舌の表面が白くなっていて、気になったことのある方も多いのではないでしょうか。舌の表面が白くなる原因はさまざまで、口内の清掃不足やそのほかの病気が原因のおそれもあります。舌が白いままの状態を放置していると、他の口内トラブルを引き起こす要因ともなり、病気が原因の場合には、症状が悪化するおそれもあります。
舌が白い理由は「舌苔(ぜったい)」
舌が白い原因で最も多いのは、舌の上の表面に汚れがたまり、「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる苔のようなものが付いたものです。舌苔がつくこと自体は病気ではなく、うっすら白くなっているのは普通のことです。しかし、放置して舌苔が蓄積していくと、口臭などの口内トラブルの要因となるおそれがあります。
他にも病気が原因で舌が白くなる場合もあります。特に、舌のケアをしっかり行っても舌の色が改善しない場合は、舌苔以外が原因のおそれもあります。舌が白くなる原因を探り、その原因に合わせた対処法を行う必要があるのです。
<舌苔についてはこちらの記事で解説しています>
舌苔ができる原因
舌が白くなる主な原因は、口内で細菌が繁殖したことによるものです。口内が乾燥するドライマウスも、唾液が減り口内の細菌が繁殖しやすい状態になります。また、その他にも病的に舌が白くなったり、健康でも体調不良によって舌が白くなったりなど、さまざまな原因が考えられます。それぞれ解説いたします。
【原因1】口内の清掃不足
舌苔がつく原因には、口内の清掃不足が考えられます。口内の清掃が不足すると、舌の表面に食べかすがたまり、さらにそれをエサに細菌が繁殖して舌苔になります。食べかすが口内に残っていることが原因となるため、歯磨きで口内の食べかすや細菌を落とす必要があります。
【原因2】食習慣
食習慣も舌が白くなる原因のひとつです。水分不足や早食い、あまり噛まないなどの食習慣も舌が白くなる原因となります。このような食習慣によって、唾液の分泌が少なくなり、唾液による洗浄・抗菌作用が働かなくなります。
また、飲酒もアルコールの分解のために水分が使われるため、唾液が減る原因となります。唾液が減ると食べかすが溜まりやすくなって細菌が繁殖しやすい状態になり、口内環境に悪影響を与えます。
唾液分泌を促すため噛む回数を増やすように意識して、こまめに水分補給をすることが大切です。また、食習慣の見直しに加えて唾液腺のマッサージも効果的です。
また、飲酒もアルコールの分解のために水分が使われるため、唾液が減る原因となります。唾液が減ると食べかすが溜まりやすくなって細菌が繁殖しやすい状態になり、口内環境に悪影響を与えます。
唾液分泌を促すため噛む回数を増やすように意識して、こまめに水分補給をすることが大切です。また、食習慣の見直しに加えて唾液腺のマッサージも効果的です。
唾液腺マッサージについての詳しい記事は、こちらをご覧ください。
【原因3】口呼吸(口内の乾燥)
口呼吸も舌が白くなる原因となります。過度な口呼吸は、口内を乾燥させてしまうため、唾液のもつ作用が口内に働かなくなります。唾液の分泌が少なくなると、唾液の洗浄・抗菌作用が弱くなり、舌が白くなる原因となります。口呼吸になってしまう原因の一つには、口周りの筋肉である口輪筋(こうりんきん)の筋力低下が考えられます。日頃から鼻呼吸を意識したり、口輪筋のトレーニングをしたりすることが有効です。
口輪筋トレーニングについての詳しい記事は、こちらをご覧ください。
【原因4】鼻詰まり・鼻炎
風邪やアレルギーによって鼻詰まりや鼻水が多くなると、自然と口呼吸が多い傾向になります。口呼吸が多くなることで、唾液の分泌量が減少し、舌が白くなる原因となります。風邪やアレルギーなどによる鼻腔の症状の緩和を心がけ、意識的に口呼吸を抑えられるようにすることや、水分を摂取することも効果的です。
【原因5】精神的なストレス
ストレスなどが原因で、唾液の分泌量が減り、ドライマウス(口腔乾燥症)になるおそれがあります。唾液の分泌には交感神経と副交感神経が作用しており、ストレスで交感神経系が優位になると水分量の少ない唾液が分泌され、口内がネバネバの状態となりいわゆるドライマウスとなります。反対にリラックスすることで副交感神経系が優位になり、水分量の多い唾液が分泌され、舌が白くなることを防ぐ効果があります。
【原因6】胃や腸などの消化器系の不調
食べ過ぎや飲み過ぎやストレスによって、胃腸に過度な負担をかかると舌苔ができやすい状態となります。また、胃腸など消化器系疾患がある場合も同様に舌が白くなります。理由として、消化器系に負担がかかることで、免疫が低下し、細菌が繁殖しやすくなるため舌苔ができやすくなると考えられます。
【原因7】薬の副作用
鎮痛剤や抗アレルギー剤などの副作用で、ドライマウスになるおそれもあります。また、複数の薬を服用することで、ドライマウスになる確率が上昇します。服用している薬がある場合は、医師や薬剤師に相談したり、添付文書を確認したりしてみましょう。
【原因8】シェーグレン症候群
免疫調節の不具合によるシェーグレン症候群もドライマウスの原因です。シェーグレン症候群は、難病に指定されている病気であり、涙腺や唾液腺などを含め全身の外分泌腺に炎症が起こり、ドライアイやドライマウスなどを慢性的に引き起こします。これは、自分の免疫機構が外分泌腺を攻撃してしまい、涙や唾液が分泌できなくなってしまうことが原因です。
シェーグレン症候群によるドライマウスの治療法として、唾液分泌を促す薬剤を服用したり、人工唾液などで口内を潤すよう促進したりすることで、ドライマウスの症状を緩和させる方法があります。
シェーグレン症候群によるドライマウスの治療法として、唾液分泌を促す薬剤を服用したり、人工唾液などで口内を潤すよう促進したりすることで、ドライマウスの症状を緩和させる方法があります。
【原因9】舌の形や位置
舌の形は、人によってさまざまです。例えば、舌に「溝状舌(こうじょうぜつ)」と呼ばれる溝ができている人がいます。この状態は、舌がボコボとしていて汚れが付きやすくなるため、舌苔もできやすいです。
また、舌の位置も重要です。舌が正しい位置にある方は、上顎と舌がくっついているため、摩擦で汚れが落ちることが多いです。ですが、舌が下がっている方や受け口になっている方は、上顎と舌の表面が触れません。この状態だと、舌の上に汚れが溜まりやすくなります。
また、舌の位置も重要です。舌が正しい位置にある方は、上顎と舌がくっついているため、摩擦で汚れが落ちることが多いです。ですが、舌が下がっている方や受け口になっている方は、上顎と舌の表面が触れません。この状態だと、舌の上に汚れが溜まりやすくなります。
口臭も? 舌が白いと起きる影響
舌苔で舌が白くなると口臭を引き起こすおそれもあります。舌が白くなると起きるさまざまな影響について解説します。
口臭
舌の表面には、舌乳頭(ぜつにゅうとう)という細かな無数の突起があります。この突起の隙間に食べかすがたまり、細菌が繁殖したものが舌苔です。舌苔は細菌の塊であるため、それ自体が口臭の原因になります。通常であれば、唾液の分泌によって洗浄・抗菌作用が働き、舌苔の量が増えすぎることはありません。舌の表面がうっすらと白いのは普通の状態で、ニオイも気にならないレベルです。一方で、舌苔が厚く付着している状態は、口内環境が衛生的にキレイでない状態であり、舌以外にも汚れが溜まっているおそれがあります。
むし歯・歯周病
舌苔が分厚く付着して舌が白くなっているような状態は、口内環境がキレイでないため、むし歯や歯周病を引き起こすリスクもあります。歯磨きなどのオーラルケアにより舌苔の原因となる食べかすを口内から取り除くことで、むし歯や歯周病のリスクが下がります。
見た目の印象
舌が汚れていると見た目の印象も悪くするおそれがあります。話をしているときや食事をしているときなど、口を開いたときに見えた舌が白いと、清潔な印象ではなくなってしまいます。口元の見た目の印象が、その方の清潔さの印象にも影響することが考えられます。
味覚障害
舌は味を感じるために重要な器官です。舌の表面には味覚の判断に必要な味蕾(みらい)という細胞が集まっており、甘さや苦みなどを感じ取る機能があります。舌の表面が舌苔で覆われると、味蕾の機能がうまく働かずに、味を感じにくくなってしまうおそれがあります。
また、味覚異常により味を感じ取りにくくなることと、濃い味を好むようになります。その結果、塩分や糖分などを摂取しすぎることで、健康面に影響するおそれもあります。
また、味覚異常により味を感じ取りにくくなることと、濃い味を好むようになります。その結果、塩分や糖分などを摂取しすぎることで、健康面に影響するおそれもあります。
誤嚥性肺炎
舌苔を放置することで、誤嚥(ごえん)性肺炎のリスクも高めます。誤嚥性肺炎とは、唾液や食べ物が気道や肺に入ってしまい、その際に唾液や食べ物の細菌によって肺炎を引き起こす病気です。舌苔がついている状態は、口内に細菌が増殖している状態であるため、誤嚥性肺炎を引き起こすおそれがあります。
白い舌をキレイにする舌苔の取り方
舌苔を取り除き、舌をキレイにするには、舌磨きをする必要があります。適切な方法で舌磨きをしないと、効果がなかったり舌を傷付けたりするおそれがあるため注意が必要です。適切な方法をご紹介します。
舌磨きには専用の舌ブラシを使う
歯磨きをしたあとに、そのまま歯ブラシで舌磨きを行う方が多いかもしれません。しかし、歯ブラシは歯の表面やすき間の汚れを落とすためのものであり、舌を磨くにはブラシの毛が硬すぎるため、舌を傷付けるおそれがあります。舌磨きには専用の舌ブラシがあるため、使い分けるようにしましょう。
舌ブラシはさまざまな種類があるので、好みに合った舌ブラシを使うと良いでしょう。
舌ブラシはさまざまな種類があるので、好みに合った舌ブラシを使うと良いでしょう。
ブラシタイプ
ブラシタイプは、歯ブラシと同じようにナイロン素材のはけでできています。舌の表面の舌乳頭のすき間の舌苔にも届くため、すみずみまで汚れを掻き出せます。歯ブラシと同じような感覚で使用できるため、初心者の方でも使用しやすいです。柔らかい素材でできているため、舌を傷付けにくいです。しかし、力を入れすぎてしまえば舌を傷付けるおそれがあるため、専用のブラシであっても注意が必要です。舌が傷付くことから守るため、ナイロンではなくゴム素材でできているものもあります。
ヘラタイプ
ヘラタイプは、ブラシよりも優しく舌をケアできます。ゴム素材やプラスチック素材、ステンレス素材でできているものがあり、舌の表面をなでて舌苔を除去していきます。舌乳頭のすき間のすみずみまでアプローチすることが難しいため、慣れないと十分に汚れを取れない可能性もあります。舌を優しくケアしたい方におすすめです。
スクレーパータイプ
スクレーパータイプは、全体の形状がU字型をしており、両方のハンドルを握りながら曲線の部分を舌の表面に当て、奥から手前に動かして舌苔を除去します。舌の表面を優しくケアしつつ、一回の動作で広い面積にアプローチできるため、短時間でケアをすませたい方におすすめです。
舌を傷付けないよう優しく磨く
舌はデリケートで傷付きやすいため、力をかけ過ぎず優しく磨くことが大切です。舌を磨きすぎて舌乳頭が傷付けば、舌の隙間に細菌が入り込む要因となり、舌にある唾液腺から唾液が上手く分泌できなくなるおそれもあります。唾液の分泌低下により、反対に口臭を発生させるようにしてしまうことも考えられます。
1日1回のお手入れがおすすめ
舌磨きは1日1回のお手入れがおすすめです。気になって何度も磨いていると、舌が傷付く原因となります。また起床時に行うのがベストなタイミングです。睡眠中は唾液量が減少し口内の洗浄作用が低下しており、起床時には舌苔がついている状態です。そのため1日1回起床時のタイミングで舌磨きするのが良いでしょう。
舌ブラシの効果的な使い方に関しては、こちらの記事をご覧ください。
舌ケア用のタブレットを舐める
舌ケアは舌ブラシ以外に、舌ケア用のタブレットを舐める方法があります。舌ケアに効果のあるタブレットには、舌苔に存在するカンジタ菌の活性や発育を抑える働きのあるDOMACという成分を含んだシタリア(UHA味覚糖)という商品があります。他にも、舌苔や口臭の原因となる、細菌や食べかすなどのタンパク質に効果がある、アクチニジンというタンパク質分解酵素を含んだBREO(江崎グリコ)という商品があります。例にあげたこれらの商品は、市販品として購入することができます。
より効果のある歯科専売品も販売されていますので、歯科専売品を購入したい場合は、歯科医院で相談してみましょう。
より効果のある歯科専売品も販売されていますので、歯科専売品を購入したい場合は、歯科医院で相談してみましょう。
舌が白いけど取れない時に考えられる原因
食舌が白い原因のほとんどが舌苔です。そのため、先述のように舌磨きを行い、舌を清潔に保つことで改善することができます。しかし、舌苔以外が原因の場合、舌磨きなどを行っても舌が白いままで、取れないことがあります。取れない理由として、病気のおそれもあります。ここでは、舌苔以外で舌が白くなる原因を解説します。
薄く白いのは正常な場合もある
舌磨きを行っても薄く白い舌苔が残り気になる人もいるでしょう。ですが、ピンク色(淡紅色)の舌の上に薄っすら白く舌苔がある状態は正常です。舌の表面はもともと乳頭と呼ばれる突起があり、ザラザラとしているため、清潔にしていても薄っすらと舌苔が形成されます。これを気にし過ぎて必要以上に舌を磨きすぎると、かえって舌を傷つけてしまい、場合によっては味覚障害になることもあるので注意しましょう。
舌磨きの効果に関しての詳しい内容は、こちらの記事をご覧ください。
口腔カンジタ
口腔カンジダとは、カビの一種であるカンジダ菌が口の中で繁殖する症状のことです。口腔カンジダでも舌が白くなる場合があります。カンジダ菌は口の中にいつもいる常在菌の一種ですが、免疫が低下すると口内に繁殖してしまい、舌や口内の粘膜を白くします。また部分的に出血をしたり、ヒリヒリと痛みを伴ったりするケースもあります。
舌や唇がヒリヒリと痛んだり舌以外の口の中が白くなったりしている場合は、口腔カンジダのおそれがあるため、歯科医院の受診をおすすめします。
舌や唇がヒリヒリと痛んだり舌以外の口の中が白くなったりしている場合は、口腔カンジダのおそれがあるため、歯科医院の受診をおすすめします。
<口腔カンジタ症についてはこちらの記事を参考にしてみてください。>
溶連菌感染症
溶血性連鎖球菌(溶連菌)が原因で起こる病気の総称です。夏場以外に流行り、4〜9歳ごろの子どもに多くみられます。感染すると熱や喉の痛み・嘔吐などの風邪と似た症状がでます。また、溶連菌感染症を発症した直後は、舌が白い苔で覆われた状態になることがあります。その後、2~5日経過すると、舌が赤くブツブツとした「イチゴ舌」という状態になります。
<イチゴ舌についてはこちらの記事を参考にしてみてください。>
アフタ性口内炎
舌の一部が白く痛みを伴う場合はアフタ性口内炎かもしれません。アフタ性口内炎では、2~10ミリ程度の円形や楕円形の潰瘍であり、表面が黄色または白の膜で覆われて周りが赤くなります。頬の裏側や唇の裏、舌や歯ぐきなどにできやすく、口内炎のなかでも最もよく見られるタイプです。通常は1週間~10日程度で治りますが、繰り返しできることもあります。
<口内炎の改善についてはこちらの記事を参考にしてみてください。>
白板症
舌の表面が角化したり肥厚(ひこう)したりすることで、白い板が付着したようになる病気です。原因は、ビタミン不足、むし歯や歯並びの乱れ、喫煙などの刺激です。白板症は、舌がんの前兆となることもあります。
白くなった部位は擦っても取り除くことはできず、痛みもないため白板症の症状に気づかないことも多いようです。
白くなった部位は擦っても取り除くことはできず、痛みもないため白板症の症状に気づかないことも多いようです。
まとめ 白い舌は食習慣の見直しと舌磨きで改善
舌が白くなる原因はさまざまですが、可能性としては舌苔が蓄積していることが考えられます。舌苔は唾液が不足して口内が乾燥していたり、口内が汚れたりしているとつきやすいです。そのため食習慣を見直すことや、舌磨きを取り入れることで舌の汚れをとり、キレイな舌をキープできるよう心がけましょう。