銀歯を白くする方法|保険適用の治療法まで紹介【歯科医師監修】

銀歯を白くする方法|保険適用の治療法まで紹介【歯科医師監修】

(2023年11月13日更新)
【歯科医師監修】
以前にむし歯の治療をしたときに銀歯となったものの、金属の光沢が目立って気になってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。銀歯は白くすることができます。銀歯を白くすると、見た目の印象が変わるだけでなく、銀歯による金属アレルギーの発症リスクを避けることもできます。この記事では、銀歯を白くする方法やそのメリット、治療費について詳しくご紹介します。

               

銀歯は白くすることができる?

歯に一度取り付けた銀歯は、それ自体の色を変えることはできません。しかし、銀歯を外して別の素材を使用することで、銀歯だった部分を白くすることができます。銀歯を白くする方法は、保険適用の治療から保険適用外の治療までさまざまな選択肢があります。

銀歯を白くするメリット

銀歯を白くすることには見た目以外にもさまざまなメリットがあります。つづいて、銀歯の部分を変えるメリットについて紹介します。

金属アレルギーの発症を抑えられる

歯に含まれる金属合金は、一部の方にとってはアレルギーの原因にもなるため、大きな問題となります。金属アレルギーの症状には、口内のかゆみ、炎症、過敏症状など、さまざまなものがあります。金属以外の素材で銀歯を白くすることで、金属アレルギーの発症リスクの軽減や症状の緩和が期待できます。

見た目の印象を変えられる

銀歯はその名のとおり銀色をしています。会話をしたり笑ったりしたときにふと銀歯が見えることで、相手に与える印象は大きく変わります。銀歯を気にして、大きく口を開けて笑うことができなくなり、コンプレックスにつながることもあります。とくに前歯の部分は気になる部分ですが、大きく口を開いた時には、奥歯の表面も意外と人から見られている部分です。銀歯の見た目が気になっている方にとって、白い歯に変えられることは大きなメリットになるでしょう。

再びむし歯になりにくい

詰め物の素材をセラミックにする場合、むし歯のリスクを低減してくれるメリットもあります。
銀歯を外してセラミックを詰める際に、強力な接着剤を使用して歯と詰め物を接着させます。隙間なく接着させるため、隙間からむし歯になることを予防できます。また、むし歯は歯に付着した食べ物の残りに細菌が繁殖することが原因ですが、セラミックはツルツルした素材で滑らかな表面構造のため、汚れが付着しにくくむし歯を予防してくれます。

有害な金属を除去できる

一部の古い銀歯には、有害な金属合金が使用されている可能性があります。1970年代頃までの銀歯には「アマルガム」とよばれる金属が一般的に使用されていました。アマルガムを構成する成分の半分は水銀です。銀歯で物を噛むことで摩擦が生じると、摩擦熱によって水銀の成分が含まれた蒸気が発生し、体内に吸収されて内臓や脳に蓄積されるおそれがあります。水銀は、皮膚の炎症や、水疱状の湿疹、頭痛、めまいなどを引き起こすことがあるといわれています。

口内に安全な材料を使用することは、全身の健康を守ることにもつながります。
これらのメリットを考慮して、銀歯を白くする治療の選択を検討しましょう。

【保険適用】銀歯を白くする方法

銀歯を白くする方法は、素材の種類や、元の銀歯が詰め物か被せ物かによって異なります。ここでは、保険適用で銀歯を白くするための主な治療法をご紹介します。

コンポジットレジン

コンポジットレジンは、レジンといわれる白い歯科用プラスチック素材を使用して詰め物を行う治療法です。ペースト状のコンポジットレジンを、治療した歯に詰めて特殊な光を照射し固めます。銀歯やセラミックなどと比べて歯を削る量が少なく、1日で治療が完結します。審美性もあり、経済的に負担が少ない治療法です。
メリット
歯を削る量が少なくすみ、歯の強度を保ちやすくします。
硬さがない分、嚙み合わせで当たる歯を傷めにくいです。
金属を使用しないため、金属アレルギーを起こす心配がありません。
デメリット
ほかの材料に比べて耐久性がやや低く、寿命が短い場合があります。
強度が低いため、噛み合わせの負荷がかかりやすい歯には使えません。
飲食物やタバコの摂取により、変色することがあります。

ハイブリッドセラミックレジン冠

ハイブリッドセラミックレジン冠は、セラミックとレジンを混合した素材の被せ物です。十分な硬さのあるレジンにセラミックを混ぜることで、後述する硬質レジン前装冠よりも割れにくいといった特徴があります。保険適用の条件には、一部の歯に限定される、金属アレルギーがある、CAD/CAM装置といわれる装置を使用する、などがあります。CAD/CAM装置とは、セラミックのブロックから削り出して被せ物を作る機械です。この機械の使用で、費用と制作日数を抑えることができます。
メリット
後述する硬質レジン前装冠よりも耐久性があります。
自分の歯の色に近づけることができます。
金属を使用しないため、金属アレルギーを起こす心配がありません。
デメリット
保険適用には特定の条件を満たす必要があります。
治療には厚生労働省の認可が必要なため、治療が可能な歯科医院が限定されています。
摩耗したり変色したりすることもあります。
割れたり外れたりする場合もあります。

硬質レジン前装冠

硬質レジン前装冠は、内側には金属、表面にはレジンを使用した被せ物です。保険適用内の治療で前歯の被せ物をする必要がある場合に使用されることが多いです。保険適用が可能な箇所は、中央から3番目までの前歯に限ります。また使用する金属は、保険適用が可能なパラジウム合金が使用されています。
メリット
被せ物の内側が金属なので、強度が高く割れにくいです。
自分の歯の色に近づけることができます。
デメリット
保険適用が可能な歯が限られています。
金属を使用しているため、金属アレルギーを起こすおそれがあります。

硬質レジンジャケット冠

硬質レジンジャケット冠は、全体にレジンを使用した被せ物です。硬質レジン前装冠と異なり、金属を使用しません。保険適用が可能な箇所は、中央から5番目までの歯です。ハイブリッドセラミックレジン冠の保険適用が可能になる以前には、多く取り入れられていた方法です。
メリット
金属を使用しないため、金属アレルギーを起こす心配がありません。
自然の歯に近い白色です。
硬質レジン前装冠に比べて費用が安価です。
デメリット
保険適用が可能な歯が限られています。ただし、硬質レジン前装冠と比べると保険適用できる箇所は多いです。
経年で変色するおそれがあります。
汚れが付着しやすいです。
他の素材より割れやすい傾向があります。

【保険適用外】銀歯を白くする方法

保険適用外の方法を活用すると、より審美性や強度の高い形で銀歯を白くすることができます。ここでは、保険適用外で銀歯を白くするためのいくつかの治療法をご紹介します。各治療法のメリットとデメリットについても詳しく説明します。

ダイレクトボンディング

ダイレクトボンディングは、レジンにセラミック粒子を混合させたハイブリットセラミックを使用した治療法です。歯の隙間にハイブリットセラミックを詰めて修復します。セラミックの詰め物や被せ物よりも、歯を削る量が少なくすみます。また保険適用が可能なコンポジットレジンよりも、強度が高く変色しにくい特徴があります。その他の保険適用外の治療法よりも、費用は安価に抑えることができます。
メリット
自然な歯に近い色味をしています。
歯の形状やサイズの修正にも使用できます。
歯を削る量が少なく抑えられ歯にやさしい治療法です。
デメリット
噛み合わせの強い奥歯や、大きな穴の形成には向いていません。
他の素材より割れやすい傾向があります。

セラミックインレー

セラミックインレーは、セラミックを使った詰め物です。セラミックは自然の歯に近い色味や透明感があり、再現性が高い仕上がりになります。軽度のむし歯など、小さい箇所の治療が可能です。
メリット
汚れが付着しにくく、白い歯を持続できます。
自然の歯のように再現できます。
デメリット
銀歯よりも削る量が多くなります。
大きな治療範囲には使用できません。
硬い食べ物を噛むなど強い衝撃によって割れたり欠けたりするおそれがあります。

ハイブリッドセラミックインレー

ハイブリッドセラミックインレーは、セラミックとレジンを混合させた素材の詰め物です。セラミックインレーは強度があるものの衝撃に弱いといった特徴がありますが、ハイブリッドセラミックインレーにはレジンが混合されていることで、割れにくくなるといった違いがあります。
メリット
セラミックインレーよりも比較的安価です。
ある程度の高い耐久性を持ちながら自然な見た目を再現できます。
デメリット
セラミックインレーより割れにくいですが、摩耗しやすいのがデメリットです。
経年使用により変色する可能性があります。

オールセラミッククラウン

オールセラミッククラウンは、セラミックの素材を使用した被せ物です。クラウンとは被せ物のことを指します。歯の全面を削って、セラミックで作った被せ物を接着させる方法で、セラミックの審美性を活かし、主に前歯に使用されることが多いです。
メリット
自然な歯に非常に近い見た目をしており、美しい白い歯が実現できます。
変色することがなく、自然で美しい色味を保てます。
デメリット
他の被せ物と比べて歯を削る量が多くなります。
セラミック素材を使用し、かつ被せ物の治療になるため費用が高くなります。
強い衝撃に弱く、歯が欠けたり割れたりする可能性もあります。

メタルボンド

メタルボンドは、金属のフレームにセラミックを貼り付けた被せ物です。見た目はセラミックですが内側を金属で補強し、耐久性を高めています。金属の耐久性とセラミックの審美性を兼ね備えた治療法で、奥歯の治療にも使用が可能です。
メリット
メタルボンドは内側に金属を使用するため強度が高く、奥歯にも使用ができます。
表面はセラミックなので審美性が高く、変色しにくく歯の白さをキープできます。
デメリット
内側には金属を使用するため、金属アレルギーの症状が出る可能性があります。
内側に金属を使用する分、オールセラミックと比べると審美性は劣ります。歯ぐきの際(きわ)の部分の黒ずみが気になる場合があります。

ジルコニアクラウン

ジルコニアクラウンは、メタルボンドと同じく、セラミックを使用した被せ物です。メタルボンドとの違いは、金属の代わりにジルコニアを使用している点です。ジルコニアは人工ダイヤモンドとも呼ばれるほど、硬度の高く耐久性のある素材です。
メリット
ジルコニアはオールセラミックよりは審美性は劣りますが、自然の歯に非常に近い見た目です。
汚れが付着しにくく変色することはほぼありません。
硬度が高いため奥歯にも使用が可能です。
金属アレルギーのリスクが少ない素材です。
デメリット
他の治療法と比較して高額な費用となります。
他のセラミックを使用する治療よりも歯を削る量が多いです。
硬度がある分、噛み合わせた歯を痛める可能性もあります。

銀歯を白くするデメリット

銀歯を白くする治療には、確かに多くの魅力がありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。つづいて、銀歯を白くする際のデメリットについて詳しく説明します。

歯を削る必要がある

銀歯を白くするためには、元の銀歯を取り外すために歯を削る必要があります。さらに取り外して歯の形を整える必要もあります。歯を削ることで脆くなり、欠けたり割れたりするなどトラブルにつながるおそれもあります。

金属と比較して割れやすい

白い歯を再現するために使用される材料は、通常、セラミックやプラスチックなど非金属材料です。これらの材料は金属よりも耐久性に劣る場合があり、長期的に歯ぎしりをしたり、強く噛んだりして、衝撃や負荷がかかると割れる可能性もあります。

銀歯にもメリットがある

銀歯にはいくつかのメリットも存在します。銀歯は他の素材と比べると丈夫な素材であり、割れたり欠けたりする心配が少なくすみます。薄く作っても強度を保てるため、接着するために歯を削る量を少なくできることが特徴です。銀歯は天然の歯と同じくらいの硬さがあるため、噛み合わせたときに他の歯を傷めにくいメリットもあります。また、費用面でも他の白い歯の素材に比べて費用が抑えられます。銀歯のメリットとデメリットをよく比較し検討することが大切です。

白くするための費用が発生する

銀歯を白くするためには、保険適用か否かにかかわらず治療費が発生します。治療費は、選択する治療法や使用する材料によって異なりますが、審美性が高いものは自費診療となり、費用も高額になることが多いです。事前に費用について十分に理解し、予算を考慮することが大切です。

銀歯を白くする場合の治療費

銀歯を白くするための治療費は、選択する治療法や使用する材料によって異なります。以下は一般的な治療法とその目安の費用を示したリストです。
●    コンポジットレジン: 1,500円ほど
●    ハイブリッドセラミックレジン冠: 9,000円ほど
●    硬質レジン前装冠: 5,000円ほど
●    硬質レジンジャケット冠: 3,000円ほど
●    ダイレクトボンディング: 1.5~3.5万円ほど
●    セラミックインレー: 4~8万円ほど
●    ハイブリッドセラミックインレー: 3~5万円ほど
●    オールセラミックスクラウン: 8~15万円ほど
●    メタルボンド: 8~15万円ほど
●    ジルコニアクラウン: 10~20万円ほど
保険適用の箇所が限られていたり、条件に当てはまらないと保険適用外になったりする場合もあります。また、素材によっては歯科医院で取り扱っていないものもあります。歯科医院にて要望を伝えてから具体的な費用を確認しましょう。

まとめ

今回は銀歯を白くする方法について解説しました。銀歯を白くすることで、金属アレルギーのリスクを軽減し、見た目を改善でき、むし歯の再発予防になる場合があるなどのメリットがあります。治療には、保険適用と保険適用外の方法があり、使用する白い歯の素材によって、それぞれメリットとデメリットが異なります。
最適な治療法を選択するためには、歯科医師との相談が必要不可欠です。自身の健康と美しい笑顔を取り戻すために、適切な治療法を検討しましょう。

監修歯科医師:吉竹 啓介 先生

東京都中央区京橋駅直結の「京橋 銀座みらい歯科」院長。
2010年神奈川歯科大学 卒業。2014年に医療法人社団港成会 理事に就任し、同年にせたがや歯科室を開設。2020年に京橋 銀座みらい歯科を開設し、翌年移転・名称変更。
現在は京橋 銀座みらい歯科として東京スクエアガーデン2Fで診療を行っている。

京橋 銀座みらい歯科 ホームページ
https://www.miraishika-ginzain.tokyo/

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