【図付き】「唾液腺マッサージ」で口臭・乾燥予防 その方法と効果【歯科医師監修】

【図付き】「唾液腺マッサージ」で口臭・乾燥予防 その方法と効果【歯科医師監修】

(2024年3月13日更新)
【歯科医師監修】 唾液には、口臭やむし歯予防など多くの働きがあります。その唾液を分泌する組織が唾液腺です。唾液腺マッサージで唾液の分泌が促されることで、むし歯やドライマウス予防のなど、さまざまな効果が期待できます。ここでは唾液腺についての解説と、唾液腺マッサージ方法、その効果について紹介します。唾液腺マッサージで口内の健康維持に役立ててくださいね。

               

唾液腺とは

唾液腺は、口の周りに存在する唾液を分泌する組織で、場所によって分泌される唾液の種類や割合が異なります。まずは唾液腺の種類や位置、唾液腺の性質、唾液腺が刺激されるしくみについて見てみましょう。    

唾液腺の種類と位置

唾液は、大唾液腺と小唾液腺と呼ばれる場所から分泌されます。大唾液腺には、耳下腺・顎下腺・舌下腺があり、唾液の90%以上は、この大唾液腺から分泌されると言われています。耳前の上両奥歯付近にあるのが耳下腺です。顎下腺は両側の下顎のラインにあり、舌下腺は舌の真下にあります。小唾液腺は口の粘膜の直ぐ下のさまざまな場所に存在し、口唇腺・頬腺・口蓋腺・前舌腺・後舌腺・エブネル腺があります。    

唾液腺から分泌される唾液の性質

唾液はサラサラした唾液とネバネバした唾液の2種類が分泌されます。耳下腺から出るのはサラサラした唾液で、消化酵素を多く分泌し、食べ物の栄養素を消化して体内へ吸収を助けています。舌顎下腺から出るのはネバネバした唾液で、糖タンパクをたくさん分泌し、菌やウィルスから口内・のどの粘膜を守っているのです。

唾液腺が刺激されるしくみ

唾液腺の働きをコントロールしているのが、自律神経です。自律神経には、ストレスや緊張時に働く交感神経とリラックス時に働く副交感神経があります。唾液の性状は、どちらの神経が刺激を受けているかによって異なります。例えば交感神経が働いているときに出る唾液はネバネバしたもので、副交感神経が働いている時に出るのは、サラサラした唾液です。先述の通り、どちらの唾液もそれぞれ役割があり、しっかりと分泌されバランス良く働くことが大切です。

唾液腺マッサージがもたらす効果

唾液腺マッサージをすると唾液の分泌が促されます。唾液の様々な働きによって、むし歯や口臭予防など多くの効果が期待できます。唾液腺マッサージで得られる主な効果をみていきましょう。

むし歯・歯周病・口臭予防に役立つ

唾液腺マッサージにより唾液が増えると、食べかすや歯垢などを洗い流す自浄作用が働きます。また唾液の殺菌作用により細菌の増殖が抑えられるため、むし歯や歯周病の予防効果が期待できます。口内がキレイになることで、口臭予防に役立つのもメリットです。

口周りの筋肉がほぐれ、口が開きやすくなる

唾液腺マッサージは、耳の下から顎のラインをほぐすようにマッサージすると効果的です。口周りをマッサージすると緊張していた筋肉がほぐれ、口が開きやすくなり、咀嚼や会話がしやすくなります。

食べ物を噛み砕いたり、飲み込んだりしやすくなる

食べ物は唾液と絡み合うことでやわらかくなり、噛み砕いたり飲み込んだりしやすくなります。そのため口内が乾燥して唾液が不足した状態では、食べ物が飲み込みにくくなってしまうのです。唾液がしっかり分泌されていれば、舌の筋肉低下による誤嚥性肺炎の予防効果も期待できます。口内が潤うので、舌が動きやすくなり会話がスムーズになるのもメリットです。

乾燥による粘膜の痛みの症状が和らぐ

唾液には潤滑作用や保護作用があるため、唾液の分泌が減り口内が乾燥すると、口の粘膜が傷つきやすくなります。マッサージにより唾液が出て口内が潤い、粘膜の傷による痛みの症状が和らぐのも効果の1つです。

ドライマウス(口腔乾燥症)のケアがしやすくなる

さまざまな原因により、唾液の分泌量が減少する症状をドライマウス(口腔乾燥症)と言います。ドライマウスになると、口内のネバネバ感や口臭が起こります。またドライマウスが進行すると、舌表面のひび割れや摂食障害などを引き起こすこともあるのです。唾液腺マッサージをすることで、唾液分泌が促されドライマウスのケアがしやすくなります。

唾液腺マッサージのやり方

唾液腺マッサージは、耳下腺・顎下腺・舌下腺の3ヵ所をマッサージします。食事前やオーラルケアの前に行うのがおすすめです。

耳下腺のマッサージ

耳下腺は酸味のあるものを想像したときに、唾液が出る場所です。
<マッサージ方法>
耳たぶ前の上奥歯の近くに人差し指から小指まで4本の指を当てて、円を描くように前へ向かって優しくマッサージします。5~10回を目安に繰り返し行ってください。

顎下腺のマッサージ

唾液の65パーセントがこの顎下腺から分泌されます。
<マッサージ方法>
顎骨の内側にあるやわらかい部分に、人差し指から小指まで4本の指を当てます。顎から耳の下まで、指の腹で優しく押していきましょう。こちらも、5~10回を目安に行ってください。

舌下腺のマッサージ

ネバネバ唾液が多く分泌されるのが舌下腺です。
<マッサージ方法>
顎先の手前にある舌の付け根を押し、耳下腺に刺激を与えます。両親指の腹を使って、顎下のやわらかい部分をグッと押し上げてください。このときに舌を持ち上げるように押すのがポイントです。これを5~10回繰り返し行いましょう。
<SillHa.com編集部より>
唾液腺マッサージと合わせて「舌トレーニング」もおこなうと、より唾液の分泌を促し、口内環境の改善につなげることができます。
下記の記事では、様々な舌トレーニングのやり方をご紹介しています。

唾液腺マッサージをするときの注意点

唾液腺のマッサージは唾液の分泌を促進するのに有効ですが、血圧が低下する可能性があるため、不整脈がある人は控えてください。また、唾液腺炎 ・咽頭がん ・口腔がん ・唾液腺腫瘍 の病気がある人も、症状が悪化する恐れがあるので唾液腺マッサージはしない方が良いでしょう。またやりすぎは痛みが出てくる場合もあるため、多くとも一日2〜3回、弱い力で行うようにしましょう。

唾液検査シルハで口内環境をチェック

唾液は、口内の清潔や健康を維持するために大切な役割を担っています。唾液検査をすれば、自分の唾液の質や口内環境をチェックすることが可能です。最後に、唾液検査シルハの特徴と検査方法について紹介します。    

口内環境をデータやグラフで見える化できる

シルハは、口内環境をチェックできる唾液検査です。「むし歯菌の活性度」「酸性度」「緩衝能」「白血球」「タンパク質」「アンモニア」の6項目が、データやグラフにより見える化されるので、自分の口内環境が客観的に分かります。
例えば「酸性度」が高いと歯が溶けやすく、「むし歯菌の活性度」や「アンモニア」が高いとむし歯や歯周病、口臭などの口内トラブルが起きやすいです。また「緩衝能」が低めに出た場合は、むし歯の元になる酸の中和する能力が低い状態と言えます。「タンパク質」や「白血球」が高いと、歯ぐきで炎症や出血が起きている恐れがあります。これらの検査結果を、日常のオーラルケアに活かせるのが魅力です。

水で10秒間口をすすぐだけで検査できる

シルハは、水で10秒間口をすすぐだけで簡単にできる唾液検査です。得られた結果をもとに、医療機関のスタッフによりオーラルケアについての適切なアドバイスを受けられます。
シルハは全国の歯科医院で利用できます。こちらから、最寄りの歯科医院をチェックしてみてくださいね。

唾液腺マッサージを習慣に取り入れ、口内の健康を保とう

唾液腺マッサージにより唾液が口内で潤うと、食べ物が飲み込みやすくなったり、話しやすくなったりするだけでなく、むし歯や口臭予防なども期待できます。唾液腺マッサージを日々の習慣にして、口内の健康維持につなげてくださいね。

監修歯科医師:梅山 遼 先生

東京大学大学院医学系研究科修了。京都大学医学部附属病院、国立病院機構南和歌山医療センター、東京大学医学部附属病院を経て、現在は順天堂大学医学部 助教 医局長を務める。

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