初夏である6月が旬の野菜は、夏の訪れを感じさせるものばかりです。なかでも栄養価の優れたズッキーニ、大葉、ピーマンは、暑くなる時期に摂りたい栄養素が豊富です。
この記事では、6月が旬の野菜の栄養素や期待される効能について紹介します。また、旬を味わう簡単レシピも紹介するので、ぜひお試しください。
暑くなる時期に摂りたい栄養素がたっぷり「ズッキーニ」
ズッキーニの旬は6〜8月と、初夏から夏にかけてです。
ズッキーニはきゅうりのような見た目をしていますが、実はかぼちゃの仲間です。かぼちゃは完熟してから収穫するのに対し、ズッキーニは開花して数日後の未熟な状態で収穫されます。
ズッキーニはかぼちゃと違い、カロリー(16 kcal/100 g)が低く炭水化物(2.8 g/100 g)が少ないため、ヘルシーといえます。また、生で食べられるのもかぼちゃと異なる点です。
おいしいズッキーニの特徴は、皮にツヤやハリのあるものです。皮が硬すぎず、太さが均一なものも良いとされています。
栄養素
ズッキーニはビタミンA(27 µg/100 g)やビタミンC(20 mg/100 g)、ビタミンK(35 µg/100 g)、食物繊維(1.3 g/100 g)などを含みます。
なかでも豊富な栄養素に、カリウム(320 mg/100 g)があります。
期待される効能
ズッキーニは暑くなる時期にうれしいさまざまな栄養素を含んでいます。具体的にどのような効能が期待されるのか見てみましょう。
カリウム:熱中症予防に重要
ズッキーニに含まれるカリウムは、体内で水分バランスを調整する役割があります。
カリウムは水溶性であり、汗などによって失われやすい栄養素です。たくさん汗をかいてカリウムが失われてしまうと、細胞内が脱水状態となり、体内の水分バランスが崩れて熱中症のリスクとなります。
汗をよくかく暑い時期は、カリウムの摂取と、カリウムとともに体内の水分バランスを調整しているナトリウムの十分な摂取が大切です。
ビタミンA・C:抗酸化作用
ズッキーニに含まれるビタミンA・ビタミンCは、抗酸化作用のあるビタミンです。
抗酸化作用とは、活性酸素の働きを抑えたり、取り除いたりする働きのことです。活性酸素が体内でたくさん作られると、老化や免疫機能の低下、がん、動脈硬化などを引き起こす原因になることが知られています。
活性酸素は、紫外線や喫煙、ストレス、加齢など、さまざまな原因で体内に過剰に発生します。そのため紫外線の強くなる暑い時期は、ズッキーニのような抗酸化物質を含む食べ物の積極的な摂取が大切です。
おすすめの調理法
ズッキーニに含まれるビタミンCやカリウムは、水溶性の栄養素であり、水に流れ出る性質があります。ムダなく摂りたい場合は、生で食べたり、溶け出た栄養素ごと食べられるスープにしたり、焼いたりする調理法がおすすめです。
また、ズッキーニに含まれるビタミンAは脂溶性であり、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。そのため、調理する際は油を使うか、脂質を含む肉や魚と組み合わせると良いでしょう。
食欲アップを助ける「大葉(青しそ)」
大葉(青しそ)の旬は、6〜7月頃の初夏です。さわやかな香りで、暑い時期の食欲増進を助けてくれます。
大葉は緑色が濃く、葉先がピンとしているものを選びましょう。葉や切り口が変色しておらず、乾燥していないものが新鮮な証拠です。
栄養素
大葉には、カリウム(500 mg/100 g)、カルシウム(230 mg/100 g)、ビタミンE(3.9 mg/100 g)、食物繊維(7.3 g/100 g)などのさまざまな栄養素が含まれます。
なかでも、ビタミンA(880 µg/100 g)含有量は野菜のなかでトップクラスです。ほかにも、ペリルアルデヒドという成分を含みます。
赤しそと大葉の違い
緑色をした大葉(青しそ)のほかに、赤色をした「赤しそ」もあります。もともと、「しそ(紫蘇)」といえば赤しそを指し、大葉は赤しその変種といわれています。
赤しそは梅干しの色付けや、ふりかけの材料として使われるのが一般的です。また、大葉は1年を通して手に入りやすいのに対し、赤しそは6〜7月の限られた時期にしか出回りません。
日本食品標準成分表に赤しそは掲載されていないため、ビタミンやミネラルなどの栄養成分値の違いは比較できません。しかし、赤しそは色素成分であるアントシアニンの含有量が高く、ロスマリン酸というポリフェノールが豊富であるのが特徴です。
期待される効能
大葉(青しそ)や赤しそに含まれる栄養素や成分により、下記の効能が期待できます。
【大葉(青しそ)】ペリルアルデヒド:食欲増進・抗菌作用
ペリルアルデヒドは大葉の香り成分です。赤しそにも含まれることが知られていますが、大葉のほうが豊富に含まれることがわかっています。
ペリルアルデヒドは、良い香りで食欲増進を助けて、夏バテ防止に役立つ成分です。また、抗菌作用があることから、刺身のつまによく使われています。ほかにも、抗酸化作用があり、健康づくりや美容面にも良い働きが期待できます。
【赤しそ】ロスマリン酸:抗アレルギー作用や抗酸化作用
ロスマリン酸はしそ科植物に含まれる成分です。大葉にも含まれますが、赤しそのほうが含有量が高いことが知られています。
ロスマリン酸は抗アレルギー作用や抗酸化作用などがあることが知られており、さらにはエネルギー消費を促すのではないかとして、研究が進められている成分です。
【赤しそ】アントシアニン:抗酸化作用
赤しその赤色は、アントシアニンという色素成分によるもので、大葉にはほとんど含まれていません。
アントシアニンは抗酸化作用があり、体を酸化ストレスから守る作用があります。
おすすめの調理法
大葉に含まれるペリルアルデヒドは、熱に弱いことが知られています。食欲アップや抗菌作用を期待するなら、生のまま食べるほうが良いでしょう。
また、ビタミンAやビタミンEは脂溶性ビタミンであり、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。脂質を含む肉や魚を使った料理や、油を使った料理に使うと良いでしょう。
苦み成分もムダなく摂りたい「ピーマン」
1年中出回っているピーマンですが、本来の旬は6〜9月です。春や冬に出回っているピーマンは、ハウス栽培によるものです。旬の新鮮なピーマンは、おいしさがたっぷり詰まっています。
ピーマンは緑色が鮮やかで濃く、つややかでハリのあるものを選びましょう。ヘタの切り口が変色しておらずきれいなものは、新鮮なサインです。
栄養素
ピーマンに含まれる栄養素は、ビタミンA(33 µg/100 g)、食物繊維(2.3 g/100 g)、カリウム(190 mg/100 g)などがあります。
特にビタミンC(76 mg/100 g)の含有量が豊富で、ピラジンという香り成分も含んでいます。
期待される効能
ピーマンに含まれる栄養素には、下記の効能が期待されています。
ビタミンC:歯と口の健康づくりを助ける
ビタミンCは抗酸化作用のあるビタミンです。歯ぐきを炎症から守り、健やかな状態を保つのを助けてくれます。
また、ビタミンCはコラーゲンの生成にも関わっています。歯ぐきの修復を助けて、歯周病の予防に欠かせない栄養素です。
ピラジン:血液サラサラ効果を期待
ピラジンはピーマンの香りや苦みのもととなる成分です。種やワタの部分に多く含まれることが知られています。
ピラジンは血液が固まるのを防ぎ、血流をよくする作用が期待されています。血流がよくなることで、心筋梗塞や脳梗塞などの予防も期待できるでしょう。
おすすめの調理法
ピーマンの種やワタには、ピラジンや食物繊維などが含まれています。これらをムダなく摂りたい場合は、種やワタごと食べるようにしましょう。種やワタを取らずに、炒めたり焼いたりするだけでOKです。
6月が旬の食材を使った「ズッキーニの大葉肉巻き」のレシピ
6月が旬の食材を使った「ズッキーニの大葉肉巻き」のレシピを紹介します。
ズッキーニを大葉と豚肉で巻いて、カリッと焼き上げ、シンプルな味付けにしました。洋風料理のイメージのあるズッキーニですが、今回のように肉巻きにすると、ご飯に合うおかずになります。
豚肉に含まれる脂質は、ズッキーニのビタミンAの吸収を助けるため、効率的に栄養補給できる組み合わせです。
また、レモンを添えることで、ビタミンCを強化できます。美容や、歯と口の健康に良いビタミンCをたっぷり摂れるのがうれしいポイントです。
<材料>(2人分)調理時間:15分
- 豚バラ肉(薄切り):8枚
- ズッキーニ:1本
- 大葉:8枚
- 塩:適量
- 薄力粉:適量
- サラダ油:適量
- 粗びき黒こしょう:少々
- レモン:適量
<作り方>
- ズッキーニは上下を切り落として長さを半分に切り、さらに縦4等分に切ります。
- 豚肉を広げて大葉を載せ、ズッキーニを端に置いて巻きます。塩をしっかりとふり、薄力粉をまぶします。
- フライパンにサラダ油を入れ中火で熱し、2の巻き終わりを下にして並べます。転がしながら焼き、全体に焼き色がついたらふたをして弱火にし、3~4分蒸し焼きにします。
- 3を器に盛り、粗びき黒こしょうをふって、くし形に切ったレモンを添えます。
<ポイント>
ズッキーニは生で食べられるので、豚肉に火が通ればOKです。ズッキーニをやわらかく調理したい場合は、蒸し焼きにする時間を1~2分プラスしてください。
6月が旬の野菜で、じめじめした季節を乗り切ろう!
6月が旬の野菜は、ビタミンやミネラルが豊富なうえに、香りがよくみずみずしさもあり、食べやすいものばかりです。ぜひ栄養素たっぷりの旬の野菜を取り入れて、6月を元気に過ごしてくださいね。