを多く含む食材を欲するようになり、結果として食欲が増加します。
<Sillha.com編集部コメント>
トリプトファンから作られるナイアシンが不足するすると、ナイアシンを補うためにトリプトファンが消費されてます。そのため、ナイアシンの摂取についても考えてみましょう。

ナイアシンについては下記の記事もあわせて読んでみてください。記事内ではナイアシンとトリプトファンを摂取できるレシピも紹介しています。

基礎代謝が上がることで必要なエネルギーが増える

夏から秋になると、気温が徐々に下がり始め、寒暖差も大きくなります。人間の体は体温を一定に保つためにエネルギーを使い、特に気温が低くなるとその消費量が増えます。これにより、基礎代謝が上がり、必要なエネルギー量が増えるため、食欲が増しやすくなります。

秋は、基礎代謝が上がったり、満腹サインを出すホルモン分泌が減少したりするため、食欲が増すことも食欲の秋と呼ばれる理由の1つとされています。

食べ過ぎることで起きる健康トラブル

旬の食材は味が良いため、つい食べ過ぎてしまう方は多いでしょう。しかし、食べ過ぎによって、次のような健康トラブルが起きるおそれがあります。

消化不良

食べ過ぎると胃腸に負担がかかり、消化不良を引き起こすことがあります。秋は栗やサツマイモ、キノコ、さんま、柿など、旬の食材が豊富です。これらは美味しく、ついつい食べ過ぎてしまうこともありますが、食べ過ぎると胃に大きな負担をかけ、消化不良を引き起こすことがあります。

たとえば、脂の乗った秋のさんまは脂質が多く消化に時間がかかるため、食べ過ぎると胃もたれや胸焼けを起こすこともあります。秋の味覚を楽しむ際は、適度な量を心がけることが大切です。

口臭

食欲が増す秋、美味しい物が多いのでついつい食事の回数が触れることもあるでしょう。食べカスが残っている状態が続いたり、料理にニンニクなどニオイが強いものを使っていたりすると口臭の原因になります。また、料理と一緒に楽しむアルコールなども直接するアルコールのニオイだけでなく、利尿作用で水分が失われ口内が乾燥することも口臭の大きな原因になります。

また、消化不良も口臭に関与しています。消化不良は、胃の中に送り込まれた食物が適切に分解されない状態です。この状態では胃酸の分泌が増加し、食道や口内へと胃酸が逆流しやすくなります。胃酸は酸っぱいにおいがするため、逆流することで口臭が強くなることがあります。

むし歯

間食が増えると、むし歯のリスクが増加します。むし歯は、ミュータンス菌に代表する細菌が飲食物に含まれる糖を代謝して酸を生産し、歯の表面を覆うエナメル質やその下にある象牙質を溶かす病気です。

食後に、なるべく早く歯磨きをして食べカスを取り除くことでむし歯を予防できます。しかし、食欲が高まる秋は間食が増えやすく、結果として口内に糖がある時間が長くなります。その結果、むし歯のリスクが増加します。

また、むし歯と同じく歯周病も、口内の衛生状態が関わる病気です。歯周病は、歯と歯ぐきの間に付着した歯垢に含まれる歯周病菌の代謝物によって、歯ぐきや歯槽骨(歯の根がはまり込んでいる顎の骨の穴部分)に炎症が起こり、歯ぐきの腫れや赤みを引き起こします。

肥満、体重増加

食欲が増す秋は、栄養豊富で美味しい食材が豊富に揃うため、つい食べ過ぎてしまいがちです。その結果として体重増加や肥満のリスクが高まります。特に、さつまいもや栗、れんこんなど、秋に旬を迎える食材には糖質が多く含まれており、エネルギー源として優れている一方で、過剰摂取によってカロリーオーバーになりやすい食材です。

また、無計画に食べ続けると、肥満が原因となる生活習慣病のリスクも増加します。肥満は糖尿病や高血圧、心臓病などのリスク要因であり、健康に大きな影響を及ぼします。

食欲の秋の健康トラブルを防ぐ方法

秋は美味しい食材が豊富で、食欲が増す時期です。食べ過ぎによる健康トラブルを防ぐためには、日々のケアと食生活の管理が重要です。秋の食欲をコントロールし、健康を維持するための具体的な方法を紹介します。

歯磨きとデンタルフロス・歯間ブラシでのケア

食後のケアを怠ると、口内に残った食べカスを細菌が分解し、硫化水素やメチルメルカプタンと いった口臭の原因となる物質を生産します。

秋の味覚である栗やりんご、さつまいもやかぼちゃは口の中に残りやすく、むし歯を引き起こすリスクが高まります。これを防ぐためには、毎日の徹底した口内ケアが不可欠です。

たとえば、歯磨きだけでは歯と歯の間に挟まった食べ物のカスを完全に除去することは難しいため、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することが大切です。

舌のクリーニング

口臭の原因の1つに、舌の表面に付着する「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる白い膜があります。これは、食べ物の残りカスや口内の細菌が混ざり合ってできたもので、放置すると口臭の原因となる揮発性硫黄化合物が発生します。

特に、秋は気温の変化により体調を崩しやすく、免疫が低下して細菌が繁殖しやすくなるため、舌のケアがより一層重要になります。

舌ブラシを使用して舌の表面を優しく掃除することで、細菌や汚れを効果的に除去することが可能です。

舌苔による影響や取り除き方について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:舌が白いのは「舌苔」が原因?白くなる原因と治し方を解説

間食後はうがいだけでもしましょう

食後はなるべく早く歯磨きをして、口内の食べカスを取り除くことがむし歯や歯周病、口臭の予防につながります。しかし、間食の後にすぐに歯磨きができない場面も多いでしょう。そのような場合でも、水でうがいをして少しでも食べカスを取り除くことが大切です。

秋の旬の果物であるりんごやぶどうなど、果糖を多く含む食べ物は酸性度が高く、食後の口内の酸性環境が強まる原因になります。酸性状態が続くほどに歯が溶けやすくなるため、なるべく早くうがいをして食べカスを取り除きましょう。

十分な水分補給

水分不足は、口臭や口内のトラブルを悪化させる大きな要因となります。特に、秋は空気が乾燥しやすくなるため、口の中も乾燥しやすく、それが原因で細菌が増殖し、口臭が発生しやすくなります。食事後や間食後に適切な水分補給を行うことは、口内の健康を維持し、口臭を予防するために重要です。

よく噛んで食べる

食べ物をしっかりと噛むことで、消化が促進され、胃腸への負担を軽減できます。噛む回数が少ないと、食べ物が大きな塊のまま胃に送られ、消化不良を引き起こすリスクが高まります。特に、秋の味覚であるさつまいもや栗、れんこんなど、繊維質が豊富な食材はよく噛んで食べることが重要です。

さらに、よく噛むことは満腹感を得るためにも効果的です。食べ始めてから満腹感を感じるまでには時間がかかりますが、ゆっくりとよく噛んで食べることで、満腹中枢が刺激され、少量の食事でも満足感を得ることができます。

運動する

秋は「スポーツの秋」とも呼ばれる季節で、運動に最適な気候です。秋の美味しい食材を楽しみつつも、適度な運動を行うことで、摂取したカロリーを効率よく消費し、健康的な体型を維持できます。

たとえば、週に数回軽いジョギングやウォーキングを取り入れることで、体内のカロリー消費を無理なく増やすことができます。近くの公園でランニングを楽しんだり、紅葉を見ながらウォーキングをするなど、自然を感じながら体を動かすことができるのも秋ならではの魅力です。

栄養バランスに優れた食事を規則正しくとる

秋は、さつまいもや栗、きのこ類、りんごなど、栄養豊富で美味しい食材が多く出回る季節です。しかし、どれだけ食欲が増しても、栄養バランスの取れた食事を心がけることが重要です。栄養が偏った食生活や暴飲暴食は、肥満や体重増加だけでなく、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
例えば、秋の食卓には炭水化物の多いさつまいもや栗などが多く登場しますが、これらの食材だけに偏ると、糖質の過剰摂取につながります。そのため、バランスよくたんぱく質やビタミン、ミネラルを摂取するために、魚や肉、野菜をしっかりと取り入れることが必要です。たとえば、さんまやさけは秋の代表的な魚で、良質なタンパク質やDHA、EPAといった健康に良い脂肪酸が豊富に含まれています。
さらに、ビタミンやミネラルを補うために、緑黄色野菜やきのこ類を積極的に摂ることも大切です。秋の旬野菜であるかぼちゃやほうれん草には、ビタミンAやビタミンCが豊富に含まれており、免疫を高める ことで季節の変わり目の体調不良を防ぐ効果が期待できます。さらに、きのこ類は低カロリーで食物繊維も豊富なため、胃腸の調子を整えつつ、満腹感を得られる優れた食材です。

適切な口内ケアとバランスの良い食事で食欲の秋を楽しもう

秋は、自然の恵みが豊富で食欲が増す季節ですが、食べ過ぎによる健康トラブルには注意が必要です。肥満や体重増加、口内トラブルを防ぐためには、適切なケアとバランスの取れた食生活が不可欠です。間食後のうがいや、デンタルフロス、舌のクリーニングなどの口内ケアを心がけることで、口臭やむし歯のリスクを抑えることができます。

また、運動を取り入れつつ、栄養バランスの取れた食事を規則正しく摂ることで、秋の美味しい食材を健康的に楽しむことができるでしょう。今回、解説した内容を参考に、健康的に食欲の秋を楽しんでください。

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