乳歯が抜けたらどうする? イマドキのベストな方法

乳歯が抜けたらどうする? イマドキのベストな方法

(2023年2月28日公開)
「上の歯が抜けたら床下へ、下の歯が抜けたら屋根の上に投げなさい」
乳歯が抜けたときに、自分の両親からそのように聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、最近の住居では床下に投げるのも屋根の上に投げるのも簡単にはできないお家も多いと思います。また近年では、抜けた乳歯を大事に取っておくことが勧められています。この記事では、乳歯が抜けたときにその歯をどうするかについて、様々な視点から紹介していきます。

               

歯を投げる言い伝え どんな意味がある?

もともと、抜けた歯を屋根の上や床下に投げるようになったのは、抜けた歯をネズミに与える意味があったとされています。ネズミは昔から丈夫な歯の象徴的な動物でした。そのネズミが住んでいる屋根の上や床下に抜けた乳歯を投げることで、より丈夫な永久歯を届けてもらえるよう願いを込めていたのが、この風習の由来です。
上の歯を下(床下)に、下の歯を上(屋根)に投げるのは、その投げた方向に向かって永久歯が健やかに伸びてくるように祈ったものだそうです。
※歯を投げる風習の由来や内容は地域によって諸説があります。

他の国ではどうしている? 乳歯が抜けたときの世界の風習

日本では、乳歯が抜けたときに屋根の上や床下に投げる風習が一般的ですが、世界にも様々な言い伝えや風習が存在します。

歯の妖精に交換してもらう(欧米)

欧米では、抜けた歯を「トゥースフェアリー」という妖精がコインに換えてくれるという言い伝えがあります。枕の下に抜けた歯を入れておくと、寝ている間に妖精が持って行ってくれて、引き換えにコインが置いてあるそうです。
<TOOTH FAIRYプロジェクト>
日本歯科医師会と日本財団では、抜歯した歯に含まれる貴金属を回収して資金化し、難病支援や途上国での教育支援を行う活動を行っています。
本活動の詳細や、活動に協力をしている歯科医院についてはプロジェクトの特設サイト​をご覧ください。
TOOTH FAIRYプロジェクト 特設サイト

太陽に向かって投げる(中東・アフリカ)

エジプトやサウジアラビアなど、中東やアフリカの一部の地域では、抜けた乳歯を太陽に向けて投げる習慣があります。強い力を持つ太陽に抜けた乳歯を捧げることで、永久歯がしっかり生えてくるよう祈る意味があるようです。

抜けた歯を持っていってくれる動物は?

乳歯に関する言い伝えは国や地域によって様々ですが、持っていく動物は、ネズミやリス、ウサギなどが多いようです。ネズミやリス、ウサギなどは齧歯類(ゲッシルイ)と言われる動物グループですが、齧歯類の前歯は一生伸び続けることで有名です。丈夫な前歯は堅い木の実などをかじるのに便利ですが、実はかじると同時に少しづつ削れていくため、伸び続けても長くなりすぎないようにバランスが取れています。
なお、カラスやスズメなど、乳歯に関わる言い伝えには齧歯類以外の動物も登場します。

イマドキは乳歯が抜けたらどうしてる?

抜けた乳歯を屋根の上や床下に投げたいと思っても、マンションやアパートではなかなか難しいですし、勝手に屋上に投げ入れるわけにもいかないですよね。では、最近は乳歯が抜けたときにどうしているのでしょうか。

歯科医院で処分してもらう

そもそも歯がグラついてきた場合、食事をうまく噛めなかったり痛みが出たりするため、歯科医院ですぐに抜いてもらう方も多いです。この場合は、歯科医院で医療用廃棄物として処分していただけます。
<歯は何ゴミ?>
歯科医院では医療廃棄物として処分されている歯ですが、一般家庭で廃棄する場合は、基本的には「燃えるゴミ」で処分して大丈夫です。
※自治体によって区分が異なるかもしれません。実際に廃棄される際はお住まいの自治体にお問い合わせください。

記念としてしまっておく

子どもの成長記録として抜けた歯を取っておく方も増えています。きちんと取っておくための専用のトゥースケース・乳歯ケースも販売されています。歯を取っておくときはキレイに洗浄・消毒をして乾燥をさせてから保存をするようにしましょう。
乳歯を家庭で保存する方法

将来の再生医療のために利用

実は乳歯には再生医療に使える幹細胞が入っています。この幹細胞を専門機関で取り出し、培養・保存をしておくことで、将来に再生医療が必要となった際に利用することができます。
再生医療に乳歯を活用

乳歯を家庭で保存する方法

抜けた乳歯を大切に保存しておくなら、洗浄と消毒をしておく必要があります。抜けた歯には、血液や歯肉、歯垢や細菌などが付着しています。きちんとキレイにせずに保存してしまうと、白い歯が着色してしまうだけでなく、カビなどの雑菌が繁殖をする原因にもなってしまいます。
乳歯をキレイに取っておくための消毒・洗浄方法は次の通りです。

①オキシドールで消毒する

小さな容器にオキシドールを浸して抜けた歯を入れます。このとき、歯全体が浸かるようにし、半日ほど置いておきます。

②歯ブラシでこする

表面についた歯垢や血液などを歯ブラシで落とします。いつもの歯磨きと同じくらいの力加減にして、強く磨きすぎないようにしましょう。

③水洗いをして水分を取り除く

改めて水洗いをしてから清潔な布で水分を取り除きます。医療用のガーゼなどを使うと良いでしょう。

④乾かしてから保存する

風通しの良いところにおいて水分を乾かしてから保存容器にしまいます。

再生医療に乳歯を活用

乳歯のなかには歯髄と呼ばれる部分があり、そのなかには歯髄幹細胞が含まれています。乳歯の状態が良ければ、この歯髄幹細胞を乳歯から取り出して培養し、長く冷凍保存しておくことができます。
この歯髄幹細胞を将来的に再生医療に活用することができます。

歯髄幹細胞を保管する意義

幹細胞は、様々な細胞に変化・増殖する能力があります。もし、なにかの不慮な事故や病気によって体の重要な組織が失われたりダメージを受けたりした場合、体の自然な治癒力では元の状態まで戻すことがどうしても難しい場合があります。しかし、再生医療なら、保存していた幹細胞を使って失われた組織を再生することができる可能性があります。しかも、歯髄幹細胞は分裂する能力が高いため、再生医療に適していると考えられています。

利用の流れ

歯が抜ける前に、歯髄幹細胞の保管を行っている専門機関に依頼をする必要があります。依頼方法は専門機関によって異なります。専門機関と提携をしている歯科医院を通じてお申し込みを行なうか、専門機関のホームページからお申し込みを行ないます。
専用キットを用いて、歯が抜けてから速やかに専門機関に歯を送る必要があります。そのため、歯科医院で抜歯をしていただき、送付する方法が推奨されています。
 <参考:株式会社セルテクノロジー 歯髄細胞バンク
 <参考:日本歯科大学 歯の細胞バンク

利用には費用が掛かる

歯髄幹細胞の保管には費用が掛かります。保管費用は約30万円です。また、実際に再生医療を行う際には、保管費用とは別に治療費が発生します。
なお、専門機関では、保管をする前に届いた乳歯から歯髄幹細胞が取り出せるか、取り出した幹細 胞がちゃんと培養できるかのチェックを行ない、問題ない場合にだけ保管が行われます。そのため、保管前の段階で再生医療に適さないとわかった場合には費用が発生しないようです。

まとめ 抜けた乳歯は保存する道もある

抜けた乳歯はネズミや妖精にあげて、永久歯がしっかり生えてくるようにお願いをすることもできます。一方で、抜けた乳歯をキレイに保存しておいて思い出の品としたり、将来のために細胞を保存しておいたりすることもできます。お子さんの乳歯が抜ける前に、その乳歯をどうするかを改めて考えてみる参考にしてみてください。

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