(2022年12月23日公開)
歯磨きをしている最中に鏡を見たら、歯ぐきに黒くなっている部分があったら気になってしまいますよね。歯ぐきが黒くなる原因には、生活習慣や病気など、様々なことが挙げられます。
「歯ぐきが黒くなった原因は何? 」
「理想の歯ぐきの特徴が知りたい」
「黒い歯ぐきにならないように、どう予防していけばいいの? 」
そんな疑問にお答えしていきます。
歯ぐきが黒いのはなぜ? 考えられる原因と改善法
歯ぐきが黒い原因はいくつか考えられます。「タバコ」「被せ物・詰め物」「歯周病」「歯の神経」を中心に、歯ぐきが黒くなる原因をお伝えしていきます。
タバコによるメラニン色素の沈着
タバコは、身体の至るところに悪影響を及ぼします。例えば、タールが沈着して肺が黒くなることをご存じの方は多いと思いますが、実は歯ぐきをも黒くしてしまうのです。しかしこの場合、着色の元はタールではなくメラニン色素です。
メラニンは細胞を守る働きをする色素であり、口の中では、有害物質が歯ぐきに吸収されるのを防ぐ役割をしてくれます。メラニンは褐色であるため、この色素が沈着すると歯ぐきが黒ずんで見えます。
タバコは、ニコチンやタールなどの様々な有害物質を含んでいるため、喫煙はこのメラニンを増加させます。さらにニコチンが毛細血管を収縮させ、歯ぐきの血流を悪くすることも、歯ぐきが黒くなる原因になります。
タバコによる着色を改善するには、ガムピーリング治療をする必要があります。この治療には、歯ぐきに薬剤を塗っていく方法と、レーザーを照射する方法があります。時間はかかりますが、歯ぐきをピンク色にしていくことができます。
被せ物や詰め物によるメタルタトゥー
歯科医院の治療では、歯に被せ物や詰め物をすることがあります。長年、被せ物や詰め物をしていると、これらに含まれている金属が溶け出し、歯ぐきが黒くなることがあります。これをメタルタトゥーと呼びます。
特に保険診療の場合では、使用する被せ物に比較的溶け出しやすい金属が使われていることがあります。そのため、メタルタトゥーになるリスクが高くなるといえるでしょう。
メタルタトゥーによる着色の場合、歯ぐきそのものが黒くなった訳ではないので、被せ物や詰め物を替えてもらうことで改善できます。ただし、歯ぐきへの着色が強い場合には、着色部分の切除が必要になる場合もあります。
歯周病による歯ぐきからの排膿
歯ぐきが黒くなる原因として最も深刻なのは、歯周病です。歯周病が悪化すると、歯ぐきから出血するだけでなく、膿(うみ)も出るようになります。これを排膿といいます。排膿がおきると、歯ぐきが赤黒くなり、強い口臭のもとにもなります。
歯周病は、歯ぐきを黒くするだけではなく、炎症も起こします。そして症状が進行すると、歯を支えている歯槽骨(歯を支える顎骨)が破壊されてしまうため、そのまま放置していると歯がグラつき、やがて抜けてしまいます。もし、歯ぐきが黒い原因が歯周病だった場合には、早期治療が必要です。歯周病治療により歯ぐき状態が改善すれば、赤黒い歯ぐきも健康なピンク色に戻ります。
神経がない歯の変色
むし歯治療で歯の神経を抜いたり、歯を強くぶつける等の外傷により歯の神経が死んだりしてしまうと、歯に栄養が行き渡らなくなります。すると、時間が経つとともに歯は黒く変色していきます。その歯の変色が根元まで及んでしまうと、根本の黒い変色が歯ぐきにまで透けて見えることがあります。
一度神経が死んでしまった歯は元には戻らないため、この場合の黒ずみも、自然には治りません。着色した歯にホワイトニングをしたり、被せ物をしたりすることで歯を白く見せることができます。
子どもの場合は歯の生え変わりの影響も
子どもの場合、歯が生え変わって新しい歯が生えてくるタイミングで、水ぶくれのようなものが歯ぐきにできることがあります。すると歯ぐきが内出血を起こし、血が溜まることで歯ぐきが黒くなるケースがあります。
この場合、子どもの歯が生え始めると自然におさまります。
生まれつき歯ぐきが黒いケースもある
生まれつき歯ぐきが黒い場合もあります。このような先天性のケースでは、歯ぐきの一部分が黒いのではなく、全体が黒い状態であることがほとんどです。この場合も、歯ぐきをピンク色にするにはガムピーリング治療をする必要があります。
目指すべき健康な歯ぐきとは
歯ぐきが黒くなる原因は分かったけれど、具体的にどのような歯ぐきが1番理想的なのかも知りたいですよね。健康な歯ぐきの特徴を知っていれば、自分の歯ぐきが健康かどうか、毎日鏡の前でチェックできます。
それでは、目指すべき歯ぐきの特徴を紹介していきます。
キレイなピンク色をしている
キレイなピンク色の歯ぐきは、健康的で、何よりも見栄えが良いですよね。健康な歯ぐきは、うすいピンク色をしています。
ですが、歯ぐきの内部に異常が起きると、赤や黒、紫、白色に変色してしまいます。特に、イチゴのように赤い歯ぐきは、炎症を起こしていることも考えられるので要注意です。
腫れなどなくハリがある
健康な歯ぐきにはハリがあり、引き締まり感もあります。
対して、痩せていたりブヨブヨしたりしている歯ぐきは、歯周病の可能性があるので気をつけてください。
スティップリングがある
スティップリングとは、歯ぐきにできる「くぼみ」のことです。健康な歯には、この「くぼみ」があります。
歯周病になると、この「くぼみ」が消滅してしまいます。スティプリングは、歯ぐきの『健康の指標』ともいえるでしょう。
プラークや歯石がない
プラークとは、歯に付着した細菌のかたまりのことです。プラークが石灰化したものが歯石です。健康な歯には、プラークや歯石がありません。
プラークを放置すると、むし歯や歯周病になるだけではなく、歯石へと変化します。この段階になると、歯磨きだけでは取れなくなってしまいます。歯ブラシやデンタルフロスを使って丁寧に歯や歯間をケアすることにより、プラークを除去することができます。
日常でできる黒い歯ぐきの予防法
歯医者に行かなくても、日常生活で黒い歯ぐきを予防することができます。
ちょっとした工夫をすることで、黒い歯ぐきにならずに済むかもしれません。
歯磨き以外のデンタルケアを取り入れる
黒い歯ぐきになってしまう大元の原因には、むし歯や歯周病があります。したがって、日々のデンタルケアによりこれらを予防することが歯ぐきの黒ずみ対策にもなります。デンタルケアの主な方法は歯磨きになりますが、他にも、デンタルフロスや歯間ブラシによる歯間ケアや、マウスウォッシュがあります。
デンタルフロスと歯間ブラシは共に歯間ケアのグッズですが、それぞれ役割が異なります。両方を行なうことが望ましいですが、不慣れな場合は取り入れやすいものから始めて、毎日欠かさずおこなっていくようにしましょう。
マウスウォッシュは、歯磨きとセットにして活用することで効果が大きくなりますが、食後に歯磨きをする時間がない時に利用するのもオススメです。携帯に便利なグッズも販売されているので、ぜひ自分に合ったものを探してみてください。
歯周病予防に効果的な歯磨き粉を使う
歯周病を予防するためには、歯磨きや歯間ケアで食べかすやプラークを取り除く事が大事です。さらに、歯周病菌に効果的な歯磨き粉を使うことも有効です。
代表的なものでいえば、「ガム」「システマ」「クリーンデンタル」です。一般的な歯磨き粉には研磨剤や発泡剤が含まれていますが、歯周病予防の歯磨き粉にはさらに、殺菌作用のある薬剤や抗炎症剤も配合されています。
タバコを控える
喫煙をされている人には、タバコを控えるのは難しいかもしれません。近年では、加熱式タバコや電子タバコに変えた人もいるのではないでしょうか。
加熱式タバコは従来の紙タバコよりも健康被害は少ないとされていますが、ニコチンやタールを含んでおり、歯ぐきの黒ずみの原因にならないとはいえません。電子タバコは、日本で一般的に流通している製品ではニコチンやタールを含んでいませんが、電子タバコの利用者の方が歯周病リスクが高くなったという報告もあります。したがって、加熱式タバコや電子タバコも、紙タバコと同様に全く吸わないに越したことはありません。
どうしてもタバコがやめられない場合は、禁煙用のガムを噛む、禁煙外来を受診するなどして、タバコを吸う本数をなるべく減らしましょう。また、喫煙をした後は口をすすぐようにすると、口内に残る有害物質の量を少しでも減らせる可能性があります。
歯ぐきが黒くなる原因に合わせて適切な対策を
歯ぐきが黒くなってしまう原因から予防までお伝えしてきました。歯ぐきの色で悩んでいる方には、意外な点もあったのではないでしょうか。
歯ぐきが黒くなる原因は様々ですが、予防ができる原因も多くあります。また、黒ずんだ歯ぐきをキレイにしたい場合は、ガムピーリング治療などの方法もあります。
今日から歯ぐきが黒くなるのを予防して、キレイな歯ぐきで思いっきり笑顔になれるよう目指していきましょう。
監修歯科医師:吉竹啓介先生
東京都中央区京橋駅直結の「京橋 銀座みらい歯科」院長。
2010年神奈川歯科大学 卒業。2014年に医療法人社団港成会 理事に就任し、同年にせたがや歯科室を開設。2020年に京橋 銀座みらい歯科を開設し、翌年移転・名称変更。現在は京橋 銀座みらい歯科として東京スクエアガーデン2Fで診療を行っている。
京橋 銀座みらい歯科のホームページはこちら
https://www.miraishika-ginzain.tokyo/