(2022年7月29日更新)
【歯科医師監修】
マスクを付けたままくしゃみをしたときなどに、マスクに付いた唾液が臭いと自分の口臭も気になりますよね。この記事では、唾液が臭くなる原因と唾液のニオイからくる口臭の対策について紹介します。
唾液が臭い原因
本来、唾液は無臭です。唾液がニオうのは、唾液中に含まれる細菌・バクテリアによるものや、病気が関係するものもあります。ここでは、唾液がニオう原因について見ていきましょう。
一時的な口内の乾燥による細菌の繁殖
細菌の繁殖が原因となっている場合は、卵や野菜の腐敗臭のようなニオイが特徴です。起床時や空腹時、ストレスや緊張を感じたときなどは、唾液の分泌量が減りやすいと言われています。唾液の量が減ると、唾液による口内の自浄作用などが低下し、口内が乾燥すると共に細菌の活動が活発になります。口内で増殖した細菌は、ニオイの原因になる揮発性の物質を発生させ、それが唾液に溶けるため、唾液も臭くなるのです。そのため、口内の細菌の繁殖は、口臭(生理的口臭)につながります。
また、女性は更年期を迎えると、女性ホルモンのバランスが乱れることもあるでしょう。ホルモンバランスの乱れは自律神経に影響を与えます。その結果、唾液の分泌が抑えられ、口内が乾燥しやすくなるようです。
ニオイが強い飲食物の摂取や喫煙
ニンニクやネギなどのニオイが強い食品、タバコやアルコールなどの嗜好品を摂取すると、それらのニオイが唾液にも残ります。これらのニオイは、口臭予防効果のある洗口液でうがいをするなどのケアをして、時間が経過すれば軽減する一時的なものです。ただし、日常的に喫煙している場合は、洗口液などでうがいをしても消えない場合があります。ニオイが気になる場合は、たばこを控えましょう。
むし歯菌や歯周病菌の繁殖と炎症成分
歯垢(プラーク)に含まれる細菌は、メチルメルカプタンや硫化水素といった不快感の強いニオイのガスを発生させます。また、むし歯になると歯に穴が開き、食べカスやむし歯菌がたまりやすくなるほか、歯周病が進行すると歯ぐきから出血したり、膿が溜まって歯槽膿漏になったりして独特のニオイを発します。むし歯菌や歯周病菌、血や膿が唾液に多く含まれるときは唾液がニオう可能性が高いです。
また、歯周病菌の中には、女性ホルモンに反応して増殖するものもあります。女性ホルモンのバランスが崩れやすい月経前や妊娠中などは、歯ぐきが腫れやすくなり、歯周病リスクが高まるため要注意です。特に口内ケアを意識しましょう。
このように、むし歯や歯周病も口臭(病的口臭)につながるので、悪化する前に早めに歯科医院を受診しましょう。
むし歯や歯周病の兆候は唾液にも表れています。簡単な唾液検査で目に見えない徴候をチェックしましょう。 詳しくはこちらをご覧ください。
口内の粘膜に付着した食べカスや舌苔
舌苔(ぜったい)とは、舌の上に付着している白い苔状のものです。食べカスや粘膜のカス、細菌のかたまりなどが付着しています。粘膜の表面にも食べカスが停滞することがあります。これらの食べカスや細菌が唾液に含まれると、ニオイを発する可能性が高いです。
舌苔や舌磨きの効果については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
鼻・喉の病気
鼻と喉は口とつながっているため、蓄膿症(副鼻腔炎)や咽頭炎など鼻と喉の病気で炎症を起こしている場合は、膿や血液が唾液に混ざってニオイがすることもあります。
唾液のニオイ セルフチェックする方法
唾液のニオイを自分でチェックできる方法があります。
- 30秒間、口の中に唾液を溜める。
- 紙コップや小さいお皿に吐き出す。
- 綿棒に唾液を付けて嗅いでみる。
なお、直接口に綿棒を入れてしまうと、唾液のニオイを適切に確認できなくなってしまいます。直前に摂取したものが唇や舌に付着している可能性があり、それが綿棒に付いてしまう場合があるためです。一度コップなどに唾液を出してからチェックすることをおすすめします。
自分の口臭に不安がある方は、口臭のセルフチェックの方法をこちらの記事でも紹介しています。
唾液のニオイ対策
慢性的に唾液のニオイが気になる場合は、口内環境が原因かもしれません。ここでは、唾液のニオイ対策について見ていきます。唾液のニオイ対策をすることで、口臭対策にもつなげましょう。
歯科医院で検査する
継続的に唾液のニオイが気になる場合は、むし歯や歯周病によるものや、その他の病気による可能性もあるため、歯科医院を受診して診断と検査を受けることをおすすめします。その結果をもとに、必要な場合は治療を受けてください。
食事の摂り方や呼吸法で口内の乾燥を防ぐ
唾液のニオイを予防するには、唾液の量を増やすことが大切です。よく噛んで食べると唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促されます。歯ごたえのある食材を取り入れ、よく噛む習慣を身につけましょう。食事以外では、ガムを噛んで顎を動かすと唾液が分泌されるため、口内の乾燥が解消されやすくなります。入れ歯や義歯をしている場合は、フィットしていないと口の動きが鈍くなり、口内の唾液量が減少して乾きがちになることがあります。入れ歯などがフィットしていない、口の中が乾くといった症状を感じている場合は、歯科医院で調整してもらいましょう。
また、水分補給をこまめにし、口内の乾燥を防ぐのも有効です。口呼吸は口内が乾きやすいので、鼻呼吸を意識してみてください。
オーラルケアで口内を清潔に保つ
唾液のニオイのもとになる食べカスや細菌を口内から減らすためには、口内を清潔に保つことが大切です。歯垢を放置していると歯石となり、口臭の原因となる細菌の繁殖を促す原因にもなります。日常のオーラルケアでは、毎食後の歯磨きだけでなく、就寝前には歯間ブラシやデンタルフロスも使用して、歯茎や歯と歯の間の食べカスや歯垢も取り除きましょう。なお、歯間ブラシやデンタルフロスはできれば毎食後に実施することが望ましいですが、毎食後が大変な場合は、少なくとも週に2~3回は実施するようにしましょう。
(※歯間ブラシやデンタルフロスの推奨実施頻度は、歯の本数や歯並びによって異なります。)
また、舌ブラシを使って、舌苔(ぜったい)を除去するのも効果的です。1日1回を目安に、舌を傷つけないように優しい力でブラッシングしてください。
毎日のケアで口内環境を改善し、唾液のニオイを予防しましょう。
唾液が臭い原因を知って、適切に対処しよう
唾液が臭い原因には、口内の細菌の増殖や鼻や喉の病気などがあります。また、風邪やストレス、無理なダイエットなどで免疫力が落ちたりしていると、唾液の分泌量が減少し、口内環境悪化の原因になります。原因によって対処法は異なりますが、口内を定期的にケアし、生活習慣を見直すなど、体調管理に気を付けることが大切です。ニオイが気になる状況が続く場合には、歯科医院を受診し、相談することをおすすめします。
唾液検査シルハで唾液が臭い原因をチェック
むし歯や歯周病は、唾液や息が臭くなる原因の1つです。唾液や口のニオイを和らげるには、口内を清潔に保つことが大切です。また、唾液にどのようなものが含まれているかをチェックすることも、口臭の元を判断する目安になります。
唾液検査シルハでは、口内の清潔度や歯と歯ぐきの健康にかかわる口内環境をチェックできます。最後に、唾液検査シルハの特長と検査方法について紹介します。
唾液検査シルハとは
シルハは、水で10秒間口をすすぐだけで簡単にできる唾液検査です。シルハを導入している医療機関に依頼すると、検査を受けられます。基本的にその日のうちに結果が出るので、気軽に口内環境をチェックできるのも魅力です。得られた検査結果をもとに、医療機関のスタッフから自分に適したオーラルケアについてアドバイスを受けられます。
唾液検査シルハで分かること
シルハでは、次の項目がチェックできます。
・歯の健康:むし歯菌・酸性度・緩衝能
・口腔清潔度:アンモニア
・歯ぐきの健康:白血球・タンパク質
例えば、むし歯菌の数値が高いときは、食べかすや歯垢が多く、むし歯になりやすい口内環境になっていると考えられます。
タンパク質や白血球の数値が高い場合は、歯周病や口内炎など、口内のどこかで炎症が起きている可能性が高いです。
アンモニアの数値が高い場合は、口内の細菌数が多く、口臭の原因となるガスが多く産生されているおそれがあります。
このような検査結果が数値やグラフで見える化されるので、客観的に自分の口内環境をチェックでき、口内のトラブル改善に役立てることができます。
シルハは全国の歯科医院で検査できます。シルハが利用できるところは、こちらからご確認ください。
監修歯科医師:横山知芳先生
神奈川県横浜市にある横山歯科医院 院長。鶴見大学歯学部卒業。学生時代はラグビー部に所属しチームプレーを学んだことから、チーム医療での患者様のサポートをモットーとしている。歯科の最新の技術にアンテナを張り、勉強やトレーニングにも積極的に力を注いでいる。第87期JIADSペリオコース修了。皆川アカデミーインプラントコース修了。国際インプラント学会認定医(DGZI)。
横山歯科医院のホームページはこちら
http://www.yokoyamashikaiin.jp/