この記事では、ビタミンB2の特徴や働きを解説します。今日の献立にも役立つビタミンB2を摂取できる簡単なレシピも紹介します。
ビタミンB2は、脂質をはじめとする栄養素の代謝に関わり、エネルギーを作りだすために大切な役割があります。「発育のビタミン」とも呼ばれるビタミンB2は、特に成長期の子どもは不足することなく摂りたい栄養素です。
この記事ではビタミンB2の特徴や働きを解説します。またビタミンB2の豊富な食べ物や簡単なレシピも紹介します。
ビタミンB2の特徴
ビタミンB2はビタミンB群の一種であり、水溶性の栄養素です。別名は「リボフラビン」といいます。
ビタミンB2は体内で補酵素として働き、糖質、タンパク質、脂質の代謝に関わります。栄養素を代謝してエネルギーを産生するため、体を動かすために欠かせないビタミンです。
また、ビタミンB2は「発育のビタミン」や「成長ビタミン」ともいわれています。これは成長に欠かせないエネルギーを生み出す作用や、細胞の再生に関わる作用があることが理由です。
ほかにも、皮膚と粘膜を正常に保つ働きもあるなど、さまざまな働きを持っています。
ビタミンB2に期待される効果・効能
ビタミンB2に期待される効果・効能について、さらに詳しく解説します。
脂質を代謝する
ビタミンB2は、特に脂質の代謝に欠かせない栄養素です。脂質は体内で脂肪酸に分解されますが、脂肪酸がエネルギーになる際にビタミンB2が必要となります。
脂肪の燃焼に関わるため、ダイエット中に欠かせない栄養素としても知られています。
成長をサポート
体が成長するには、体を動かすためのエネルギーに加えて、成長するためのエネルギーが必要です。ビタミンB2は脂質、糖質、タンパク質からエネルギーを生み出す際に必要であり、成長のためのエネルギーも生み出しています。
ビタミンB2が不足すると成長障害が起きるおそれが知られていることからも、子どもの健やかな成長に欠かせない栄養素といえます。
皮膚を健やかに保つ
ビタミンB2は細胞の再生に関わり、皮膚を健やかに保つためにも大切なビタミンです。
また、脂質の代謝に関わり皮脂分泌を抑えると考えられていることから、ビタミンB2がにきびの治療薬として用いられることもあります。
抗酸化作用を持つ
ビタミンB2は抗酸化作用により、酸化ストレスから体を守る働きもあります。
酸化ストレスにより細胞が傷つくと、がんや動脈硬化、免疫機能の低下、老化などのさまざまなトラブルを招く要因となります。健康づくりや美容には、ビタミンB2をはじめとする、抗酸化作用のあるビタミンの摂取が大切です。
片頭痛の予防を期待
ビタミンB2は、片頭痛の治療として用いられることがあります。これは、片頭痛の方の血中ビタミンB2濃度が低いという報告があることから、予防効果があるのではないかと考えられていることが理由です。
実際に、ビタミンB2の投与により、片頭痛の頻度や時間が減少したという報告があります。ただし、効果のみられるビタミンB2の投与量が1日あたり200〜400 mgであり、通常の食べ物からの補給は難しい点には注意が必要です。
口の健康を守る
ビタミンB2は粘膜を正常に保つ働きがあるため、口の健康を守るためにも必要です。
ビタミンB2が不足すると、口内炎、口角炎、舌炎などの原因となり、口のトラブルの原因につながることが知られています。
実は葉酸が機能する上で欠かせない
ビタミンB2は、葉酸やナイアシン、ビタミンB6の代謝にも関わっています。ビタミンB2が欠乏すると、これらの栄養素の働きも妨げてしまう可能性が考えられます。
葉酸は妊娠中の赤ちゃんの健やかな成長を支えたり、タンパク質の合成に関わったりする栄養素です。ナイアシンとビタミンB6は、さまざまな栄養素の代謝に関わる働きがあり、どの栄養素も健康維持に欠かせない役割があります。
葉酸の働きや美味しく摂れるレシピはこちらの記事でご紹介しています。
ビタミンB2の1日の摂取量の目安
ビタミンB2の1日の摂取量の目安(推奨量)は下記のとおりです。
▼ビタミンB2の食事摂取基準(1日あたりの推奨量)
年齢 |
男性 |
女性 |
1~2歳 |
0.6 mg |
0.5 mg |
3~5歳 |
0.8 mg |
0.8 mg |
6~7歳 |
0.9 mg |
0.9 mg |
8~9歳 |
1.1 mg |
1.0 mg |
10~11歳 |
1.4 mg |
1.3 mg |
12~14歳 |
1.6 mg |
1.4 mg |
15~17歳 |
1.7 mg |
1.4 mg |
18~29歳 |
1.6 mg |
1.2 mg |
30~49歳 |
1.6 mg |
1.2 mg |
50~64歳 |
1.5 mg |
1.2 mg |
65~74歳 |
1.5 mg |
1.2 mg |
75歳以上 |
1.3 mg |
1.0 mg |
妊婦 (付加量)
|
ー |
+0.3 mg |
授乳婦
|
ー |
+0.6 mg |
出典:厚生労働省「
日本人の食事摂取基準(2020年版)」
ビタミンB2は、エネルギーの必要量が高まるほど、必要とされる量が増えます。そのため、活動量や運動量の多い方は、さらに摂取する必要があります。
日本人の平均的な摂取量を調査した報告では、成長期の子どもを含め、多くの年代で不足の傾向がみられます。
不足した場合の影響や、過剰摂取の影響について詳しく解説します。
ビタミンB2が不足するとどうなる?
ビタミンB2の摂取量が不足して、体内に欠乏した状態になると、下記の影響が起こる可能性があります。
- 成長障害
- 口内炎、口角炎、舌炎
- 咽頭炎
- 脂漏性皮膚炎
ほかにも、先ほど説明したとおり、にきびや片頭痛との関連も知られています。
ビタミンB2は、偏った食生活により不足するおそれがあります。ご飯やパンなどの穀類には、ビタミンB2はさほど含まれていません。主食中心の食生活を続けている方は、不足に注意が必要といえるでしょう。
また、代謝異常、病気、薬物の影響なども不足のリスクとなります。さらには、運動量・活動量が多くエネルギー消費量が多い方は、ビタミンB2の必要量が高まるため、不足しないよう意識して摂取することが大切です。
ビタミンB2を過剰摂取するとどうなる?
ビタミンB2は水溶性であり、たくさん摂っても尿中に排泄されるため、過剰症の心配はないとされています。そのため、耐容上限量は設定されていません。
しいていうなら、ビタミンB2をたくさん摂取すると、尿が黄やオレンジに変色することがあります。これはビタミンB2そのものの色であり、心配はありません。
ビタミンB2が豊富な食べ物
ビタミンB2はさまざまな動物性食品や植物性食品に含まれています。どのような食べ物に豊富に含まれるのか、詳しく見てみましょう。
レバーやひれ肉などの肉類
ビタミンB2はレバーなどの内臓や、ひれ肉などの部位に豊富に含まれています。
▼100 gあたりのビタミンB2含有量
食品名 |
含有量 |
豚レバー |
3.60 mg |
牛レバー |
3.00 mg |
鶏レバー |
1.80 mg |
牛ひれ |
0.26 mg |
豚ひれ |
0.25 mg |
豚肩ロース(脂身つき) |
0.23 mg |
出典:文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
肉類は比較的脂質を多く含みますが、脂質の代謝に欠かせないビタミンB2を同時に摂ることができるため、効率的に栄養補給できます。
いくらやさばなどの魚介類
ビタミンB2は魚介類にも豊富に含まれています。
▼100 gあたりのビタミンB2含有量
食品名 |
含有量 |
いくら |
0.55 mg |
うなぎ |
0.48 mg |
しじみ |
0.44 mg |
さば水煮缶 |
0.40 mg |
いわし |
0.39 mg |
ぶり |
0.36 mg |
出典:文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
なかでもさば水煮缶は、比較的手頃な価格で、調理も簡単なため、日常的に取り入れやすい食べ物です。魚を食べる回数の少ない方は、缶詰を上手に活用してみましょう。
きなこや納豆などの豆類
大豆製品の中でも、きなこ、納豆にはビタミンB2が豊富に含まれます。
▼100 gあたりのビタミンB2含有量
食品名 |
含有量 |
納豆 |
0.30 mg |
きなこ |
0.24 mg |
大豆(ゆで) |
0.08 mg |
絹ごし豆腐 |
0.04 mg |
出典:文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
肉や魚に比べると含有量は少なめですが、大豆製品は手軽に取り入れやすいのが魅力です。毎日意識して取り入れてみましょう。
鶏卵やチーズなどの卵・乳類
鶏卵、チーズや牛乳などの乳製品にもビタミンB2が含まれています。
▼100 gあたりのビタミンB2含有量
食品名 |
含有量 |
鶏卵(全卵) |
0.37 mg |
カマンベールチーズ |
0.48 mg |
プロセスチーズ |
0.38 mg |
牛乳 |
0.15 mg |
ヨーグルト(プレーン) |
0.14 mg |
出典:文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
どれも日常的に取り入れやすい食べ物ばかりです。特に乳製品は、ビタミンB2以外にも、カルシウムの大切な補給源となります。ぜひ毎日取り入れるようにしましょう。
大葉やしいたけなどの野菜・きのこ類
大葉やブロッコリーなどの色の濃い野菜や、きのこにはビタミンB2が豊富です。
▼100 gあたりのビタミンB2含有量
食品名 |
含有量 |
大葉(しそ) |
0.34 mg |
ブロッコリー |
0.23 mg |
豆苗 |
0.21 mg |
ほうれん草 |
0.20 mg |
水菜 |
0.15 mg |
マッシュルーム |
0.29 mg |
エリンギ |
0.22 mg |
生しいたけ |
0.21 mg |
しめじ |
0.17 mg |
出典:文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
ビタミンB2は脂質の代謝を助けるため、肉や魚などの脂質を含む食べ物をとる際や、脂っこい料理を食べる際は野菜やきのこを意識して取り入れるとよいでしょう。
また、ビタミンB2は水溶性であるため、茹でたり水にさらしたりすると流れ出てしまいます。ビタミンB2をムダなく摂りたい場合は、水にさらす時間を短くするか、汁ごと栄養素を摂れるスープや煮物などの料理がよいでしょう。
アーモンドやごまなどのナッツ類
ビタミンB2はナッツ類のなかでも、特にアーモンドに豊富です。
▼100 gあたりのビタミンB2含有量
食品名 |
含有量 |
アーモンド |
1.04 mg |
ピスタチオ |
0.24 mg |
ごま |
0.23 mg |
カシューナッツ |
0.18 mg |
くるみ |
0.15 mg |
出典:文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
ナッツ類は脂質が多いため、ビタミンB2とセットで摂ることができ、効率的に栄養補給できるといえます。
ただし、ナッツ類は少量でもカロリーの摂りすぎにつながりやすい食品です。食べすぎに注意して、上手に取り入れるようにしましょう。
ビタミンB2たっぷりの「さば缶ときのこの和風ワンパンパスタ」のレシピ
ビタミンB2をたっぷり摂れる「さば缶ときのこの和風ワンパンパスタ」のレシピを紹介します。
ビタミンB2の豊富なさば缶ときのこをたっぷり使っています。さば缶からはカルシウムが、きのこからはカルシウムの吸収を助けるビタミンDが摂れるので、骨や歯の健康づくりにも役立つレシピです。
フライパンひとつで作れるので、洗い物が少なく楽チンなのも魅力です。簡単なだけでなく、さばときのこのうまみをパスタがたっぷり吸ってくれますよ。
お好みで大葉とみょうがをトッピングすると、さわやかな仕上がりになります。
<材料>(2人分)調理時間:20分
- スパゲッティ:200 g
- さば缶(水煮):1缶
- しいたけ:2枚
- しめじ:1/2パック
- エリンギ:1本
- ごま油:大さじ1
- おろしにんにく:適量
- 水:600 ml
- めんつゆ(3倍濃縮):大さじ2
- 塩:少々
- こしょう:少々
- みょうが、大葉(お好みで):適量
<作り方>
- しいたけは軸を除いて薄切り、しめじは石づきを除いてほぐし、エリンギは薄切りにします。
- フライパンにごま油を入れ中火で熱し、さば缶を汁ごとと、おろしにんにくを入れてほぐしながら炒めます。さば缶がほぐれたら、しいたけ、しめじ、エリンギを加えてサッと炒めます。
- 2に水、めんつゆを加えて沸かし、スパゲッティを加えます。沸騰が続くくらいの弱火にし、パッケージの表示時間どおりに加熱します。
- 表示時間になり水分が残っていたら、強火にして水分を飛ばします。水分が飛んだら塩、こしょうで味をととのえます
- 4を器に盛り、お好みで薄切りにしたみょうが、千切りにした大葉を散らします。
<ポイント>
スパゲッティを加熱している途中で水が少なくなったら、50 mlほど足して様子を見ながら加熱してください。
健康を支えるビタミンB2を不足しないように摂取しよう!
子どもの成長や元気な毎日を送るために欠かせないビタミンB2。ビタミンB2が不足しないために、毎日大豆製品や魚介類を意識して取り入れたり、野菜やきのこたっぷりの食事を心がけたりしてみましょう。