「ながら食べ」とは?
ご飯を食べているときにふと手持ち無沙汰を感じてスマホを見る、幼少の頃からの習慣でご飯のときはテレビをつけるなど、〇〇しながら食事をとることは「ながら食べ」と呼ばれます。「ながら食べ」をしてしまう多くの方は、それが身体に良いことではないと理解していますが、習慣になっているため、なかなかやめられません。「ながら食べ」によるリスクをしっかりと理解することが、「ながら食べ」から抜け出す一歩となります。
「ながら食べ」にはどのようなリスクがあるのか
咀嚼の回数が減り口内環境が悪くなりやすい
「ながら食べ」をすると食事に対する集中力が削がれるため、食べ物を噛む回数が減少します。咀嚼回数が減ると唾液分泌も減るため、口内環境が悪くなりやすいのです。唾液には自浄作用と抗菌作用があり、歯ブラシで取りきれないような微細な食べかすを洗い流し、歯をむし歯や歯周病から守る働きがあります。咀嚼回数が減ると唾液の働きが弱くなるため、口内環境が悪くなりやすくなります。
満足感や満腹感が得にくく肥満に繋がる
「ながら食べ」は食べることへの意識が低下するため、「食べた」という実感が得られにくく、満腹になりづらくなります。満足感や満腹感が得られないと、腹八分目を超えて食べ続けることが習慣化してしまうため、食べ過ぎによる肥満につながります。
濃い味を求めて栄養バランスが偏る
「ながら食べ」は味覚を鈍くして、栄養バランスを乱す元にもなります。
味覚は、咀嚼回数や唾液とも密接に関係しています。味は、食べ物に含まれる成分が唾液を通して舌の味蕾細胞に届くことで、感じることができるためです。「ながら食べ」で咀嚼回数が減ると、食べ物中の成分が十分唾液に混ざらなかったり、唾液自体があまり出なかったりしてしまうため、味を感じにくくなります。
味覚が鈍くなると、より濃い味を求めるようになります。その結果、塩分や糖質が多く味付けがしっかりしているものを好むようになるため、栄養バランスの乱れにもつながります。
味覚は、咀嚼回数や唾液とも密接に関係しています。味は、食べ物に含まれる成分が唾液を通して舌の味蕾細胞に届くことで、感じることができるためです。「ながら食べ」で咀嚼回数が減ると、食べ物中の成分が十分唾液に混ざらなかったり、唾液自体があまり出なかったりしてしまうため、味を感じにくくなります。
味覚が鈍くなると、より濃い味を求めるようになります。その結果、塩分や糖質が多く味付けがしっかりしているものを好むようになるため、栄養バランスの乱れにもつながります。
消化吸収機能が働きにくくなる
消化運動は食べ物を目にした時点で始まります。レモンを見ただけで唾液が出るのも消化運動のひとつです。「ながら食べ」は食事への集中力が阻害されるため、消化吸収機能が働きにくくなってしまいます。消化吸収機能がうまく働かないと、体に必要な栄養素が十分に吸収されないため、栄養障害やエネルギー不足による体調不良につながります。
姿勢が悪くなる
食事をするときの正しい姿勢は、背筋を伸ばし、目線だけを下に向け、箸やフォーク・スプーンを使い、口に料理を運ぶ形です。テレビやスマホを見ながらだと、口が料理に近づく、「犬食い」の姿勢になってしまいます。背筋が伸びず、背中や首が曲がるため、「ながら食べ」は姿勢を悪くします。
衛生的なリスクがある
スマホを見ながらの「ながら食べ」には、衛生的なリスクがあることも忘れないでください。多くの方が、自宅では帰宅時に手を洗い、外食する際はお手拭きを使うなどをして、食事をする前に手の除菌をするはずです。しかし、食事の前に手をキレイにすることはあっても、スマホまで除菌する方は少ないのではないでしょうか。スマホは屋外でさまざまな菌が付着しているため、食事中の使用は衛生的なリスクが高まります。
子供の場合は認知能力の低下に繋がる
食材の色や形を見る、香りを感じる、味や食感を感じるなど、食事の時間にも子どもの五感は育まれます。「ながら食べ」をすると、食事への意識が低下するため、上記の体験が得られません。食事ならではの経験の機会が失われると、子どもの認知能力が育ちにくくなるおそれがあります。「ながら食べ」の習慣化は、子どもの成長の阻害につながります。
「ながら食べ」を防止する方法
デメリットの多い「ながら食べ」をやめるためにすべきことは、スマホやテレビと距離を置く、自炊をする、マインドフルイーティングの3つです。
スマホやテレビを食事環境に置かない
食事に集中できる環境をみずから用意することが大切です。食事のときはスマホやテレビから距離をおき、「ながら」の根本原因を排除しましょう。もちろん、スマホやテレビを完全に無視するのは難しいため、小さな行動からはじめると身につきやすくなります。たとえば、スマホを机に置くときは裏返しにする、テレビをダイニングから見えない位置に設置するなどでもかまいません。
自炊を行い食欲を増加させる
「ながら食べ」は食事の味や見た目に関心がないときに発生します。食べたいという意欲をわかせる方法のひとつとして自炊があります。自炊をして料理の味や見た目にこだわりを持つようになれば、意識を食事に向けられるはずです。
「自炊をすると好きなものばかり作ってしまい太るのでは?」という意見もあるでしょう。実は、たとえ好きなものばかりであったとしても、「ながら食べ」を抜け出す最初のステップとしては効果的です。食事に集中できるようになれば、徐々に健康な料理を作れるよう調整していきます。
「自炊をすると好きなものばかり作ってしまい太るのでは?」という意見もあるでしょう。実は、たとえ好きなものばかりであったとしても、「ながら食べ」を抜け出す最初のステップとしては効果的です。食事に集中できるようになれば、徐々に健康な料理を作れるよう調整していきます。
マインドフルイーティングを取り入れる
「マインドフルイーティング」とは、食事に対して五感をフル活用して食べる方法です。食べ物をじっくり目で楽しみ、香りを嗅ぎ、口の中に含んでからもゆっくり噛んで食感や音を楽しみ、じっくり味わってから、喉を通る感触も意識する。このように、食べることに関わる全ての感覚に意識を向けます。視覚・嗅覚・味覚・触覚・聴覚はもちろん、空腹感や満足感など腸や脳で感じる感覚にも意識を向けるとより効果的です。食事の質を重視できるようになり、偏りのある食生活の改善や肥満の防止につながります。
他にもある!リスクのある食事のとり方
「ながら食べ」以外にもリスクが潜む○○食べがあります。ご自分の行動を振り返って次のような行動をしている場合には、注意してください。
「だらだら食べ」とは
1日3食以外の間食を不規則に取り続ける行動は、「だらだら食べ」と呼ばれます。食事と食事の間のジュースやお菓子、夕食後の夜食など、一日中途切れることなく何かを口にしている行為はだらだら食べにあたります。だらだら食べが習慣になっていると、むし歯や高血糖、食べ過ぎなどのリスクがあります。
むし歯が発生しやすくなる
だらだら食べをしているとむし歯が発生しやすくなります。口内は、食後に酸性に傾きます。酸は歯を溶かしてむし歯の元となるため、唾液が酸を中和して元に戻す働きをします。だらだら食べをしていると、口内は酸性の状態が続いてしまうのです。
倦怠感や集中力の低下を招く
だらだら食べをして糖質を過剰に摂取すると、血糖値が高い状態になります。血糖値が高くなると体は血糖値をしっかり下げようとするため、急激に血糖値が低下します。この急激な変化が、倦怠感や集中力の低下を引き起こします。
食べ過ぎてしまう
血糖値が高いと喉の乾きや空腹感を増長させます。その結果、十分な食事量をとっているにも関わらず、空腹感が続くため、食べ過ぎを起こすおそれがあります。
糖尿病などのリスクになる
血糖値を下げようと体が働き続けていると、余分な糖質は脂肪として体に蓄積していき、肥満のもとになります。さらに、血糖を下げるために重要な膵臓の機能も疲弊をしてしまいます。膵臓が疲弊していくと、糖尿病などの病気を引き起こす元にもなります。
だらだら食べの防止方法
だらだら食べは、食べ続けないことが大切です。そのため、食べるタイミングや時間を決めることがポイントになります。
時間を決めて食事を取る
食事の開始・終了時間の両方を決め、決まった時間に食事を取ることがだらだら食べ防止につながります。時間を区切り、口内環境の調整や血糖値を低下させる時間を確保しましょう。
間食も1日1回だけにして明確に時間を決めておいたり、甘いものは昼食の直後だけにしたりすると、3食以外の間食を控えることにもつながります。
間食も1日1回だけにして明確に時間を決めておいたり、甘いものは昼食の直後だけにしたりすると、3食以外の間食を控えることにもつながります。
「ながら食べ」がだらだら食べに繋がる場合も
だらだら食べは、「ながら食べ」の延長にあります。「ながら食べ」をおさえることで、だらだら食べの防止につながります。
「寝ながら食べ」とは
「ながら食べ」の中には「寝ながら食べ」というのもあります。ソファやベッドに寝転んで、テレビを見ながらお菓子を食べる行為です。ラクを極めたような食事ですが、肥満や姿勢の悪化につながり、消化不良を起こす体に変化してしまいます。
太りやすくなる
寝ながら食事を取ると、カロリーの消費量が減るため、太りやすくなります。座っていれば、姿勢を保つために足や背中の筋肉を使いエネルギーを消費します。寝ていると姿勢を保つための筋肉が使われないため、基礎代謝が落ちてカロリーを消費できなくなり、太りやすい体に変化していきます。
姿勢が悪くなる
寝ながら食事を取るためには、横に向いたり体をねじったりしなければなりません。横寝やねじる姿勢は首や肩に負担をかけるため、姿勢が悪くなるのです。姿勢が悪くなると骨格や内臓を支える内なる筋肉が不安定になり、疲れや便秘の原因にもなります。
消化不良を起こしやすい
実は血液が肝臓に流れる量は横になっているときが最も多いため、食後30分ほど寝転ぶことは大事なことです。ただし、そのまま寝てしまうと消化不良を起こしてしまうため注意してください。睡眠状態になると、胃腸の働きが弱くなってしまうのです。
「寝ながら食べ」の防止方法
寝ながら食べを防ぐには、「だらだら食べ」と同様に、規則正しい食習慣を整えることが大事です。
椅子に座って食事をとる
生活・食生活環境を整え、すぐに寝転べない環境を作ることが大切です。椅子に座ることで背筋が伸びるため、食事中にもカロリーが消費される上、姿勢を保つための筋肉が刺激されて、太りにくい体づくりにもつながります。
規則正しい食生活を目指す
時間を決めて食事を取るなど、規則正しい生活を意識します。開始時間と終了時間を決めるなどして、寝転んだまま食事をスタートさせないことが大切です。
「ながら磨き」は良い?悪い?
「ながら食べ」は悪いけれど、同じく口に関することで、なにかをしながら歯磨きを行なう「ながら磨き」は口内環境にとってよくないのでしょうか。
実は、歯科医院によっても意見が分かれます。
「ながら磨き」を推奨する意見として、歯磨きをする時間をしっかり確保できることが挙げられます。歯垢をしっかり落とすためには上下顎で合わせて15分程度の歯磨きをすることが望ましいです。「ながら磨き」であれば長時間の歯磨きがストレスにならないため、時間をかけてしっかりと歯垢を落とす効果が期待できます。
一方で「ながら磨き」に注意喚起をしている意見では、テレビやスマホに意識が向くことで磨き残しや磨きムラがおきてしまう点が指摘されます。短時間で適当に済ます「ながら磨き」は推奨されませんが、湯船につかるなどをしながらしっかりと時間を取れる「ながら磨き」であれば推奨されています。
実は、歯科医院によっても意見が分かれます。
「ながら磨き」を推奨する意見として、歯磨きをする時間をしっかり確保できることが挙げられます。歯垢をしっかり落とすためには上下顎で合わせて15分程度の歯磨きをすることが望ましいです。「ながら磨き」であれば長時間の歯磨きがストレスにならないため、時間をかけてしっかりと歯垢を落とす効果が期待できます。
一方で「ながら磨き」に注意喚起をしている意見では、テレビやスマホに意識が向くことで磨き残しや磨きムラがおきてしまう点が指摘されます。短時間で適当に済ます「ながら磨き」は推奨されませんが、湯船につかるなどをしながらしっかりと時間を取れる「ながら磨き」であれば推奨されています。
まとめ
「ながら食べ」はメリットのない生活習慣です。ただし、癖のように行動してしまうため、強く意識しなければやめられません。リスクをしっかりと把握して、悪い影響から自分の身体を守り、健康的な食生活を目指しましょう。