秋に流行する風邪はどんな病気がある?予防して楽しく秋を過ごそう

秋に流行する風邪はどんな病気がある?予防して楽しく秋を過ごそう

この記事では、秋に風邪を引きやすくなる理由や流行する感染症の特徴、予防方法などについて詳しく解説します。

               
秋は気温の変動が大きく、空気が乾燥し始めることによってウイルスや細菌の感染リスクが増加するため、より注意して対策する必要があります。秋に流行する溶連菌感染症やマイコプラズマ感染症、RSウイルス感染症、インフルエンザ、ノロウイルス感染症などの対策が重要です。

なぜ秋は風邪を引きやすいのか?

秋に風邪を引きやすい理由には、気温差が大きいことによる免疫力の低下や、乾燥の影響があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

気温差が大きい

秋は日中と夜間の気温差が大きく、体温調節が難しくなります。体が寒さにさらされると、身体の表面が冷え、脳がストレスを感じます。ストレスを感じた脳は、ステロイドホルモンや神経伝達物質を分泌し、これがリンパ球(白血球の一種)などの働きを一時的に低下させてしまいます。リンパ球は体内に侵入した細菌やウイルスを排除する役割を持っているため、その働きが抑制されることで免疫反応が弱まり、風邪を引きやすくなります。

乾燥による影響

ウイルスや細菌を吸い込んだり、口に入ったりしたらすぐに感染するのではなく、気道上皮細胞の線毛の働きによって体外へ排出されます。この防御機構によって、感染リスクを抑えることが可能です。線毛は粘液と水分で潤っていることで、規則正しい動きをしてウイルスや細菌を絡めとり、外へ排出できます。しかし、乾燥の影響で線毛がダメージを受けるとその働きが低下し、ウイルスや細菌が気道に付着しやすくなることで、感染リスクが高まります。

秋に流行る感染症とその特徴

秋には、さまざまな感染症が流行します。それぞれの感染症について、風邪症状(鼻水や喉の痛み、くしゃみ、熱など)とは異なる症状を中心に、詳しく見ていきましょう。

溶連菌感染症

溶連菌感染症は、39℃前後の高熱、喉の強い痛み、口蓋垂や扁桃が赤く腫れる咽頭炎や扁桃炎などを主症状とするA群溶血性連鎖球菌(A群β溶血性レンサ球菌)による感染症です。

喉の痛みとともに、イチゴ舌と呼ばれる舌の赤いぶつぶつした状態になることが特徴です。大人が感染した場合、子どもと同様に高熱や喉の腫れ、強い痛みが現れますが、これに加えて倦怠感、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が現れることがあります。また、嘔吐や腹痛などの消化器症状が見られることもあります。

マイコプラズマ感染症

マイコプラズマ感染症は、マイコプラズマ・ニューモニエという細菌によって引き起こされる感染症で、主に学童期から若年層に多く見られますが、大人でも感染することがあります。
厚生労働省の調査によると、5~9歳の年齢層が最も大きな割合を占める年が多く、特に2012年や2016年は顕著でした。また、10~14歳や15~19歳の年齢層も目立っており、マイコプラズマ肺炎は主に学童期や若年層で多く発生しています。

ただし、20~60歳においても、例年合計3~5割程度を占めることから、大人でも感染するおそれがあります。
典型的な初期症状として、乾いた咳、発熱、喉の痛みが挙げられます。特に咳が特徴的で、感染初期には乾いた感じの咳が続きますが、次第に痰を伴うこともあります。咳はしばしば数週間続き、改善が遅いのが特徴です。さらに、喉の痛みや全身の倦怠感、頭痛が併発することもあります。
マイコプラズマ肺炎が発症する場合もあり、高熱や持続的な咳、息苦しさなどの症状が現れます。

出典:厚生労働省戸山研究庁舎「感染症発生動向調査」

RSウイルス感染症

RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる感染症で、乳幼児や高齢者は重症化リスクが高いとされています。

初期症状としては、鼻水、喉の痛み、軽い発熱など風邪に似た症状が現れますが、咳の悪化や喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー音)、呼吸困難などがみられることがあります。

大人の場合は軽い症状で済むことが多いですが、免疫力が低下している場合や、慢性呼吸器疾患を抱えている人は重症化することがあります。

インフルエンザ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症で、単なる風邪とは異なり、全身に重い症状を伴うことが特徴です。インフルエンザの代表的な症状として、突然の高熱が挙げられます。通常、38℃以上の熱が急に出て、数日間続きます。

また、全身の重だるさや疲労感、筋肉痛や関節痛などが生じ、体を動かすのが辛くなるほどの苦痛を感じることが多いです。これに加えて、前頭部を中心とした激しい頭痛を伴うことがあります。

ノロウイルス感染症

ノロウイルス感染症は、消化器に強い影響を及ぼすことから「胃腸風邪」とも呼ばれています。原因となるノロウイルスは非常に感染力が強く、わずか10~100個程度のウイルスが体内に入るだけで、感染症を引き起こす可能性があります。ノロウイルス自体は食品内で増えることはなく、人の小腸で増殖し、嘔吐や下痢、腹痛などの症状を引き起こします。特に、ノロウイルスに汚染されたカキなどの二枚貝を摂取することで感染します。

ノロウイルスの症状は、主に嘔吐、激しい腹痛、下痢で、発熱や頭痛、筋肉痛なども見られることがあります。通常、潜伏期間は1~2日と短く、症状が現れてからは2~3日で回復に向かうことが多いですが、症状が治まった後も3~14日間、便からウイルスが排出されるため注意が必要です。

ノロウイルスは11月~3月に流行します。

秋の感染症の予防法

秋に流行する感染症を防ぐ方法は、一般的な風邪と同じです。次の予防法を徹底しましょう。

手洗いと消毒

風邪や感染症を防ぐ基本は、徹底した手洗いです。外出から帰った際や食事の前には、石鹸を使用してしっかりと手を洗い、細菌やウイルスを除去しましょう。手洗いが終わったら、アルコール消毒も併せて行うことで、手に残った微細なウイルスも除去できます。特に人が多く集まる場所では、ウイルスに触れる機会が増えるため、手洗いと消毒をこまめに行うことが重要です。

マスクの着用

飛沫感染を防ぐために、マスクを着用することが大切です。咳やくしゃみとともにウイルスや細菌が飛散するのを防ぎ、自分への感染はもちろん、自分が周りの人へうつしてしまうリスクを大幅に低減できます。特に風邪が流行する時期や多くの人が集まる場所では、なるべくマスクを着用しましょう。

十分な水分補給

秋から冬にかけての乾燥した環境では、喉や気道の粘膜が乾燥しやすくなります。また、気温が低いため、夏よりも水分不足に気づきにくいでしょう。気道が乾燥すると、ウイルスや細菌が侵入しやすくなるため、水分補給は重要です。水やお茶、温かいスープをこまめに摂取することで、喉の粘膜を潤し、感染防御機能を維持しましょう。

室内の湿度管理

加湿器を使用して室内の湿度を保つことも、風邪の予防に効果的です。湿度が低いと、喉や鼻の粘膜が乾燥し、ウイルスが侵入しやすくなります。また、40%を下回るとウイルスが飛散しやすくなり、感染リスクが増加します。

理想的な湿度は40~60%程度とされているため、加湿器で湿度をコントロールしましょう。

栄養バランスの取れた食事

免疫力を維持するためには、栄養バランスの良い食事が欠かせません。特に、腸内環境を整えることが免疫力を高めるためには重要で、発酵食品や食物繊維、オリゴ糖を積極的に摂取することが推奨されます。また、免疫細胞を活性化させるためには、良質なタンパク質を含む食品(豆腐、肉、乳製品)や、ビタミンA、ビタミンE、亜鉛などのミネラル類が必要です。

さらに、青魚に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸や、ビタミンC、βカロテンなども免疫力をサポートします。

風邪に伴う症状を抑える方法

風邪に伴う喉の痛みや不快感は、次のように対処しましょう。

ハチミツを舐める

ハチミツには抗菌作用があることに加えて、喉の痛みを和らげる効果が期待できます。乾燥した喉にうるおいを与えることで、炎症が治まりやすくなる可能性があります。

ただし、ハチミツは甘いため、舐めた後は歯磨きをしっかり行いましょう。また、1歳未満の乳児にはボツリヌス菌のリスクがあるため、与えないようにしてください。

のど飴やスプレーの活用

市販されているのど飴やスプレーにも、喉の乾燥を防ぎ、痛みを軽減する効果が期待できます。のど飴は、口内を潤すことで喉の粘膜を保護し、乾燥による刺激を抑えます。また、抗炎症成分を含むスプレーを使うことで、喉の炎症を一時的に鎮め、痛みを緩和できます。風邪の初期段階や症状が悪化する前に使用することで、症状を軽く抑えることが期待されます。

消化によいものを食べる

風邪を引くと消化力が低下します。消化に悪い食べ物をとると、胃腸に負担をかけるだけでなく、体が消化にエネルギーを使うため、回復が遅れる可能性があります。消化に優れた食べ物を選ぶことは、体力温存や消化不良の防止につながります。

たとえば、お粥やスープは消化が良く、体を温めることで免疫力を高めてくれます。温かい豆腐や卵も消化しやすいうえに、栄養補給に役立つ食材です。体力を消耗せずに栄養を吸収できる食品を中心に、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。

秋に流行る風邪を知って対策しよう

秋は気温の変化や乾燥により風邪が流行しやすい季節ですが、適切な予防策を取ることでリスクを減らすことができます。手洗いやうがいを徹底し、湿度管理や栄養バランスの取れた食事を心がけることが重要です。また、喉や口のケアを怠らず、早めの対策を講じることで、風邪の症状を軽減し、健康を保つことができます。

今回、解説した内容を参考に、秋に流行る風邪を予防しましょう。

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