咀嚼音が気になる!鳴らしたくないのに音が鳴るのはなぜ?

咀嚼音が気になる!鳴らしたくないのに音が鳴るのはなぜ?

この記事では、咀嚼音が発生する原因、自分や他人の咀嚼音が気になる理由、その対処法について詳しく解説します。

               
咀嚼音とは、食べ物を噛むときに発生する音のことです。「クチャクチャ」という音や「ボリボリ」「カリカリ」といった咀嚼音を不快に感じる人は少なくありません。その一方で、心地よいと感じる人もいます。なぜ咀嚼音が鳴ったり、音が気になってしまったりするのでしょうか。解説していきます。

咀嚼音も2通りある

咀嚼音は、食事中に食べ物を噛んでいるときに発生する音です。「クチャクチャ」という音は、口を開けて食べることで発生することが多く、不快に感じる人は多いでしょう。一方で、「ボリボリ」や「カリカリ」といった音は、食べ物そのものの硬さや食感に関連して発生し、不快に感じるかどうかは個人差が大きいといえます。

また、咀嚼音には2つの側面があり、不快に感じられる場合もあれば、ASMRの一種として心地よい音として楽しむ人もいます。

ASMR(Autonomous Sensory Meridian Responseの略称)は日本語で「自律的な感覚経絡反応」といい、聴覚や視覚を通じて感じる心地よいゾクゾク感のことです。中には、YouTubeや専用アプリなどで咀嚼音を楽しむ方もいます。

そもそも咀嚼音が鳴ってしまう理由

咀嚼音は、単なる食べ方の問題と考えがちですが、実は多くの要因が影響しています。咀嚼音が鳴る理由について詳しく見ていきましょう。

歯並び・かみ合わせの問題

歯並びやかみ合わせの問題が咀嚼音の原因となることがあります。たとえば、上の歯が前に出ている上顎前突(出っ歯)、口を閉じたときに奥歯が噛み合っているのに上下の前歯の間に空間があく開咬(かいこう)では、食べ物を正しく咀嚼できないため、上下の歯をずらしながら噛むことが習慣づいてしまいます。この際、口が自然と開いてしまい、「クチャクチャ」といった音が発生します。

また、食べ物をしっかりと口の中で保持できず、口の中で食べ物が滑り落ちたり、口からこぼれたりすることが原因で、咀嚼音が起こります。

口周りの筋肉が弱い

咀嚼における口周りの筋肉の働きも、咀嚼音の発生に大きく影響します。咀嚼筋(咬筋など)や口輪筋(口を閉じる筋肉)などの筋肉が弱いと、食べ物を口の中でしっかりとコントロールできず、口を開けたまま食べてしまうことが多くなります。これが、音を立てて食べる原因となります。

さらに、舌の力も咀嚼において重要です。舌が食べ物を適切に動かすことができないと、食べ物が歯にうまく運ばれず、噛み残しが生じ、口を開けてしまうことが多くなります。これが「クチャクチャ」という音の発生を助長します。

口呼吸

口呼吸が原因で、咀嚼音が発生することもあります。鼻呼吸の場合は口を閉じたまま食事ができますが、口呼吸の人は口を閉じると息ができないため、食事中も口を開けたままになります。このため、食べ物を噛む音が外に漏れやすくなり、クチャクチャとした音が発生します。

口呼吸には、口の周りの筋肉が弱いことや鼻づまり、アレルギーによる鼻炎などが関連していることがあります。原因がわからない場合は、耳鼻咽喉科や歯科医院を受診しましょう。

顎関節症による異音が咀嚼音に聞こえることがある

顎関節症とは、顎関節が何らかの原因で「痛み」や「口を開けにくい」、「口を開け閉めする際に異音がする」などの症状が現れている状態のことです。

顎を動かした際に「シャリシャリ」「ゴリゴリ」といった音が発生することがあります。これは、関節の骨の一部が破壊されたり、新たな骨が形成されたりして関節が変形し、口を開け閉めするときに摩擦が生じるためです。

顎関節症の音は自分にしか聞こえない程度の小さなものから、周りの人に聞こえる大きなものまでさまざまです。口を開け閉めする度に音が鳴るため、咀嚼音と思われる場合があります。

咀嚼音がならないようにする方法

咀嚼音の主な原因は、口を開けてかむことです。咀嚼音を軽減するために、次のように対処しましょう。

ゆっくり噛む正しく噛む

咀嚼音を減らすためには「ゆっくり噛む」ことが大切です。ゆっくりと食べることで、食べ物がしっかりと口の中で処理され、音を立てにくくなります。

また、ゆっくり噛むことにより咀嚼回数が増え、唾液の分泌が促進されます。唾液には食べ物を柔らかくし、消化を助ける役割がありますが、唾液がしっかり分泌されることで、食べ物が口の中でスムーズに移動し、噛みやすくなります。これにより、口を閉じたままでも自然と食べ物を咀嚼でき、咀嚼音が鳴りにくくなります。

歯並びや口呼吸を改善するための治療を受ける

歯並びやかみ合わせの問題や口呼吸は、咀嚼音の原因の1つです。

矯正治療で歯並びやかみ合わせを整えることで咀嚼音が鳴りにくくなるがあります。また、口呼吸が原因の場合は、耳鼻咽喉科で鼻に関わる疾患の治療を受けたり、歯科医院で口腔筋を鍛える口腔筋機能療法(MFT)を受けたりすることで、鼻呼吸への移行を促せます。

まずは、耳鼻咽喉科で口呼吸になる原因となる病気がないか診断を受け、歯並びや口周りの筋肉が原因と考えられる場合は歯科を受診するとよいでしょう。

他人の咀嚼音が気になる理由

他人の大きな咀嚼音が気になることには、文化的、心理的、さらには生理的な要因が関わっている場合もあります。他人の咀嚼音が気になる理由について、詳しく見ていきましょう。

文化的要因

日本では、食事中に音を立てることは一般的に「マナー違反」とされる文化があります。口を閉じて静かに食べることがマナーとされており、音を立てることは他人に不快感を与える行為として考えられています。

そのような文化的背景がある中で育ってきた人は、咀嚼音を不快に感じることが多いでしょう。

生理的要因

生理的要因により、咀嚼音が気になる場合もあります。

たとえばミソフォニア(音嫌悪症)は、特定の音に対して過剰に敏感になり、強い嫌悪感や怒りを感じる状態です。咀嚼音はこのミソフォニアの代表的なトリガー音の1つです。脳の音処理機能が通常とは異なるため、他人が立てる咀嚼音を聞くと、不快感やストレスを強く感じてしまいます。

他にも、咳払いやくしゃみ、パソコンのキーボードをたたく音など、日常のささいな音に対しても強い反応を示すことが特徴です。

心理的要因

ストレスや疲労、不安といった心理的要因によって、普段はあまり気にならない音が気になることがあります。これは、ストレスによって心が不安定な状態になり、些細な音に対しても過剰に反応してしまうためです。

いつもは気にならないのに、疲労やストレスを感じているときにだけ咀嚼音が気になるのであれば、心理的要因によるものといえるでしょう。

静かな環境であるために音が目立つ

静かな環境にいると、咀嚼音がいつも以上に気になることがあります。たとえば、静かな図書館や映画館のような場所では、通常なら気にならない程度の音でも、周囲が静かであるために、咀嚼音が非常に目立って聞こえてしまいます。

家庭でも、静かな環境で家族が食事をしている場合、テレビや音楽などがないと咀嚼音がより響き、気になることがあります。

過去に嫌な思いをした

過去に咀嚼音やその他の音に対して嫌な経験をした場合、その記憶が強く残り、同じような状況に過敏に反応してしまうことがあります。たとえば、家族や友人と食事をしている際に、他人の咀嚼音が不快に感じられた経験があると、次回以降も同じ音に対して嫌悪感を抱きます。

咀嚼音が気になるのを改善する方法

他人の咀嚼音が気になることには、ストレスや疲労など心的な要因が関与していることがあります。音に対する過敏反応を和らげるためには、環境や自身の状態を見直すことが大切です。咀嚼音が気になる状態を改善する方法について、詳しく見ていきましょう。

ストレスを解消させる

仕事や家庭でのプレッシャー、日々の疲れが蓄積すると、音に対する耐性が低くなり、通常は気にならない咀嚼音が不快に感じられることがあります。こうした場合、まずはストレスを軽減することが重要です。

具体的なストレス解消法としては、適度な運動やリラクゼーション方法などがあります。たとえば、ウォーキングやヨガといった軽い運動は、心身の緊張をほぐし、リフレッシュ効果を得られます。

忙しいために時間の確保が難しい場合は、瞑想や深呼吸などを行うとよいでしょう。日々の習慣に取り入れることで、ストレス過多を防ぐことができます。

環境音がある場所で食事をとる

静かな環境では、咀嚼音が目立ちやすくなります。家族や友人との食事中に咀嚼音が気になる場合、環境音を取り入れることで、音が目立たなくなり、ストレスを和らげることができます。

音楽を流したり、テレビをつけたりすると、咀嚼音をかき消すことができるでしょう。

不快な咀嚼音を避けて快適に食事をとりましょう

咀嚼音の原因はさまざまですが、正しい対策によって改善できる可能性があります。まずは、ゆっくりと噛み、口を開けないように意識することから始めましょう。また、歯並びやかみ合わせ、口呼吸などの問題は、医師や歯科医師に相談することで、解決方法が見つかる場合があります。他人の大きな咀嚼音が気になる場合は、環境音のある場所で食事をとるだけでも、気になりにくくなるでしょう。

今回、解説した内容を参考に、咀嚼音の悩みに対処しましょう。

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