マウスピースの正しい洗浄方法を紹介! 洗浄が必要な理由や注意点も

マウスピースの正しい洗浄方法を紹介! 洗浄が必要な理由や注意点も

(2023年10月12日公開)
歯科矯正用のマウスピースは、適切なケアを怠ると、細菌の繁殖や口臭、さらには歯周病やむし歯のリスクが高まります。本記事では、マウスピースの洗浄がなぜ必要か、洗浄の頻度や方法、洗浄剤について詳しく説明します。正しい洗浄方法を学びましょう。

               

マウスピースの洗浄が必要な理由

マウスピースを洗浄しないと起こりうる影響をみながら、マウスピースの洗浄が必要な理由を紹介します。

細菌が繁殖し悪臭やカビの発生につながる

マウスピースを口内に装着しているとき細菌が付着します。細菌が付着した状態でそのまま放置すると細菌が増殖して不快なニオイの元にもなります。また、外した状態で放置していれば、細菌だけでなくカビ菌が付着して、カビも発生するおそれがあります。

口臭、むし歯、歯周病のリスクが高まる

マウスピースが清潔でない場合、口臭の原因となる細菌や食べかすが口内に残り続けるため、それらが腐敗して口臭のリスクが高まります。さらに、清潔でないマウスピースが歯や歯ぐきに密着した状態が続くと、付着していた細菌によってむし歯や歯周病のリスクも増加します。これらのリスクを避けるためにもマウスピースの洗浄が欠かせません。

矯正治療が長引く可能性もある

清潔でないマウスピースを装着したまま矯正治療を続けると、むし歯や歯周病にかかる可能性が高まります。むし歯や歯周病の治療により矯正治療が中断となれば、治療期間が長引く可能性があります。マウスピースを清潔に保つことは、効果的な矯正治療を受けるためにも重要であるといえます。

マウスピースの劣化につながる

マウスピースは、日常的に摩耗して劣化していきます。マウスピースの洗浄不足により清潔でない状態で使用を続けると、細菌が作り出す酸や細菌自身からの影響によりマウスピースの素材が早く劣化していきます。場合によっては、ひび割れや変色が生じる可能性もあります。マウスピースが劣化して機能性が低下した場合、矯正治療や歯の保護にも支障をきたすことがあります。

マウスピースの汚れやニオイの原因は?

そもそも、マウスピースはなぜ汚れたりニオイがしたりしてしまうのでしょうか。細菌や食べかすが原因になることは上述しましたが、それ以外にも原因となり得ることがあります。

食べ残しがある状態で装着したため

口内に食べ残しがある状態でマウスピースを装着すると、食べかすがマウスピース内に入り込みます。食べかすが入り込んだ部分は唾液や水分が入りづらく、細菌が繁殖しやすい状態となります。食事をする際はできればマウスピースを外し、食べ終わった後も歯を磨いてから装着するようにしましょう。

口内の細菌が付着するため

日常的に発生する口内の細菌が、マウスピースに付着して増殖します。これが不快なニオイや口臭、むし歯、歯周病のリスクを高めます。定期的にマウスピースを洗浄するのはもちろん、日常的なオーラルケアをしっかりと行ない、細菌が繁殖しづらい口内環境にしておくことも、細菌の付着を少なくすることにつながります。

装着したままワインやコーヒーを飲んだため

色素の強いワインやコーヒーなどの飲み物を摂取すると、マウスピースに着色する可能性があります。飲料を摂取する際は飲む前にマウスピースを外すことをおすすめします。飲んだ直後は口内に色素が残っているため、再装着する前には口をすすいだり歯磨きをしたりして、着色を予防しましょう。

装着したままタバコを吸ったため

喫煙は歯の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、マウスピースを変色させたり、熱により変形させたりしてしまうおそれがあります。タバコを吸う際はマウスピースを外し、口をすすいでから装着をするようにしましょう。なお、喫煙により歯ぐきの血流が悪くなれば、マウスピース矯正にも長い時間がかかります。マウスピースの変色・変形を防ぐだけでなく、マウスピースの効果を発揮するためにも、できれば喫煙を控えることが望ましいです。

歯石が付着してしまったため

マウスピースが正しく洗浄されていないと、マウスピースに歯石が付着するリスクが高まります。歯石は細菌の繁殖を促進し、口臭や口内トラブルの原因となります。

マウスピース洗浄を行うタイミング

マウスピースの汚れやニオイがする原因をご説明しましたが、ここからは実際にマウスピースを洗浄するタイミングについてみていきましょう。

食事のタイミングで外したとき

食事をする際は、家にいるか外出先かによってマウスピースを洗浄するタイミングが異なります。

在宅での場合

食事をする際にマウスピースを外し、食事が終わったら丁寧に歯を磨きます。歯を磨くタイミングでマウスピースも水で流し、指を使ってこすり洗いをしてから装着しましょう。食事中にマウスピースを外すことで、食べかすがマウスピース内に侵入するリスクを減らします。

外出先での場合

外出先では、食事前にマウスピースを外すのは難しい場合もあると思います。その場合は、食事後に一度マウスピースを外して流水で洗い流しましょう。また、再装着する前も、口を水ですすぎ、できるだけ食べかすを取り除いてから装着しましょう。外出先ではマウスピースを丁寧に洗浄することが難しいため、口の中を清潔に保つことに重点を置くことが大切です。

就寝前

就寝前にはマウスピースを外し、口を水ですすぎます。マウスピースも装着する前に1度水洗いをしてから再度装着します。これにより、寝ているあいだの口内細菌の繁殖をできるだけ防ぎ、口臭や口内トラブルのリスクを低減します。

マウスピースの正しい洗浄法

正しいやり方で洗浄しないと、マウスピースの内部に食べかすや細菌が残ってしまい、汚れやニオイの原因になります。ここではマウスピースの正しい洗浄法について紹介します。

洗浄は毎日おこなう

マウスピースの洗浄は毎日行いましょう。洗浄は細菌の繁殖を防ぎ、マウスピースの清潔さを維持するために非常に重要です。柔らかい歯ブラシで洗浄して流水で洗い流すなど、毎日の習慣として洗浄を行うことで口内の健康を保ちます。

指や柔らかい歯ブラシを使い水で洗う

マウスピースの洗浄法のひとつは、指や柔らかい歯ブラシを使って水で優しくこすり洗いを行うことです。目に見える食べかすだけを落とすのではなく、小さな食べかすや細菌も取り除けるよう、全体を丁寧にこすりましょう。歯ブラシは必ず柔らかい歯ブラシを選び、適度な力で優しくこすることを心掛けましょう。強い力でこすり過ぎると、マウスピースに傷がつく可能性があります。
水道水で洗う場合は、60 ℃以上のお湯の使用は避けましょう。お湯の熱さでマウスピースが変形してしまう可能性があるためです。

洗浄剤を使う

週に1~2回の頻度で、専用の洗浄液にマウスピースを浸けることをおすすめします。
専用の洗浄剤を使用する利点は、タンパク質、喫煙による黄ばみ、飲み物の着色など、指や歯ブラシでは落としきれない汚れに対処できることです。また、洗浄剤は細菌やニオイの発生を防ぐ助けにもなります。
洗浄剤には、タブレットタイプ(水に溶かすタイプ)、泡タイプなどさまざまな種類があります。タブレットタイプは、タブレットを入れて溶かした水の中にマウスピースを浸して洗浄するタイプです。洗浄効果が高い一方、製品により水の温度や浸けおき時間が異なるため使用上の注意をよく確認する必要があります。泡タイプは、マウスピースに直接泡を吹きかけて指を使って洗浄するタイプです。水を用意する必要や長く浸け置く必要はないものの、泡を均等に吹き付けられないと部分的に洗浄が不十分になる場合があります。
また、洗浄剤は使用中のマウスピースに合わせた専用の洗浄剤を使用することをおすすめします。専用以外の洗浄剤によっては成分が強すぎることが原因で、マウスピースの強度を低下させる可能性があります。入れ歯用の洗浄剤を代用する場合は、必ず商品のラベルや説明を読み、マウスピースに適しているかどうかを確認しましょう。不明な場合は、マウスピースを購入した歯科医院やメーカーに確認をするのがおすすめです。

超音波洗浄機を使う

超音波洗浄機は、マウスピースを効率的に洗浄するために役立つ機器です。超音波洗浄機は、目に見えない微細な汚れやニオイ、油汚れなどにも効果があり、すみずみまで徹底的な洗浄が可能です。ただし、超音波洗浄機の使用に際しては、注意点があります。
超音波洗浄機はマウスピース専用のものがあります。専用以外のものは、振動が強すぎてマウスピースを劣化させるおそれもあるため、使用中のマウスピースにあった機器を選ぶようにしましょう。また、使用前にきちんと使い方を確認し、洗浄時間などの過不足がないように使用することも大切です。

しっかり乾燥して保管ケースにしまう

洗浄した後にすぐ装着をしない場合は、十分に乾燥させてから保管ケースにしまいましょう。湿ったまま収納をすると、細菌やカビが発生するリスクが高まります。紫外線殺菌器を使うと細菌やカビの発生を抑えることができますが、マウスピースを劣化させてしまうおそれがあります。使用をする際は製品の説明書を確認したり、歯科医院やメーカーに確認をしたりして、マウスピースに合った保管・乾燥方法を行なうようにしましょう。乾燥剤を一緒に入れておく場合も同様です。

マウスピースの洗浄剤に含まれるさまざまな成分

マウスピースの洗浄剤にはさまざまな成分が含まれており、それぞれ異なる役割を果たしています。一般的なマウスピース洗浄剤に含まれる成分とその役割は、次の通りです。

漂白剤

漂白剤はマウスピースの着色汚れを除去する働きがあります。反応性が強いため細菌の除去にも効果があります。過硫酸塩や過ホウ酸塩などの漂白成分が含まれています。

界面活性剤

界面活性剤は汚れを浮かして落とす働きがあります。いくつかの種類があり、マウスピース洗浄剤に含まれる界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムやアルファオレフィンスルホン酸塩などのアニオン系界面活性剤(陰イオン系界面活性剤)がよく使われます。

殺菌成分

細菌やカビの繁殖を抑える殺菌効果のある成分です。刺激やニオイは少なく安全性が高いとされています。マウスピース洗浄剤に添加されている成分としてイソプロピルメチルフェノール(IPMP)などがあります。

漂白活性化剤(TAED)

漂白剤の効果を低温でも発揮させるための化合物です。一般的な漂白剤は60℃以上などの高温で効果を発揮しますが、漂白活性化剤によって低い温度でも漂白の効果を発揮できます。

酵素

製品によってはタンパク質を分解する作用のあるプロテアーゼが含まれています。付着した食べかすを分解する働きがあります。

香料

香料はマウスピースに爽やかな香りを付けるのに使用されます。ミントやフルーツなどの様々なフレーバーのものがあります。

結合剤

粉末を錠剤の形に成型・固着するための成分です。
これらのように、マウスピース洗浄剤には、洗浄成分以外にも様々な効果を発揮する成分が入っています。そのため、水洗いだけでなく、定期的に洗浄剤を使うことが推奨されます。

マウスピース洗浄を行う際の注意点

マウスピースの洗浄を行う際は、以下の注意点に留意しましょう。

研磨剤入りの歯磨き粉で洗浄しない

歯磨き粉には研磨剤が含まれており、マウスピースの素材を傷つける可能性があります。また、研磨剤がマウスピースに残ると微小な傷ができ、細菌やカビが繁殖しやすくなります。

熱湯消毒は避ける

マウスピースの素材は高温に弱いものが多いため、熱湯消毒は避けましょう。高温になるとマウスピースが変形し、劣化を早める可能性があります。

アルコール消毒は変色の可能性もある

マウスピースの素材によっては、アルコール消毒によって変色することがあります。アルコールを使用する場合は、事前にマウスピースの素材に適しているか確認しましょう。

まとめ

歯科矯正用のマウスピースの洗浄は、マウスピースの品質を保つだけでなく、装着中の口内の健康を保つためにも不可欠な作業です。洗浄は、食事のあとや就寝の前などに、毎日行うことが大切です。専用の洗浄剤には洗浄成分以外にもマウスピースに良い成分が含まれています。週に1~2回は専用の洗浄剤も使って洗浄しましょう。
一方、マウスピースの傷がつきやすい研磨剤入りの歯磨き粉や、変形の可能性がある熱湯消毒、変色を起こしやすいアルコール消毒を使用した洗浄法は避けたほうがよいでしょう。

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