クーラー病(冷房病)とは? 主な症状や冷え性との違いなどを紹介

クーラー病(冷房病)とは? 主な症状や冷え性との違いなどを紹介

(2023年7月27日公開)
夏場に近づくとクーラーを使う機会が増え、体のだるさなどの不調を引き起こすことがあります。クーラーの影響から自律神経のバランスを崩し、さまざまな体の不調が生じることをクーラー病(冷房病)といいます。
この記事では、クーラー病について主な症状や対策などをご紹介します。

               

クーラー病とは?

クーラー病とは、冷房で体を冷やし過ぎたことによって、体に生じるさまざまな症状の総称です。
冷房に頼りすぎると、体が過度に冷えると共に、室温と外気温との間に大きな温度差が生じます。温度差の激しい室内と外の行き来をしていると、体の温度調整をする自律神経が対応しきれずバランスを崩してしまい、血管が収縮して血行不良を起こしたり、さまざまな不調につながったりしてしまうのです。
体温調節には、体内の水分も大きく影響しています。体温が上昇すると通常であれば汗をかいて放熱します。クーラーの冷風によって皮膚表面の水分も失われてしまっている場合、汗をかきづらく放熱できなくなり、自律神経のバランスが乱れる原因となります。

クーラー病になりやすい人

クーラー病になりやすい人の特徴は、夏場に冷房がよく効いた室内に長時間いる人です。
とくにもともと体温が低い方、冷え性の方は、冷房によってさらに体が冷えて、クーラー病になりやすいといわれています。
クーラー病は、女性や高齢の方もなりやすいといわれています。体の冷えは筋肉量にも関係しています。筋肉は熱を作る働きがあるため、成人男性に比べて筋肉量の少ない女性や高齢の方は注意が必要です。

クーラー病の主な症状

クーラー病の主な症状について解説いたします。
【クーラー病の主な症状】
  • 倦怠感・疲労感
  • 肩こり・腰痛
  • 頭痛・めまい
  • 手足のむくみ・全身の冷え
  • 食欲不振・消化不良
  • 下痢・便秘
  • 肌荒れ
  • 不眠・生理不順
  • 歯ぐきの血行不良

倦怠感・疲労感

クーラー病の主な症状には、倦怠感や疲労感があります。体は、冷えすぎた室内では体温を維持しようとします。逆に高温の屋外では体温が上がりすぎないように調節をしようとします。この繰り返しによって体に過度の負担がかかるため、倦怠感や疲労感を感じやすくなります。

肩こり・腰痛

クーラー病は、肩こりや腰痛などの症状も生じます。冷房で体が冷えることで血行不良が起きると、血管や筋肉が硬くなり肩こりや腰痛などの原因となります。また、夏場で室内にいることが多くなり、同じ姿勢をとり続けたり運動不足になったりすることも血行不良の原因となり、クーラー病による肩こり・腰痛を助長させます。

頭痛・めまい

クーラー病は、血行不良から頭痛やめまいの症状を伴うこともあります。体が冷えて血行不良になると脳の血流にも影響します。血管が拡張されると脳神経を刺激して頭痛が生じます。
また血行不良によって、体の各器官に酸素や栄養が供給されなくなります。脳や耳の血液が酸素不足となることで、めまいを引き起こします。

手足のむくみ・全身の冷え

クーラー病は、手足のむくみや全身の冷えの原因となります。自律神経の乱れから血行不良になると、体の余分な水分や老廃物を処理するリンパの流れも悪くなります。すると、手足に老廃物が溜まった状態となり、これがむくみとなって現れます。またクーラー病によって体温調節がしにくくなり、全身が冷えやすくなります。全身の冷えは血行不良やむくみの原因となり、不調のサイクルができあがってしまいます。

食欲不振・消化不良

クーラー病は、食欲不振や消化不良といった、胃腸機能にまで影響します。通常であれば、自律神経の一つである副交感神経によって、胃腸が働き消化が行われます。しかし、自律神経のバランスが乱れると、胃腸機能がうまく働かず、食欲不振や消化不良を起こしてしまいます。

下痢・便秘

クーラー病は、下痢や便秘などの原因にもなります。自律神経の乱れは、腸の排泄機能にも影響します。腸がうまく働かなくなり便秘になったり、便秘の反動で下痢になったりすることがあります。

肌荒れ

クーラー病によって、肌荒れを起こすこともあります。自律神経のバランスが乱れると、男性ホルモンの分泌量が増え、皮脂が分泌されたり角質細胞が過剰に作りだされたりして、ニキビができやすくなります。また、自律神経の乱れで血流が悪くなり、肌の細胞に酸素や栄養が供給されず、皮膚が生まれ変わるサイクルが乱れ、肌荒れにつながりやすくなります。

不眠・生理不順

クーラー病は、睡眠や生理にまで影響します。
睡眠時には本来、血管が緩んで脈拍や血圧が低下してリラックス状態になります。しかし、自律神経が乱れていると、興奮や緊張状態が続いてしまい、寝つきが悪くなってしまいます。
また、自律神経の乱れから、女性ホルモンがうまく分泌されなくなり、生理不順が起こりやすくなります。

歯ぐきの血行不良

クーラー病による血行不良は、口内にも影響して歯ぐきが痛むケースがあります。また、口内の免疫が低下して、歯周病の原因となる細菌への抵抗力が弱まり、細菌感染や炎症などにつながるおそれもあります。

クーラー病と通常の冷え性との違い

全身の冷えを起こす状態には「冷え性」もありますが、クーラー病と冷え性にはどのような違いがあるのでしょうか。
クーラー病になると、体を冷やし過ぎることが原因で、屋外と室内との温度差に体がついていけず、自律神経が乱れてしまいます。これが血行不良などのさまざまな不調を引き起こします。
一方冷え性は、運動不足による筋力や基礎代謝の低下、栄養バランスの乱れなどによって血行不良となることが原因です。慢性的に体が冷えているような感覚があり、夏場でも手足が冷たい、なかなか体が温まりにくいといった症状があります。
そのため、クーラー病と冷え性はもともとの原因は異なるものの、血行不良が関係していることは共通しています。血流が悪くなると、酸素や栄養が体に行き渡りにくくなり、老廃物も溜まりやすくなります。
冷え性は、クーラー病が原因となっているケースもあります。自律神経の乱れから、血行不良となり、冷え性の症状が起こることもあります。

クーラー病にならないための対策

クーラー病にならないために、どのような対策があるのかご紹介します。

クーラーの設定・使い方を見直す

クーラーの設定方法や使い方を見直してみましょう。室内の気温は28℃、外気温との差は5℃以内が推奨されています。
室内を冷やし過ぎて外気温との差が大きくなることが、クーラー病の原因となります。
室温が30℃以上の高温のときは、熱中症を避けるために室温を下げることが大事です。しかし、室内が目安の気温になれば、クーラーの設定は自動運転にするのがおすすめです。また、クーラーの風向きは水平にし、直接体に当たらないように注意しましょう。サーキュレーターと併用すると室内全体に空調が行き渡りやすくなります。
エアコンは稼働し始める時にエネルギーをより消費するため、30分ほどの外出であればON・OFFしないほうが省エネルギーにもつながります。

入浴の際は湯船につかる

入浴時には湯船につかることで、クーラー病の予防につながります。
37〜39℃のぬるま湯に15〜20分ほどつかれば、しっかりと体が温まり血流もよくなります。全身浴がつらい場合は半身浴でも十分に体が温まります。半身浴は全身浴ほど体の負担が少ないため、夏場はシャワーですませている方も生活に取り入れやすい対策です。
炭酸ナトリウムなどの成分が含まれた入浴剤は、炭酸ガスの効果によってぬるま湯でも血管が拡張し体が温まりやすくなるのでおすすめです。

羽織やひざ掛けなどを活用する

クーラー病の対策には、羽織物やひざ掛けを用意しておくことが大切です。
とくに職場などは、長時間いる場所であり、個人の裁量でクーラーの設定を変更しにくい環境でもあります。冷風が直接当たることや体が冷えすぎることのないようにしましょう。

日常的な運動習慣をつける

ストレッチなどを行い、定期的に体を動かす習慣を身につけましょう。筋力や基礎代謝を上げて血行をよくすることが大切です。

仕事の合間に体を動かす

オフィスなどで長時間座ることが多い場合、血流が悪くなりクーラー病になりやすくなります。仕事の合間にストレッチなどで軽く体を動かすとクーラー病の対策になります。30分に1回は椅子から立ち上がるようにしたり、1時間に1回を目安に5分ほど歩いたりするだけでも効果的です。

体を温める食事を摂り入れる

体を温める食事を摂り入れることも、クーラー病対策につながります。タンパク質やビタミンB群を多く含んだ食材は、体を温めてくれます。栄養バランスのとれた食事で、自律神経のバランスを整えることも大切です。体を温める食材については、詳しく後述していきます。

クーラー病対策になる体を温める食事ポイント

クーラー病対策には、体を温める栄養素をバランスよく含んだ食事をすることが大切です。タンパク質やビタミンB群を食事に取り入れましょう。
タンパク質は筋肉を作る元となる栄養素です。タンパク量が減ると筋肉量にも影響してしまい、筋肉による熱の産生が少なくなります。タンパク質は肉や魚、大豆製品などから摂取できます。
ビタミンB群は体の代謝を促し、体を温める効果があります。豚肉やウナギなどに含まれるB1や、マグロやカツオなどに含まれるB6は代謝を促してくれます。
その他、血行を促進させるビタミンAが含まれたニンジンなどの根菜類や、ショウガオールという辛み成分が含まれたショウガも、体を温める食材です。
一方で、糖質は摂り過ぎないよう気をつけましょう。糖質を摂取しすぎると、中性脂肪が増えて血流が悪くなります。パンや麺類だけの食事を控える、白米から玄米に変えるといった工夫も体を温めるポイントになります。糖質に偏った食事内容は、クーラー病で血行不良になった口内にも悪影響を及ぼします。糖質は口内細菌の栄養源にもなるため、血行不良で免疫の低下した口内では、むし歯や歯周病のリスクを上げることにもなります。
また、朝食を食べると内臓が活動し始めるため、エネルギーを生産し体温が上昇します。朝食をしっかりと食べて、朝から体の体温を上げることも大切です。

クーラー病対策=口内環境対策にも

クーラー病は、自律神経の乱れからさまざまな体の不調を招きます。血行不良や免疫力の低下によって、歯ぐきのトラブルなど口内環境にも影響するおそれがあるのです。
そのためクーラー病を予防する対策は、自律神経の働きを整えて口内環境を守ってくれることにもつながります。

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