重曹うがいの3つのメリット! 効果的な方法と注意点を解説

重曹うがいの3つのメリット! 効果的な方法と注意点を解説

(2024年1月25日公開)
弱アルカリ性の性質を持つ重曹は、酸性の油汚れや焦げ付き、皮脂汚れなどの汚れを落とす洗剤として、掃除や洗濯でよく使われる物質です。この重曹を使ったうがいをすると、むし歯の予防や口内の静菌、口のニオイの予防効果があるとされています。本記事では、重曹うがいのメリットとうがい液の作り方、効果的なやり方や注意点など、重曹うがいについて気になることを解説します。

               

重曹うがいとは?

重曹とは、炭酸水素ナトリウムのことです。食塩を電気分解し、二酸化炭素を加えて作られる、弱アルカリ性の物質です。

重曹は体内に入ると胃酸と反応し水と塩と二酸化炭素に分解されるため、人体には無害な物質です。このため、掃除だけではなく食材の下処理など料理にも使われています。

重曹は弱アルカリ性であることから、重曹うがいには酸性に傾いた口内環境を中和する働きがあります。
そのため、口内細菌が酸性した酸によって起こるむし歯(脱灰)の予防や、口内が酸性に傾くことで発生する口のニオイを抑えることにもつながります。

そもそも『うがい』にはどんな効果がある? 

うがいには、口内のほこりや食べかす、細菌やウイルスを物理的に洗い流すことで、感染症を防ぐ効果があります。
また、口のニオイを取り除いたり、喉を潤し乾燥を防ぐことで咳を抑えたり、痰を取り除きやすくしたりする効果も見込まれます。

うがいには、口に水を含んで上を向き、がらがらとしてから水を捨てる「喉うがい」と、口内や歯の周囲でブクブクと水を勢いよく循環させる「口ゆすぎ」の2種類があります。
口ゆすぎは、口うがいやブクブクうがいといえば聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

喉うがいと口ゆすぎはどちらも口内の細菌やウイルスを外に排出できるため、喉や口内環境によい効果がありますが、口ゆすぎのほうが食べかすを洗い流す効果が高く、歯周病やむし歯の予防につながります。

うがいについては以下の記事でも詳しく解説してありますので、あわせて読んでみてください。

重曹うがいのメリット・効果

うがいをすること自体が口内環境によいことが確認できました。では、重曹うがいは通常のうがいに加えてどのようなメリットや効果があるのでしょうか。
重曹うがいで見込まれる効果は主に次の3点があります。
  • むし歯の予防
  • 口内の静菌
  • 口臭予防
それぞれについて具体的に解説します。

むし歯予防

重曹は、水に溶けると弱アルカリ性を示します。

食後の口内は、細菌によって酸が産生されて、酸性の状態になります。この状態のままでは、歯の表面からリンやカルシウムが溶け出しやすくなります。これは「脱灰」と呼ばれる現象で、口内で脱灰が続くとむし歯が発症・進行します。

酸性化した口内は唾液の力で徐々に中性に戻ります。中性の状態では歯の脱灰が抑えられ、リンやカルシウムが歯の表面に戻る「再石灰化」と呼ばれる現象が起きます。

重曹でうがいをすると、酸とアルカリの中和作用が働いて、口内が早く中性に戻ります。そのため、重曹うがいにはむし歯の予防効果が見込まれるのです。

口内の静菌

重曹には菌を殺すほどの効果(殺菌効果)はありませんが、静菌効果が認められています。 静菌効果とは、細菌や微生物などを殺さずに繁殖や発育を抑える効果のことです。

口内には多くの細菌が存在していますが、とくに悪玉菌として知られているのが、むし歯菌と歯周病菌です。細菌の増殖には、口内が酸性なのかアルカリ性なのかも影響します。
善玉菌を含む多くの口内細菌は、酸性とアルカリ性の間である中性の環境を好みます。
一方で、むし歯菌は酸を生成するため酸耐性を有しており、酸性下で増殖します。つまり、酸性の状態では、むし歯菌などの悪玉菌ばかりが増えてしまいます。

このため、水に溶けると弱アルカリ性となる重曹は、酸性の環境を変化させることでむし歯菌の増殖を阻害する静菌効果が見込まれるのです。

口臭予防

口のニオイの原因の多くは、細菌が食べかすをエサに生み出した揮発性硫黄化合物です。

揮発性硫黄化合物は酸性であり、重曹うがいをすると、弱アルカリ性の重曹の効果により中和されてニオイが抑えられます。

このため、重曹うがいは口臭予防の効果を発揮するのです。

重曹うがい液の作り方

重曹うがい液の作り方は以下のとおりです。使用する重曹は、必ず食用のものを使用してください。

基本的な重曹うがい液の作り方

  1. 水道水を500 mlペットボトルに入れる
  2. 小さじ1杯(約3 g)の重曹を入れる
  3. キャップをしてよく振る
コップで作る場合は、水の量が一般的にペットボトルの約三分の一になるため、重曹の量も三分の一程度にし、よくかき混ぜて作ります。
水に溶けにくいといわれる重曹ですが、冷たい水でも100 mlに対し小さじ1杯入れて1分ほどよくかき混ぜれば溶けます。

熱を掛けても大丈夫?

重曹うがい液を作るときは、あまり熱を掛けないようにしましょう。

通常、重曹うがい液はpH 8程度の弱アルカリ性になります。
一方で、重曹を65 ℃のお湯で溶かしたり、重曹水を温めて65 ℃以上にしたりすると、pHが9以上になり、アルカリ性が強まります。
これは重曹の成分である炭酸水素ナトリウムが、熱を加えられることで炭酸ナトリウムと水と二酸化炭素に分解するからです。

アルカリ性が強まると、歯ぐきや口内粘膜を傷付けるおそれもあるため、重曹うがい液は温めすぎないように注意が必要です。

使用するのは水道水? ミネラルウォーター? 

重曹うがい液を作る際の水は、水道水がおすすめです。
水道水には塩素が含まれていて、ミネラルウォーターよりも保存性が高いからです。

一方、すぐに使い切れる量ではそこまで保存性を気にする必要はありません。
口に入れるものですので、水道水が気になる方はミネラルウォーターでうがい液を作るのもよいでしょう。

うがい液は作り置きできる? 

重曹うがいをするたびにうがい液を作ることは大変です。このため、作り置きしたいと考えますよね。
そこで気になるのは、重曹うがい液は作ってからどのくらい保存できるかということでしょう。

重曹うがいを毎日の習慣にすれば、500 mlで作ったうがい液は数日で使い切れる量です。そのため、保存期間についてはあまり気にする必要はありません。

静菌効果のある重曹を加えた水は、通常の水より保存効果が高いです。500 mlのペットボトルに作った重曹うがい液は、冷蔵庫に入れておけば1週間程度は保存できるとされています。
冷蔵庫の温度や重曹うがい液の作り方などにも保存期間は左右されるため、1週間以内に使い切ることを目安としてお考えください。

重曹うがいの効果的なやり方

重曹うがい液を口に含んで、強めにぶくぶくと10秒ほどうがいをしましょう。
それだけで重曹の弱アルカリ性の効果でむし歯予防、口内の静菌効果、口臭予防効果が見込まれます。

一方、重曹うがい液を用いてガラガラうがいはしないでください。
研磨効果のある重曹の粒子が、喉の粘膜を傷つけてしまう可能性があるためです。

重曹うがいをする際の注意点

口内環境に効果のある重曹うがいですが、うがいをする際に2つ注意点があります。
食用の重曹を使用することと、重曹うがいをした後に歯磨きをしてはいけないことです。
詳しく解説します。

「食用」の重曹を使用する

重曹は純度によって分類が異なり、純度の低いものから「掃除用」、「食用」、「医療用」と分けられています。
重曹の純度は、掃除用が95~98 %、食用は98~99 %、医療用は100 %です。

掃除用の重曹は純度が低く、汚れを落としやすくするために添加物が含まれていることもあります。このため、掃除用の重曹はうがい液には使用しないでください。

うがい液は口に入れるものなので、「食用」もしくは「医療用」の重曹を使用します。
医療用は高価であり、胃薬や透析などに使われるものです。
うがいには「食用」の重曹を使うことをおすすめします。

うがい直後の歯磨きは避ける

重曹にはむし歯を予防する効果が見込まれるため、重曹うがいをしたあとに歯磨きをすれば、より高い効果が得られそうですね。
しかし、重曹うがいをした後に歯磨きをすることは避けてください。

重曹の粒子には高い研磨作用があります。そのため、重曹うがいをした直後に歯を磨くと、歯ぐきや歯の表面のエナメル質が口内に残った重曹によって削れてしまい、細かい傷ができてしまうおそれがあります。
歯の表面に傷があると、付着した食べかすが歯磨きでも落としにくくなり、汚れがこびりついてむし歯になりやすい状態になります。

完全に水溶液となっていれば粒子で歯を傷付ける心配はありませんが、誤って歯を傷付けてしまわないよう、重曹うがいは歯磨きの後にする方がおすすめです。

重曹うがいのあとに歯を磨くのと同様に、重曹を歯磨き粉として使うことも危険性の高い行為です。
重曹歯磨きの危険性について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

重曹うがいの効果的なタイミング

むし歯予防のために重曹うがいをするのであれば、歯や歯ぐきを傷めないためにも、歯磨きをしたあとに重曹うがいをすることが効果的です。

口のニオイ予防が目的なら、就寝前や起床後に重曹うがいをするとよいでしょう。
口臭は口のなかが酸性に傾くことも原因になりますが、普段は唾液によって口内が中性に保たれています。
しかし、唾液は睡眠時に分泌が減少します。そのため、重曹うがいは就寝前や起床後のタイミングがおすすめです。

まとめ

重曹うがいには、むし歯予防、口内の静菌、口のニオイ予防などの効果が見込まれます。一方で、重曹うがいのやり方を間違えると歯の表面や喉の粘膜を傷つけるなど、口内に悪影響をおよぼすことも見込まれます。
正しい重曹うがいのやり方で口内の健康を保ち、年に数回は歯科医院の定期検診を受けることで口の健康を保ちましょう。

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