歯周病を予防する方法とは? 歯磨きのコツやセルフチェック方法を解説!

歯周病を予防する方法とは? 歯磨きのコツやセルフチェック方法を解説!

(2023年9月5日公開)
歯周病予防には、適切な歯磨き方法や歯ブラシの選び方に加えて、各種オーラルケア用品を併用したセルフケアや、歯科で定期健診を受けることが有効です。この記事では歯周病の概要をはじめ、歯周病予防のポイントや、歯磨きのコツ、歯周病のセルフチェックなどについて解説します。

               

歯周病予防とは?

歯周病とは、細菌感染によって炎症が引き起こされる疾患です。歯と歯ぐきの間にたまるプラーク(歯垢) が原因です。歯周病の直接的な原因となるプラーク1 mg には細菌が1億個以上も含まれていると言われています。歯磨きが不十分だとこのプラークが歯と歯ぐきの間にたまり、細菌が出す毒素によって、歯ぐきの腫れや歯の周りにある骨を溶かすなどの症状が引き起こされます。
そのため、歯周病予防のポイントとは、毎日のセルフケアによってプラークを除去し歯や歯ぐきに残らないようにすること、そして、除去しきれていないプラークなどを歯科医院での定期的なクリーニングで取り除くことです。
<歯周病についてはこちらで紹介しています。>

歯周病を予防する7つの行動

歯周病は日々のケアと生活習慣を少し変えるだけで予防ができます。ここでは、歯周病予防に大切な7つの方法について紹介します。

1. 丁寧に歯を磨く

適切な歯磨きができていないと歯と歯ぐきの間にプラークが残りやすく、歯周病の原因になります。そのため、歯と歯ぐきの間に合わせた歯磨きの方法で歯を丁寧に磨くことで、プラークを除去することが大切です。具体的な歯磨き方法やコツは後述しています。

2. 歯間ケアをおこなう

歯と歯の間は歯ブラシが届きにくいため、歯間ブラシやデンタルフロスを使ってきれいに掃除しましょう。歯ブラシだけを利用した場合のプラーク除去率は60%ほどですが、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで除去率を90%程度まで上げることができます。
参考:8020財団

3. 染色液でチェックする

歯垢染色液とは、歯についているプラークを染め出してくれるアイテムです。使い方は、歯磨き後に染色液をまんべんなく歯に塗布し、軽く口をゆすいでから鏡で口の中を確認します。磨き残しの部分に色がつくので自分の歯磨きの癖がわかります。染色された部分を意識して磨くことで歯磨きが改善され、歯周病予防だけでなくむし歯予防にも効果的です。染色液でのチェックは、月に1、2回の頻度でおこないましょう。染色液はドラッグストアや歯科医院などで購入できます。

4. 寝る前にデンタルリンスを使用する

就寝中は唾液の分泌量が減るため、口の中の細菌が増えやすいです。そのため、就寝前には殺菌成分が配合されたデンタルリンス(液体歯磨き)やマウスウォッシュ(洗口液)を使用して、細菌の増殖を抑えましょう。デンタルリンスは製品によって使い方が異なりますが、基本的には口に含んだまま歯磨きをする、または、口に入れてすすいだ後に歯磨きをします。
一方のマウスウォッシュは口に入れてすすぐことで歯垢沈着や歯周病予防、口臭予防、むし歯予防などに役立ちます。口をゆすぐだけで終えずに、歯磨きと一緒に行うようにしましょう。

5. 食生活を意識する

バランスのとれた食生活も歯周病予防になります。特に砂糖の摂りすぎは細菌を活性化させます。その結果、歯周病が進行し、歯周組織が劣化させます。歯周病への抵抗力を高めるためには、抗炎症作用のあるビタミンA(βカロテン)やビタミンC、血行をよくするビタミンEを積極的に摂りましょう。ビタミンAはうなぎやレバー、ビタミンCは緑黄色野菜やイチゴ、オレンジ、ビタミンEは卵やアーモンド、大豆製品などに多く含まれています。さらに歯を強くするために必要なカルシウムやマグネシウムを多く含む乳製品や魚介類もしっかり摂りましょう。

6. 禁煙・タバコを控える

喫煙は歯周病に悪影響をおよぼします。日本歯周病学会が公表している「歯周治療のガイドライン2022」によると、喫煙者は非喫煙者に比べて2~8倍歯周病になりやすいことが報告されています。これはタバコに含まれるニコチンなどの有害物質が血管を収縮して血のめぐりを悪くさせることが影響しています。歯ぐきに十分な栄養や酸素が行き届かなくなり細菌が増殖しやすくなるため、歯周病のリスクが高くなります。

7. 歯科医院でケアする

歯磨きの方法や生活習慣を改善したうえで、歯科医院で適切なケアを受けましょう。歯科医院では歯石除去をはじめ、歯ぐきの炎症度合いの確認や歯の磨き方指導、フッ素塗布や歯のトリートメントケアなどさまざまなケアが受けられます。
歯石とはプラークが石灰化したもので、放置しておくと歯周病を悪化させる原因になります。歯石は歯磨きなどのセルフケアでは除去することが難しく、無理に取ろうとすると歯や歯ぐきを傷つけるおそれがあるため、歯科医院で処置してもらう必要があります。
例えば、歯科医院では「PMTC (Professional Mechanical Tooth Cleaning)」と呼ばれるクリーニング方法で歯石やプラークを取り除きます。歯石は数カ月で固着するため、むし歯がない場合でも3カ月に1度程度は歯科医院でケアをして健康な歯を維持しましょう。

歯磨きのコツは歯周ポケットを意識した磨き方

歯と歯ぐきの境目には溝があります。健康な溝の深さは1~2 mm程度ですが、この溝にプラークがたまると歯周病を発症し、溝の深さが4 mm以上になった状態を歯周ポケットと呼びます。この状態になると歯周病と診断されます。日ごろのセルフケアと定期的な歯科医院でのケアで、溝の深さを2 mmまでに抑えることが大切です。ここでは、歯周病予防に効果のある歯と歯ぐきの間の溝にプラークをためない歯磨きのコツを紹介します。
※以降、分かりやすくするために、歯と歯ぐきの境目の溝を全て歯周ポケットと表記します。

【コツ1】歯ブラシの毛先は45度で当てる

歯周ポケットに入り込んだプラークを除去するには、歯ブラシの毛先を歯に対して45度の角度にして当てます。この角度を意識することで、溝に歯ブラシの毛先が入りやすくなります。溝に毛先を入れる意識で磨きましょう。

【コツ2】軽い力で歯を磨く

強い力でゴシゴシと歯磨きをしても歯の汚れは落ちません。力を入れすぎたり、磨く時間が長すぎたりすることをオーバーブラッシングと言います。オーバーブラッシングになると、プラークが効率よく落せないだけでなく、歯や歯ぐきが傷ついてしまいます。歯を磨くときは歯ブラシの毛先が広がらないくらいの力加減で磨きましょう。つい力が入りすぎてしまう方は、歯ブラシをペンのような持ち方にすると余計な力が入らず、細かい操作がしやすいのでおすすめです。

【コツ3】1本ずつ小刻みに磨く

歯を磨くときは、歯ブラシを左右に5~10 mm程度小刻みに動かし、1本の歯あたり10~20回往復させます。磨き残しを防ぐためには歯を1本1本丁寧に磨く必要があります。歯磨きは、3分間で磨き終わるくらいを目安に行いましょう。

【コツ4】前歯は歯ブラシを縦に当てる

前歯の裏や凹凸のある歯並びなどは、歯ブラシを縦にすると綺麗に磨くことができます。歯ブラシの「つま先」や「かかと」が歯に当て、歯ブラシを上下に細かく動かして1本ずつ丁寧に歯を磨きましょう。

【コツ5】下の奥歯から順番に磨く

磨く順番が適当では磨き残しが起きやすいです。そこで右下奥歯表面から左下奥歯表面、左上奥歯表面を経由して右上奥歯表面まで磨き、次に裏面を一周、最後に前側の面を一周といったように一筆書きする要領で磨くと、効率的ですし、磨き残しも防げます。

歯周病予防に役立つ歯ブラシの特徴

歯周病ケアに適した歯ブラシを選び、歯周ポケットをしっかり磨くことが重要です。ヘッドは通常の歯ブラシよりも小さめで、毛先は極細のものを選びましょう。ヘッドが小さいことで小回りが利きやすく奥歯の歯周ポケットにも届きます。また、毛先が極細の歯ブラシは溝に届きやすく、狭い部分の磨き残しもケアできます。歯ブラシの毛は柔らかすぎると汚れを十分に落とせず、硬すぎると力の加減を間違えた時に歯や歯ぐきを傷つけてしまいます。毛先の硬さ選びに迷ったら「ふつう」を選ぶと良いでしょう。歯ぐきが敏感になっている方や、子ども、高齢の方には「やわらかめ」がおすすめです。歯ぐきが弱っていたり未発達な場合があるので、傷つけるリスクを下げることができます。その分、汚れを落としにくくなるので、丁寧に磨きましょう。
歯ブラシの定期的な交換も大切です。歯ブラシは使うにつれてブラシの弾力が衰えます。毛先が開いていなくても1カ月を目安に交換しましょう。

歯周病予防でおすすめのケア製品

歯ブラシと併せて、以下で紹介するデンタルケア製品を使うと歯周病予防をより効果的におこなえます。

1. 奥歯用のタフトブラシ

奥歯の奥や歯並びが悪くなっている部分は磨きにくいため、普通の歯ブラシよりも毛束が小さくまとまったタフトブラシを使うのがおすすめです。タフトブラシは、ヘッドが小さいのでピンポイントで磨きたい部分が磨けるので、効率的にプラークを除去することができます。使い方は通常の歯ブラシで歯を磨いた後に、歯ブラシでは磨きにくい部分や磨き残しが気になる部分をタフトブラシでやさしく磨きます。鏡を見てタフトブラシの毛先が磨きたい部分に当たっているか確認しながら使うと磨き残しが防げます。
<タフトブラシについてはこちらの記事で紹介しています>

2. デンタルフロスや歯間ブラシ

歯と歯の間は、デンタルフロスや歯間ブラシを使ってきれいにしましょう。どちらも歯と歯の間のプラークを除去するためのものですが、使い方や形状に違いがあります。

デンタルフロス

デンタルフロスは、細いナイロン繊維で作られています。形状には、必要な長さの繊維を切って指に巻き付けて使うロールタイプと、プラスチックの型に繊維が取り付けられたホルダータイプの2種類があります。使い方は歯と歯のすき間にフロスを挿入し、上下に数回動かして歯の側面を磨き上げます。ロールタイプの方がコツをつかむまで使いにくさを感じますが、ホルダータイプに比べて低コストで使用できます。

歯間ブラシ

歯間ブラシは、ブラシがゴムタイプのものとナイロンタイプのものがあります。形状は、ストレートタイプのI字型と奥歯が磨きやすいL字型があります。歯間ブラシを使うときは、必ず鏡を見ながら歯ぐきが傷つかないようにゆっくりと斜めに歯間に挿入し、前後に動かして清掃します。
デンタルフロスは歯のすき間が狭い方に、歯間用ブラシは歯のすき間が広い方に適していますが、両方を一緒に使うと効率的なプラーク除去ができます。また、歯間ブラシには歯肉をマッサージする効果も期待できます。

3. 殺菌剤入りの液体ケア製品

歯周病対策にデンタルリンスやマウスウォッシュなどの液体ケア製品を使う場合には、殺菌成分が入ったものを選びましょう。例えば、IPMP(イソプロピルメチルフェノール)は、バイオフィルム(長時間プラークがたまり、膜を作った状態)に浸透し、細菌を除去します。またCPC(塩化セチルピリジニウム)は、バイオフィルムに浸透しませんが、バイオフィルム表層の細菌に対して殺菌作用があります。そしてCHX(クロルヘキシジン)にはプラークの付着抑制効果があり、むし歯予防にも有効です。液体ケア製品を選ぶ際はこのような成分が含まれているものを選びましょう。

定期的な歯周病のセルフチェックも重要

歯周病は初期症状を自覚しにくいため、日ごろから口内をセルフチェックすることで早期治療に繋がります。毎日の歯周病予防と一緒に、以下のような症状がないかチェックしてみましょう。
【歯周病の可能性がある症状】
  • 歯ぐきが赤く腫れている
  • 歯と歯の間によくものがつまる
  • 歯を磨くと血が出る
  • 起床時に口内がネバネバする
  • 口臭が気になる
  • 歯がグラグラする
ひとつでも心当たりがある場合には、早めに歯科医院で歯周病検査を受けましょう。

丁寧なケアで歯周病予防をしよう

歯周病は日々の丁寧な歯磨きやセルフチェックなどで重症化を防げます。また、栄養バランスのとれた食生活や禁煙、歯科医院でのケアも効果的です。歯を磨くときは歯周ポケットを意識し、さまざまなオーラルケア製品を活用して歯周病のリスクを減らしましょう。

近隣のクリニックを検索

関連記事

ピックアップ

医療機関の方へ

シルハは口腔環境6項目を簡単操作で5分でスクリーニングできる唾液検査です。
製品情報・お問い合わせはコチラ