「子どもが仕上げ磨きをさせてくれない...」嫌がられない仕上げ磨きのコツとは?

「子どもが仕上げ磨きをさせてくれない...」嫌がられない仕上げ磨きのコツとは?

(2023年9月5日公開)
子どもの歯の仕上げ磨きは歯を守るために大切な習慣のひとつです。まだ上手に自分で歯磨きができない子どもにとって、仕上げ磨きはむし歯を予防するために大きな役割を果たします。本記事では、子どもの仕上げ磨きの重要性やいつまでそのサポートが必要か、仕上げ磨きの具体的なやり方とコツについて詳しく解説します。わかりやすいイラストも添えているので、ぜひ参考にしてください。

               

子どもの仕上げ磨きが必要なワケ・いつまでやるべきか

子どもの仕上げ磨きが必要な理由は、子どもの歯の状態が関係しています。乳歯や生えたばかりの永久歯は、大人の歯に比べてエナメル質が薄く、むし歯になりやすいのが特徴です。また、乳歯と永久歯が混在している時期は、歯の大きさがそれぞれ異なります。そのため、キレイに歯磨きをするのが難しくなります。さらに、小さな子どもでは歯ブラシを使いこなせないため、どうしても磨き残しができてしまいます。そのため、大人が仕上げ磨きをして手助けすることが求められます。
仕上げ磨きには、むし歯予防だけではなく、子どもに正しい磨き方を教える目的もあります。また、歯磨きを毎日の習慣にする上でも仕上げ磨きは重要です。歯磨きは健康を維持するために毎日続けるべきことです。「歯磨きしなきゃ!」と強く思わなくても自然と歯磨きをするように、仕上げ磨きをすることで子どものうちから習慣づけておくことが大切です。

仕上げ磨きはいつまで続けるべき?

では、この仕上げ磨きをいつまで続けるべきなのでしょうか。仕上げ磨きを始めるのは、歯が生える生後6か月頃からです。それから、子どもが自分で丁寧に歯磨きができるようになって永久歯も生えそろう10~12歳くらいまで続けましょう。10歳~12歳までと聞くと長く感じるかもしれません。しかし、歯磨きの習慣をしっかり身につけてもらうためには、この時期まで仕上げ磨きをすることが大切です。さらに、この時期は歯の生え変わりなどで口内環境も変化しやすいため、仕上げ磨きを長く続けることで子どもの口内トラブルにもすぐに気づけます。

仕上げ磨きの基本

仕上げ磨きをしっかり行うには、正しい仕上げ磨きのやり方を知ることが大切です。ここでは、仕上げ磨きのポイントを解説します。

姿勢

仕上げ磨きをする際は、膝の上に子どもの頭を乗せて寝かせる姿勢をとりましょう。この姿勢をとることで子どもの頭をしっかり固定でき、口の中ものぞきこみやすくなります。

歯ブラシの持ち方

歯ブラシは、力を入れ過ぎると歯や歯ぐきにダメージを与えてしまいます。歯ブラシの持ち方は、自分が仕上げ磨きをしやすい持ち方で構いません。普通に手で握る持ち方だと力が入りやすいです。すべての指で握らずに、人差し指と親指で持ち、他の指で支えるようにすると、適度な力加減で磨くことができます。おすすめの持ち方は、鉛筆を持つような握り方のペングリップです。余計な力がかからず、細かい動きもしやすいので、仕上げ磨きだけでなく自分で歯を磨くときにも最適な持ち方になります。
また、子どもが成長して歯と歯のすき間が狭くなってきたら、デンタルフロスも使用しましょう。歯ブラシが届きにくい歯と歯の隙間の汚れが取りやすくなります。

歯ブラシの当て方・動かし方

歯ブラシの当て方や動かし方にもポイントがあります。

歯ブラシの当て方

まず、歯ブラシを歯に当てる際は、力加減に注意しましょう。毛先を強く押しつけないのがポイントです。強く押しつけると歯や歯ぐきを傷つけてしまいます。力加減の目安は歯ブラシの毛先が折れ曲がらない程度です。自分の指や平らなところに歯ブラシを当てて、毛先を確認してみましょう。

歯ブラシの動かし方

歯ブラシは大きく動かすのではなく小刻みに動かすようにしましょう。細かく小刻みに動かすことで、歯を1本ずつ丁寧に磨くことができます。特に歯と歯ぐきの境界部分は汚れが溜まりやすいため、歯ブラシを小刻みに動かして丁寧に磨くようにしましょう。
仕上げ磨きで使う歯ブラシは、ヘッドの小さい子ども用を使いましょう。ヘッドの大きい歯ブラシを使うと、口内を傷付けてしまいやすいためです。
毛先が傷んで広がり始めたら新しいものに替えましょう。
歯ブラシ交換時期の目安はこちらの記事も参考にしてください。

磨く順番の目安

歯を磨く順番は「必ずこうしなければいけない」というルールはありません。ですが、一定の手順を定めておくと、その動きを習慣づけられるため、磨き残しを防げます。

1. むし歯になりやすい奥歯の噛み合わせから磨く

まずは奥歯の噛み合わせ部分から磨き始めます。前歯は奥歯に比べると敏感なので、嫌がる子どもが多いです。そのため、奥歯から磨き始めるのがおすすめです。奥歯の噛み合わせ部分は、特に食べ物のカスが残りやすく、むし歯になりやすいエリアのため、子どもが落ち着いているうちにしっかりと磨くことでむし歯予防になります。
仕上げ磨きで奥歯を磨く際は、口の内側を軽く引っ張ると歯ブラシを届かせやすくなります。

2. 奥歯の外側と内側を磨く

次に奥歯の外側と内側を磨きます。奥歯の外側と内側は、噛み合わせと同様に食べ物のカスが残りやすいため、一度に複数の歯を磨かずに1本ずつ丁寧に磨いていきましょう。これらの箇所を磨く際は、歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目に対して歯ブラシを直角に当てます。この時も頬の内側を軽く引っ張り磨きやすくします。

3. 前歯の外側と内側を磨く

奥歯が磨き終わったら前歯を磨きます。前歯の中でも犬歯は磨き残しが多くなりやすいので注意しましょう。特に保護者の利き手側にある犬歯は磨きにくいため、仕上げ磨きも甘くなりがちです。また、前歯の内側も磨きにくいため、歯ブラシの向きを縦にして毛先部分で1本1本丁寧に磨きましょう。

仕上げ磨きをする時のコツ

子どもの歯や歯ぐきを傷つけずに上手に仕上げ磨きをするのには、歯ブラシを持っていない手の使い方にもちょっとしたコツがあります。また、子どもが仕上げ磨きを嫌がる時の対処にも、いくつかのコツがあります。ここでは、前歯と奥歯それぞれの上手な磨き方や、歯磨きに対する子どもの抵抗感を減らす方法など、仕上げ磨きのコツを紹介します。

前歯を磨くコツ

仕上げ磨きをする時に気をつけたいのは、子どもに痛みを与えないことです。痛みはその部位に強い負荷がかかっているサインです。子どもが「歯磨き=痛いこと」と頭にインプットしてしまい、歯磨きを嫌がるようになります。
前歯を磨く時に注意したい部位が「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」です。上唇小帯とは、上唇と上の前歯の間に位置する薄い筋のことで、歯ブラシが強く当たると子どもは痛みを感じます。
上唇小帯の近くを磨く時のコツは、上唇小帯の部分を指でカバーすることです。前歯を磨いている時は、歯ブラシを持っていない手の人さし指で上唇小帯を軽く押さえて、歯ブラシが当たるのを防ぎます。

奥歯を磨くコツ

奥歯は、歯ブラシが届きにくく見にくいため、仕上げ磨きをしても汚れが残りやすい箇所です。奥歯の外側を磨きやすくするためのコツは、子どもに「イー」の発音の口をキープしてもらうことです。この状態から指の腹を使って頬の内側を軽く引っ張ることで、奥歯の外側に歯ブラシがしっかりと届きやすくなります。子どもの口を引っ張る時は、痛みを与えないように力加減に気をつけましょう。
なお、「アー」と縦に大きく口を開けてしまうと、口角が引っ張られるのでかえって奥歯が見えにくくなってしまいます。この状態だと口角も張っている状態なので、頬引っ張ることができないので注意しましょう。

歯磨き粉を使い始めるタイミング

何歳から子どもに歯磨き粉を使ってもいいのか気になる方もいるのではないでしょうか。適切な歯磨き粉を選び、0歳から歯磨き粉を使うのがをおすすめです。0歳から歯磨き粉を使い始める理由は、歯磨き粉に含まれるフッ素です。フッ素は、歯のエナメル質を強化し、歯をむし歯菌の攻撃から守るバリアのような役割を果たします。
ただし、乳幼児のうちは、口をすすがなくてもよいスプレータイプやジェルタイプの歯磨き粉を使用しましょう。こうした商品は子どもが飲み込んでも問題のない成分を使用しているため、安心して使えます。
また、子どもの年齢に応じて、使用する歯磨き粉の量やフッ素の濃度を変えていくことも大切です。乳幼児期はフッ素濃度が低めのものを選んで少量から使用し、子どもが大きくなるにつれて調整していくとよいでしょう。
<フッ素入り歯磨き粉の効果や使い方についてはこちらの記事で紹介しています。>

子どもに仕上げ磨きを嫌がられないコツ

子どもは歯磨きを不快に感じたり磨くのが面倒になってしまったりすることが多く、ストレスになることもあります。歯磨きに対してネガティブなイメージが定着してしまうと、仕上げ磨きをしようとするたびに逃げられたり泣かれたりしてしまいます。
こうした事態を防ぐには、抵抗感をなくすことが大切です。子どもに「歯磨き=楽しい時間」「歯磨き=怖くないもの」として捉えてもらえるようなコツを以下にまとめました。

【子どもに仕上げ磨きを嫌がられないコツの例】

  • 一緒に歯磨きをする
  • 歯磨き中に歌を歌ってあげる
  • 歯磨き中に好きなテレビや動画を見せる
  • 歯磨きが終わったら大げさなくらいほめる
  • 人形やぬいぐるみで実演する
  • 普段から口元を触って口内を触れられることに慣れさせる
このように、歯磨きを親子の楽しいコミュニケーションの時間や成功体験の場としていくようにしましょう。そうすることで、子どもが歯磨きにポジティブなイメージを持ち、自分から進んで歯磨きをするように導くことができます。

【NG】子供が歯磨きを嫌がる行動

無理に仕上げ磨きをせまらない

子どもが歯磨きを嫌がることは多いです。しかし、子どもをむし歯から守り、毎日の歯磨き習慣を身につけさせることは今後の人生において非常に重要です。そのため、子どもに嫌がられてもあきらめず、根気強く仕上げ磨きを続けましょう。ただし、泣いたり暴れたりするなど、極端に嫌がる時は、無理に仕上げ磨きを迫らないようにしましょう。さらに嫌がる原因になってしまいます。子どもを一度落ち着かせてから、再度チャレンジしてみましょう。一度に終わらせず休みながら少しずつ進めるのがおすすめです。

怒らない

仕上げ磨きを子どもに嫌がられると、保護者としてはつい怒りたくなることもあるでしょう。しかし、怒るのは逆効果です。怒られることで、歯磨きを、より嫌なものと感じるようになってしまいます。子どもが歯磨きを嫌がる場合は、保護者は泣くまねをして悲しい気持ちを表現したり、落ち着いて説得したりと、怒る以外のアプローチをしましょう。

力強くしない、痛くしない

子どもの口内はとてもデリケートです。「爪を当てない」「頬を強く引っ張りすぎない」「歯ブラシに力を込めすぎない」など、力強くしない、痛くしないことが大切です。子どもに痛みを感じさせると、歯磨きへの苦手意識がついてしまいます。常に軽い力で優しく、丁寧に磨くことを心がけましょう。

正しい仕上げ磨きで子どもの歯を守りましょう

まだ自分でうまく歯を磨けない子どもにとって、仕上げ磨きはむし歯予防のためにとても重要です。本記事で紹介したポイントを参考に、子どもが自分で歯磨きができるようになるまで根気強くサポートしてあげてください。

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