歯の治療は痛みを伴い、怖いものだと思われがちです。しかし、昨今では治療技術や機器の進化により、痛くない治療を行う歯医者も増えてきています。本記事では、歯科医院で行っている痛くない治療方法の特徴や種類の他に、痛くない治療を行ってくれる歯医者の探し方などをご紹介します。ぜひ、歯科医院を選ぶ際の参考にしてみてください。
歯科医院で行っている痛くない治療方法とは
痛みを伴わない歯科治療は、無痛治療と呼ばれています。まずは、歯医者で痛みを感じやすい治療や、無痛治療の特徴について解説します。
歯医者で痛みを感じやすい施術
歯科治療は痛みを伴うイメージが強いため、恐怖心を抱く方も多くいるのではないでしょうか。歯科治療で痛みを感じやすい施術の主な例は、麻酔時と歯を削る時の2つです。
一般的な麻酔は治療する歯の近くに針を刺すため、歯肉にチクッとした痛みを感じることが多くあります。
むし歯治療などで歯を削る際は、削る前に麻酔をしていても、ドリルなどで歯の神経が刺激され、痛みを感じるケースがあります。また、削る際の痛みだけではなく、治療時の振動や音により恐怖心が高まってしまうという精神的なストレスを伴うこともあるでしょう。
痛みを感じにくい無痛治療
技術の発展とともに、歯科治療方法や治療器具も年々進化しています。近年では、無痛治療と呼ばれる痛みを感じにくい治療方法も増えてきました。
無痛治療は、大きく分けて2種類に分けられます。麻酔を使用して痛みを軽減するものと、治療自体を痛みを感じにくい方法で治療を行うものです。主な無痛治療については、後ほど解説していきます。
無痛治療の料金と保険適用
ほとんどの無痛治療は、保険適用で行えることが多いです。ただし、無痛治療の種類によっては保険適用外のものもあります。詳細な治療方法については後述しますが、静脈内鎮静法や笑気ガスの使用による無痛治療は、保険適用外となっているケースが多く見られます。
無痛治療の種類や保険適用かどうかは、歯科医院によって異なるため、心配な場合は事前に確認するようにしましょう。
歯医者での痛みの少ない治療方法(無痛治療)の種類
無痛治療には、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を知っておき、自分の症状や希望に合った方法を選択すると良いでしょう。ここからは、代表的な無痛治療について詳しくご紹介します。
表面麻酔で注射時の痛みを軽減する
表面麻酔は、治療前の麻酔で伴う痛みを抑える方法として主に利用されます。麻酔注射をする前に、ジェル状の表面麻酔を歯ぐきに塗布します。表面麻酔は針で患部に注入するわけではなく、麻酔薬を塗るだけなので、チクッとした痛みはありません。表面麻酔を塗って数十秒待ってから局所麻酔を行うと、痛みを感じにくくなります。
特別な注射器で局所麻酔の痛みを軽減する
局所麻酔をする際に、特別な注射器や針を用いて痛みを緩和する方法です。麻酔注射の針が大きいと痛みが出やすくなるため、細く小さな針を使用します。針が触れる面積が小さくなると、痛みを感じにくいでしょう。
また、電動注射器と呼ばれる器具を使用する方法もあります。麻酔液は、一気に注入されると細胞が膨張して痛みを感じやすくなる傾向があります。電動注射器は一定の速度で麻酔液を注入するものです。急激な細胞の膨張を防ぎ、痛むリスクを下げてくれます。電動注射器の針も、通常のものより細い場合が多いです。
特殊な麻酔で治療時の痛みや恐怖心を緩和する
通常の麻酔とは異なる麻酔薬やガスを使う方法もあります。意識がボーッとしたり、眠ったりといった状態になるため、気がついたら治療が終わっているでしょう。歯医者に対する恐怖心が大きい方でも治療を受けやすい方法です。特殊な麻酔として歯科治療で用いられているのは、主に下記の2種類です。
<静脈内鎮静法>
腕から点滴を入れて、麻酔を注入する施術を静脈内鎮静法と呼びます。麻酔後に眠りに落ちるケースが多く、目が覚めると治療が終わっていることがほとんどです。通常の局所麻酔とは異なり、全身に作用する点も大きな特徴です。
<笑気吸入鎮静法>
笑気ガスと呼ばれる気体を吸い込む方法です。笑気ガスとは、亜酸化窒素と酸素を混合させたガスのことを指します。ガスを吸い込むとリラックスした気分になり、痛みを感じにくくなる効果があります。治療後には100%の酸素を吸入して、笑気ガスを体外に排出できるため、体内への蓄積や副作用の心配もありません。
最新機器の使用で治療時の痛みを軽減する
むし歯などの歯に対して行う無痛治療方法も、さまざまなタイプがあります。ここでは、その中でも代表的なものを2つご紹介します。
<マイクロスコープと呼ばれる歯科用顕微鏡の使用>
細かい部分もしっかりと見える顕微鏡を用いて、治療する場所を的確に、精密に定めます。余計な部分を削ったり、神経を無駄に刺激したりするのを防ぐため痛みを感じにくいでしょう。また、マイクロスコープの使用はむし歯などの見落としを防ぐことにもつながります。
<レーザーによる無痛治療>
歯科用のレーザーを用いた治療方法です。むし歯になっている層は水分を多く含んでいます。水分に反応するレーザーを用いることで、むし歯菌を水分と一緒に蒸発させます。レーザーは通常治療のように音や振動が少ないため、恐怖心も和らぐかもしれません。
また、レーザーはむし歯以外にも、根管治療や歯周病、親知らずのなどさまざまな用途に使われる治療方法でもあります。小さな子どもや妊婦さんでも適用可能な場合が多いため、幅広い場面で対応できる無痛治療と言えるでしょう。
痛くない歯科医院を探すポイント
無痛治療を始め、痛みを考慮した治療を行ってくれる歯科医院の探し方が分からないという方も多いかもしれません。ここからは、痛くない治療を行ってくれる歯科医院を見つけるポイントをご紹介します。
無痛治療を推奨しているか
最近では無痛治療を推奨している歯科医院が増えています。歯科医院を受診する前に、無痛治療を行っているかをホームページなどで確認しておくと良いでしょう。ホームページにどのような治療方法を行っているのかの説明がされている歯科医院も多いため、それらを参考に歯科医院を探してみてください。
丁寧にカウンセリングをしてくれるか
実際に治療を行う前に、治療方法などをしっかりと説明してくれる歯科医院を選ぶこともポイントです。患者が不安や恐怖心を抱かないように、十分にカウンセリング時間を割いてくれる歯科医院が不安や緊張が和らぎやすい歯科医院です。治療方法に関して不安なことや、気になることはカウンセリングの際にしっかりと聞いておきましょう。
焦らず治療してくれるか
十分に治療時間を確保してくれるかもポイントになります。患者一人一人に対して、十分な治療時間をとっている歯医者だと麻酔が効く前に削ってしまうといったリスクを減らせるでしょう。また、治療を受ける前に、治療時の痛みに対して不安があることをしっかりと伝えておくことも重要です。
歯科治療で痛い思いをしないためにできること
歯科医院で治療を受ける際には、できるだけ痛みに考慮してくれる歯科医院を探したいものです。しかし、歯科医院での治療をできるだけ痛くないものにするために、自分で出来ることもあります。最後に、歯科治療が痛いものにならないように、患者側ができることをご紹介します。
緊張しすぎない
治療が怖いという恐怖心や緊張が影響して、痛みに対して敏感になってしまうことも考えられます。怖い気持ちや不安な気持ちは分かりますが、できるだけリラックスして治療を受けた方が痛みを感じにくいでしょう。
また、安心して治療を任せるためにも、自分が信頼できる歯医者を選ぶことも大切です。どうしても怖い場合は、静脈内鎮静法や笑気吸入鎮静法を検討してみるのも方法の1つです。
なるべく早く治療を受ける
むし歯などの口内トラブルが起こったら、なるべく早く治療を受けましょう。むし歯は放置していると、どんどん進行してしまいます。進行すればするほど治療も複雑になり、神経を除去する根管治療などが必要になるため痛みが起こるリスクも上がります。
早期であれば治療も軽いもので済むため、トラブルがある場合は迷わず歯科医院を受診してください。
口内チェックを定期的に行う
定期検診などで定期的に口内の状態をチェックしておくと、痛みを伴う治療が必要になるリスクを減らせます。定期的にチェックをしていれば、むし歯や歯周病も早期のうちに発見できるためです。
また、チェックする際には歯医者から正しい口内ケアについてのアドバイスも受けられるため、自身でのケアの質も上がり、口内トラブルの予防につながるでしょう。
唾液検査のシルハで口内を定期的にチェック
口内トラブルの予防には、生活習慣の見直しや自分の口内に合ったケアをすることが大切です。唾液検査のシルハでは、検査結果をもとに、口内に関するさまざまなアドバイスを受けられます。また、口内の定期的なチェックでトラブルを早期発見したり予防したりできるため、痛みが発生する前の対応が可能となります。
シルハは口をすすぐだけで、口内の状態を6項目に分けて検査できます。検査時に痛みを伴わないため、歯医者が怖いという方でも簡単に行えるでしょう。お近くのクリニックに導入されているかは、こちらから検索が可能なのでぜひ探してみてください。
痛くない歯医者を見つけて安心できる治療を
歯科治療が痛くて怖いと、不安に思う方は多くいます。しかし、無痛治療を行っている歯科医院を選べば、痛みを極力抑える方法で治療してもらえます。むし歯などのトラブルがある場合は、無痛治療を推奨している歯科医院を探して、できるだけ早く受診をしましょう。
監修医師:笹山 智加先生
王子歯科&矯正歯科。一般診療をメインとしており、小児歯科から高齢者の訪問歯科と幅広く診療。
「歯が生える前からの予防により口腔内環境を整え、将来的に自分の歯を守る事へ繋がる」をモットーに、一人一人の口腔内リスクを把握しての治療や予防を提案している。