赤ちゃんの歯磨きはいつから? 始めるタイミング・やり方の解説【歯科医師監修】

赤ちゃんの歯磨きはいつから? 始めるタイミング・やり方の解説【歯科医師監修】

(2022年12月23日公開)
赤ちゃんの頃の歯磨きは、むし歯予防という目的以外に、歯磨きの習慣を身につけるという意味でとても重要です。歯が生え始めたらいつから歯磨きをするのか、どのように磨いたら良いか、イヤイヤしているときの対応など、赤ちゃんの歯磨きの正しいやり方やコツをご紹介します。

               

赤ちゃんの歯磨きはいつから? 

歯磨きの目的は歯のエナメル質を守り、むし歯や歯周病などを防ぐことです。そのため、歯がないうちは必要ありません。赤ちゃんの歯磨きは、乳歯が生えた段階で行いましょう。

歯が生えていない新生児は歯磨き不要

とはいえ、乳歯が生え始めてすぐに歯磨きを始めると、赤ちゃんが嫌がってしまい、デリケートな歯ぐきを歯ブラシで傷つけてしまうおそれがあります。歯磨きを始める前段階として、歯や歯ぐきに触れられる感触に慣れさせてあげることも大事です。覚えておいてほしいのが、赤ちゃんの口の中はとても清潔で無菌に近い状態であるということです。口の中に入れるものも清潔なものを使うように心がけましょう。
<家族と食器を共有することも厳禁>
むし歯は感染症の一つなので、スキンシップをしたり、家族の使っている箸やスプーンをそのまま使ったりすることで、赤ちゃんはむし歯菌に感染します。家族が使った食器を洗わずに、赤ちゃんの口に触れさせないように注意しましょう。

とはいえ、感染リスクを完全に防ぐことはできません。赤ちゃんとのスキンシップはとても重要なことです。しかし、神経質になりすぎるあまりスキンシップが減ったり、過度なストレスを感じる保護者の方も多いようです。まずは、家族の口内ケアを徹底し、赤ちゃんへの感染リスクを減らすことから始めましょう。

歯が生え始めたらガーゼ磨きを開始

歯が生え始めたら、まずはガーゼ磨きから始めましょう。上述のように、赤ちゃんの口の中は非常にデリケートです。また、赤ちゃんは口の中に異物が入ることを嫌がります。ガーゼは、歯ブラシと違って柔らかく、異物感も少ないため、口の中に優しく触れながら歯磨きに慣れてもらうために最適です。

やり方としては、膝の上で赤ちゃんを仰向けに寝かせます。水で湿らせたガーゼを人差し指に巻きつけ、赤ちゃんの歯や歯ぐきをマッサージするように磨いていきます。赤ちゃんの口の中は無菌に近い状態であるため、衛生面を考慮して、ガーゼは使い回しをせず、使い捨てのものを使用するようにしてください。ガーゼの代わりに市販の歯磨きシートを使うのも良いでしょう。

慣れてきたら歯ブラシでの歯磨きにチェンジ

奥歯が生えてきた頃が、ガーゼ磨きから歯ブラシに変更するタイミングと言えます。離乳食に変わり、奥歯が生えてくると歯もたくさん生え、それだけ食べ物が歯にくっつきやすくなります。特に奥歯は歯の構造上、食べ物が詰まりやすく、むし歯になりやすいため、この頃から歯ブラシ磨きに切り替えて、しっかり食べかすを取ってあげましょう。

歯ブラシを使った赤ちゃんの歯の磨き方

赤ちゃんの歯磨きのやり方は、大人の歯磨きとは異なります。歯磨きのときの姿勢や歯ブラシの当て方、そして力の入れ方も覚えておきましょう。

歯磨きのときの姿勢

基本的にガーゼ磨きと同様で構いませんが、お子さんの口の中が見やすい姿勢が良いです。正座やあぐら座位でお子さんの頭を足の上に乗せて仰向けにさせたり、足の間にお子さんの頭を固定させたりします。

歯ブラシの当て方

赤ちゃんの頭を動かないように固定して、ペンを持つように歯ブラシを持ちましょう。指で赤ちゃんの歯ぐきと唇をきちんと保護した状態で、歯ブラシを直角にあて、細かく一本ずつ磨きます。その際に、歯ぐきや「上唇小帯(上唇の裏側と歯ぐきの間にあるスジ)に歯ブラシを当てないように気を付けましょう。

力の入れ方

ゴシゴシ磨くのはもちろんNGです。軽く歯ブラシの先端を歯に当てて震わす程度で問題ありません。あまり力を入れてしまうと、歯磨きを嫌がる原因にもなります。

磨き方のポイント

前歯を磨く際は指で唇をやさしくめくり、歯ブラシを直角に当てて磨きます。
奥歯を磨く際は、片方の手で下あごを固定しつつ、歯ブラシを45度くらい傾けて細かく動かします。奥歯は食べ物が引っ掛かりやすいため、丁寧に掻き出すように磨いてあげましょう。

嫌がる場合は手を止めましょう。歯ブラシが唇や歯ぐきにあたって痛かったり、歯磨きに対して抵抗感を感じていたりする可能性があります。無理はせず、ご機嫌な時に楽しい雰囲気で行うことを心がけてください。

赤ちゃんの歯磨きは1日何回? 

基本的には1日に1〜2回行えば問題ありません。やり過ぎると逆効果になるため、最初のうちは1日1回と覚えておきましょう。

慣れることを大事に

磨く回数は、基本的には授乳後、離乳食後、就寝前など回数が多いほうが望ましいですが、何度も口に中に異物が入ると赤ちゃんも嫌な気持ちになってしまいます。姿勢を変えたり、おもちゃで気を引いたり試行錯誤しながら、少しずつ回数を増やすようにしていきましょう。

初めは1日1~2回

初めのうちは1日1〜2回の歯磨きを行いましょう。特に就寝前の歯磨きは重要です。その理由として、寝ているときは唾液の量が減り、口の中が乾燥しているからです。殺菌作用のある唾液が減ると、むし歯菌が増殖する原因になります。

慣れてきたら1日3回以上に増やす

上記のように、最低でも就寝前は必ず磨くようにしましょう。慣れてきたら、1日3回、食後に磨くよう習慣づけましょう。

赤ちゃんの歯ブラシの選び方

赤ちゃんの頃の歯磨きは、しっかり磨くことよりも「安全に歯ブラシに慣れること」を目的に歯ブラシを使用します。そのため、赤ちゃん用の歯ブラシは以下、4つのポイントを基準に選びましょう。
  • やわらかいシリコン製のもの
  • 飲み込み防止ストッパーが付いたもの
  • 毛先がやわらかいブラシのもの
  • 赤ちゃんが握りやすいよう持ち手が丸い形になっているもの

初めての歯ブラシはやわらかいシリコンタイプを選ぶ

一般的な毛束タイプは、デリケートな赤ちゃんの歯ぐきを傷つけてしまうおそれがあるため、初めはやわらかいシリコンタイプがおすすめです。赤ちゃんが歯ブラシを握るのが難しい間は、保護者の方が指にはめて使うことができる指歯ブラシを使って歯磨きに慣れてもらうのがいいでしょう。

1歳からはブラシタイプでガード付きのものを選ぶ

1歳あたりからは、ブラシタイプに変更します。毛束の目安は上の前歯2本分程度、毛先が短いものがよいでしょう。毛先が短いことにより、狭い小さな歯の間でもキレイに磨くことが可能です。また、ヘッドが小さいと、赤ちゃんの小さな口の中でも奥まで届きます。ただし、誤って突っ込みすぎてしまわないよう、ガードがついていて柄の短いものがおすすめです。

赤ちゃんが歯磨きを嫌がる場合の対処法

歯磨きを嫌がる赤ちゃんは多いです。いくつか考えられる理由を挙げてみます。
まず、口の中に異物が入ることに不快感を感じることです。また、上唇の内側のスジに歯ブラシが当たって痛い、嘔吐反射を誘発して気分が悪くなる、なども原因と言えるでしょう。

それ以外にも、保護者が怒ったり、怖い顔をしたりしていることも考えられます。お子さんのためと思って厳しくするあまり、それがかえって赤ちゃんのストレスになっている場合があるので、気を付けるようにしてください。

赤ちゃんが歯磨きを嫌がる…嫌がらないやり方は? 

赤ちゃんの気分はコロコロ変わってしまい、対応に困ることも多いと思います。眠い、遊びたいということも考えられます。歯磨きは嫌なことではなくて楽しいことと思えるような雰囲気づくりを心がけ、将来的に自ら歯磨きする道筋を作ってあげましょう。

嫌がっても歯磨きした方が良い? 無理にしない方が良い? 

どうしても嫌がってしまう場合、無理にでも歯磨きをしたほうが良いのかどうか悩むことでしょう。無理やり行うとかえって口の中を傷つけたり、他のケガをするおそれがあるのであまりおすすめできません。
その日はうがいだけで済ませたり、好きな歌の時間だけ歯磨きをやってみたり、時間にこだわらず歯磨きに慣れてもらうことから始めてもよいかもしれません。

1人での歯磨きの練習はいつから? 

物を握ることができるようになったら、自分で歯ブラシを持って磨けるように練習していきましょう。2歳半~3歳ごろから自分で磨くよう促してあげるといいかもしれません。

子どもは家族のやることをなんでも真似てみたり、自分でやりたがります。その気持ちは成長・発達の上でも非常に大事であるため、一緒に取り組んでいきましょう。また、磨き残しがないかの確認、仕上げ磨きもしっかり行ってあげてください。

まとめ

今回は、赤ちゃんの歯磨きはいつから始めるべきなのか、そのやり方やタイミングについて解説しました。

あくまで一般的な内容であるため、これを参考にしながらお子さんに合った方法を見つけてください。大事なのは「丁寧に歯磨きをする」「歯を守る」ことです。少しでも異変や違和感を感じたら、すぐに歯科に行くことをおすすめします。

監修歯科医師:飯田智代先生

さくら歯科医院、飯田歯科医院勤務。2002年3月 東京歯科大学卒業。大平歯科医院、ひろ歯科医院、カテリーナデンタルオフィス分院長を経て、2011年4月にさくら歯科医院の院長に就任。2022年8月からは飯田歯科医院の理事長に就任し、現在はさくら歯科医院、飯田歯科医院へ非常勤で勤務している。

近隣のクリニックを検索

関連記事

ピックアップ

医療機関の方へ

シルハは口腔環境6項目を簡単操作で5分でスクリーニングできる唾液検査です。
製品情報・お問い合わせはコチラ