この記事では、オレイン酸の働きやコレステロールとの関連、豊富な食べ物を紹介します。また、オレイン酸の豊富なオリーブ油を使った「鮭ときのこの豆乳クリームシチュー」のレシピもご紹介します。
一価不飽和脂肪酸の一種であるオレイン酸は、脂肪酸として細胞膜やホルモンの材料になるほか、血中脂質の改善や動脈硬化の予防にも注目されています。過不足の影響や1日の目安量に加えて、豊富な食べ物や簡単レシピも紹介します。
オレイン酸の豊富なオリーブ油を使った「鮭ときのこの豆乳クリームシチュー」のレシピ
オレイン酸の豊富なオリーブ油を使った「鮭ときのこの豆乳クリームシチュー」のレシピを紹介します。
バターや牛乳、肉などの飽和脂肪酸を多く含む食品を使わず、鮭と豆乳、オリーブ油を使ったヘルシーなシチューです。仕上げのオリーブ油が豊かな風味を加えて、あっさりとしていながら、満足感のある仕上がりです。
また、鮭ときのこにはビタミンDが豊富であり、歯や骨の健康づくりもサポートしてくれます。
<材料>(2人分)調理時間:25分
- 生鮭:2切れ
- 玉ねぎ:1/4個
- きのこ(しめじ・エリンギなど):計100 g
- 塩:少々
- こしょう:少々
- オリーブ油(炒め用):小さじ2
- 薄力粉:大さじ2.5
- 水:200 ml
- コンソメスープの素(顆粒):小さじ2
- 豆乳(無調整):200 ml
- 塩:適量
- こしょう:少
- オリーブ油(仕上げ用):小さじ1/2
- 粗びき黒こしょう:少々
<作り方>
- 鮭は一口大に切り、塩、こしょうをふります。玉ねぎは薄切り、きのこは食べやすい大きさに切ります。
- フライパンにオリーブ油(炒め用)小さじ1を入れ中火で熱し、鮭を焼きます。両面に焼き色がついたら取り出します。
- フライパンの汚れをサッとふき、オリーブ油(炒め用)小さじ1を入れて、玉ねぎ、きのこを炒めます。
- 玉ねぎがしんなりとしたら火を止め、薄力粉をふり入れて、白っぽいところがなくなるまで混ぜます。水を少しずつ加え、コンソメスープの素を加え、鮭を戻し入れて中火にかけます。
- 煮立ったら弱火にして、ふたをせずに途中でかき混ぜながら約5分煮込みます。
- 豆乳を加えて沸騰しないように温め、塩、こしょうで味をととのえます。器に盛り、オリーブ油(仕上げ用)を回しかけ、粗びき黒こしょうをふります。
<ポイント>
豆乳を加えた後、グツグツと沸騰させると豆乳が分離して口当たりが悪くなるおそれがあります。豆乳を加えた後は、温める程度にしましょう。
今回は無調整豆乳を使っていますが、調製豆乳でもお作りいただけます。
オレイン酸の特徴
オレイン酸は一価不飽和脂肪酸に分類される、オメガ9脂肪酸の代表的な脂肪酸です。
脂肪酸としてエネルギー源になるだけでなく、細胞膜やホルモンの材料として体の構造や働きを支える役割も担っています。
オレイン酸は体内でも合成できる脂肪酸であり、必須脂肪酸ではありません。ただし、血中脂質との関係などが研究されており、健康づくりの観点から注目されている脂肪酸です。
オレイン酸はオリーブ油やキャノーラ油などの植物油に豊富に含まれています。ほかにも、アーモンドなどナッツ類のほか、牛肉などの動物性食品にも幅広く含まれている脂肪酸です。
オレイン酸を含む不飽和脂肪酸については、こちらの記事で詳しく解説し、レシピも紹介しています。
オレイン酸に期待される効果・効能
以前は「オレイン酸はLDLコレステロールを下げる効果がある」として、働きが注目されていました。
しかし現在では、オレイン酸の作用は比較的穏やかであり、LDLコレステロールを低下させるというよりも「LDLコレステロールを増やしにくく、HDLコレステロールを減らしにくい」として認識されるようになっています。
オレイン酸による健康づくりへの効果を期待するなら、飽和脂肪酸を減らすのがポイントです。飽和脂肪酸を減らしてオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸を取り入れた際に、LDLコレステロールなどの血中脂質の改善や、心血管疾患や脳卒中の発症リスクの低下につながるといった、さまざまな可能性が示されています。
LDLコレステロールが高い状態が続くと、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞といった病気の引き金になりかねません。肉やバターなどの飽和脂肪酸を控え、オリーブ油やナッツなどからオレイン酸をうまく取り入れ、脂質の質を見直していきましょう。
オレイン酸と歯・歯ぐきとの関係
オレイン酸が直接的に歯や口の健康を守るというわけではありませんが、オレイン酸を含めた脂質のバランスを整えることは、歯と口の健康づくりにもつながると考えられます。
飽和脂肪酸に偏った食事と比べ、一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸をバランスよく取り入れた食事は、血中脂質や血管への良い影響、さらには慢性炎症のコントロールなど、さまざまな働きが期待できます。
血中脂質の悪化や全身の炎症状態が続くと、歯ぐきの血流低下や歯周病リスクにつながりかねません。また、オレイン酸などの脂質は脂溶性ビタミンの吸収を助ける役割もあり、体の機能を支える上で欠かせない栄養素です。
このように、脂質の「質」に目を向けることも、歯や口の健康づくりにおいて大切な視点といえるでしょう。
【豆知識】オレイン酸の豊富なオリーブ油の健康効果
オレイン酸を含む油の代表ともいえるオリーブ油は、オレイン酸以外にもビタミンEやポリフェノールを含むことから、さまざまな良い効果が知られている油です。
ビタミンE、ポリフェノールには抗酸化作用があり、血中脂質の酸化を防いで動脈硬化の予防に関わります。また、過剰な活性酸素による細胞へのダメージを防ぎ、がんを防いだり、肌の老化を防いだりするなど、うれしい働きが期待できます。
特に、エクストラバージンオリーブオイルに含まれる「オレオカンタール」は、注目されている成分です。オレオカンタールは非ステロイド性消炎鎮痛剤であるイブプロフェンと同様に、強力な抗炎症作用があることが知られています。
炎症をコントロールすることで、関節炎や皮膚炎などの炎症によるさまざまなトラブルの予防にもつながると考えられるでしょう。
オリーブ油がポイントとなる「地中海食」とは?
健康に良い食事パターンとして知られる「地中海食」は、オリーブ油が中心となります。
そもそも地中海食とは、地中海地域の伝統的な食事であり、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。地中海食の基本は、穀類・魚介類・野菜・果物・豆類をバランスよく取り入れ、油脂にはオリーブ油を使い、肉類は控えめにする食事スタイルです。
このような食事では、肉類に多い飽和脂肪酸の摂取が抑えられます。一方で、オリーブ油や魚介類に含まれる不飽和脂肪酸を中心に、野菜や果物から抗酸化成分も多く摂取できることが特徴です。
こうした栄養バランスから、動脈硬化や心血管疾患との関連が多く研究されています。また、認知機能の低下やアルツハイマー型認知症の予防との関連も研究が進められており、健康寿命を延ばす効果が期待できると考えられています。
オレイン酸の1日の摂取量の目安はある?
オレイン酸は必須脂肪酸ではないため、1日の摂取量の目安は示されていません。
以前の基準では飽和脂肪酸(S)・一価不飽和脂肪酸(M)・多価不飽和脂肪酸(P)の比率(SMP比)が3:4:3が望ましいといわれていました。しかし、現在は比率よりも摂取量が注目されるようになり、比率ではなく多価不飽和脂肪酸であるオメガ3・オメガ6脂肪酸の目安量が示されるようになっています。
オレイン酸を含む一価不飽和脂肪酸は目安量などは示されていないものの、脂質のバランスを整える上で適切に取り入れたいものです。
適正な脂質エネルギー比率である20〜30%のなかで、さまざまな脂肪酸をバランスよく取り入れましょう。
オレイン酸が不足するとどうなる?
オレイン酸はさまざまな食品に含まれており、体内でも合成される脂肪酸です。そのため、オレイン酸だけが不足する状況は考えにくいものです。
ただし、極端に脂質を制限した食事を続けた場合、オレイン酸を含む脂肪酸全体の摂取量が不足する可能性があります。
脂質が不足すると、皮膚トラブル、エネルギー不足、ホルモンバランスの乱れなど、さまざまな影響が考えられます。脂溶性ビタミンの吸収低下にもつながるため、健康維持の面でも注意が必要です。
極端な「油抜きダイエット」は脂質不足を招きやすい食事法です。油を完全に避けるのではなく、量を調整しながら質の良い油を取り入れ、バランスの良い食事を心掛けることが大切といえるでしょう。
オレイン酸を過剰摂取するとどうなる?
オレイン酸を多く含む食品を摂りすぎると、脂質の過剰摂取につながる可能性があります。脂質は1 gあたり9 kcalとエネルギー量が高く、摂りすぎると肥満や生活習慣病のリスクに関わるため注意が必要です。
例えば、オリーブ油をたっぷり使ったり、油を多く使う揚げ物や炒め物が続いたりした場合、気づかないうちに脂質の過剰摂取につながるおそれがあります。
体に良いとされる脂肪酸であっても、適量を意識して取り入れましょう。
オリーブ油などの植物油の目安は1日大さじ1杯程度まで
あくまでも目安ですが、オリーブ油などの植物油は、1日あたり大さじ1杯程度までを目安にすると良いでしょう。
この量は、日本人の20歳以上における植物油脂の平均的な摂取量9.7 g(約小さじ2.5杯)を参考にしたものです。脂質全体の平均的な摂取量も、目標量の範囲(脂質エネルギー比20〜30%以内)に概ね収まっているため、現状程度の摂取量であれば、摂りすぎにつながりにくいと考えられます。
大さじ1杯の油は、意外とすぐに使ってしまう量です。炒め物や揚げ物、ドレッシングなどにたっぷり使うと、知らないうちに目安量を超える場合もあります。
「油は少し控えめに」を意識しながら、量を調整しながら取り入れましょう。
オレイン酸が豊富な食べ物
オレイン酸は植物油のほか、ナッツ類、動物性油脂にも含まれています。ここでは健康づくりに取り入れたい、植物油とナッツ類を中心に、オレイン酸の含有量を紹介します。
オリーブ油やなたね油などの植物油
オレイン酸の豊富な植物油には、代表的なオリーブ油のほか、ハイオレックタイプのひまわり油や紅花油などがあります。
ハイオレックとは、オレイン酸を豊富に含む品種の種子から採油されたタイプのことです。リノール酸を多く含むハイリノールタイプのひまわり油や紅花油もあるため、購入する際はパッケージをチェックすると良いでしょう。
また、なたね油や米油といった身近な植物油にもオレイン酸が含まれています。
香りのあるオリーブ油は洋風料理に向いています。一方、クセの少ないなたね油や米油は和食に使いやすい油です。料理に合わせて使い分けると取り入れやすくなるでしょう。
▼100 gあたりのオレイン酸含有量
| 食品名 |
含有量 |
| ひまわり油(ハイオレック) |
80,000 mg |
| オリーブ油 |
73,000 mg |
| 紅花油(ハイオレック) |
73,000 mg |
| なたね油 |
58,000 mg |
| ピーナッツ油 |
42,000 mg |
| 米油 |
39,000 mg |
| ごま油 |
37,000 mg |
| コーン油 |
28,000 mg |
マカダミアナッツやアーモンドなどの種実類
ナッツ類のなかでは、マカダミアナッツ、アーモンド、ピスタチオなどにオレイン酸が豊富に含まれています。手軽に取り入れやすく、間食としても活用しやすい食品です。
なかでもアーモンドは、オレイン酸に加えてビタミンEも豊富に含まれています。アーモンド100 gあたりのビタミンEは29.0 mgで、ほかのナッツ類と比べても多いことが特徴です。
ビタミンEには抗酸化作用があり、脂質の酸化を抑える働きが知られています。オレイン酸とあわせて摂取できるアーモンドは、健康づくりに役立ってくれるといえるでしょう。
ただし、食べすぎには注意し、1日20〜25 g程度を目安に取り入れましょう。
▼100 gあたりのオレイン酸含有量(※すべて「炒り」の場合の成分値)
| 食品名 |
含有量 |
| マカダミアナッツ |
42,000 mg |
| アーモンド |
35,000 mg |
| ピスタチオ |
30,000 mg |
| ピーナッツ |
24,000 mg |
| ごま |
19,000 mg |
| くるみ |
10,000 mg |
オレイン酸を含めた脂質のバランスを整えよう
飽和脂肪酸は控えめにし、オレイン酸などの一価不飽和脂肪酸や、多価不飽和脂肪酸を適量取り入れると、脂質のバランスを整えやすくなります。脂質の質を見直すことで、生活習慣病の予防だけでなく、歯と口の健康づくりにも役立ってくれるでしょう。今回紹介した取り入れ方を参考に、上手に活用してください。
【参考】
厚生労働省「
日本人の食事摂取基準(2025年版)」
文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
厚生労働省「
令和5年国民健康・栄養調査」
一般社団法人日本動脈硬化学会「
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」