一週間で口内環境は改善できる? 3つの取り組みの効果を比較

一週間で口内環境は改善できる? 3つの取り組みの効果を比較

(2024年3月31日公開)
日々の生活習慣やオーラルケアを変えると、どれくらい口内環境に影響するのでしょうか。1週間さまざまなことを実践してみて、実際に口内環境に変化が現れるのか、唾液検査で検証をしてみました。

               

はじめに・口内環境とは?

口内環境は、食べかすの量や細菌の数、口の中の乾燥度合いや歯ぐきの健康度合いなど、口の中に関わるさまざまなことが関係しています。口内環境が悪ければ、むし歯や歯周病、口臭などの口内トラブルを招く元にもなるため、良好な状態を保つことが望ましいです。
口内環境は、毎日の歯磨きや歯間ケアなどのオーラルケア、日頃の食事の内容や頻度、元々の体質やホルモンバランスなど、さまざまなことが影響して変化をしています。その中でも、自分でコントロールができる日々のオーラルケアや生活習慣は実際にどれくらい口内環境に影響するのでしょうか。

そこで今回、口内環境に影響のありそうな3つのことを1週間実践してみることにより、実際に影響が現れるのか、検証をしてみました。

検証の方法と内容

今回の検証では、SillHa.com編集部のあるフロアに勤務する、弊社の皆さんに協力をしていただきました。
はじめに、検証にご協力をいただける皆さんにアンケート調査を行ない、治療中の疾患がある方を除いた24~53歳の男女、約20名の方に参加をしていただきました。
アンケート調査で伺った内容を元に、検証に参加する皆さんを3つのグループに分け、それぞれのグループでそれぞれ異なる取り組みを1週間行ってもらいました。

実際に検証をおこなった3つの取り組みは次の通りです。
  • 検証1:寝る前のマウスウォッシュ
  • 検証2:食後の口すすぎ
  • 検証3:間食をやめる
また、これらの取り組みを開始する前と1週間続けた後、それぞれで唾液検査を行い、その結果を比較しました。

使用した唾液検査について

今回の検証に使用した唾液検査は「シルハ」という唾液検査です。
10秒口をすすいだ水を測定することで、むし歯・歯周病・口臭に関わる6つの項目をチェックすることができます。
6つの項目の概要は次の通りです。

むし歯菌

むし歯に関係する細菌の活性度を測定します。
数値が低いほど良い結果です。

酸性度

歯を溶かしてむし歯の直接的な原因となる酸の強さを判定します。
数値が低いほど良い結果です。

緩衝能

酸を中和する力の強さである、唾液の緩衝能を測定します。
数値が高いほど良い結果です。

白血球

歯ぐきの炎症などにより白血球が出現すると数値が高くなります。
数値が低いほど良い結果です。

タンパク質

歯ぐきからの出血などによるタンパク質の増加を判定します。
数値が低いほど良い結果です。

アンモニア(口腔清潔度)

アンモニアは口内の細菌数が増えると増加する成分であり口臭とも関連しています。
数値が低いほど良い結果です。
シルハについてはこちらのページで詳しくご紹介をしています。

検証1:1週間 マウスウォッシュを使ってみた

はじめに、【検証1】では、歯科医院でよくおすすめされているマウスウォッシュを使って検証をしてみました。

使用したマウスウォッシュについて

今回の検証に使用したのは、ウエルテック株式会社様のコンクールFというマウスウォッシュです。
以前に歯科衛生士の方に実施したアンケートにおいて、おすすめされている頻度が圧倒的に多かったマウスウォッシュで、殺菌成分のグルコン酸クロルヘキシジンを配合しています。
おすすめのマウスウォッシュや使うタイミングについて、歯科衛生士の方100名に実施したアンケート調査については、こちらで紹介しています。

検証1の実施条件

検証1では、ご協力いただける皆さんの中から、日頃マウスウォッシュを使っていない8名の方を選抜して行いました。
1週間、必ず夜寝る前に1回、コンクールFで口をすすいでいただくようにお願いし、それ以外はこれまでの生活習慣と特に変えないでいただいて検証を行いました。

検証開始前の口内環境は?

まずはじめに、検証を開始する前の皆さんの口内環境をシルハでチェックしました。
チェックの結果はこちらの通りです。
※一般の平均値は20~50代の約1,500名における平均値です。
※緩衝能は数値が高いほど結果が良いことを表します。
※緩衝能以外の5項目は数値が低いほど良い結果です。
一般的な平均値よりも悪い項目が多く、特に歯周病関連の項目が高めな傾向です。厚生労働省の調査によると、歯周病は20代でも3割以上の方に兆候があると言われています。歯周病の初期段階でも歯ぐきには炎症が見られるので、弊社の皆さんにも兆候があるのかも知れません。

試験後に口内環境はどう変わった?

それでは、1週間寝る前にコンクールFを使ってみた結果はどうなりましたでしょうか?
検証開始前の結果と並べてみました。
※一般の平均値は20~50代の約1,500名における平均値です。
※緩衝能は数値が高いほど結果が良いことを表します。
※緩衝能以外の5項目は数値が低いほど良い結果です。
少し数値が悪くなっている項目もありますが、全体的に大きな変化がありませんでした。やはり1週間では、口内環境の数値にまで変化が及ばないようです。
一方で、今回の検証についての感想を伺ったアンケート調査によると、体感での効果は皆さんすぐに感じられたようです。
マウスウォッシュを使う前と比べて口内環境が良くなったと感じる方は全体の7割で、寝起きの口内環境が特に良くなったと感じる方もいました。
効果を実感されたからか、参加した皆さんの多くの方が、このマウスウォッシュを他の方にもおすすめすると回答しました。
寝ている間は唾液の分泌が減るため、唾液による浄化作用が働かず、口内細菌が増えやすくなります。寝起きの口内環境が良くなったと感じたのは、コンクールFの殺菌成分による効果だと考えられます。
同時に、口内環境にはじわりじわりと効果が見えてくるため、1週間の検証では唾液検査の結果にも変化が見られなかったのではないでしょうか。

検証2:1週間 食後に口をしっかりすすいでみた

続いて、【検証2】では、なにか食べるたびに直後に口をすすいでもらい、口内環境に変化がみられるかを検証してみました。
食べ物を口にすると、その中にある糖質を利用して細菌が酸を生成します。この酸が歯を溶かしてしまい、むし歯の原因になってしまうのです。
また、食べかすに含まれるタンパク質も細菌の栄養源となり、歯周病菌などを繁殖させるきっかけとなってしまいます。
そこで、食後すぐに口をすすぐことで、食べかすや糖質を洗い流してもらい、口内環境の悪化をできるだけ防いでもらいました。

検証2の実施条件

検証2には、6名の方が参加しました。
1週間、食後に必ずしっかり口をすすいでいただくようにお願いしました。口すすぎは、朝・昼・晩の3食後はもちろん、お菓子などの何かしらの間食をした後や、なにかソフトドリンクを飲んだ後にも実施しています。
1回のすすぎ時間を10秒間として、必ず食後すぐに2回すすぐようにしていただきました。
それ以外は普段の生活と変えないで1週間過ごし、効果を検証しています。

試験開始前の口内環境は?

今回もはじめに、皆さんの口内環境をシルハでチェックしています。
チェックの結果はこちらの通りです。
※一般の平均値は20~50代の約1,500名における平均値です。
※緩衝能は数値が高いほど結果が良いことを表します。
※緩衝能以外の5項目は数値が低いほど良い結果です。
検証2に参加いただいた皆さんの平均値も、歯周病関連の項目が一般的な平均値より高めの傾向です。さて、1週間後にこの数値はどう変わるのでしょうか。

試験後に口内環境はどう変わった?

実際に1週間、食後すぐに口をすすいでもらった結果がこちらです。
※一般の平均値は20~50代の約1,500名における平均値です。
※緩衝能は数値が高いほど結果が良いことを表します。
※緩衝能以外の5項目は数値が低いほど良い結果です。
大きな変化ではありませんが、全体的に少し数値が良くなっている傾向です。
参加者のお一人の結果を見てみますと、全体的には大きく変わりませんが、特に酸性度に改善が見られています。
※一週間後の結果(青い線)が開始前の結果(赤い線)より内側にあればあるほど改善していることを表しています。
食後すぐに口をすすいでいただくことで、細菌による酸の生成を抑制する効果があったのかもしれません。
検証2においても、アンケート調査で感想を伺ってみました。
口をすすいだ食後は口の中が洗い流されるので、全員が口内環境が良くなったと感じています。一方で、1週間後の口内環境には効果が感じられなかったようです。
また、口をしっかりすすぐことは面倒さもあったのか、人におすすめするかについての意見は2つに分かれました。
食後すぐに口をすすぐ効果は平均値では明確に差が見られませんでしたが、酸性度に明確な差が見られた方がいらっしゃいました。
口内が酸性化しやすいかどうかは、口の中に糖質がどれくらい残っているかだけではなく、食事をしていた時間の長さ、唾液の量、細菌の状態やもともとの磨き残し具合など、様々な要因も関係をしてきます。今回の検証で大きく改善しなかったのは、参加者お一人お一人のもともとの口内環境にも違いがあったのかもしれません。

検証3:1週間 間食をやめてみた

最後の【検証3】では、間食を控えてみることで口内環境にどんな変化がみられるかを検証してみました。
食べ物などに含まれる糖質から酸が作られると口内が酸性化します。しかし、唾液の力により、酸性化した口内は徐々に中性に戻っていきます。
食べ物を口にする機会が多いと、糖質が口に入り続ける上に、酸性化した口内が中性に戻る合間がありません。
そこで、間食を1週間控えてもらい、なにかを口にする機会を朝・昼・晩の3回に限定することで、口内を中性に戻りやすくしてもらいました。

検証3の実施条件

検証3には5名の方が参加しました。ほとんどの方が日頃からよく間食を取っています。
検証3の参加者の皆さんには、間食を1週間控えてもらい、1日の食事機会を朝・昼・晩の3回に限定していただきました。普段に間食で取っているものを食べたい場合は、これらの3回のときに一緒に食べていただき、別のタイミングで口にはしないようにお願いしています。ミントやガムも間食扱いとして控えていただきました。
飲み物も、水以外では、ブラックコーヒーやお茶に限定していただき、糖質や脂質を含むようなものは控えてもらいました。

試験開始前の口内環境は?

こちらは、試験開始前の唾液検査シルハの結果です。
※一般の平均値は20~50代の約1,500名における平均値です。
※緩衝能は数値が高いほど結果が良いことを表します。
※緩衝能以外の5項目は数値が低いほど良い結果です。
検証3に参加いただいた皆さんの平均値も、一般的な平均値より少し悪い傾向です。
検証1~3に参加いただいた皆さんの平均年齢は43歳ですが、比較している平均値は20~50代の幅広い年代の方の平均値です。口内環境は年齢を追うごとに悪化していく傾向があるため、参加者の皆さんの平均値の方が一般の平均値に比べてやや悪くなっていると考えられます。

試験後に口内環境はどう変わった?

それでは、間食を1週間控えた効果はどうだったのでしょうか。
また唾液検査の結果をみてみましょう。
※一般の平均値は20~50代の約1,500名における平均値です。
※緩衝能は数値が高いほど結果が良いことを表します。
※緩衝能以外の5項目は数値が低いほど良い結果です。
口すすぎと同様に大きな変化ではありませんが、間食を控えることで全体的に少し数値が良くなっています。今回の3つの検証のなかで唯一、全ての項目の数値が良くなりました。
参加者のお一人の結果を見てみても、同様に全項目で少しずつ良くなっている傾向が見られました。
※一週間後の結果(青い線)が開始前の結果(赤い線)より内側にあればあるほど改善していることを表しています。
つづいて、間食を1週間控えてみた感想もアンケート調査の結果で見てみると、食後の口すすぎと同様に、特に口内環境の変化はそれほど感じられなかったようです。
しかも、間食控えを他の方におすすめするかを伺ったところ、どなたからも「勧める」という回答はありませんでした。
体感では特に効果も感じられず、我慢しかなかったので、このような回答になったことも頷けます。
間食を1週間控えた結果、少し口内環境に改善の傾向が見られました。
間食を控えて飲食機会を少なくすることで口内の酸性度が下がったと共に、細菌の栄養源となる糖質やタンパク質の摂取機会も減り、細菌の繁殖を抑えることにつながったと考えられます。
食事内容や1回の食事時間については決めていなかったため、これらも制限すればより改善がみられたかもしれません。

まとめ

今回は3つの取り組みをおこなって、1週間の短い期間でも口内環境に変化が見られるかを検証してみました。
その結果、参加者によって効果にバラつきもあり、参加人数も少なかったため、明確な差が見られるまでにはなりませんでした。
しかし、食後すぐに口をすすいだり、間食を控えたりすることで、一週間でもわずかながら口内環境に変化が見られており、これらの取り組みをするだけでも口内環境をより良くする効果があることが示唆されました。

毎日の生活習慣に一工夫を入れるだけでも、口内環境は良くなる可能性があります。ご自身でもなにか一つ、自分の取り組みやすいことを実践してみるのはいかがでしょうか?
SillHa.com編集部では、今度もいろいろな検証をおこなっていきます。ぜひご期待ください。

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