(2022年8月22日更新)
【歯科医師監修】
生えかけの親知らずが痛みや炎症を引き起こすケースは多くあります。親知らずがむし歯になっていたり、斜めに生えて隣の歯に影響していたりする場合は、抜歯が必要です。本記事では、生えかけの親知らずが起こしがちなトラブルや、ケアを解説します。
生えかけの親知らずが痛む原因
親知らずが生えかけている部分に痛みが生じる原因には、歯ぐきの圧迫や炎症、むし歯などが挙げられます。それぞれの原因と、抜歯が必要かどうかについて詳しくご紹介します。
親知らずが歯ぐきを圧迫している
親知らずが生えてくる時期には個人差があり、一般的には20歳前後と言われています。隣の歯や歯ぐきを押しながら生えてくるため、この時期は歯ぐきが圧迫されて痛むことが多いです。
親知らずが真っ直ぐに生えてくる場合、痛みは自然に治まります。横向き(水平)や、斜めの向きに生えてきてしまうと、手前の歯に力が加わり、歯並びに影響が出てしまうことが多いです。この場合は、親知らずを抜いた方が良いでしょう。また、親知らずが埋まっていることで隣の歯の根に侵食している場合は、進行すると治療の難易度が上がってしまうため、早めの処置が必要です。
生えかけの時期が過ぎて、しばらく様子を見て痛みが治まるようであれば、親知らずを抜かなくてもよいケースがあります。また、親知らずを抜くことで神経を傷つけてしまい、神経の麻痺が出る危険性が高いケースなどもあるため、気になる方は歯科医院で見てもらいましょう。
むし歯や歯周病、歯ぐきの腫れ
親知らずが生えかけの時期は、歯と歯ぐきの間にすき間ができます。そのため、食べかすなどの汚れが溜まり、細菌が繁殖します。生えかけの部位が痛む場合には、歯ぐきが炎症して腫れていたり、むし歯や歯周病になっていたりするかもしれません。
このように、親知らず(智歯(ちし))が原因で、歯肉や歯周組織が炎症する智歯周囲炎(ちししゅういえん)になると、歯ぐきだけではなく、顔が腫れたり、顎全体に痛みが生じたり、発熱や倦怠感、水が飲みづらくなるなどの症状が現れることもあります。
腫れや痛みを繰り返す場合は、親知らずの周りが不衛生になっている恐れがあります。他の歯に影響を与えないためにも、抜歯が必要です。
むし歯に関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。
歯性感染症(しせいかんせんしょう)
歯性感染症は、むし歯や歯周病、智歯周囲炎が悪化して、顎の組織にまで炎症が広がることで痛みが生じる病気で、顎骨炎(がくこつえん)や、化膿性リンパ節炎などの総称です。
顎骨骨膜炎は顎の骨が口内細菌に感染した病気で、化膿性リンパ節炎はリンパ節が口内細菌に感染した病気です。
歯性感染症は、適切な治療を受けることで炎症が治まりますが、親知らずをそのままにしていると、再発してしまう恐れがあります。抜歯を含めて、親知らずをどうするべきかは歯科医院で相談してくださいね。
生えかけの親知らず 抜くべき? 抜かないべき?
親知らずが真っ直ぐに生えて、上下の歯がしっかりと噛み合っている場合は、抜歯をしないで温存することが可能です。また、親知らずが顎の骨の中に埋まっている場合でも、異常がなければとくに抜歯は必要ありません。ただし、親知らずを温存していて問題がないかどうかは、自己判断せずに歯科医師と相談しましょう。
親知らずの抜歯については、こちらの記事でご紹介しています。
生えかけの親知らずがもたらす痛み以外のトラブル
生えかけの親知らずが原因で、歯ぐきに炎症やむし歯、歯周病が起こり、痛みの元となる例は多くありますが、そのほかにもトラブルやデメリットがあります。
口臭が発生しやすい
親知らずとその周囲は、汚れが溜まりやすく、不衛生になりがちです。そのため、むし歯だけではなく口臭も発生しやすい傾向にあります。また、歯肉の炎症による膿も、口臭の原因となるため注意が必要です。
口臭に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
歯並びが悪化しやすい
親知らずが横向きや斜めの向きに生えてくると、手前の歯を押し出しながら生えようとするため、手前の歯に対して力が加わります。その結果、他の歯が動いてしまい、歯並びが悪くなってしまうケースもあります。
生えかけの親知らずのケア方法
親知らずの周囲のトラブルを予防するためには、入念なブラッシングが欠かせません。ここからは、生えかけの親知らずをケアする3つの方法をご紹介します。
入念なブラッシングで清潔な状態を維持する
親知らずは歯ブラシが届きにくいため、意識してブラッシングすることが大切です。特に生えかけの親知らずは背が低く、いつも通りに歯を磨くだけでは毛先が届かないことが多いので、注意が必要です。
ブラッシングの際には、歯ブラシの角度を歯列に対して斜め45度程度にします。上手に磨くポイントは、小刻みに歯ブラシを動かすようにすることです。また、ヘッドがコンパクトな歯ブラシを選ぶと、最奥の親知らずに届きやすくなります。
そして、親知らずと接触している手前の歯の背面部分も、しっかりと磨く必要があります。
タフトブラシを使用する
生えかけの親知らずに歯ブラシが届きにくい場合や、傾斜して歯肉と被っていたり、隣の歯と接していたりする場合は、タフトブラシがおすすめです。
タフトブラシは、ペンと同じように持ち、小刻みに動かしながら磨きます。手前の歯との接触面は、側面をなぞるような感覚で磨いていきましょう。また、歯肉を傷つけないように、優しいタッチで磨くようにしてください。
痛む時は早期に歯科医院を受診する
親知らずが痛んだり、腫れたり、異常が起こったりしている時には、早めに歯科医院を受診しましょう。洗浄や治療、薬の処方など、適切な処置をしてもらえます。抜歯が必要な生え方の場合でも、すぐには抜歯せずに、炎症が治まってから行うことが多いようです。
生えかけの親知らずが痛む場合は歯科医院の受診を
生えかけの親知らずは、むし歯や歯周病などのトラブルを起こしやすいだけでなく、生え方自体に問題があるケースも多いです。親知らずが痛む際や、気になる場合には、放置せずに早めに歯科医院で状態を確認してもらいましょう。
唾液検査「シルハ」で口内環境をチェックしてトラブルの予防を
親知らずは、磨きにくいため口内のトラブルにつながりやすいです。トラブルを予防するには、まずは口内環境を知ることが重要です。唾液検査のシルハは、水で10秒間ほど口をすすぐだけで口内のむし歯菌の活性度や酸性度など、歯と歯ぐきの健康度や、口内の清潔度を測ってわかりやすくグラフ表示します。定期的に口内環境をチェックして、親知らずのケアや、痛みの予防に役立ててください。
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監修歯科医師:吉竹啓介先生
東京都中央区京橋駅直結の「京橋 銀座みらい歯科」院長。
2010年神奈川歯科大学 卒業。2014年に医療法人社団港成会 理事に就任し、同年にせたがや歯科室を開設。2020年に京橋 銀座みらい歯科を開設し、翌年移転・名称変更。現在は京橋 銀座みらい歯科として東京スクエアガーデン2Fで診療を行っている。
京橋 銀座みらい歯科さんのホームページはこちら
https://www.miraishika-ginzain.tokyo/