「うがい」にはどのような効果があるの?正しいやり方を紹介

「うがい」にはどのような効果があるの?正しいやり方を紹介

(2023年10月27日公開)
「うがい」には、風邪を引きにくい、口のニオイが抑えられる、などの効果があることが知られています。一方、自分のうがいのやり方は正しいのか、うがい薬は使用したほうがいいのかと気になっている方もいるのではないでしょうか。本記事ではうがいの効果や正しいやり方、タイミング、うがい薬の使用法など、うがいの効果を引き出すための内容をまとめました。

               

「うがい」にはどのような効果がある?

うがいには、食べかすやほこり、菌やウイルスを物理的に洗い流し、風邪などの感染症を予防したり口のニオイの元を取り除いたりする効果があります。また、うがいによって喉を潤すことで、口内の乾燥を予防したり、せきを抑えたり、痰を取り除いたりしやすくなります。
さらに、うがい薬を使用すれば、殺菌作用によって口内の消毒や炎症の抑制効果があり、喉の痛みを和らげることもできます。
それぞれの効果を詳しく解説します。

喉の粘膜に付着した菌やウイルス・ほこりを洗い流す

呼吸をしたり口や鼻を触ったりすると、菌やウイルス、ほこりなどの異物が体内に吸い込まれます。これらの異物をそのままにしておくと、風邪などの感染症、喉の炎症の原因となります。うがいをすると異物を洗い流すことができるため、感染症や炎症を防ぐ効果が期待できます。

口臭の元となる汚れを取り除く

口のニオイは、口内に残った食べかすや口内から剥がれ落ちた粘膜のカスが、口の中にいる細菌によって分解されると発生します。うがいは、食べかすや粘膜などを洗い流せるため、口臭の発生源を断つことができます。

むし歯・歯周病を予防する

口のニオイの元となる食べかすは、むし歯や歯周病の原因菌のエサにもなります。そのため、うがいによって口内を洗い流すことで、むし歯や歯周病の予防にもつながります。

せきや痰を抑え喉の傷みを和らげる

細菌やウイルスに感染すると、喉ではこれらの異物を除去しようとするため、せきや痰が出やすくなります。異物が気道内に入り込むと、喉に分泌されている粘液に包まれ、肺まで到達しないように痰として排出されます。この排出には、喉のなかの上皮細胞に生えている「繊毛」が大きく関わっています。粘液に包まれた異物は線毛の動きによって喉まで運搬されて排出されます。この防御反応を繊毛運動といいます。
繊毛運動は乾燥すると動きが妨げられてしまいます。そのため、うがいすることで繊毛に潤いを与え、繊毛運動のサポートを行うと、痰の除去がしやすくなるのです。
また、乾いた空気は刺激が強く、せきや喉の炎症を引き起こします。喉を潤すことは繊毛運動が活性化するだけでなく、乾燥した空気による刺激を弱めて喉の炎症が起きにくい状態にする効果もあるため、せきや痰が出にくくなります。
喉が炎症を起こして刺激に対して過敏になると痛みを感じます。また、痰やせきも喉への刺激となります。うがいで喉を潤すことで刺激であるせきを抑え、異物を含む痰を除去しやすくなるため、喉の痛みが和らぐのです。

口内の乾燥を予防する

うがいには口内を潤し、乾燥を予防する効果もあります。口内が乾燥すると粘膜が傷つき、異物を体外に排出する繊毛運動が弱まります。そのため、細菌やウイルスが増えやすい状態になってしまいます。うがいにより乾燥を予防することは、細菌やウイルスの繁殖を防ぐことにもなります。
また、口内の乾燥は口の粘つきの元です。そのままにしておくとヒリヒリとしたり、口のニオイが強くなったりします。さらにひどくなると、舌表面がひび割れて痛みを感じる、会話がしづらくなる、などの症状が現れます。食べ物も十分に湿らせることができないため、特に乾燥した食べ物が食べにくくなり、体力の低下にもつながります。うがいで口を潤すことは、これらの症状を防ぐことにもつながります。

うがい薬の使用でのどや口内を消毒し炎症を抑える

風邪を引くと、喉の粘膜が炎症を起こします。このときうがい薬を使うと効果的なケースがあります。多くのうがい薬には殺菌成分や抗炎症成分が入っています。うがい薬を使うことで喉や口内を消毒したり、炎症を抑えたりする効果が期待できます。

「喉うがい」と「口ゆすぎ」の効果の違いは?

うがいといわれ頭に浮かぶのは、口に水を含んで上を向き、がらがらとしてから水を捨てる動作ではないでしょうか。これは喉うがいともいわれ、口内を潤したり、細菌やウイルスを外に排出したりする効果があります。一方、口ゆすぎとは、口うがいともいわれ、喉よりも口内や歯の周囲に水を勢いよく循環させて洗い流す動作のことです。ブクブクうがいやクチュクチュうがいと表現されることもあります。口ゆすぎも喉うがいと同じく口内の細菌やウイルスを外に排出する効果がありますが、食べかすを洗い流す効果が強いため、むし歯や歯周病の予防が主になります。

「うがい」の正しいやり方を紹介

うがいも正しいやり方で行わないと効果があがらないことがあります。
はじめにしっかりと手を洗った上で、正しいやり方でうがいを行ないましょう。

うがいの正しいやり方

1.    ブクブクと強めの口ゆすぎ
2.    ガラガラと上を向いてうがい
3.    もう一度ガラガラとうがい

1.ブクブクと強めの口ゆすぎ
口内の食べかすを取り除くため、水やうがい液を含み、前を向いたまま強めにブクブクと口ゆすぎを行います。水を前後だけではなく左右や上下にも動かすようにし、歯と歯の隙間も通すように意識して、口のなか全体を洗い流すようにすると効果的です。汚れが多い場合は、2~3回口ゆすぎを繰り返すとよいでしょう。
口ゆすぎの仕方についてはこちらの動画も参考にしてください。

しっかりと口をすすげる!効果的な口のすすぎ方(歯科衛生士 実演)

2.ガラガラと上を向いてうがい
水やうがい液でガラガラとうがいを行います。上を向き、喉の奥までうがい液が届いたらうがいをします。15秒くらい行ってから水を吐き出しましょう。

3.もう一度ガラガラとうがい
新しい水かうがい液で、2回目と同様にガラガラとうがいを行います。

間違った「うがい」のやり方は?

風邪予防や口内の乾燥予防に効果的なうがいですが、間違った方法では十分な効果が得られません。こちらでは間違ったうがいの方法を解説します。

うがいした水をそのまま飲んでしまう

うがいした水はそのまま飲みこんでも問題ないという情報を見かけることがありますが、それは間違いです。うがいをすることで喉が潤い、細菌やウイルスを口内から取り除けますが、飲み込むことで細菌やウイルスを含んだ水を体の中にいれてしまいます。細菌やウイルスが胃腸で感染しないとは言い切れません。実際、ウイルス性感染性胃腸炎は、汚染された水・食品を介して口から感染します。

すすがずに「喉うがい」をしてしまう

水を含んでそのままガラガラうがいをするのも、充分な効果が得られません。口内の細菌やウイルスが多く含まれた水で、喉のうがいをすることになってしまうからです。まず、口をすすいでからうがいを行いましょう。

歯の隙間まですすいでいない

口をすすぐ際は、歯の隙間まで強めにブクブクとすすぎましょう。歯の隙間は食べかすが残りやすいところです。食べかすが残ったままになると、口臭の原因になる他、むし歯菌や歯周病菌が増える原因にもなります。また、歯の隙間をすすがずに喉うがいをすると、汚れた水で喉うがいをすることになり、うがいの効果が小さくなります。

うがいをし過ぎてしまう

うがいには多くの効果がありますが、だからといってし過ぎはよくありません。うがいのし過ぎは、正常な粘膜を洗い流したり、口内細菌のバランス(口内フローラ)を崩してしまったりするからです。
口内フローラは、特にうがい薬を使って過度にうがいをした場合にバランスを崩してしまうおそれがあります。殺菌作用の強いうがい薬を使うときは、用法・用量を守って、必要以上にうがいを行なわないようにしましょう。

「うがい」をするタイミングはいつがよい?

喉から入る異物を除いたり、乾燥を防いだりするのに効果的なうがいですが、行うのにおすすめのタイミングがあります。

外出先から帰ったとき

うがいをするタイミングといわれて、最初に思いつくのは外出先から帰ったときではないでしょうか。公共の場では人と接触する機会が多いため、そこで空気や飛沫などを介して菌やウイルスを取り込んでいる可能性もあります。
特に、感染症の流行時期はうがいが重要です。たとえ外出時にマスクをしていても、帰宅してマスクを取ったあとに、衣服や体についていた細菌やウイルスが口に紛れてしまうリスクがあります。外出先から帰ったときは速やかにうがいをすることが効果的です。

食事の前

食事の際に細菌やウイルスが喉に付着したままだと、食べたものと一緒に体の中に入ってしまいます。食事前にうがいをすることで、喉から異物を洗い流して、体内に入ることを防ぎましょう。

のどに違和感があるとき

喉の違和感は、喉が乾燥したり、細菌やウイルスが喉の粘膜に感染したりすることで起こります。うがいは、喉の乾燥と細菌などの感染の、両方に効果が期待できます。うがいすることで、喉の違和感を抑えることができます。

「うがい薬」は使うべき?

うがい薬を使用しても水でのうがいと効果は変わらないという情報もあります。一方、うがい薬には科学的に実証された殺菌、消毒効果があるため、感染症が流行する時期だけでなく、普段の生活に取り入れることをおすすめします。

うがい薬の効果

うがい薬には主にヨウ素(ポピドンヨード)が入っているものと、アズレン(アズレンスルホン酸ナトリウム)が入っているうがい薬があります。ヨウ素入りのうがい薬は濃い茶色で、細菌やウイルスに対する殺菌・消毒作用があります。一方で、アズレン入りのうがい薬は青色です。殺菌作用はありませんが炎症を鎮めます。

うがい薬とマウスウォッシュの違い

マウスウォッシュはうがい薬と似ていますが、喉の細菌やウイルスを洗い流したり、喉を潤したりするためのものではありません。マウスウォッシュは液体のオーラルケア製品を指し、口の中を爽やかにしたり、ニオイを防いだり、むし歯や歯肉炎の予防をするものです。喉のケアや感染症を防ぐためには、うがい薬の使用をおすすめします。

うがい薬を使用する際の注意点

上手に使えば感染症予防や喉の違和感に心強いうがい薬ですが、正しい使い方をしないと効果が減少してしまいます。うがい薬使用の際の注意点をまとめました。

妊娠・授乳中や治療中の場合は医師に相談してから

ヨウ素が含まれているうがい薬は、妊娠・授乳中の方など避けなくてはならない方がいます。ヨウ素は食品に含まれる栄養素でもありますが、妊娠中に取りすぎると赤ちゃんに影響が出る場合があるからです。また、甲状腺の病気の方、ヨードにアレルギーがある方も注意が必要です。使用は医師に相談してからにしましょう。

口内がひどく荒れている場合は使わない

うがい薬は口内の炎症にも効果があります。一方、ひどく荒れている場合は症状を悪化させるおそれもあります。使用する前に医師に相談をするようにして、使用を控えるようにしましょう。

薄めてから使用する

「そのまま使用すれば効果がより強いのでは?」
「希釈するのは面倒だ」
と考える方もいるかもしれません。うがい薬は希釈して最も殺菌効果や抗炎症効果が出るように濃度が調整されています。原液だとかえって口内の粘膜を傷付けたり体が過敏に反応したりする場合もあるため、説明書のとおり薄めて使用しましょう。

飲み込まずに吐き出す

うがい薬は、口内やウイルスの細菌、喉の炎症を抑えるために使用します。飲み込んでしまうと胃腸に負担が生じたり、思わぬ影響を及ぼしたりするおそれもあります。飲み込まずに、うがいが終わったら吐き出しましょう。

使い過ぎに注意する

口内を殺菌してくれるうがい薬ですが、使い過ぎると口内の常在菌も減らしてしまうリスクがあります。常在菌が減ると口内フローラが乱れる可能性があり、その結果、悪玉菌が繁殖しやすくなったり免疫力が下がったりして疾患につながります。食事の後や外出から帰ってきたときなど、1日4~5回の使用が目安です。

まとめ

うがいには細菌やほこりを洗い流す、喉を潤す、口のニオイを防ぐなど多くの効果があります。一方、間違ったやり方ではその効果も薄いです。正しいやり方で効果的なうがいを行い、感染症や喉の違和感を防ぎましょう。

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